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タイトル:Daily Drama Express 2004/09/09 人間の証明 (最終回)  2004/12/26


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2004/09/09 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル 人間の証明
局  名 フジテレビ系
放映日時 木曜22時
キャスト 棟居弘一良(竹野内豊)
 本宮桐子(夏川結衣)
 横渡篤 (大杉漣)
 新見隆 (風間杜夫)
 那須英三郎(緒形拳)
 郡恭子 (松坂慶子)
 郡陽平 (鹿内孝)
 郡さやか(堀北真希)
 佐伯友也(田辺誠一)
 小山田武夫(國村隼)
 小山田文枝(横山めぐみ)
 翔平  (高岡蒼佑)
 路子  (松下奈緒)
 相馬晴美(りりぃ)
 ケン・シュフタン(Bo.Svenson)
 ジョニー・ヘイワード(池内博之)
 草場健次(おかやまはじめ)
 山路利雄(佐藤二朗)
 河西善行(津嘉山正種)
 富永雅彦(山崎樹範)
原  作 森村誠一
脚  本 前川洋一

あらすじ  第10話 『人間たちの明日』

 事件から61日、任意同行した恭子の取調べが始まった。 話は翔平
の事件ではなく 恭子自身やジョニー殺害事件の事とわかり、卑劣だ
といったんは抵抗する恭子だが、すぐ開き直る。

 講演をしたロイヤルホテルの側で 殺人事件があった事は 新聞で
知っているとかわす恭子。
 棟居「被害者ジョニー・ヘイワードは あなたの息子ですね。」
 いきなり切り出した棟居を ばかばかしいと恭子は笑い飛ばす。 
父親のウィルシャーに証言させるとかまをかけるが、動じない。 ウ
ィルシャーが既に死んでいる事を 恭子に言わせる作戦だったが、失
敗。 数々の質問をサラリとかわす恭子。 棟居に恭子が落とせるの
か 那須たちは マジックミラー越しに 固唾を呑んで見守るしかな
い。

 恭子の落ち着いた態度に 焦る山路が 横槍を入れそうになる。 
それを制止する那須。
 那須「山路、黙っていろ。」
 ジョニーの母親である事を証明するDNA鑑定も 当事者の同意がな
ければできない事を 恭子は知っている。 人権侵害だ 令状はある
のかと 一歩もひかない恭子。


 深夜、タクシーで翔平の別荘にやってきた 小山田と新見。 車を
帰し 玄関の窓ガラスを叩き割って、内部に侵入する。 動きを見せ
ない警察に代わり、這うようにして 文江拉致の証拠を探す2人。 
新見の背後から クラブを振り下ろす黒い影に いち早く気付いた小
山田が声を上げる。
 小山田「危ない!」
 間一髪 クラブの一撃をかわした新見。 闇の中 懐中電灯に照ら
された影の正体は 翔平だった。 海外逃亡しようとした翔平は、検
問に立ち塞がれ 逃げ帰ってきたのだ。 形勢逆転 外に逃げ出した
翔平を 新見が追いかける。

 新見に追われた翔平は、森の中でもみ合いになり 崖下に転落する。
 心配し 自力で車椅子に乗った小山田が 森の中を探しにくる。 
小山田の呼び掛けに答える新見。
 新見 「崖の下です。 救急車を呼んで下さい。 2人とも 怪我
をしています。 彼は出血がひどい。 私は 足を折りました。」
 ケガをした2人に代わって 足場の悪い森の中を 必死で助けを呼
びにいく小山田。 携帯電話は圏外を示している。
 小山田「助けを呼んでくる。 すぐ戻るから 頑張れ。」


 恭子が警察に連れて行かれたと知ったさやか。 心配する桐子に 
一緒にいてくれるよう懇願する。 陽平と佐伯は 恭子を解放するよ
う手を回す。

 タエが殺された、と聞いても動じない恭子。 ジョニーの母 晴美
の正体が恭子だと知っているタエを 口封じに殺したと指摘する。 
恭子は、かもめと言う米軍クラブに 晴美という名で通っていたのだ
と。 それを認めない恭子は 根拠が無い 名誉毀損で訴えると言い
逃れ 部屋を出ようとする。

 全く分が悪い棟居が 30年前横須賀で恭子に会った事があると 切
り札を出す。 棟居の意外な言葉に 思いとどまる恭子。 今日を逃
しても 追い続けるという棟居と 決着をつける覚悟をする。


 管理官の富永と 捜査一課長の河西が 陽平や佐伯の訴えを受けて
 駆け付ける。 那須たちは 任意での取り調べの許可を 取り付け
ていなかったのだ。 取調べを止めさせようとする河西たちの前に、
那須が立ちふさがる。
 那須「私たちが危険な服務規程に従い 給料も安いのに、何故警官
をしているのか。 自分たちの原点は 正義感と使命感。 縁もゆか
りも無い他人の為に 命をかけるのは、誇りを持っているからです。
 それを汚すような 命令には従えません。」
 落とせる自信があるのかという河西に 落とせなければ自分の首を
かけると 那須は 躊躇しながらも答える。 責任の所在がはっきり
した河西たちは、とりあえず納得し 引き下がる。


 森の中で 命の危機に抗う3人がいた。 その一人新見は 意識を
失くしかけている翔平の血を拭い 語りかける。
 新見「不思議だ。 私は彼の妻を寝取った加害者の一人だ。 憎ん
でも憎みきれない筈だ。 その私たちを 彼は助けようとしている。
 私にもわからないが、これだけは言える。 君に死なれては困るん
だ。」

 小山田は 道の窪みにはまった車椅子を持ち上げようと 必死だっ
た。 その車椅子が ふっと軽くなる。 小山田が振り返ると、そこ
に文江の幻が 微笑んでいた。


 恭子を押しとどめた棟居は 30年前のクリスマスの出来事について
話しだす。 1975年のクリスマス 横須賀の路地で若い女性が米兵に
襲われたのを 助けに入り殴られた男がいた。 それが棟居の父親で、
殴られた傷が元で 3日後に死んだ。 逃げた女性も アメリカ兵も
 見物人も 警察も、全ての人間を恨んだ棟居。 誰も信じられない
のは 自分も恭子と同じだと。

 部屋の外で聞いていた那須たちも 隠された棟居の生い立ちに 驚
きを隠せなかった。 横渡以外 誰も知らない事実だ。

 棟居の言葉を 黙って聞いている恭子。 そこに 逃亡中の翔平の
身柄が確保されたと 横渡が知らせに来る。 文江監禁致死と死体遺
棄を認め、翔平自身もかなりの傷を負っていると。 息子の窮地を知
れば、動揺すると踏んでいた横渡。 しかしそれでも 恭子は平然と
していた。 母親である恭子の反応の無さに 首をかけている那須の
心中は 穏やかでは無い。

 棟居は重ねて さやかの事を持ち出す。 恭子がホテルを抜け出し
た事や 晴美と知り合いだと証言した事を聞いても 顔色を変えない
恭子。 母親を助けて欲しいという さやかの切ない願いも 恭子に
は届かない。

 再び ジョニーの話しに戻る。 ジョニーが刺されたと思われる場
所まで ホテルから往復30分かかる。 恭子の犯行は無理に思える。
 しかし、それは勘違いで、犯行現場は ホテルの近くだった。 刺
されたジョニー自身が 犯行現場から離れようとした事から 生まれ
たトリックだった。 肺を損傷したジョニーは重症で 体内は血で一
杯だった。

 常識では歩けない傷だったが、それでもジョニーは歩いた。 恭子
を庇う為 恭子から離れようと 自分の身元のわかるパスポートも現
金も投げ捨てて 必死で歩いたのだ。 ジョニーが死の間際に口にし
た言葉「ストーハ」。 ジョニーは 持っていた西条八十の詩集「麦
藁帽子」に、唯一の思い出 霧積の旅行を重ねていたはず。
 黙って聞いていた恭子は、棟居が差し出した詩集を手に取る。 静
かに目を通すと本を閉じ、母親を思う気持ちが表現されたいい詩だが
 自分には関係ないと 涼しい顔で言う。

 隣室で聞いていた那須たちは、もう打つ手が無いと 絶句する。
 山路「ダメですね。 落ちませんね。 これは大問題ですよ。」
 他人事のように言われ、苦虫をかむ思いの那須。

 それでも棟居は諦めずに 母を思う子供の気持ちを代弁する。
 棟居「あなたは 子供に愛情が無いのかもしれない。 でも子供は
あなたを必要としている。」
 ジョニーも 嫌われても嫌われても あなたの事が好きだったんだ
と。 自分も母に捨てられた子供だから わかるのだと。

 詩集に目を落とした棟居は、ゆっくりと「麦藁帽子」を語りだす。
 しみじみと 霧積の光景が目に浮かぶ。
 棟居「母さん ぼくのあの帽子どうしたでしょうね。 ええ 夏 
碓氷から霧積に行く峠で落とした あの麦わら帽子ですよ。 あれは
好きな帽子でしたよ。・・・だけど 風が吹いてきたものだから。
・・・本当にあの帽子はどうなったでしょう。」
 恭子の頬を ツウと涙が伝う。 指で拭うが、一度こぼしてしまっ
た涙は 止め処が無くなる。 平然と見えた恭子の胸の内には 幸せ
だった頃が去来していたのだ。
 棟居「ジョニーはあなたの息子ですね。 あなたが刺したのです
ね。」
 恭子が 深く頷く。
 横渡「落ちました。」
 捜査陣に安堵が広がる。 目頭を押さえる那須。


 口を開いた恭子は それまで封印してきた自分の過去を語りだす。
 恭子のゆがんだ人間性は 幼少期に形成された。 父を幼くして亡
くした後、暴力をふるう母が男を連れこむようになり、自分も乱暴さ
れた。 憎しみではなく 母を殺したら自由になれると思い、火事の
時 母親を見殺しにしたったのだ。 でも自分の血の中に母がいた。
 それはどうしようもなく 逃れる事が出来なかった。 事実を知っ
ていたタエは 母親代わりになって 庇ってくれた。 親戚をたらい
まわしにされ 逃げ出した。

 17で出てきた東京で 晴美と出会い、戸籍を譲り受けた。 生きる
為に 水商売をし、体も売った。 人並みの生活をしたかった。 お
金が必要だった。
 2年目にウィルシャーと出会い 過去を清算し 晴美の名前で 出
生届を出した。 幸せだった。
 貿易会社の社長をしていた郡陽平に気に入られ プロポーズされた。
 霧積に行ったのは そんな頃。 そして、横須賀基地の火災事故が
起きた。 ジョニーを連れて先に帰国したウィルシャーを 追いかけ
る事になった。 しかし 政界進出しようとしていた陽平に 魅力を
感じ、裏切ったのだ。 そして ジョニーの存在も 売春した事実も
 隠す必要があった。 だからその時、八杉恭子に戻ったのだ。

 23年後 アメリカからジョニーが会いに来ると言う手紙が 突然届
いた。 恭子が知事選に出ようと言う時、パストラルホテルに ジョ
ニーは 偽名で チェックインする。 恭子は、一夜限りの夕食を共
にし 帰国するよう説得し アメリカ行きの航空券と200万円を渡し
た。 しかし、ジョニーは いい付けに背いた。 帰ったはずのジョ
ニーからの電話に 困り果てた恭子。

 迷惑をかけない、時々会えればいい 日本で暮らしたいと言うジョ
ニー。 切々と訴えるジョニーに 答える事が出来ない恭子。 母の
愛にすがりたいジョニーが理解できず 恭子はジョニーにナイフを突
き立てた。
 恭子「あなたの存在その物が 迷惑なの。」
 振り返ったジョニーは 恭子が手にしたナイフを見、自分の存在が
邪魔なのだと 恭子の気持ちを知り 絶望する。
 ジョニー「ママは、僕が邪魔なんだね。 嫌いなんだね。 それが
 ママの気持ちなんだね。」
 ナイフを構えたままの恭子に近づき 抱きしめる。 その胸に ナ
イフがずっぷりと深く突き刺さる。
 ジョニー「これでいい? これで安心だね。」
 驚いた恭子が 逃げだす。
 ジョニー「逃げてママ。 僕の事 忘れないで。」
 一人ふらふらと 歩きだすジョニー。 遠くに見える麦藁帽子を目
指して。


 いつも味方をしてくれたタエを 殺すつもりはなかった。 しかし
 痴呆症が始まったタエをほっておいたら いつか誰かに喋ってしま
う。 だから 殺すしかなかったのだという。

 恭子は生きていく為に 過去を捨て続けた。
 恭子「私は 自分を消したかったのかも知れない。」
 しかし、棟居には 納得できない。 過去は消せても 残された者
 2人の子供は生きている。 2人の存在は 何があっても消せない。
 自分が母親であると言う事からは 逃れられないと。 長い取調べ
が 終った。
 横渡「お疲れさまでした。」
 隣室の那須は 感慨深く聞き入っていた。 その頃、恭子の当選を
報せるテレビニュースを聞き、病室で陽平が空笑いする。


 土手にたたずみ 川を見つめる小山田と新見。 小山田愛用のマジ
ックハンドを返し 礼を言う新見。
 新見 「動けない時 非常に便利ですね。・・・今度飲みましょ
う。」
 小山田「そうだな。・・・新見さん、いろいろありがとう。」
 新見 「初めて 名前を呼んでくれましたね。」
 それではと 旧い友人のように握手を交わし 笑顔で別れる2人。
 しかし、彼らが会う事は二度となかった。 新見は 専務の娘であ
る妻と離婚し、子会社に出向。 その後、小山田は 小さな介護用品
を作る会社を作った。

 逃亡していた路子も逮捕され 懲役3年、翔平が10年、恭子が20年
の懲役で服役した。 代議士に転向した佐伯は、3年後 選挙に立候
補し 当選する。

 那須も左遷される事無く 2年後に無事定年退職し、時折横渡と酒
を酌み交わした。 横渡には 初孫が誕生した。

 桐子は 陽平を告発し、反対に名誉毀損で訴えられ 裁判で争って
いる。 棟居の父を殴ったケン・シュフタン刑事は、黒人の少年を助
けようとして 刺殺された。 その後も棟居は 相変らずの仕事ぶり
を続けている。


寸  評  とうとう 終ってしまいました。 恭子の謎が 告白という形で
決着しました。
 自分を消しながら 新しい自分を生きていく。 自分に自信の無い
人 訳ありの人なら 誰でもが 望んでいる事かもしれません。 そ
れでも 消したくても消せないものがあるのですね。
 ラストの 皆のその後は 少し余計かと思いました。 でも、最近
の視聴者ははっきりしないと気が済まない 完結しないのでしょうね。
 タイトルが「人間たちの明日」だから これでいいのですね。
 小田島は 介護用品の会社を興したようですね。 実際に筋ジスト
ロフィーの男性が 介護用品製造販売で成功しているそうです。 ど
んな状況でも やれる事をやると言う事なのかもしれません。 事故
による障害や 妻の死をいい形で乗り越えたのですね。

執 筆 者 飯塚()

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2. 編集後記
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 とうとう最終回です。 私は『見てから読む派』です。 昔読んだのですが、
だいぶ忘れてしまいました。 これからゆっくり読もうと思います。 映画の
方も見たくなりました。
 棟居は 他のドラマでも出てきますね。 『人間の証明』が 棟居の第一章
っていうところでしょうか。 読み始めたら 追求してしまうかも・・・。
 私の拙い文章に お付き合い下さり ありがとうございました。 これから
も よろしくお願い致します。(飯塚)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
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