メルマガ:仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
タイトル:仇花の記憶 04/06/30 52号  2004/06/30


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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜

第十八回  騙り語り
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
では、ゆるゆると雑談をさせて戴きましょう。

今回はショタコンについてかかれた新聞記事を
肴に思う所を書き記します。一口に言ってしま
えば今回の表題に尽きてしまう気がするのです
が、記録の一部としてあえて書きましょう。

「ショタコン 新聞」と検索語を入れて引っか
かりますのが産経新聞1998年9月12日付社会面の
記事、「『ショタコン』ブーム?」でございま
す。『国際おたく大学』にてショタコンについ
て講義された渡辺由美子さん(註1)のサイトに
詳細がございますが、…解釈面については多く
は求めますまい。新聞記者の方とて所詮は堅気
の世界の方。同人誌から派生した世界の事を全
て理解し噛み砕いて伝えるには、まず伝達者本
人が完全に理解しておかないと無理というのは
重々承知しております。これが社会面の記事で
はなく文化面の記事だったならばほんの少しは
変わった趣にはなったのでしょうが…ああ、求
め出すときりがありません。山麓の土産物屋に
行った程度で富士山登頂に成功したと言われて
いる様な心地さえ致します。
閑話休題。
あくまで私見として申し上げますが、あの頃の
ショタコンブームにせよ今回のショタコンブー
ムにせよ、どうも出版社側が煽動して暗躍して
柳の下で静かに増えていた僅かながらの資産運
用を企んで、その癖次世代を育てる努力はして
いない様に市井の読み専からは見えたりするの
ですね。最初のシリーズもののショタコンアン
ソロジーを作った会社は同人誌の印刷所の関連
会社でしたから、新人発掘についてはかなり意
欲的だった様子ですが。(註2)
斬新な作風の新進作家が出てこないのは、泡沫
の流行と認識しているが故に冒険を避けようと
する版元側の無言の意思表示なのやも知れませ
んね。

さて、記事中に市販本の性的描写の過激さを云
々する箇所が御座いますが、愚考しますにこの
現象が起こったのはやおい隆盛時に於いて版元
側がアンソロジーに於ける性的描写盛り込みの
匙加減を学習した故では無いか、と。
同人誌アンソロジー上に性的描写の殆ど出ない
時期も確かに御座いました。が、その後激しい
リバウンドが起こり、却って激しい性描写が掲
載される事も散見されたという経過も御座いま
す。(註3)
オリジナルアンソロジーであれば、最初から読
者の年齢制限という枷を自ら嵌める事も可能で
ありましょう。が、やおいと言う枠の中で成年
コミック認識すれすれの描写が容認されていた
と言う慣例が功を奏し(?)たのでありましょ
う。また、ショタコンアンソロジー発行に参入
した版元の傾向がロリコン漫画方面に近しいと
いう事(註4)も、恐らく性的描写云々に関って
いるかと思われます。穿った見方をすればロリ
コン漫画の商法がショタコンに取り込まれた部
分も或るやも知れません。(註5)
そして更に穿った見方をすれば、この時期に
『ショタコン』を社会面で取り扱ったという事
にも何らかの意図があった様に思えます。
『児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及
び児童の保護等に関する法律 』(通称児ポ法)
が発案されたというのも、偶然にも98年です。(註6)
そして、98年年末に発行された『現代用語の基
礎知識1999』には、ショタコンの語源としてい
きなり見知らぬ『ショートアイズ・コンプレッ
クス』なる語が登場しているのです。(註7)
…まあ、あまり暗い想像、いえ妄想は浮かべた
くないですけどね。偶然色々な動きが偶々重な
って起きただけかも知れませんし。
ふと、気になっただけで御座います。とりあえ
ず考える為の御肴に。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
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註1
『国際おたく大学』
岡田斗司夫:編/光文社/98.7.30初版
「ショタの研究」渡辺由美子:筆、を収録。

註2
「TIP TAP」1〜3(95.4.25/95.8.30/96.3.30)
版元のエイコー出版は同人誌印刷会社・曳航社
の関連企業。
商業誌と言うよりは商業誌の体裁を借りた同人
誌を製作した、というべきか?

註3
「ごく私的なやおい歴史記録」本編第五回『混
迷黎明』参照。『サムライトルーパー』から
『サイバーフォーミュラー』辺りにかけては、
本当にやおい的な作品がアンソロジーに登場す
る事は極稀だった。では、同人誌の世界に於い
てもやおいは無かったのか?表に出ない分だけ
過激な部分がありました、とだけ述べさせて戴
こう。
リバウンドの一例では或る『るろうに剣心』同
人誌アンソロジー(年齢制限表示無し)に於い
てやおいではなく男女の性行為描写を含んだ作
品が紛れ込んでいたという事例を見てしまった
記憶がある。記憶の裏付けとなる資料が手元に
無いので我ながら歯痒いが。

註4
代表的な所で光彩書房(ROMEO、BOY MEETS BOY)
・松文館(厨子王、少年愛の美学、妄想少年)・
司書房(PetBoy's)・茜新社(U.C.BOYS、好色少
年のススメ)・コアマガジン(ショタキング)と
言った所であろうか。その他参入した会社でそう
いう部門を持たないのはラポート・学習研究社・
ムービック程度。

註5
『タナトス・ゲーム 伊集院大介の世紀末』
栗本薫/講談社文庫/02.7.16初版
ISBN 4-06-273481-8

(親本)講談社/99.7.1初版
ISBN4-06-209686-2
が、参考になるかと思われる。同書で言及され
ているのはレディスコミックの現場の様子であ
るらしいが。

註6
連動BLOG『ショタやおい雑記』04.4.28記事「シ
ョートアイズ、何処より」参照

註7
『ごく私的なやおい歴史記録』増刊第4回「ショ
タコンに見る二次元と現実(一)」参照の事。
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第十八回 2004.6.30発行

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