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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第73回 第4章・遠隔作用と疑似近接作用(その3) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 前回に引き続き『第4章』のイントロ的な話として、第1章では割愛した近接作 用の問題点について述べようと思います。 なお、このメルマガは等幅フォントで御覧下さい。 **************************************** 10.近接作用の制約 **************************************** 近接作用において、物体が直接関係することができるのは、その物体と接してい るものに対してだけです。 したがって、物体が相手方のことについて直接知ることができるのも、その物体 と接しているものについてだけ、となります。 速度についても、例外ではありません。 相手方の物体が離れている(接していない)場合、その速度を直接知ることはで きないのです。 この場合、相手方の物体の速度を知るためには、たとえば力線のような『相手方 の速度を知らせてくれるもの』が必要になります。 そういうもの無しでは、相手方の物体の速度を知ることはできず、それ故に、速 度が現象にかかわってくることはできなくなるのです。 相対論や量子論では、こうした致命的な欠陥をごまかすために、座標(系)を乱 用するトリックを用いている、ということを、前回、お話ししました。 要するに、近接作用では、自分と接しているもののことしかわからないために、 こうしたトリックが必要になってくるわけです。 少し話が異なりますが、量子論(量子力学)に出てくる『位置の定まらない確率 的な存在』とか『波のような広がりをもつ存在』という概念も、実は、そうした 近接作用の欠陥をごまかすために考案されたアイデアなのです。 もっとも、こちらについては、『相手方の物体の速度』といったことまでは知ら せてはくれず、たとえば、『相手方のスリットの開閉』といったような単純なこ としか知らせてはくれないのですが…。 とにかく、近接作用では、自分と接しているもののことしかわからないという制 約があるために、力線のような『相手方の速度を知らせてくれるもの』が必要に なったり、そうでなければ、座標(系)を乱用するトリックが必要になったりす るわけです。 この制約は、近接作用が抱える致命的な欠点と言えます。 それならば、そんな制約を持たない理論を採用すればいいのです。 後で述べるように、遠隔作用には、そのような制約はありません。 このことから、遠隔作用を採用するのが最も合理的と言えましょう。 もう聞き飽きたかもしれませんが、仮想力線電磁気学は、遠隔作用の理論です。 **************************************** 11.エーテルの有難味? **************************************** その前に、近接作用でも、座標(系)を乱用するトリックを用いなくてもすむ可 能性がないかどうか探ってみましょう。 既に示したように、力線という概念は、トリックを不要にしてくれます。 その他には何か考えられないでしょうか? あるとすれば、それはおそらく、アインシュタインが否定した、運動を考える実 在としての『エーテル』でしょう。 今、物体Aがエーテルに対して静止しており、物体Bが物体Aに対して速度vで 運動している問題を考えます。 すると、物体Bの立場から見ると、エーテルが速度−vで運動していくのがわか ります。(エーテルは、物体Bのあるあたりにも存在するため。) 物体Aはエーテルと同じ系にあるわけですから、物体Bは、エーテルの速度から 物体Aの速度も−vであることがわかることになります。 こうして、物体Bは、離れている(接していない)物体Aの速度を知ることがで きるわけです。 この場合、エーテルが、相手方の速度を知らせてくれるものの役割を果たしてい る、と言えましょう。 このように、エーテルの存在を認めれば、近接作用でも、座標(系)を乱用する トリックを用いずに、相手方の速度を知ることが可能になる場合があるのです。 近接作用にとって、エーテルが如何に有り難い存在であるかが、これでおわかり いただけると思います。 とはいえ、こうしたエーテルによる説明にも問題点はあります。 エーテルの運動から物体Bは物体Aの速度を知ることができますが、物体Aは物 体Bの速度を知ることはできません。 なぜなら、相手方の速度を知らせてくれるものであるエーテルは、物体Bの運動 状態に関係なく、物体Aに対して静止しているからです。 これは大問題です。 この他にも、 「物体Aがエーテルに対して静止していない場合は、どうするのか?」 とか、あるいは、 「そもそも、物体Aがエーテルに対して静止している(物体Aがエーテルとと もに運動している)といったことを、物体Bはどうやって知ることができる のか?」 といった問題があります。 やはり、エーテルによる説明にも、問題が多いようです。 **************************************** 12.実在性のある力線の問題点 **************************************** こうしてみると、相手方の速度を知らせるものとしては、エーテルよりも力線の 方が勝っていることがおわかりいただけると思います。 力線は、物体Aと物体Bの双方から、それぞれのびています。 そして、物体Aからのびた力線は物体Aとともに、また、物体Bからのびた力線 は物体Bとともに、それぞれ運動します。 このため、二つの物体は、お互いに相手の速度がわかるわけです。 さて、これだけの長所をもつ力線ですが、これが実際に存在してくれないことに は、何にもなりません。 残念ながら、力線が実在することを示す証拠はありません。 それに、二つの物体からそれぞれのびた力線というものを考えると、互いに交錯 したり、すり抜けたり、といったことが起こることになります。 これは、実在性のあるものとしては、かなり問題があると言えます。 こうしたことから、力線は、実在性のあるものではなく、仮想的なものとする方 が合理的であると言えましょう。 仮想的なものならば、互いに交錯したり、すり抜けたりしても、一向にかまわな いからです。 ただ、そうなると、力線は、もはや、相手方の物体の速度を知らせてくれるもの の役割を果たせなくなります。 したがって、そういうものを必要としない理論、すなわち、遠隔作用を採用する ことになるわけです。 **************************************** 13.遠隔作用と仮想力線 **************************************** 遠隔作用では、離れている(接していない)ものも直接関係してきます。 このため、離れている(接していない)ものについても、知ることができます。 ですから、離れている(接していない)物体の速度も、直接知ることができるわ けです。 つまり、遠隔作用では、近接作用のような『自分と接しているもののことしかわ からない』といった制約が無いのです。 こういうわけで、相手方の物体の速度を知らせてくれるものは不要なのです。 よって、力線は、実在性のあるものである必要はなくなり、仮想的なものでよい ことになるわけです。 最後に重要なことを一つ。 遠隔作用では、相手方の物体の速度を知らせてくれるものは不要なのですから、 そのことだけを考えれば、力線は不要なはずです。 しかし、電磁気作用の法則を記述したり、問題を考えたりする上で、力線は非常 に便利な道具(概念)です。 そこで、仮想力線電磁気学では、遠隔作用の理論でありながら、力線を仮想的な ものとして活用しているわけです。 ちなみに、座標(系)というものも、仮想的なものであって、実在するものでは ありません。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |