[ep-finance] 信託の証券化での働きは？ 2004/08/23

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タイトル：[ep-finance] 信託の証券化での働きは？ 2004/08/23

============================================================ 　　　　　　　　　[[ e p - f i n a n c e ]] 　　　　　　　　　edition: 23-Aug-2004 ============================================================ おはようございます。発行人しております、shi でございます。 emichanproduction.com http://www.emichanproduction.com で、毎週連載中の経済小話を紹介して行きます、本メルマガは発行人の知識と経験をもとにいろいろな、社会人なら知っておきたい話から、こんなこと知ってるのは、金融業界のほんの一握り！といったカルト話まで、盛りだくさんで進めていこうと思っております。先週は発行を休んでしまい申し訳ありません。予定していたのですが、家族旅行で北海道まで行っておりました。私自身、今年の正月以来の長い（一週間ですが）休暇で、このところの出張疲れをいやせた、はずなのですが、全行程 800km を４日で回ると言うスケジュールに、本当に休めたか？なんてかんも。。。でも、リフレッシュできましたので、これからも頑張ります！ということで、ep-updade でも、ご紹介しております、現在のシリーズ、「企業資産の流動化と信託について」の最新です。今回は、資産流動化の本題にすこしづつ足を踏み入れて行きましょう。 <<<<<<<<<<<<<<<<<< financial talk >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> [企業資産の流動化と信託について : 信託の証券化での働きは？] 今回は、前回ご紹介した信託をどうやって資産流動化に生かすのかをお話ししたいと思います。資産を流動化して資金を調達したい、と考えている企業Aがいるとします。このAには、超優良企業 B 向けの売掛債権のプール C があってこれを流動化しよう、というのが今回の目的とします。そのときに、まずこの C を A の資産から切り離さなければなりません。どうすればいいでしょうか。もし、SPC を使うならば、SPCに CP なり債券を発行させて資金を調達して、その資金でこの C を A から買い取ります。その後、B は A ではなくこの SPC に売掛債権の支払いを行い、 SPC はこの受け取った資金で発行した債券なりを償還していくことになります。では信託を使った場合にはどうなるでしょうか。 A は信託銀行 D に今回の売掛債権を受け入れる為の信託勘定を設定して、この信託勘定に C を信託譲渡することになります。 D は信託財産として C を受け入れると、その証として信託受益権という証書を発行し、 A に交付します。この信託受益権を持っている人に D はこの信託勘定から発生した収益を交付しますので、A は誰か投資家を見つけてこの信託受益権を売却して資金を調達することになり、この受益権を購入した人は、 A に代わって将来信託勘定に入った売掛債権プール C の収益や元金をD から受け取ることになるのです。そうなのです。信託勘定の特徴のひとつ、 - 「資産」の運用は、口座を開いた人とは別の人の為に行うことも出来る。を使って、簡便に売掛債権プールの将来のキャッシュフローを移したのです。でも、SPC も同じようなことが出来るように見えますから、どちらがいいかわからないですね。信託勘定の柔軟性、言い換えれば SPC に出来ないことはいくつかあります。例えば、信託勘定に対して組成される受益権を複数にして、例えばAとBの二つの受益権を作って、 Aには固定金利を支払い続けて、Bには収益の残りがすべて配当される、それぞれに特徴を持った収益や元本の配分を行えるようにすることが可狽ﾅす。 SPC 方式でも、譲渡を受けた資産に対して質権を設定した上でのローンを提供するなどして実現可狽ﾅすが、信託勘定にて行う方が簡便と見る向きがあるようです。また、企業によっては資金調達の為に直接的にも間接的にも債券を発行することの出来ない企業がありますので、受益権での資金調達という形を検討せざるを得ない、というところもあります。また、先ほどの例の B との関係を考えた場合に、 A が資金調達目的とはいえ、B向けの債権を第三者に譲渡したことが知られてしまうと困る場合があるようですが、SPC への譲渡の場合には、その譲渡を確実なもの (真性譲渡性というのですが) にする為にBに対して、譲渡したことを通知しなければならないのですが、信託への譲渡の場合においては A が引き続き Dの為に B から回収し続ける限りは A に (倒産などの) 問題が発生するまでは通知を留めておくことが出来る、という利点があります。不動産に限定されてのメリットですが、不動産売買の際のコストの一つに登録免許税というものがあるのですが、不動産物件の売買と信託譲渡の場合では後者の方が安くなっており、そのため不動産売買を一旦信託勘定に移して受益権にした状態で受益権の売買で行う形でそのメリットを取ろうとすることが出来るようになっています。ところで、この真性譲渡性というのは資産流動化の際には一つのキーワードとなりますので、次回ちょっと詳しく検討してみたいと思います。さて、以上を見てみると、信託が実際に行うことは、 - 「資産」を受け取って - 「資産」から発生する収益と元本を契約に従ってしかるべき人に支払うという単純なもの、に見えますね。考えてみると、年金運用のように流動化対象となって預かっている「資産」をもっとパフォーマンスをよくする為に、といって売ったり買ったりされてしまうと、本来の資産プールをみて流動化したのに、売り買いの判断と言う要素が入り込んでしまうので好ましくないですね。こういう、ひたすら預かって、受け取った金銭を分配する、という「受け身」な信託を「パッシブ・トラスティ (passive trustee)」とか、「ノンディスクレッショナリィ・トラスティ (non-discretionary trusteee)」、または「導管体 (conduit)」といいます。日本において信託銀行の受託残高の 9割近くが年金運用に代浮ｳれる「ディスクレッショナリィ・トラスティ」であって、証券化などの流動化に使われる「ノンディスクレッショナリィ・トラスティ」はまだまだのようですが、最近の不動産市場の動向で、不動産の登録免許税の減税効果を狙っての信託受益権化しての物件の売買が増えていることなどを考えると、日本に於いても「導管体」的な受託ももっと増えると思われます。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　http://www.emichanproduction.com/ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-> "Finance" <<<<<<<<<<<<<<<<<< financial talk >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> さて、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、水曜にはビジネス本の ep-books <http://melten.com/osusume/?m=18931&u=18930> 金曜には 80年代や90年代のポップスの紹介をする ep-music <http://melten.com/osusume/?m=18932&u=18930> をそれぞれ開始します。また、ep-update <http://melten.com/osusume/?m=18652&u=18930>でこの３つをダイジェストを中心にいろいろアップデートしたことやはみ出したネタなどをご紹介して行こうと思っております。いろいろな所にアンテナを張りながら執筆しておりますが、「こんなネタ教えて？」とか、「これってどういうこと？」というご質問から、「それって嘘でしょ？」というご指摘まで、いつでも大歓迎ですのでお気軽にメールくださいね。まだまだ暑いけど、頑張りましょう！！！＃　自分に自己暗示（笑） ============================================== ep-finance: 発行人: shi http://www.emichanproduction.com/ メニューの "main magazine" でバックナンバーと登録/解除をどうぞ。 melcup: 35部 emaga: 0部 Mailux: 0部メル天: 5部 ============================================== 本メルマガは転送は変更を加えない限り許可ですが、あわせて、上記サイトからの購読をお勧めください。

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