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4部:高知県競馬組合競走馬診療所の長山昌弘さん。題目は、「ハルウララの地から」 ■長山昌弘さんの経歴■ 1.長山昌弘さんは麻布大学のOBです。 2.長山昌弘さんは、獣医師でありながらも、高知競馬を主催する立場(高知競馬の WEBマスター。小さな競馬場なので警備員なんかもしている) ■ハルウララのブームについて■ 1.橋口アナウンサー この方は、高知競馬の実況担当アナウンサーで、ハルウララが連敗記録を続け ていることに、いち早く気がついた人です。そしてその後、新聞社にその事を 報告して、だんだんブームにつながっていくことは結構有名な話です。長山さ ん曰く「橋口さんを一言で言うと、高知競馬について今一番詳しい人です。人 の競馬の知識というのは偏りがありますし、個別に見ていけば個々の馬の状態 やマニアックな話に詳しい人はいますが、橋口さんは競馬についての広い知識 を持っていて、中央や海外の競馬にも詳しい。血統も詳しい。厩舎や騎手にも 詳しい。個々の馬の競走成績についても幅広く知っています。私は、競馬につ いてわからないことがあったら、まず橋口さんに聞いてみることにしています 彼の態度というのは、組織に縛られないサムライという感じです。東京から来 るマスコミの方にはない凄然さがあります。」との事です。 2.ハルウララブームの始まりから今まで ある日長山さんが仕事を終えて帰ってくると、長山さんの奥さんが「高知競馬 について新聞に記事がでてるよ」と言われたそうです。長山さん曰く「また悪口 でも書いてるんだろう。存続の危機がウンヌンと」。でも内容は、ハルウララ の連敗記録のことでした。そのうち、東京からマスコミが殺到したそうです。 NHK・TBS・日テレ・フジ・朝日(順番失念)。「あと一社来たら東京のテレビ局 が全部そろうね」。そう言ってる暇も無くテレ東が来てとうとう全社がそろっ たそうです。高知競馬の来場は、今は日曜日に1500人。土曜日は1000人。平 日は、それ以下だそうですが、100戦目の日5000人が来て、主催者みんながた まげたそうです。でも「これできっとブームも終わりだろう」でも・・101戦目 には8000人が来ました。競馬場の入場のカウントは子どもは数えてないし、 最終レース間際の出入りはカウントしないので「公式記録よりは確実に上の数 字で10000人はいただろう」という事です。 3.武豊騎乗 長山さん曰く「まさか武豊が乗るなんて夢にも思わなかった」そうです。高知 競馬が入場可能な人の数は13000人で、それ以上になると危険なのでシャッタ ーを占めます。まさにシャッターは占めれました。某職員は曰く「これが高知 競馬最後の日と、みんな勘違いしたんじゃないかな?」と思ったそうです。長 山さんの武豊評は、「彼は地方競馬の事をキチンとわかっている素晴らしい人 です。インタビューでは『高知は大好きです』とかすすんで言ってくれるし、 ミニ握手会もやってくれたし、本番のレースでハルウララが直線に向いて馬込 みに入って見えなくなったのを気にして、最後もう一週してくれた。口で言う のは簡単だけど、肝が据わってないとできることじゃありません」との事です ■ハルウララの現在■ 1.映画ハルウララ ボランティアの人を交えた映画撮影会が行われました。長山さん曰く 「スタッフが持った竹棒めがけて『ウララ!ウララ!ってみんな言う んですよね』映画の内容はフィクションですが、私はこの映画は、ハ ルウララを思う人たちのノンフィクションの映画だと思います。是非 見て下さい」 2.ハルウララギャラリー ハルウララギャラリーという展示館を作りました。ハルウララを分か ってもらう為に色々努力をしています。 3.反響 賛否両論あります。 ■競馬のあり方■ 1.存続 四国には高知競馬以外にも、4つの競馬場がありました。でも今は一つ です。存続の議論は、毎年起こっていて今後もどうなるか?わかりませ ん。競馬はお金がかかります。例えば競輪であれば、競輪選手が持って いる自転車は、30万くらいする高価なものではありますが、必要なもの といえばそれだけです。競馬は騎手や調教師や飼い葉代や検疫代やたく さんのお金がかかります。もともと大変なものです。 2.日本人の変化 競馬場には、馬頭観音というものがあります。以前は、馬頭観音にはた くさんのお賽銭が入っていました。信心深い人がたくさんいました。し かし今は、一開催で片手に乗る程度しかお賽銭は入っていません。どう やら長山さん曰く「損得にしかならないものにしか反応しない人が増え たじゃないでしょうか?」との事です。 3.競馬をする人間は信心深い 厩舎では、出走する馬の背に塩を盛ります。競馬場では毎年4月には 坊さんを呼んでオハライをします。 4.競馬とは文化です もともと競馬とは文化です。昔は村の祭りで競馬が行われ、相撲が行 われ、高知でも山で300騎から600騎の騎手たちが競馬を行いました。 しかし、競馬を行われた跡では、そんなことが過去行われたことを記 すものはありません。当時を知る人に長山さんが話を聞いた所「その 頃の競馬には馬券なんてものはなかった」ということです。長山さん 曰く「競馬とは馬券ウンヌンよりも走る馬の美しさを見るのが究極の楽 しみなのではないか?」とのことです。 5.競馬場では、環境学習を行っています 高知競馬には、毎年2000人超の子どもたちが訪れて環境学習を行って います。子どもたちの親に話を聞くと「うちの子は、明日、お馬さんに ニンジンをあげるんだ。」といって嬉しそうに話したそうです。馬がエ サを食べて喜ぶのではなく、エサをあげる子どもたちの心を動かす力 があるということです。競馬場では命を感じることができます。例え ば、動物園は年間の維持費の1割しか入場料でペイしていません。で も動物園は存続問題にはいたりません。競馬場が存続問題の議論にな るのは、バランスの悪い議論ではないでしょうか? |