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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第34回 第3章・力線の理論(その2) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 今回は、力線の基礎を簡単に述べたいと思います。 図(絵文字)があるので、等幅フォントでご覧下さい。 **************************************** 3.ファラデーの考え方 **************************************** ファラデーによって考案された力線( line of force )という概念は、少し形 を変えてマックスウェル電磁気学に受け継がれ、さらにもう少し形を変えて仮想 力線電磁気学にも受け継がれています。 そこで、まず、ファラデーの考案した力線について、簡単に説明しましょう。 ファラデーは、磁気や電気の作用を説明しようとして力線を考案しました。 たとえば、二つの磁石の間に働く(静的な)磁力を例にあげましょう。 すると、それぞれの磁石からは下図のように磁力線(または磁気力線 magnetic line of force )がのびている、とするわけです。 \ / ─■□─ ■□ 磁石 / \ そして、この磁力線がゴムのように引っ張ったり、押しのけ合ったりして、磁力 が生じる、というわけです。 \ / ̄\ / ─■□───■□─ 引き合う / \_/ \ ││ \ / \ / ─■□ □■─ 反発する / \ / \ ││ 絵文字のため、磁力線が醜く折れ曲がったり、途切れたりしていますが、実際に はもっと滑らかで連続した曲線になります。(このあたりのことは、テキスト形 式メールの限界から来るものですので、どうか御容赦下さい。) いずれにせよ、ファラデーの考え方では、磁力線が磁力を発生させる原因として います。 したがって、磁力線の本数が多いほど磁力も強くなります。 それ故、磁力線の密度が、磁気の強さを表すことになるわけです。 さて、電気力についても、同様の考え方ができます。 電気力の場合は、電気力線( electric line of force )が、磁力における磁力 線と同じ役割を果たします。 \ / ̄\ / ○ 正電荷 ─●───○─ 引き合う / \_/ \ ● 負電荷 ││ \ / \ / ─○ ○─ 反発する / \ / \ ││ **************************************** 4.マックスウェル電磁気学での考え方 **************************************** さて、マックスウェル電磁気学では、電磁気作用をもたらすのは力線ではなく、 空間です。 力線は、空間について考えるための道具となります。 力線の密度(本数)が電磁気作用の強さを表すことは、ファラデーの考え方と共 通しています。 マックスウェル電磁気学では、電磁弾性体という、空間をあたかも弾性体のごと く扱う考え方をします。 この電磁弾性体を定義するのにも、力線が用いられます。 このように、マックスウェル電磁気学では、力線は思考や記述のための道具とし て位置づけられています。 また、それ故に、ファラデーの理論よりも多様な用いられ方をします。 たとえば、上で示した『二つの電荷間に働く電気力(による引力)』を例にあげ ましょう。 電磁弾性体について考えるときは、上で示したのと同じような描き方をします。 <記述法1> \ / ̄\ / ─●───○─ / \_/ \ ところが、これとは別に、各々の電荷によって生じる電場について描く方法もあ るのです。 <記述法2> / \ / ─●───○─ ●によって生じる電場(○から見た電場) / \ \ \ \ / ─●───○─ ○によって生じる電場(●から見た電場) / \ / この記述法では、力線(との接線)の方向が、電磁気作用の方向を表します。 また、この<記述法2>には、さらに電界による記述法と、電束による記述法が あります。 磁場についても、同様のことが言えます。 このように、マックスウェル電磁気学では、力線が多様な用いられ方をするので す。 このために、その力線が何を示しているのか、注意する必要があります。 ついでながら、<記述法1>は、第三者(の電荷)から見た電場の様子というこ ともできます。 **************************************** 5.仮想力線電磁気学での考え方 **************************************** 仮想力線電磁気学はもともと遠隔作用の理論ですから、空間は何の役割も果たし ません。 では、なぜ、わざわざ、空間に力線など描く意義があるのでしょうか? その理由の一つには、一方からのびた力線が相手方にまで達していることから、 作用が離れた場所に瞬間的に伝わるという遠隔作用のイメージがつかみやすくな るということがあります。 特に、遠隔作用の場合、第1章でも述べたように、あたかも完全弾性衝突を起こ したかのように振る舞う場合があり、そういう意味でも、イメージがつかみやす くなります。 しかし、それ以上に重要なのは、誘導によって生じる電磁気作用を考えるのに役 立つことです。 仮想力線電磁気学は、『力線を横切ると、新たな電磁気作用が誘導される』とい うファラデーの理論の考え方を継承しています。 このために、力線という概念が重要になってくるです。 このことについて、詳しいことは次回にお話しいたします。 **************************************** 6.より多様な記述 **************************************** 仮想力線電磁気学でも、疑似近接作用の問題では、マックスウェル電磁気学と同 じ記述法が用いられます。 しかしながら、遠隔作用の問題では、これとは違う記述法が用いられます。 それは、力線を生じさせている源(たとえば、わき出し)ごとに別々に描くとい う記述法です。 たとえば、ある一つの電荷が、二つの電荷から電気力を受ける問題の場合、電気 力を及ぼす二つの電荷の電気力線は、下図のようになります。 \ / × \ / \ / ─●───○─ / \ / \ × / \ この図は、ちょうど、上のマックスウェル電磁気学のところで示した<記述法2 >の二つの図を合成したような図です。 お気づきのように、この記述法では、個々の源ごとに力線を描くため、別の源か らのびた力線どうしが交わったり、重なったりすることがあります。 遠隔作用では、場は実在性あるものではなく、見かけ上のものとされるので、こ のようなことが可能なのです。 それに遠隔作用では、『重ね合わせ』は成り立たないので、本来はこの記述法こ そが正しいのです。 また、このことから、遠隔作用では、どんなに単純そうに見える問題でも、厄介 な多体系の問題になってしまうことがおわかりいただけると思います。 もっとも、静的釣り合いの問題のように、結果的に重ね合わせが成り立つ問題で は、この記述法は煩雑になるので用いられず、マックスウェル電磁気学のように 重ね合わせた状態の記述法を用います。 \ / ̄\ / ─●───○─ / \_/ \ このように、仮想力線電磁気学では、マックスウェル電磁気学以上に多様な記述 の仕方をしますので、十分注意して下さい。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |