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通巻73号 2004.4.28発行 M4 Action! 「オーナーとワーカー」 メルマガのリニューアルにあたって、何か特別なものを求め続けて、4ヶ月が経っ てしまいました。その間、私の創業生活も12年を迎え、13年目へと突入しました。 何かリニューアルしたんだなぁ、と思われるような大作を、と思っているうちに、 リニューアルした新しいタイトル「Action!」が欠けていたのでは、と反省し、まず は、書き続けながら、皆さんに大作と呼ばれるようなものにしていこうと、また書 き始めました。 私は創業満12年ではありますが、一度もオーナー経営者というものをやったこと がありません。もちろん、未上場で小さな企業群ですから、オーナー会社っぽい側 面もありますが、私の所有している自社株は劣後株なので、議決権は多いものの、 所有の割合は25%にも満たないのです。しかし、これは私がインターネットで公募を したからで、特殊な場合です。普通は戦後の中小企業というものは、オーナー企業 であり、同族経営であり、戦後の高度成長の時代には相当な搾取を続けてこられた のではないかと推察されます。 しかし、最近の若いベンチャー企業などでオーナー経営者というのはあまり搾取 が出来る人がいないです。時代の変化と言ってしまえば、それまでですが、オーナ ーの自分だけは高給取りで、ワーカーである社員は生かさず殺さず、では社員がつ いてこないからです。オーナーは、最大限にワーカーを給料という側面においては 過小評価して使い続けてきましたが、昨今ではワーカーは自分を過大評価してくれ るオーナーの下へどんどん転職していってしまいます。つまり、ワーカーから見て 良くないオーナーの下には優秀な社員が残らない、というわけです。これを読んで いる皆様の会社の現在のオーナーとワーカーの状態は、それが均衡している状態と 言えます。 資本主義では、生産するための工場などの生産設備を持つオーナーがなにより、 何も持たないワーカーに対して絶対的な権限を持ってきました。しかし、それは農 業や工業の場合だけでしょう。SOHOなどに代表されるオーナーの持っている資本が 限りなく家庭のものと違わないような会社の場合、オーナーとワーカーの資本上の 違いはほとんどありません。さらに、金融やハイテク技術などはもちろん、芸能や スポーツなどの分野の場合、それは顕著です。オーナーよりワーカーが力を持つ場 合もあり得るのです。 しかしながら、それでも米国などではやはり、オーナーを目指す学生が多いと か。ワーカーは、自分で稼いでいるわけではない。稼がせてもらっているだけだと いうわけです。所詮ワーカーは何も出来ない。もちろん、法的な責任などもオーナ ーのほうが重いでしょう。搾取の対価はちゃんと支払っているのかも知れません。 それでも、どうでしょう。日本はそうなりますか。これだけ食うだけならば困らな くなった国で、貧富の差がこれからさらに開いていくのでしょうか。 私はそうは思わないのです。途上国などをみていて、本当に日本がいかに良い国 であるかを思い知らされます。オーナーはワーカーに感謝し、ワーカーもオーナー に感謝するような関係になれば、おのずと搾取な関係が生まれようはずがありませ ん。ただ、問題はあります。オーナーになれるはずの人がワーカーに甘んじてい る、という責任回避。まあ、その分得られるものは減っているのですが。ただ、自 分で自分の設備を使って自分が食うために儲けている場合は、文句の言いようがあ りません。すべて自己責任ですし、誰にも迷惑をかけていないので、これから自由 なオーナーがどんどん増えてくるのではないかと思っています。ただ、そのオーナ ーがワーカーを使う場合には注意が必要です。均衡が崩れたら、ワーカーは自分の 下から去っていくからです。 さあ、ゴールデンウイークが明けて出社したら考えてみてください。均衡が崩れ る要素はありませんか。それがあなたの「Action!」です。 (こくぶ ひろゆき hk@ihg.jp http://www.ihg.jp/) 追伸) 初めてこのメールマガジンをお送りさせて頂いた方もいらっしゃいますが、 1994年から(当時はFAXでしたが)不定期に発行しているものです。徒然なるまま に思いつきを皆さんにお送りするものですが、ご迷惑でしたら、一番下の解除 方法で解除できますので、お手数ですが、ご自身でご手配をお願いします。 なお、バックナンバーについては以下のホームページにあります。 http://www.spre.ad.jp/new/m4_index.html ◎最近モデルとして出た小説 「中途採用捜査官@ネット上の密室」佐々木敏/徳間書店 http://www.akashic-record.com/oddmen/cntnt.html 古くからの知人が小説を書きまして、今回の小説に私がモデルとなっている「三 国裕史(みくにひろし)」が出てきます。懐かしいゲーム・モニタリングやインター ネット・クラブ時代を思い出せるだけでなく、お世辞でなく、なかなかマニアック で面白いので、よろしければ、是非リンクから辿って、紀伊国屋新宿本店で買って あげてください。 -- 國分 裕之 (Hiroyuki Kokubu), Independent Holdings Inc. E-mail hiroyuki@kokubu.name URL http://www.ihg.jp/ |