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タイトル:Daily Drama Express 2004/07/02 世界の中心で、愛を叫ぶ (1)  2004/07/09


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2004/07/02 (Fri) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.金曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 金曜日の連続ドラマ
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タイトル 世界の中心で、愛を叫ぶ
局  名 TBS系
放映日時 金曜22時
キャスト 松本朔太郎(山田孝之)
 廣瀬亜紀(綾瀬はるか)
 松本朔太郎(緒方直人)
 小林明希(桜井幸子)
 中西光太(西洋亮)
 谷田部敏美(松下由樹)
 廣瀬綾子(手塚理美)
 廣瀬真 (三浦友和)
 松本謙太郎(仲代達夫)
 大木龍之介(田中幸太朗)
 中川顕良(柄本佑)
 上田智世(本仮屋ユイカ)
 松本芙美子(夏帆)
 松本潤一郎(高橋克実)
 松本富子(大島さと子)
脚  本 森下佳子

あらすじ ●1987年オーストラリア
 赤い大地。絶壁にたたずむ松本朔太郎(17)(山田孝之)。ポケットか
らアイボリー色の粉の入った小瓶を取り出し、粉を手の平に振り出し
てじっと見る。一人の少女への想いが次々とよみがえっていく。朔太
郎の頬に涙がつたう。風が吹き手の平の粉を吹き飛ばそうとするのを
とっさに握り締めて止める朔太郎。がっくりとひざから崩れ落ちてい
き、あてもなく泣き叫ぶ。


●2004年日本
 夢から覚める朔太郎(34)。

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 −朝起きると泣いている。悲しいからではない。17年前の夢から17
年後の現実に戻ってくるとき、またぎこさなくてはならない亀裂があ
り、ぼくは涙を流さずにそこをこえることができないのだ。
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 病院で研究医として働いている朔太郎。同僚から仕事を頼まれる。

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 −忙しいのはありがたい。今日は、7月2日は何も考えたくない。
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 快く仕事を引き受ける朔太郎だが過労倒れてしまう。ポケットから
アイボリー色の粉の入った小瓶がこぼれ落ちる。

 入院した朔太郎を見舞いに来た小林明希(34)(桜井幸子)が、朔太郎
宛の郵便物を渡す。その中に高校時代の恩師谷田部敏美(52)からのハ
ガキがあった。ハガキには朔太郎たちの通った高校の校舎が取り壊さ
れるので最後に見に来ないかというものだった。病室内にはラジオ放
送が流れている。
 明希のこどもが朔太郎の持っていたアイボリー色の粉の小瓶を見つ
け朔太郎にたずねる。朔太郎は「これは骨なんだ。豚のね」と答える。
帰り道明希のこどもは朔太郎の笑った顔しか見たことがないと明希に
言う。

 ラジオ放送から流れる「わたしたちはラジオをきっかけにつきあい
だしました。・・・今はもう17年会っていません。もしかしたらどこ
かで聴いているかもしれません」という言葉に朔太郎の顔つきが変わ
り、病室を抜け出し、雨の中ラジオ局へ向かう。

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 −あるはずがない、そんなことがあるはずが。
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 ラジオ局の前に着いた朔太郎は人だかりをかき分け人を探す。黄色
い傘を差した少女に視線が止まるが人違いとわかる。力なく雨中に倒
れる朔太郎。ポケットからアイボリー色の粉の入った小瓶を取り出し、
握り締める。

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 −ぼくは彼女のいない世界にもう17年もいる。
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●1987年日本海辺の町
 朝、自宅の冷蔵庫から牛乳を取り出し飲む朔太郎。母の富子(43)( 
大島さと子)に「何でここにいるの?」と聞かれ、あわてて家を飛び
出す朔太郎。自転車で出ようとする朔太郎に富子は傘を渡す。

 高校の学年主任村田先生の葬儀場にあわてて入ってくる朔太郎。中
川顕良(17)(柄本佑)が朔太郎に声をかける。生徒を代表して弔辞が読
み上げられることになり、廣瀬亜紀(17)(綾瀬はるか)が前に出て読み
始める。ポケットを漁り自転車の鍵を探し出す朔太郎。と突然雨が降
り出す。参列していた生徒たちは屋根のあるところへ避難するが、亜
紀はずぶぬれになりながら弔辞を読み続ける。

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 −そのときの気持ちは言葉にならない。ただ廣瀬亜紀の声のするほ
うへ、自然に足が・・・・・・
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 亜紀の頭上に傘を差す朔太郎。一瞬驚く亜紀。しかしそのまま弔辞
を読み続ける。

 葬式が終わり、雨も上がって、自転車で帰ろうとする朔太郎に顕良
が傘の一件で「おまえ廣瀬のことが好きなのか?」と聞く。自転車の
鍵を探しながら朔太郎は「傘は母ちゃんが持って行けと・・・」とあ
いまいに答える。顕良はいらだって詰め寄るが、住職である父親が後
片付けの手伝いをしろと言って引きずられていく。

 自転車の鍵は見つからず、結局壊して乗って帰る朔太郎。追いかけ
てきた亜紀が朔太郎を呼び止める。驚く朔太郎。2人は港に行って話
をする。「さっきは何で頑張っていたの?」と朔太郎が聞くと亜紀は
「負けるのいやなんだよね、雨に」と答える。
 亜紀は海の水をすくい「これあげる」と言ってすくったものを朔太
郎に握らせる。朔太郎が見るとそれはフナ虫のおもちゃだった。一瞬
驚く朔太郎に亜紀は矢継ぎ早にガムを差し出す。朔太郎が一枚引くと
これもおもちゃで指が挟まれてしまう。大笑いする亜紀に朔太郎はむ
っとする。そんな朔太郎に今度はキーホルダーを差し出す亜紀。
 「傘、ありがとう」。受け取ろうとして疑いの目を向ける朔太郎。
亜紀「もうやんないから」と言う。そして朔太郎が受け取ると走って
帰っていく。朔太郎がキーホルダーを見ると「MW」と書かれていた。

 自分も帰ろうとして朔太郎は自転車がなくなっているのに気づく。
祖父の仕業と察した朔太郎は祖父の家に行き、「勝手に持っていかな
いで」と言う。そんな朔太郎に謙太郎(70)(仲代達矢)笑いながらサザ
エを焼かせる。

 家に帰った朔太郎がキーホルダーを引き出しにしまおうとすると、
妹の芙美子(13)(夏帆)に「お兄ちゃんミュージックウェーブ聞いてい
るの?」と言われる。
 その夜朔太郎はラジオでミュージックウェーブを聞くのだった。

 次の日、朔太郎は自転車の鍵に亜紀からもらったキーホルダーをつ
けて登校する。
 自転車を降りて教室に向かう朔太郎の後ろから亜紀が来て肩を叩く。
朔太郎が振り向くと亜紀の人差し指が頬に刺さる。唖然とする朔太郎
に亜紀は「おはよう」と言い、「あれ鍵は?」と聞く。あわててポケ
ットをごそごそと探るが見つからず、カバンを引っ掻き回してようや
く見つける。朔太郎はキーホルダーを見ながら「廣瀬、この番組にハ
ガキ出したりしているの?」と聞く。亜紀は「ウォークマン欲しいん
だよね。当たるの、毎回番組の最後に読まれる人に」と答えて先に行
ってしまう。その様子を見ていた幼なじみの大木龍之介(17)(田中幸
太朗)が朔太郎のところにやってきて冷やかす。

 教室で、文化祭の出し物として「ロミオとジュリエット」をやると
言う谷田部敏美(35)。学級委員に後を任せて窓際に行く。学級委員の
亜紀が前に出てくる。谷田部は朔太郎、顕良、龍之介が私語をしてい
るのを見つけ、注意する。教室内に笑いが起こり、亜紀も朔太郎を見
て笑う。

 放課後、朔太郎、顕良、龍之介の3人が女子陸上部の練習を見てい
る。顧問の谷田部が3人をしかりつけるが、朔太郎と顕良は亜紀を食
い入るように見ている。龍之介が「おまえら、2人とも廣瀬狙いなわ
け」と言う。

 顕良は朔太郎に「亜紀の誕生日にウォークマンをプレゼントしたい
からお金を貸してくれ、それがダメならウォークマンが当たる番組
(ミュージックウェーブ)にハガキを出してくれ」と言う。朔太郎は嫌
がるが、顕良は「オレ廣瀬がマジで好きなんだ。それに高校を卒業し
たら僧侶の修行に出されるからこれが最後のチャンスなんだ」と頭を
下げる。それを聞いて朔太郎はしぶしぶ聞き入れる。

 祖父謙太郎の家でミュージックウェーブを聞きながら思い悩む朔太
郎。ラジオから「次回のテーマは思わず涙の切ない話」と流れてくる。

 翌日からネタ探しを開始する朔太郎。たこ焼き屋パパさんでたこが
入っていないと文句をつける龍之介、洗面所で抜け毛を気にする父潤
一郎(47)(高橋克実)など・・・・・・
 いい案が浮かばない日々が続く。

 教室で文化祭の「ロミオとジュリエット」はロミオとジュリエット
と演出以外の役が決まる。顕良が小声でミュージックウェーブに出す
ハガキのことを聞くと朔太郎はまだできてないと答える。顕良はいら
だち朔太郎に食ってかかる。女子生徒の間から「ジュリエット役は人
前に立つのが好きな人」「雨の中で感動的な弔辞を読む人」といった
暗に亜紀を推す意見が出る。それを聞いてひらめく朔太郎。

 たこ焼き屋パパさんで朔太郎が「思わず涙の切ない話」と題して、
ハガキに亜紀のことを書いていると、雨が降り出す。朔太郎が急いで
ハガキをカバンにしまいだすと、亜紀が頭上に傘を差す。2人はいっ
しょに帰る。朔太郎は「やりたくないなら言ったほうがいいんじゃな
いの、ジュリエット。笑った顔が何か違った」と言うと亜紀は「もめ
るの苦手だから」と答える。自宅のそばに来ると亜紀は朔太郎に傘を
貸して走っていくが、振り返り「松本くんのこと、サクって読んでい
い?」と聞く。
 朔太郎がいいよと答えると「じゃあね、サク」と言ってまた走って
いく。朔太郎の顔から思わず笑みがこぼれる。

 自宅で母親の綾子(43)(手塚理美)と夕御飯を食べていると、綾子が
「傘どうしたの?」とたずねる。亜紀は「学校に忘れた」と答える。
だが綾子は亜紀の声が大きくて朔太郎とのやりとりが聞こえていたと
言い、「ばれないようにしなさいよ」と注意する。そこへ父親の真
(48)(三浦友和)が帰ってきて仕事相手の不満をぶつぶつと言いだす。
真は食卓につくと亜紀に勉強や部活のことをたずねる。亜紀は「大丈
夫だよ」と答える。真は「ここでがんばっとけば」と口にすると「後
が楽なんでしょ。わかってる」と答えるが、表情は暗くなる。

 朔太郎の投稿ハガキを読んだ顕良はその出来栄えに大はしゃぎする。
一方朔太郎は複雑な思いで押し黙り、一言「ハガキ出すくらいは自分
でやれ」と言って去ってしまう。

 翌朝下駄箱で朔太郎は亜紀と会う。亜紀が「ミュージックウェーブ
聞いた?」と聞くが、傘を返しただけでさっさと行ってしまう。授業
中も朔太郎は険しい顔つきのままで、亜紀は心配そうに見る。

 その夜ミュージックウェーブを聞きながら勉強をしている亜紀に朔
太郎のハガキが読み上げられる。その内容は「クラスのA・Hさんが
白血病にかかり、薬の副作用で髪の毛が抜け落ちてしまった」という
もので、亜紀は即座に朔太郎のものだと見破る。

 翌朝、下駄箱で顕良が朔太郎をほめちぎっていると、恐い顔をした
亜紀がやってきて「松本くん、話があるんだけど」と言う。無視して
先に行く朔太郎を亜紀は追いかけ「安易な気持ちでハガキを出すのは、
本当に病気と闘っている人に対する侮辱だ」
 「母親や妹がもし病気になったらあんなうそをゆるせるの」と非難
する。朔太郎は「廣瀬はオレの母親でも妹でもないから関係ないだろ」
と怒鳴ると、亜紀は「・・・・・・そうだよね」と言って走り去って
しまう。一方朔太郎と亜紀の関係を知った顕良は朔太郎に「オレをバ
カにしてるのか」と言う。

 港で思い悩む朔太郎は謙太郎と会う。謙太郎の家で事情を聞いた謙
太郎は「好きな人を失くすのは、なぜつらいんだろうね」とつぶやく。
朔太郎は「好きだからだよ」と答える。

 朔太郎が謙太郎の家から戻ってくると、顕良がウォークマンの包み
を持ってくるのに会う。顕良はウォークマンを差し出し「オレは廣瀬
の何百倍もいい女と結婚してみせびらかしてやる」と捨て台詞を吐い
て走り去る。

 翌日、教室内で朔太郎と亜紀はギクシャクしている。放課後亜紀は
自分の下駄箱の中に”Happy Birthday”と書かれたウォークマンを見
つける。ウォークマンにはテープが入っていた。テープを聴く亜紀。

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 松本朔太郎です。こないだはごめんなさい。だけどわかってほしい
ことがあって、あれはオレにとって本当に切ない話だった。オレは廣
瀬がいなくなればなによりも一番切ない。もし許してくれるなら今日
の放課後、あの場所に来てください。
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 港で思い悩んでいる朔太郎のところに朔太郎を探し回った亜紀がや
ってくる。亜紀は「サク、バーカ、あの場所じゃわからないでしょ」
と言う。そしてウォークマンを投げわたし、聴いてと言う。

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 廣瀬亜紀です。今日はわたしの好きなものについて話します。第5
位、たこ焼き屋パパさんの前でこそこそハガキを書いている松本朔太
郎。第4位、ガムのおもちゃでだまされる人のいい松本朔太郎。第3
位、いつもいつも鍵をなくしてもぞもぞしている松本朔太郎。第2位、
ジュリエットやめたらと言った松本朔太郎。
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 テープの残りがなくなってしまう。朔太郎が「あの・・・・・・」
と言うと、亜紀がうつむきながら「第1位、あの日傘をさしかけてく
れた松本朔太郎。・・・・・・好きよ、サクちゃん。大好きだよ。あ
りがとう」と言う。

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 −亜紀は今までで最高の誕生日だと言ってくれた。ぼくもそんなこ
と言われたのは初めてで。
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●2004年日本

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 −そしてこれが亜紀の最後の誕生日になった。1987年の7月2日。だ
けどぼくは、これからずっとこんな風に生きていくのだろうか。ぼく
は、忘れなければいけないと思った。
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 34歳の朔太郎がアイボリー色の粉の入った小瓶を握り締め、街を歩
き出す。


寸  評  17年前にかけがえのない恋人を失って以来、喪失感から抜け出せ
ずに生きている主人公の切ない純愛ストーリー。今回はイントロのよ
うな話でしたが、この先後ろ向きに生きる主人公の単なる感傷的な思
い出話にならないようにと思いました。とてもいいストーリーだと思
いますので。

執 筆 者 ケン(kain_evel@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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 小説、映画で大ヒットの同名作品のドラマ化ですが、実はわたしはこの作品
を読んでいません。なんとなく堀辰雄の『風たちぬ』の焼き直しのような気が
しましたので。しかしせっかくなのでこのまままっさらな状態で最後まで見よ
うと思っています。(ケン)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
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ID  :MM3E195F16414CD 
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