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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第56回 第3章・力線の理論(その24) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 引き続き、ローレンツ力に関連する話として、惑星の地磁気と自転に関する話を します。 **************************************** 66.回転するガス **************************************** 前回も述べたように、比較的大型の惑星は、主としてガスが集まってできた惑星 です。 そして、惑星を形成することになるガスには、プラズマが含まれます。 このため、太陽の周りを公転しているガスがある程度集まってくると、ローレン ツ力が働き、ガスの集まりは回転(自転)し始めます。 公転の向きが反時計方向なら、ガスの回転(自転)の向きも、反時計方向となり ます。 電子の流れも反時計方向ですので、北がS極、南がN極の電磁石となります。 こうした現象は、比較的小型の惑星に起こる現象と同じですね。 でも注意していただきたいのは、ここで述べているのはガスの集まりであって、 まだ惑星ではないことです。 このガスの集まりのうち、まず重い成分が(主に)重力によって中心に集まり、 『惑星の素』とでも言うべきものが出来上がります。 **************************************** 67.惑星の素 **************************************** さて、このように回転運動しているものが中心に集まってくると、回転数が速く なります。 つまり、回転する半径(回転の中心からの距離)が小さくなると、角運動量保存 則により、回転の角速度が増すのです。 この現象は、ちょうど、フィギュア・スケートの選手が、左右に広げていた腕を すぼめて回転を上げていくのと、原理は同じです。 ちなみに、角運動量とは、 [角運動量]=[質量]・[線速度] =[質量]・[半径]・[角速度] となります。 こうして、ガスの集まりの中にできた『惑星の素』は、高速で回転します。 もっとも、この段階では、まだ、自転の線速度は、公転の線速度を上回るまでに は至りません。 そうなるのは、次の段階です。 **************************************** 68.惑星が成長すると… **************************************** ガスの集まりの中にできた『惑星の素』は、高速で回転しながら、さらに、重力 等によって、なお周囲に存在する残りのガス(や塵)を集めて、大きな惑星へと 成長していきます。 惑星(の素)に吸い込まれた物質は、惑星とともに(高速で)回転します。 こうして、惑星の半径が大きくなっていくと、惑星の表面近くでは、自転の線速 度が大きくなっていきます。 なぜなら、線速度は、半径と角速度の積で求まるからです。 また、惑星がより多くの物質を吸い込めば吸い込むほど、惑星自身の重力によっ て内部は圧縮され、半径が小さくなるので、角速度が増すことになります。 これらによって、自転の線速度がどんどん増していき、ついには公転の線速度を 上回ってしまうのです。 そして、惑星上(昼側)から見た磁力線の運動方向は逆転します。 **************************************** 69.逆転 **************************************** 一方、ガスが集まってくるにつれて、惑星の表面近くのガスの中に含まれるプラ ズマの濃度が高くなります。 すると、これに働くローレンツ力が無視できなくなります。 このプラズマに働くローレンツ力の向きは、初期の頃にガスの集まりに働いてい たのとは逆向きになります。 その結果、電子が時計方向に流れ、北がN極、南がS極の地磁気が発生すること になるのです。 それならば、自転の方向も逆転するかというと、こちらはそうはなりません。 自転方向は、反時計方向のままなのです。 というのも、惑星(の質量)が大きいため、慣性モーメントが大きくなり、ロー レンツ力ぐらいでは、回転(自転)を逆転できないからです。 それに、上で述べたように、ガス(や塵)が集まってくることによる加速もあり ます。 こうした理由で、自転は逆転しないのです。 その結果、出来上がった惑星は、自転は反時計方向、地磁気は北がN極、南がS 極となるわけです。 こうした特徴は、木星や土星のそれとよく一致しています。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |