メルマガ:仮想力線電磁気学
タイトル:仮想力線電磁気学  2004/05/17


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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第48回 第3章・力線の理論(その16)

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当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。

引き続き、運動の問題を取り上げます。
前回の話の続きです。
絵文字の図があるので、等幅フォントで御覧下さい。

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45.系によって見え方がどう変わるか?
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今回は、前回得られた(3・10・1)〜(3・10・8)式をもとに、光源に対し
て相対運動している受光体から、電磁波がどのように見えるのかを考えてみまし
ょう。

ここでは、以下の四式で表されるような、光源からx方向に速度cで進む電磁波
を考えます。

 Ey = Eyo・sin( ω・t - k・x + δ )        (3・11・1)

 Hz = Hzo・sin( ω・t - k・x + δ )        (3・11・2)

 Ez = 0

 Hy = 0

ちなみに、

 ω = 2・π・f      f:周波数(Hz)  ω:角周波数(rad)

 k = 2・π / λ     λ:波長

 c = f・λ

よって、

 k = 2・π・f / c = ω / c            (3・11・3)

という関係が成り立ちます。

さて、この電磁波が、光源に対してx方向に速度vで相対運動している受光体(
の系)からどのように見えるのかを考えます。

(3・11・1)式を(3・10・4)式に代入すると、

   Hz' = ( c - v )・ε・Eyo・sin( ω・t - k・x + δ )

ここで、x' = x - v・t であることから、x = x' + v・t となり、これを上の式
に代入すれば、

   Hz' = ( c - v )・ε・Eyo・sin( ω・t - k・( x' + v・t ) + δ )

 ∴ Hz' = ( c - v )・ε・Eyo・sin( ω・t - k・x' - k・v・t + δ )

 ∴ Hz' = ( c - v )・ε・Eyo・sin( ( ω - k・v )・t - k・x' + δ )

(3・11・3)式を代入して、

 ∴ Hz' = ( c - v )・ε・Eyo
           ・sin( ( ω - ( ω / c )・v )・t - k・x' + δ )

 ∴ Hz' = ( 1 - ( v / c ) )・c・ε・Eyo
           ・sin( ( 1 - ( v / c ) )・ω・t - k・x' + δ )

ところで、

   c = 1 / ( ( ε・μ )^(1/2) )

   Ey = ( ( μ / ε )^(1/2) )・Hz       (3・9・1)

という関係があるので、これらのことから、

  Hz' = ( 1 - ( v / c ) )・Hzo
           ・sin( ( 1 - ( v / c ) )・ω・t - k・x' + δ )

という式を得ます。
この式を(3・12・2)式とします。

同様にして、(3・11・2)式を(3・10・1)式に代入すると、

  Ey' = ( 1 - ( v / c ) )・Eyo
           ・sin( ( 1 - ( v / c ) )・ω・t - k・x' + δ )

という式を得ます。
この式を(3・12・1)式とします。

ちなみに、(3・12・1)式は(3・10・7)式を、(3・12・2)式は(3・
10・5)式を、それぞれ満たします。

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46.光の速度
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さて、(3・12・1)式を(3・11・1)式と、また、(3・12・2)式を(3
・11・2)式と、それぞれ比較してみて下さい。

まず、受光体から見た光速度c'について考えてみましょう。
すると、ωが、 ( 1 - ( v / c ) )・ω に置き換わっているのがわかります。
これをω'としましょう。

一方、上で述べたことからもおわかりのように、

 c' = f'・λ = ω'・λ / ( 2・π )

という関係があるので、

 ( c' / c ) = ( ω' / ω ) = ( 1 - ( v / c ) ) = ( ( c - v ) / c )

よって、

 c' = c - v

という結果を得ます。
これは、前回の『43.ガリレイ変換』のところで述べた結論と同じです。
つまり、受光体が光源に対して速度vで運動した分、受光体から見た光速度が変
化することを意味します。
つまり、力線の理論は、ガリレイ変換を満たしている、ということです。

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47.光の強さ
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さて、式の比較から、もう一つ、面白いことがわかります。
それは、電界や磁界の振幅、すなわち、電磁波の強さが ( 1 - ( v / c ) ) 倍
になっていることです。
つまり、受光体が光源に対して相対運動することにより、受光体から見た電磁波
は、速度だけでなく、強さも変化することになるのです。

このように、光源に対する相対運動によって、観測される電磁波の強さが変化す
る現象は、現実に存在します。(たとえば、メスバウアー効果など)

ちなみに、v = c の場合は、電磁波の強さはゼロになります。
つまり、観測者が光の速度と同じ速度で光源から遠ざかる場合は、光は見えなく
なるのです。
つまり、観測者が光と同じ速度で運動しても、光が止まって見えることはない、
ということです。

これらのことを(概念)図と言葉で説明すると、次のようになります。


    ↑↑↑           ↑
  ☆ │││→c □→v     │ 力線  ☆ 光源  □ 受光体
    │││           │


第45回に述べたように、力線の理論では、電磁波は、電気力線と磁力線が十字
に交わった格好で、光源から速度cで遠ざかるように運動している、と説明され
ます。
つまり、力線が横切っていくことで、電磁誘導や磁電誘導が起こり、電界や磁界
が生じるというわけです。

一方、受光体は光源に対して速度vで運動しているわけですから、受光体から見
た力線の速度は c - v になります。
力線が横切る速度が変化すると、電磁誘導や磁電誘導によって生じる電界や磁界
の強さも変化します。
こうして、電磁波の強さが変化することになるわけです。

ちなみに、v = c の場合は、力線が横切る速度はゼロになるため、電磁誘導や磁
電誘導によって生じる電界や磁界の強さはゼロになり、光(電磁波)の強さもゼ
ロになるわけです。

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 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp
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