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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第30回 第2章・定説の問題点(その8) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 今回も『マックスウェル方程式』に関する問題点を取り上げます。 **************************************** 24.空間崇拝の起源 **************************************** マックスウェル方程式を用いて問題を解析する際、『空間(の場所)』の式しか 解かないというのは、結局、空間のことしか考えないということです。 こうした空間執着志向は、20世紀には入り、『空間崇拝』にまで発展します。 20世紀の物理学は、まさにこの『空間崇拝』の物理学なのです。 そこでは空間こそが主役であり、物質は脇役にすぎません。 そして、このことが、『場の実在性』や『近接作用の絶対視』と深く関わり合っ ていることは、言うまでもないでしょう。 特に量子化された場の理論では、『場』こそが実在性あるものであり、物質は幻 想にすぎない…とまで言い切っています。 『全ての根元や根本原理は空間にあり』というわけです。 真空のエネルギー、粒子が現れたり消えたり…、そこはまるで魔術の世界のよう です。 ですが、こうした『空間崇拝』も、もとをたどれば、すでに述べたように、19 世紀以来続けられている、『空間(の場所)』の式しか解かないという数学的な 解析法の乱用に起源があるのです。 **************************************** 25.どんな波か? **************************************** 確かに、数学的には、『空間(の場所)』の式だけからでも、波動の解を得るこ とはできます。 しかし、振幅や周波数(波長)や位相などは、一切、求まらないのです。(光源 を無視しているのですから、これは当然のことです)。 つまり、そこから求まる波は、振幅も周波数(波長)も位相も、何も定まらない 波なのです。 言い換えれば、いつ、どこから、どのように発せられたのかもわからない波なの です。 それは、ひょっとすると、無数の光源から発せられた、無数の波の重ね合わせか もしれません。 あるいはまた、振幅や周波数がゼロの波かもしれません。(これは言うまでもな く、波が存在しない状態です。) いずれにせよ、『空間(の場所)』の式だけからは、どういう波なのかまではわ からないのです。 したがって、そのような波について、いくら考察しても、意味がないでしょう。 そもそも、光源が無ければ、電磁波は存在しないのです。 空間だけでは、何も起こりません。 マックスウェル方程式も、そのことをハッキリと示しているのです。 **************************************** 26.主客を逆転させる **************************************** 『空間(の場所)』の式しか解かない、すなわち、空間のことしか考えないとい う態度は、ある領域しか注目しないという態度に他なりません。 つまり、光源は、視野・視界の外なのです。 特定の領域にしか注目しないために、それ以外の領域のことが見えてこない。 これは、物事を特定のスケールでしか見よう(考えよう)としない人たちに、よ くあることです。 そして、こうした態度が、近接作用を絶対視させることは、すでに第1章で述べ ました。 空間崇拝も、近接作用の絶対視と同様、天動説や地球円盤説と同じ精神の産物だ と言うことができます。 仮想力線電磁気学は、遠隔作用の理論なので、主客が逆転しています。 つまり、『作用を及ぼすもの』と『作用を受けるもの』、すなわち、作用を及ぼ し合う物質が主役であり、空間は脇役、というより、何の役割も果たしません。 それ故、定説で見られるような『魔術』のような概念もありません。 **************************************** 27.波動方程式 **************************************** しつこいようですが、もう一度、マックスウェル方程式を見てみましょう。 div {D} = ρ div {B} = 0 rot {E} = - ∂{B} / ∂t rot {H} = {j} + ∂{D} / ∂t 光源を表すのは、ρや j です。 したがって、ρ = j = 0 の式しか解かないやり方が、いかに片手落ちなのかが おわかりいただけると思います。 それはそうと、第4〜5回に、マックスウェル方程式は遠隔作用的な解釈が可能 であることを述べました。 特に、 div {D} = ρ rot {H} = {j} の部分はそうで、これらは、光源の作用が瞬時に無限遠まで到達することを意味 しているのです。 したがって、光源が運動する問題で、ρ= j = 0 の式しか解かないということが いかにまずいことかが、わかります。 マックスウェル方程式のもとの形を見れば、そのことは明白なのです。 ところが、これが波動方程式の形になってしまうと、こうしたことが見えなくな ってしまうのです。 波動の解を得るためには、波動方程式を得なければなりません。 ところが、マックスウェル方程式から波動方程式を得るためには、ρ = j = 0 としなければならないのです。 なぜなら、方程式にρや j が含まれていると、単純な波動方程式にはならない (=数学的に解けない)からです。 このため、『空間(の場所)』の式だけが取り上げられる(『光源のある場所』 の式が無視される)ことになるのです。 波動方程式による記述は、もう一つの問題をもたらします。 マックスウェル方程式から得られた波動方程式が、物質を伝わる機械力学的な波 の波動方程式と同じような形をしていることから、両者を混同してしまうことで す。 そして、エーテル(媒体)の存在を信じたり、近接作用を絶対視して、『空間崇 拝』にハマってしまうのです。 電磁波は、物質を伝わる機械力学的な波とは、波が発生する原理が違います。 マックスウェル方程式によれば、電磁波は『…→電場→磁場→電場→磁場→…』 という具合に、電場と磁場が交互に誘導されることにより生じます。 ところが、波動方程式の形にしてしまうと、このことが見えてこず、『電場→電 場→…』、あるいは、『磁場→磁場→…』という具合に、電場(磁場)から電場 (磁場)が直接生じているかのように見えてしまうのです。 このために、物質を伝わる機械力学的な波と混同してしまうのです。 (機械)力学的な世界では、 div {D} = ρ rot {H} = {j} のような(波源からの)遠隔作用的な概念がありません。 だから媒体の式だけでも良いわけです。 波動方程式による記述は、こうした違いをも見えなくしてしまうのです。 解を求めようとするあまり、特定の式にばかり目を奪われ、実状が見えなくなっ てしまうのは、決して賢明なこととは言えないはずです。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |