メルマガ:ep-finance
タイトル:[ep-finance] 宣戦布告って訳ではないですが、やっぱり大嫌いなので:-p  2004/09/28


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         [[ e p - f i n a n c e ]]

         edition: 28-Sep-2004

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おはようございます。
発行人しております、shi でございます。

emichanproduction.com
http://www.emichanproduction.com

で、毎週連載中の経済小話を紹介して行きます、本メルマガは
発行人の知識と経験をもとにいろいろな、社会人なら
知っておきたい話から、こんなこと知ってるのは、金融業界の
ほんの一握り!といったカルト話まで、盛りだくさんで進めて
いこうと思っております。

半期末も大詰めになってきました。
先週末から一つづつ案件を調印して終わらせていってます。
明日も一つ、明後日も。。。と木曜まで何かしら調印したり
決済したりと段々片付いて行ってますね。

で、10月になったら落ち着くかと思いきや、既にいろいろと
出張の予定がちらほら。。。休息の日はないのでしょうか。

誰か一緒に仕事しませんか?

ということで、今日は、そんなトラスティの鬱憤ばらしにおつき合いください。

<<<<<<<<<<<<<<<<<< financial talk >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

                   [企業資産の流動化と信託 : 格付け考]

ご存知の方はよく知っていると思うのですが、私は「格付け機関」が大嫌いです(笑)
今週は流動化にはなくてはならないはずのこの「格付け」について考えてみたいと思います。

さて、特に金銭債権の流動化を考える際に、いくらこの債権プールが分散が計られている
から、とか言われても、自分の投資した元利金が確実に帰ってくるかどうかは直感では
何となく言えそうでも、それを自分の上司が納得するでしょうか。概して、上司という物は
部下の言葉は信じず、外部の人間の言葉を信じる傾向にあります(苦笑)

また、この案件が本当に安全かどうか、自分たちだけが投資家でないようなスキームのとき、
もっと言えば、一時期話題になった「日本国債の償還の安全性」すなわち日本の格付け、といった時、
どうやって自分たちで確認するすべを持つのでしょうか。

ということで、「中立的な立場」で投資対象の元利金の償還がどの程度確実に行われ得るか
分析して、まとめてレポートにして見てもらうのが「格付け機関」の仕事といっていいと思います。

ということは、会社の格付け(無担保長期債券に対する格付け)ならば、その会社の経済基盤や
ビジネスの方向性といったミクロから、その業種や国内の動向などのマクロの両面から見て
考察する訳ですが、証券化の場合、償還できるかどうか、というのはその対象債権プールの
償還度合いに大きく依存すると言っても過言ではないでしょう。となると、その要素は
- どのように貸し付けられたか(オリジネーターの貸付基準など)
- それがどのようにして回収されるか (オリジネーター/サービサーの回収方法)
- その結果出来上がった債権プールの分布状況や過去の回収のトラックレコードによる計量的分析
というあたりから入って行きます。

さて、この辺りまでは「確率統計」が解れば誰でも出来る話です。
さらに言ってしまえば、過去の履歴にストレスと呼ばれる、将来想定し得るシナリオに
基づく状況下での回収分析(転じてキャッシュフロー分析)も、まぁちょっとスプレッドシートを
使えば出来なくはない作業でしょう。
# オプションのプライシングをモンテカルロモデルで行うことを考えれば。。。

で、問題は、そのプールの生成するキャッシュフローの分析が出来たとしても、
それを担保にちゃんと払えるかどうか、という払い出すメカニズムがちゃんとしているか
どうかの検証も必要になります。

その際のポイントは二つ。
一つは法的安定性、すなわち、ちゃんとその債権プールがオリジネーターから独立して
投資家に払い出す仕組みになっているか。
もう一つは、経済効果の実現性、すなわち契約書に投資家への払い出しのメカニズムが
手当てされているか、という点です。
前者は、例の「真性売買性」の論点や、オリジネーターが回収を行う際に自分のお金と
混同するリスク(コミングリングリスク)などを見ますし、後者は、払い出す順番を
規定するウォーターフォールモデル、と呼ばれる規定や、不測の事態に備えてためておく
準備金のメカニズムの手当を見ます。


とかくと、「格付けっていろいろ知らないと出来ないんだぁ」とかっこ良く見えるようですよね。

でも、はっきり言いましょう。格付けほどいい加減な立場はないです。
今まで、「投資家」に対する情報提供、と書いていますが、そのレポートが
「プレセールスレポート」と呼ばれるように、要は販売促進の為のツールでしかなく、
買い手の為といいながら売り手重視の記載がなされることが少なくないのです。
なぜか。それはそのレポートを書く費用は投資家ではなく、結果としてオリジネーター
負担になっているので、どうしてもそうならざるを得ないのです。

とかくと、格付けからは反論はあるでしょうね。でも、格付けのレポートをよく見ると、
レポートに対する免責文言、要はこれを見て投資して失敗しても責任は取りませんよ、
というお守りの言葉がそこかしこに散りばめられているので、投資の結果に対して
投資家と同じ方向を向いていない、ということが解ります。しかも自分では投資していない
のですから、いくら「マーケットに対する信用がなくなるからいい加減なことは書けない」と
言っては見てもそのレポートで負う経済的なリスクは限定されているのです。

さらに言いましょう。
エンロンやワールドコムの時がいい例でしょう。
株価急落の際に株価に対して後追いで格付けを下げて行ったのですが、
彼らの格付けの費用は誰が出したか。会社そのものです。

で、最近ちょっと頭に来ているのが、上記のようなものではあれ、格付けがないと
流動化商品が売れないので、アレンジャーとしては格付けを怒らせる訳にいかない、
とばかりに、そのしわ寄せを他の関係者に押し付ける類いのアレンジャーが段々
増えてきていることです。
「格付けが○○と言っているのでこの契約書の文言は変えてください。」
と、その主張が何であるか理解もせずに入れるアレンジャーの多いこと。

しかも、「格付けだから何でも知ってなければならない」とばかりに、
利害関係もないはずなのに、情報共有の対象に入れろと主張することが多いです。
そのくせ守秘義務契約は特定の企業とも結べない、というむちゃをいう。
特に昨年などの某セクターでの破産の多発に関連して、オリジネーターが破産手続きなどに入った時には
逐次格付けに報告するように契約書に規定しようとするくらいです。
債権債務の関係などから知る情報は、特にそのような特殊な事情になればなるほど
口外できない物になるにもかかわらず、です。そのような条文を見た瞬間に私は削除しました(笑)
しかし、笑い事ではすまないです。情報管理は現代社会では一番の重要性を占めるのですから。


最近、格付けは参考程度で、とか、信用していない、という投資家が増えていると聞いています。
その反面、「格付けがいいっていうから」といって何でもやろうとする関係者もいます。
さて、このマーケットは今後どうなることやら。。。

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                          -> "Finance"
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本当はもっと書きたい裏話、沢山あるんですよ。
ありすぎて思い出せないくらいで(笑)
確かにこの業界に入る時に選択肢に格付けもありましたが、
最近は

             「いかなくってよかった」

と本気で思ってます。

ま、時が来たらもっとお話ししたいですね。
なお、このメルマガ自体、発行人が所属する企業とは何の関係もなく行ってますので、
もしご意見があれば、発行人まで直接ご連絡ください。


ところで、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、

水曜にはビジネス本の

           ep-books <http://melten.com/osusume/?m=18931&u=18930>


金曜には 80年代や90年代のポップスの紹介をする
        
           ep-music <http://melten.com/osusume/?m=18932&u=18930>

をそれぞれ開始します。
また、ep-update <http://melten.com/osusume/?m=18652&u=18930>で
この3つをダイジェストを中心にいろいろアップデートしたことや
はみ出したネタなどをご紹介して行こうと思っております。

いろいろな所にアンテナを張りながら執筆しておりますが、
「こんなネタ教えて?」
とか、
「これってどういうこと?」
というご質問から、
「それって嘘でしょ?」
というご指摘まで、いつでも大歓迎ですのでお気軽に
メールくださいね。

さて、今月もあと3日。これを越えたら秋を満喫できる 10月です。
出張ついでに秋の味覚が楽しめればいいのですが(笑)

皆さん、体だけは大事にね!
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