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◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆ 2004/01/17 『世界自然遺産の島』 屋久島発・田舎暮らし通信(第94号) http://www.yakushimapain.co.jp/ 屋久島パイン株式会社 ◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆ このメールマガジンは、北海道から屋久島に移住し、現在弊社屋久島支店の社員が 本人の移住経験を踏まえまして、屋久島の日常を発信しています。 ●二十三夜祭 お供え物は、鏡餅のような大きめの丸い日型の白い餅、月型の紅色の餅。 それから、紅白の計24ヶの手のひらに乗る位の大きさの丸餅。 それと、一口大の餅が、日の数だけの365ヶ。 更に、みなさんに差し上げる丸餅も、たくさんも用意。 他にお供え物の、焼酎の御神酒、米、塩、昆布、野菜、魚。 他に長芋のようなもので、長芋ではないので、食べられない芋状のもの。 集落から二人選ばれた神様役の人が、縄に囲まれた神様の座布団の上にすわる。 羽織袴が習わしなのだが、最近では簡素化され、礼服になっている。 二十三夜祭自体が、簡素化されている集落もあるという。 神様役の人は、トイレに行く以外には、その場を離れることはできないと言う。 でも彼らの前には、暖を取るための火鉢がある。 二十三夜祭のはっきりした由来は不明だが、豊作、豊漁を願うお祭りごと。 旧暦の12月23日に(実際に行われたのは1月14日)、各集落で年一回行われ、 夕日を拝むところから始まり、月の出を拝むことで終わる。 しかし、お祭りのごちそう作りや準備などは、朝から始まり、お祭りの後片づけも 含めると、夜中の二時頃までかかりきりになるのだ。 集落内の班ごとに、持ち回りがくる。 小島は、三つ班があるので、三年に一度持ち回りが来る。 お祭りに参加するのは、他の班の人でも、もちろん良い。 ただ、準備などの関係で、班ごとに持ち回りがまわってくるのだ。 朝から準備などに加わっている人は、とっても忙しいのだ。 お祭りに食べる、魚類を求めて海へ、鶏肉を求めてニワトリ小屋へ、供え物の食べ られない、長芋のような植物を求めて藪へ。 ごちそう作りの婦人の方々は、台所でと、皆総出で行われる。 お祭りの準備をして、神様役の人とお供え物をまつり、宴会が始まる。 要するに、夕日を拝むことと、月の出を拝むのが、お祭りの主で、特に大切なフィ ナーレを飾るのが、月の出を拝んだ後に、皆で食べる[サバの干物入りなます]なの だ。 作り方は、お供えしたあとの塩サバの開きの干物を、骨を取り除き薄く切る。 それを、酢で洗いしめる。 あらかじめ作っておいた大根なますに、加えてあえるだけ。 「えー、火を通さずに、干物の魚を酢でしめて使うなんて、はじめて。」という声が、 あちらこちらで。 というのは、最近では簡素化されて、それは行われていなかったから。 しかし、区長さんが伝統行事を正確にやるようにということで、本来の[サバの干物 入りなます]が、復活したそうだ。 今の主婦の人たちは、それを知らなかったので、先輩主婦の方に、[サバの干物入り なます]の作り方を披露してもらった。 「酢でしめるから、しめさばと同じで大丈夫。」という。 これを食べないと、家に帰ることができないという、とっても大切なフィナーレ。 月の出を見ながら、礼二回、手を二回たたいて、また礼を一回。 (全員が月の出を拝みに行くのではなくて、その間に、[サバの干物入りなます]を 作る人たちは残る。) 神様役のうちの一人で、移住者のTさんという方は、「初めて、神様役に選ばれてや りました。ニワトリの毛をむしる手伝いもしました。この行事は、なかなかおもし ろいです。神様役は座っているだけで良いはずでしたが、近くに火鉢があり、皆が 餅を食べたいというので、餅を焼くのに忙しかった。」 私は、朝から一部始終を体験したわけではないのが残念だったが、二十三夜祭が半 月の夜に行われ、餅の形が月というのが、とてもユニークでおもしろい。 神様役の二人が座っていた様子を、写真に撮りたかったのだが、神聖な儀式のよう な気がして、つい写しそびれてしまった。 神様役のTさんがいただいた、お供えの紅色の月形餅を、翌日写すことにした。 「今から切って、食べようと思っていた。」とTさん。 お月様の形の、紅色の餅。http://www.yakushimapain.co.jp/tukigatamoti.htm 二十三夜祭以外では、おそらく作ることはまずないだろうとおもわる[サバの干物入 りなます]。 ただ座っているだけで良いはずの、神聖な神様役の人が、餅の両面に砂糖と醤油を 塗って、香ばしい香りの煙に包まれて、「次に待っている人、餅焼けましたよー。」 と、お祭りの出店のおじさん役みたいになったりと、神様らしくない場面も。 とにかく理屈ではなくて、こういうお祭りが二十三夜祭。 お月様がきれいだったからか、[サバの干物入りなます]を食べたからなのか、私は 眠れない夜を過ごした。 ★★☆★★★★☆★★★★☆★★★★☆★★★★☆★★★★☆★★ 屋久島パイン株式会社 http://www.yakushimapain.co.jp/ 発行責任者 角谷和雄 kakutani@yakushimapain.co.jp 本 社 東京都千代田区麹町1丁目8番14号 屋久島支店 鹿児島県熊毛郡屋久町原914番地 ★★☆★★★★☆★★★★☆★★★★☆★★★★☆★★★★☆★★ |