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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第79回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その9) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 さて、今回も遠隔作用と関連のある話です。 具体的には、前々回からの続きで、エネルギー配分が不平等になる理由を考えま す。 なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。 **************************************** 33.違いは何か? **************************************** まず、前回の三つの図を再度、示しましょう。 [図1] B ○ ○ A ○ C [図2] B ○ ○ A [図3] ○ A ○ C さて、前回の課題のヒントである『図1にあって、図3にないもの』とは、何で しょうか? 答えは、もうおわかりのように、物体Bです。 つまり、図1における物体Bこそが、『物体Cが長い時間、作用を受けることを 出来なくするもの』なのです。 次に、その理由について考えてみましょう。 **************************************** 34.受け手が増えると時間も減る **************************************** 図3では、物体Aから作用を受けるのは、物体Cだけです。 ですから、物体Aが放出するエネルギー全てを、物体Cが受け取ることになりま す。 このため、物体Cは長い時間、作用を受けることができるわけです。 これに対し、図1では、物体Cの他に、物体Bも物体Aから作用を受けます。 ですから、物体Bもエネルギーを受け取るのです。 これは、物体Aの立場から言えば、物体Cだけでなく、物体Bにも仕事をしなけ ればならない、ということになります。 つまり、物体Bにもエネルギーを与えなければならない、ということです。 すると、その分だけ、物体Aが単位時間あたりに失うエネルギーも大きくなるこ とになります。 このため、それだけ早く物体Aのエネルギーが失われることになります。 一方、物体Aが放出するエネルギーは有限です。 よって、物体Aが仕事をすることができる時間、すなわち、作用を及ぼすことが できる時間は短くなります。 以上のようなわけで、物体Cが物体Aから作用を受けられる時間が(物体Bが存 在しない図3の場合より)短くなってしまうのです。 作用を受ける時間が短くなってしまうと、受け取るエネルギーは少なくなってし まいます。 こうして、物体Cは、物体Bのせいで、少ないエネルギーしか受け取れなくなっ てしまうのです。 **************************************** 35.距離の違いが生みだす不平等 **************************************** 図1における物体Cが、図3における物体Cよりも少ないエネルギーしか受け取 れないことは、わかりました。 同様に、図2における物体Bよりも少ないエネルギーしか受け取れないことも、 おわかりいただけると思います。 それでは、同じ図1における物体Bとくらべると、どうでしょうか? ここで、問題を単純化するために、物体Cと物体Bは、質量や電荷が等しい、と します。 すると、物体Aから受ける作用の強さは、物体Aからの距離の違いから、 物体C < 物体B となります。 ですから、単位時間あたりに受け取るエネルギーも、 物体C < 物体B となります。 一方、物体Cと物体Bは、ともに物体Aという同じ相手から作用を受けるのです から、両者が作用を受けられる時間、すなわち、エネルギーを受け取れる時間の 長さは同じです。 このため、単位時間あたりに受け取るエネルギーが大きい方が、沢山のエネルギ ーを受け取れることになります。 よって、各物体が受け取るエネルギーは、 物体C < 物体B となるわけです。 以上で、前々回以来取り上げてきた問題、すなわち、距離の違いによってエネル ギー配分が不平等になる理由が、ようやく説明できました。 **************************************** 36.隠された重要問題 **************************************** さて、前々回以来取り上げてきた『距離の違いによってエネルギー配分が不平等 になる』という話は、定性的な結論だけを見ると、ごく当たり前のこと、今更取 り上げるまでもないことのように思えるかもしれません。 しかし、実は、そうではないのです。 そこには、極めて重要な問題が隠されているのです。 具体的に言うと、 (1) 動的な電磁気現象(による作用)と、クーロン力や重力との違い (2) 遠隔作用と近接作用との違い という問題です。 そして、これらは、従来、量子論によってしか説明できなかったことが、電磁気 現象として説明できるための重要なカギとなるものなのです。 定性的な結論よりも、話の過程に注目してください。 何度もつまずきましたね。 その理由は、『距離の違い→作用の強さの違い→受け取るエネルギーの違い』と いう単純な論理が通用しなかったからです。 この問題では、『距離』の他に、さらに二つの概念がかかわってきました。 一つは、『時間』という概念。 もう一つは、『他者(によるエネルギーの横取り)』という概念です。 そして、これらの概念こそが、上で述べた(1)と(2)の問題に深く関係してくるも のなのです。 実を言うと、定量的なことに注目すると、結論だけでも重要な問題を含んでいる ことに気付きます。 それは、エネルギー配分の不平等が、単純に距離の違いからイメージされる程度 よりもひどくなることです。 というわけで、次回からは、こうした極めて重要な問題について説明していきた いと思います。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |