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タイトル:素敵な暮らしをあなたに  2004/03/12


NO.49

アンティ-クと古道具


「骨董品」や「アンティ-ク」と呼ばれる物が、気が遠くなるような高値で取引されていますね。「アンティ-ク」と「古道具」の区別は、100年以上経ているか、希少価値があるかどうかによるものだそうですが・・・。

「アンティ-ク」には無知で無縁な私ですが、古い物には何となく、独特の風情が感じられて、見入ってしまうことがよくあります。
今、私の身近にも、そろそろ100年近くになる古道具が幾つかあります。
私の実家で代々受け継がれてきた物たちです。

昔の田舎ではどこの家でも冠婚葬祭時に使われていた、脚のある一人用のお膳です。
大きな歓び、悲しみの時の人寄せに必需品だったものですが、
今では、和風旅館の宴会場などでしか見られなくなりました。
実家の蔵の中から一脚、貰って来ました。
小さな飾りの台にしたり、パーティではラウンドケーキを置いたりもしますが、
普段は、チェスの置き台として使っています。
一回り小さなガラスのチェスセットにちょうど良い大きさで、
ゲームを中断して置いておく場合、散らからなくて都合が良いのです。
その上、そのままでも、とてもおしゃれな飾りになるのです。

私のジュエリーボックスの中に
細いワイヤーに珊瑚の珠を通したチョーカーがあります。
珊瑚は、祖母がまだ子どもと呼ばれるほどの年齢の時に、結った髪につけていた数珠の髪飾りの一部です。
今にも切れそうなほど弱くなっていた珠と珠を繋ぐ糸を切って、
孫の私たち姉妹に均等に分け与えられました。
私の手元には3つの珠が来ました。暫くはそのままでしたが、
ある年のクリスマス、留め金が、ワイヤーの端をもう一方の端に差し込むように出来ている、
まるで、その為に誂えたかのような、糸のように細い銀のチョーカーを見つけたのです。
その時の驚きと喜びは今でも忘れられません。
クリスマスシーズンに電車で品川駅を通る時、
ホテル入り口の、降りしきる雪の中で輝いていた美しいイルミネーションと
傍らの小さな可愛いアクセサリー屋さんをきまって思い起こすほどです。
その時々、珠を一つにしたり、三つにしたり、それ以来、私の自慢のアクセサリーです。

古い物は、そのものの価値もありますが、
はるか遠い昔に思いを馳せ、
さらに思い出を重ねていくことでそれは一層大きくなっていくような気がします。
アンティ-クでも古道具でも、物と一緒に沢山のよい思い出を作っていけるといいですね。


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