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タイトル:出版業界の常識・ヒジョーシキQ&A No.3  2004/06/08


出版業界の常識・ヒジョーシキQ&A
〜デキる編集者になるための心得100〜
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講師●松本京也(まつもと・かずや)
1973年生まれ、30歳。出版社勤務を経て独立、1年間フリーライターとして
活動した後、編集プロダクション・KyoProを創立。2004年1月の法人化に伴い、
代表取締役・社長に就任。
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 先日、『編集会議』2004年6月号(株式会社宣伝会議・毎月1日発行)の1コーナー
「この編集プロダクションに注目・厳選リスト40」に当社KyoProが選出されました。
取材も問い合わせも無かったので、一体何が基準となっているのかは不明ですが、
読者・求職者・業界関係者へのPRになるので、こういうのは大歓迎だったりします。
実際、発売日から数日は、毎日のように求職者からの電話があったほどなので。

 掲載の情報をチーフから聞いた私は、エグゼクティブ・ディレクターと徒歩20分の
ジュンク堂池袋店に早足で直行。日課であるUFOキャッチャーに目もくれず、急い
で会社に戻り、購入した同誌をさりげなくテーブル(兼卓球台)の上に置いておくと、
目を通したスタッフたちがソワソワと…。「社長、これってウチのことですよね!?」と
ほぼ全員に聞かれましたが、「ん?…ああ、そうだね。でも、『40』じゃ大して嬉しく
ないけど」と余裕ぶったりなんかしちゃったりして(笑)。ほかに紹介されていた編
プロが、規模の大きいところや専門職の強いところばかりだったので、彼らにも
少しは自信がついたようです。あとは、キャッチコピーにも書かれていた「ノンジャ
ンルで幅広く」というウリ文句をより実践して、次回には“ナンバーワン”に選ばれ
たいと思っています。
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[入門編]
Q3.
編集をやりたくて出版社に入ったのに、営業に配置転換になってしまい、会社を辞
めたことが2度あります。今度こそ3度目の正直で、編集作業のみに専念できる編
プロを志望しているのですが…。(27歳・無職)

A3.
「モチは餅屋、アメは飴屋」と俗に言われるように、人にはそれぞれ得意・不得意
分野があり、会社などの団体組織では必ず役割分担が行われます。変わったこと
が大好きな私なんかは、「餅屋にアメを作らせたら、ふんわり食感でチョット美味し
いかも?(その前に、餅屋ってどこにあんだよ!?)」などと考えたりする方ですが、そ
れでも何度か色々な方法で試してみて、変化無く“期待外れ”“マイナス効果”とい
う結果が明らかに出てくれば、それ以上のチャレンジは“浪費”と判断します。サテ
ライトやマイナーリーグなどの下部組織があるスポーツなら徹底的な再教育やじっ
くり育てるなんてことも可能かもしれませんが(それ以前の競争率の高さはとりあえ
ず別問題として)、時間的にも資金的にも実戦で成長するしかない出版業界では、
とりわけ個人の持つポテンシャル(潜在能力)と“伸びしろ”(「今後どれだけ伸びる
か」という目安)が重要視されます。あくまで利潤を追求する企業としては、適材適
所に必要な人員のみを充てることで無駄な投資を避け、効率的な商業活動を目
指したいワケです。そんなところで、「俺は企画を考えたり取材したり原稿書いたり
レイアウト用紙に顔を埋めたりしたいんだよぉ〜!!」と主張しても、カチカチのアメ玉
が急にモチモチしたりはしません、残念ながら。とは言え、気持ちはわからんでも
ないです。私も同じように「こんな仕事がやりたい!」と望みを抱いてこの業界に飛
び込んで来た人間ですから。どれだけ頑張っても苦手なコトが克服できなかったり、
相手に巧く伝わらなかったりしますよね。私の場合は何事もマメに行うことで能力の
欠如を補ってきましたが、それだって1つの特殊能力ですから、人に「真似をしろ」
なんて言うつもりはありません(スタッフには「生き残る道の1つ」として教えています
が)。

 ただ、当社にも都合というモノがありまして、いずれ営業部も人事部も社長室(秘
書付き)も作らなければいけません。版元から仕事を請け負うだけの現状維持が
目的ではなく、常に成長・変化を求めている編プロなんです。だから、営業への異
動を真っ向から否定する人を採用するわけにはいきません。もう1つ付け加えてお
きますと、私の知る限り、出版業界の営業マンは編集者よりもこの道を極めなけ
れば続けられない職業です。最新刊行物や売れ線ジャンル、取次や書店の好み、
出版社や媒体の総数など、その知識たるや大学教授並みと言っても過言ではあ
りません。制作側の私にとっては、時に本を出すための障害になることもあります
が、両者の存在無くして読者の手元に本が届くことはあり得ないのです。まぁ何が
言いたいかというと、営業を命ぜられたなら、少なからず「向いてるんじゃないか」
と期待されたのですから、頭を柔らかくしてその道を極めるのも何ら出版道から
逸れるワケではないのではないでしょうか?

 付き合いのある某出版社では、営業部長・課長が揃って自著を発行したり、編
集局長が他社から執筆を依頼されるなど、面白い現象が起こっていたりします
(かなりコアな会社ですが)。私がその会社の編集だったら、誇らしい半面ちょっと
悔しいですけどね。


【心得・其の三】
「『やりたい』と『向いている』は違う。自分の得意分野で出版道を極めるべし——」


<会社紹介>
KyoPro Co.Ltd.(有限会社キョウプロ)
〒171-0014 東京都豊島区池袋2-62-1 PISO池袋306
TEL.03-5911-0231 FAX.03-5911-0230

■創立2001年2月15日 ■従業員7名 ■平均年齢25歳(編集スタッフ)
■資本金300万円 ■売上高5,700万円(2003年度)
■「足下を見失わず、目標は常に高く!」をモットーとして、出版業界を全力で駆け
上がっている編集プロダクション。現在は主に男性向けの週刊誌・グラビア誌・実
話誌を手がけているが、職業・雑学・格闘技・音楽・漫画など、幅広くオールジャン
ルを取り扱う。

★オフィシャルサイト『KyoPro.net』URL
(FLASH版)http://www.kyopro.net/
(HTML版)http://www.tokyo-pro-editors.co.jp/

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