●うっかり散歩中の犬をひいてしまった・・・ という交通事故について豆知識
一般に道路上の犬に対して、歩行中の人(特に子供)に対する程に高度の注意を払う義務を自動車運転者に負わせることはできません。しかし犬だからといってみだりに生命を奪ってよいという理はないし、ことに人の所有する畜犬は、法律上財産権の客体として、これに危害を加えないようにする一般的な注意義務があるのは当然であり、ただ、犬の安全を確保すべき主たる責任は通常はその犬の保管者の側が負うという特殊性があります。飼育動物の特殊性と現今の交通事情をも考慮すれば、一般に畜犬特に犬のように平常屋内で愛玩の用に供されている高級犬を飼育し散歩させる者は、できるかぎり車輌の交通の少ない安全な場所と時間を選んで散歩させるべきであり、もしやむなく本件事故現場のような歩車道の区別のない交通ひんぱんな道路を通行する場合には、犬と車輌の接触の危険を避けるため終始細心の注意を払うべきです。その意味で、犬を道路における危険から守るための主たる注意義務者はむしろ犬の同行者ないし保管者であるという見方が強いです。