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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第48回 第3章・力線の理論(その16) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 引き続き、運動の問題を取り上げます。 前回の話の続きです。 絵文字の図があるので、等幅フォントで御覧下さい。 **************************************** 45.系によって見え方がどう変わるか? **************************************** 今回は、前回得られた(3・10・1)〜(3・10・8)式をもとに、光源に対し て相対運動している受光体から、電磁波がどのように見えるのかを考えてみまし ょう。 ここでは、以下の四式で表されるような、光源からx方向に速度cで進む電磁波 を考えます。 Ey = Eyo・sin( ω・t - k・x + δ ) (3・11・1) Hz = Hzo・sin( ω・t - k・x + δ ) (3・11・2) Ez = 0 Hy = 0 ちなみに、 ω = 2・π・f f:周波数(Hz) ω:角周波数(rad) k = 2・π / λ λ:波長 c = f・λ よって、 k = 2・π・f / c = ω / c (3・11・3) という関係が成り立ちます。 さて、この電磁波が、光源に対してx方向に速度vで相対運動している受光体( の系)からどのように見えるのかを考えます。 (3・11・1)式を(3・10・4)式に代入すると、 Hz' = ( c - v )・ε・Eyo・sin( ω・t - k・x + δ ) ここで、x' = x - v・t であることから、x = x' + v・t となり、これを上の式 に代入すれば、 Hz' = ( c - v )・ε・Eyo・sin( ω・t - k・( x' + v・t ) + δ ) ∴ Hz' = ( c - v )・ε・Eyo・sin( ω・t - k・x' - k・v・t + δ ) ∴ Hz' = ( c - v )・ε・Eyo・sin( ( ω - k・v )・t - k・x' + δ ) (3・11・3)式を代入して、 ∴ Hz' = ( c - v )・ε・Eyo ・sin( ( ω - ( ω / c )・v )・t - k・x' + δ ) ∴ Hz' = ( 1 - ( v / c ) )・c・ε・Eyo ・sin( ( 1 - ( v / c ) )・ω・t - k・x' + δ ) ところで、 c = 1 / ( ( ε・μ )^(1/2) ) Ey = ( ( μ / ε )^(1/2) )・Hz (3・9・1) という関係があるので、これらのことから、 Hz' = ( 1 - ( v / c ) )・Hzo ・sin( ( 1 - ( v / c ) )・ω・t - k・x' + δ ) という式を得ます。 この式を(3・12・2)式とします。 同様にして、(3・11・2)式を(3・10・1)式に代入すると、 Ey' = ( 1 - ( v / c ) )・Eyo ・sin( ( 1 - ( v / c ) )・ω・t - k・x' + δ ) という式を得ます。 この式を(3・12・1)式とします。 ちなみに、(3・12・1)式は(3・10・7)式を、(3・12・2)式は(3・ 10・5)式を、それぞれ満たします。 **************************************** 46.光の速度 **************************************** さて、(3・12・1)式を(3・11・1)式と、また、(3・12・2)式を(3 ・11・2)式と、それぞれ比較してみて下さい。 まず、受光体から見た光速度c'について考えてみましょう。 すると、ωが、 ( 1 - ( v / c ) )・ω に置き換わっているのがわかります。 これをω'としましょう。 一方、上で述べたことからもおわかりのように、 c' = f'・λ = ω'・λ / ( 2・π ) という関係があるので、 ( c' / c ) = ( ω' / ω ) = ( 1 - ( v / c ) ) = ( ( c - v ) / c ) よって、 c' = c - v という結果を得ます。 これは、前回の『43.ガリレイ変換』のところで述べた結論と同じです。 つまり、受光体が光源に対して速度vで運動した分、受光体から見た光速度が変 化することを意味します。 つまり、力線の理論は、ガリレイ変換を満たしている、ということです。 **************************************** 47.光の強さ **************************************** さて、式の比較から、もう一つ、面白いことがわかります。 それは、電界や磁界の振幅、すなわち、電磁波の強さが ( 1 - ( v / c ) ) 倍 になっていることです。 つまり、受光体が光源に対して相対運動することにより、受光体から見た電磁波 は、速度だけでなく、強さも変化することになるのです。 このように、光源に対する相対運動によって、観測される電磁波の強さが変化す る現象は、現実に存在します。(たとえば、メスバウアー効果など) ちなみに、v = c の場合は、電磁波の強さはゼロになります。 つまり、観測者が光の速度と同じ速度で光源から遠ざかる場合は、光は見えなく なるのです。 つまり、観測者が光と同じ速度で運動しても、光が止まって見えることはない、 ということです。 これらのことを(概念)図と言葉で説明すると、次のようになります。 ↑↑↑ ↑ ☆ │││→c □→v │ 力線 ☆ 光源 □ 受光体 │││ │ 第45回に述べたように、力線の理論では、電磁波は、電気力線と磁力線が十字 に交わった格好で、光源から速度cで遠ざかるように運動している、と説明され ます。 つまり、力線が横切っていくことで、電磁誘導や磁電誘導が起こり、電界や磁界 が生じるというわけです。 一方、受光体は光源に対して速度vで運動しているわけですから、受光体から見 た力線の速度は c - v になります。 力線が横切る速度が変化すると、電磁誘導や磁電誘導によって生じる電界や磁界 の強さも変化します。 こうして、電磁波の強さが変化することになるわけです。 ちなみに、v = c の場合は、力線が横切る速度はゼロになるため、電磁誘導や磁 電誘導によって生じる電界や磁界の強さはゼロになり、光(電磁波)の強さもゼ ロになるわけです。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |