メルマガ:仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
タイトル:仇花の記憶 04/05/30 49号  2004/05/31


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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜

第十五回  YAOIとやおい
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
では、ゆるゆると雑談をさせて戴きましょう。

最近、とみに海外の方がネット経由で日本のや
おいショタサイトに訪問される事が多くなった
様で御座います。
平和的にROMとして訪問されるならば問題は御
座いませんが、一切日本語を習得しないままに
(甚だしきは翻訳エンジン使用の努力も無しに)
強引なコンタクトを取られようとされるのには
些か苦笑を禁じ得ません。
その割にYaoi,Shota,Hentai,Kawaii,Otaku等は
其の侭の発音で言葉として流布しており、中途
半端に言葉を輸入して悦に入るのは、何処の国
も同じなのかと苦笑を覚えたりもしてしまいま
す。Yaoiに至っては女性専用という認識からか
YaoiGirl,YaoiGoddessという定型句まで成立す
る始末。この2つは海外ではハンドルとしても
使われております。寧ろ、尊称としての趣きも
御座いますが。(註1)

さて、このYaoiなる言葉。指し示す内容は実に
幅広い。本邦の『やおい』とは現在『青少年以
降の男性同士が愛を交わす虚構表現』と凡そ解
釈され、その用法に限定されている感じがあり
ますが、海外のYaoiとはそれだけに留まらず、
同人活動全体を包括して表現する場合も御座い
ます。又、時には(方便はどうか判りませんが)
ゲイコミックの一分野と呼称される場合もある
様です。(註2)
これは、文化の違いという事も有りましょうし、
表現伝播の上の早合点もあったと思われます。
やおい=性表現と短絡し、性表現が濃厚な作品
が優れたものという思い込みが生じた部分があ
ったのでしょう。本当は性表現の他にも心理表
現等が絡み合って本邦のやおいの独特な雰囲気
が醸し出されているのですが。
肉体のぶつかり合うスポーツのようなYaoi…健
全な倒錯、とでも申し上げましょうか。躍動感
は感じられますが、妖しい愛の雰囲気はと言う
と少々難しいかと思われる事が暫し。
一部の描き手にとっては芸術的表現よりお手軽
に性器描写が出来る故の方便なのでしょうか?
だとしたら性器描写の優先・誇張にもある程度
納得出来るのですが。
アメリカンコミックを題材にしたYAOI(註3)を
見る機会が多ければまた違う見方をする事も出
来ましょうが、現時点で筆者が理解する範囲で
は男同士の肉体的な絡み=YAOIという見解が大
部分の様な気が致します。違う作品のキャラク
ター同士を一つのパロディーに混在させて平気
で絡ませたり(註4)もしますし。

YAOIという表記、もしかしたら本邦から輸出さ
れたのではないかと思わせる傍証が一応ありま
す。『DEEP』VOL.5 1994 Summer(ミリオン出版/
94.9.10発行)掲載の鼎談(参加:高城響・栗原
知代・松殿典子)文中、高城響女史が『YAOI』
記述を提唱する一幕があるのですね。ただ是は
筆者も資料を再見するまですっかり忘れていた
史実です。一応こう言う事もあった、と言う事
で提示しておきます。
そういえば同じ鼎談中でやおいとは『特定のジ
ャンルを指すのではなく作品の状態を表した言
葉である』(大意)との指摘もありましたので、
その点から見るとYAOIが動詞化・形容詞化され
ている現在の海外の状況こそがやおい黎明期の
頃の本邦の姿である、と言えなくもないですか。
過去を振り返ると何とも言えない気分になる時
がありますが、正しくそういう気分です。

何時かは正しくやおいとYAOIの相互理解をした
いものです。折角毎年サンフランシスコでYAOI
-CONなるイベントが開催されているというのに。
でも、聞き及ぶ限りそこにも少しだけ誤解が入
り混じっているとか、いないとか。
道はまだ遠いのかも知れません。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。次号まで、御機嫌宜しゅう。
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註1
その他にも日本人の名前がそのままハンドルに
使われる事がある。
その割に日本語を操って交流を図ろうとする人
がいないというのも面妖な話だ。

註2
かつて『GayYaoiAndMore』と言うイラスト投稿
サイトが実在した。
2001年初頭より2004年初頭まで存在を確認済。

註3
ディズニー作品を題材にしたやおいは御法度と
いう事で本邦では自粛傾向にあるが、海外サイ
トでは少なからず存在する。やおいテイストの
みならずゲイテイストのものも存在する。
その他「X-MEN」「バットマン」「THE SIMPSO-
NS」等もパロディーの題材になっていた。

註4
クロスオーバーと呼ばれる手法であり、海外ド
ラマ制作上で用いられるとの事。但し、ドラマ
制作上では何処かに必ず関連性があって2つの
作品が結ばれるがYAOIに於けるそれの関連性は
多分第三者には見出せない。
甚だしい例ではディズニーのキャラクターと日
本アニメのキャラクター(共に人間ではない)
が絡んでいたというものがあった。

*YAOI-CON公式ページ http://www.yaoicon.com/
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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第十五回 2004.5.31発行

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