メルマガ:露骨。
タイトル:露骨。〜第59号〜  2004/01/11


久しぶりに言葉を紡ぎたい気持ち。



今日は亀有に『アントニーとクレオパトラ』というお芝居を観に行った。
シェイクスピア後期の作品。
戯曲をせっかく買ったというのに、
当日までに読み終えることが叶わなかった。
栗原小巻さんは出色の演技。
ワタシはただただ、圧倒されてばかりだった。
ローマ帝国の歴史の知識なんて欠片も持ち合わせていないし、
エジプトへだって行ったこともないワタシだけれど、
豪華な舞台装置、華美な衣装。
そして磨かれた演技、台詞回し、パフォーマンス。
それらはいつも、ワタシを別世界へとトリップさせてくれる。
演劇に於いて言葉はとてもとても大切なものだけれども、
逆に演劇から与えられるものは、けして言葉には表すことが出来ない。

或る人は、大切な想い出が亀有に詰まっていると言う。
昔、此処には、亀有名画座という伝説の映画館があったのだ。
其の人にとって、其処は、
本当に大切な大切な映画館だった。
ワタシは其の話を、何度となく、繰り返し耳にした。
結局ワタシが、一度も足を運ぶことが無いままに、
亀有名画座はマンションへと姿を変えてしまった。
そして実際に、ワタシが亀有という地に初めて立ったのは、
昨年の八月、筑前琵琶の音色を聴きに、
矢張りかめありリリオホールへと行ったとき、
そのときだった。
丁度、台風が東京に上陸した日で、
道行く人は次々に傘を風に飛ばされ、
皆、駅で立ち止まったまま困り果てていた。
ワタシはずぶ濡れになるのを覚悟して、その中を走り出した。
そんな記憶。
或る夏の日の記憶。


お芝居を観たあとに原宿へと向かう。
亀有から原宿へは、実は電車一本で着ける。
約40分間、お芝居の余韻に浸るのには丁度いい時間の取り具合。
ごとごとと揺れる中で、あちこちのシーンを思い返す。
様々な回想を巡らせる。
今日の舞台を、忘れない為に。

原宿に着いてから、チョコクロを買った。
たったの130円で買えるしあわせ、
サンマルクカフェのチョコクロ。
此処はチョコクロの専門店なんだ。
規定の時間内に売れずに冷めてしまった
チョコクロは捨てられてしまい、
いつも出来立てほかほかのチョコクロだけを置いている。
ワタシはこれがだぁい好き。
原宿に来ると、必ず買うことにしているの。

それからAMO'S STYLEに入って下着をチェック。
来週末に、京都・大阪方面へ旅行に行く予定。
それに合わせて今、色々なものを買い揃えているところ。
京都へ行くのはこれで三度目、
大阪へはまだ二度目の旅になります。
カワイらしい下着たちを眺めていると、
本当に心がウキウキしてきます。
きっとワタシ、わぁいわぁいって、
喜んで、あちこちを走り回っているんだろうな。
そんな自分の姿が、まるで目に浮かぶようで、
何だか笑ってしまう。

このあと、ワタシたちは美味しいお夕食を頂いて、
お散歩がてらにと、渋谷まで歩いていきました。
相変わらず星の見えない空を見上げながら、
そして、排気ガスいっぱいにまみれている筈なのだけれど、
何故か、ほんの少しだけ澄んでいる空気を感じながら、
てくてくてく、てくてくてく、と。
残念ながら、観たかったラス・メイヤー特集や、
『ミトン』などのレイトショウには間に合うことが
出来ませんでしたが、
代わりに暖かい場所で、暖かい音楽に触れることが
出来たのでした。



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