メルマガ:いいオトコ研究会
タイトル:いいオトコは、時間価値の概念を押えている  2003/12/03


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☆   いいオトコ研究会 (いい男とは?)  03年12月03日 第89号
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▼▼今週のテーマ▼▼ >>時間価値

いいオトコになるためのファイナンス理論。
その中で非常に重要なものが「時間価値」。

時間価値って、「時間は貴重だ」ってこと?
もちろんそれもありますが、
もう少しファイナンスっぽい理論が必要です。


▼ブスおとこ君

「俺、資格を取るつもり。来年になったら勉強始めるよ。」
「交流会でスゴイ人と名刺交換が出来た。何かあったら利用しよう。」
「いいアイデア思いついた。何か機会があったら実行してみよう。」
「あの子と付き合いたいなー。次の飲み会の席で誘ってみよう。」
ブスおとこ君は、いつも”今やらないで、やることを先延ばし”する。

100万円のこの不動産、5年後には150万円に!
このセミナーを受講し、3年後には独立開業!
こんなパンフレットにすぐ目がくらんでしまうブスおとこ君。
”将来受け取るだろう表面的な利益”に、弱いようだ。


▼時間価値

いいオトコになるための「ファイナンス」。
ファイナンスの基本は投資理論にありますが、
その中で最も重要なことの1つが「時間価値」です。

時間価値って?
例えば、銀行金利が10%だとします。
今日100円を預けると、来年には110円になっていますね。
ということは、今日の100円と来年の110円は、
同じ価値として考えること。

金額的には100円と110円で10円の差額があるのですが、
今年と来年という、1年間の「時間」にも価値があり、
この1年間の時間と10円の価値が、同じということ。
これが時間価値です。

「来年105円あげるのと、今年100円あげるの、どっちを選ぶ?」
という場合、どうしますか?

今年の100円は、金利10%だとすると、来年には110円になります。
よって、来年105円もらうよりも、今年100円もらったほうが得。
こういうことになります。

マイナス金利だとか、細かいことは無視すると、
少なくとも、現在の価値よりも将来の価値の方が、
絶対値が高くなっている。これが基本中の基本です。


▼いいオトコにとっての「時間価値」

この「時間価値」を、いいオトコになるため、
ということに当てはめてみましょう。

まずは言うまでもなく、いいオトコは、資産運用に関しても、
必要最小限の知見は持ち合わせているもの。

株式投資だろうが銀行預金だろうが不動産だろうが、全ての投資、
あるいは資産運用には「時間価値」の理論を基本とします。
まあ、これら「資産運用」に関しては、たくさんの書籍が出ているので、
ここでは割愛します。

では、資産運用以外で、いいオトコになるために役立つ時間価値的
概念とは、どんなことがあるでしょうか。

それは、「お金などの資産以外にも、自分が持っている資産に、
時間価値的概念を取り入れること。」
これに尽きます。


▼例えば

冒頭に挙げたブスおとこ君。
「今やらないで、やることを先延ばし」では、
時間価値を考慮していない、資産の不稼動だらけの生活となります。

資格を取るつもりという意志。
これは貴重な「資産」です。
この資産は、今日から行動すれば、来年には時間価値分だけ
中身が濃くなっている(価値が高まっている)ことでしょう。
一方、行動を来年に先延ばしすれば、意志という資産は劣化するだけ。

交流会で名刺交換した大切な人脈。
これも貴重な資産ですので、今から行動を起こせば、
時間価値の分だけ、価値が高まります。

貴重な「新規のアイデア」という資産。
これも、早く使うほうが価値を高め易いです。

以上のこと、もちろん何でもかんでも即行動すべき、
と言っているのではありません。
諸般の事情があったり、じっくり検討すべきことがあったり。

ただここで述べたいのは、事情や検討は、それはそれで色々あります
が、兎も角、お金以外のどんな資産にも、時間価値という概念があること、
これを頭に入れておくべきだということです。


▼現在価値

上述「時間価値」の計算式を逆算したものが現在価値となり、
これも投資理論の必須項目です。

つまり来年の110円は、今この時の価値としては100円であり、
それを来年110円の「現在価値」は100円という表現をします。

上述例では金利を10%としました。
これを次項で述べる割引率と呼びますが、
将来の価値(110円)の現在価値を求める算式は、
将来価値/(1+割引率)=現在価値 
→110円/(1+0.1)=100円。

年度が複数に渡る場合、それをn年間とすると、
現在価値=将来価値/(1+割引率)n乗となります。

「5年後、150万円になると予測されるこの不動産、
100万円で投資しませんか!1.5倍の値上がり、50万円の利益!」
というパンフレット。

割引率を10%とし、5年後の不動産価格を150万円としますと、
150万円/(1.1)5乗=93万円

つまり、この不動産は93円万以下なら投資してもメリットありますが、
93万円以上での販売価格となっていたら、そのパンフレットは破り
捨てて下さい。

人はとかく、表面的な数字に左右されやすいもの。
1.5倍とか、50万円とかに踊らされてはダメです。

「この資格で、将来独立できますよ」というパンフレット。
資格にかかる費用も、資格取得に使う時間も「投資」です。
だから、独立した「将来」に得られるリターン(収益)を、
現在価値に計算し直し、他の「投資」と比較してみて下さい。
もちろん、数字で出せない場合もあるので、概念的で結構ですが。


▼割引率

割引率とは、上述例では金利10%のことであり、
将来の価値を現在に割引く際のパーセンテージとなります。

そしてこの割引率は、投資の対象となる資産が持つリスクに応じて
率が決まってきます。

リスクとは、不確実性、危険度合いのことであり、
高いリスクを有する資産ほど割引率も高くなる。

例えば、公的保護がある郵便貯金の金利と、
倒産するかもしれないベンチャー企業への貸出し金利では、
郵貯の方がリスクも金利(=割引率)も低い。

郵貯の金利が2%、ベンチャー企業への金利が10%だとすると、
それぞれがその資産の割引率となり、
元本が返ってくる不確実性を反映している。

そして、来年110円の価値がある資産が郵貯の場合、
その現在価値は110円/1.02=107.8円、
ベンチャー企業の場合、110円/1.1=100円という計算になります。

仕事に役立つ資格が2種類あり、
いいオトコ君はどちらかを取ることに決めました。

1つめの資格は、もし取得すると、1,000万円が手に入る。
でも、資格が取得できない確率が20%もある。

もう1つの資格を取得すると、900万円にしかならない。
でも、資格取得できない確率は5%。

資格取得期間を1年とし、他の細かい条件は全く無視すると、
1,000万円/(1+0.2)=833万円
900万円/(1+0.05)=857万円

900万円しか手に入らない資格を選択すべきということになります。


▼ディスカウント・キャッシュ・フロー

以上、時間価値、現在価値、割引率などを全て勘案したものが、
ディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)といいます。

簡単に言うと、ある投資をすると、長期間に渡ってCash(リターン)を
得られる。
その場合に、将来にわたって得られるCashの全てを、現在価値に
ひき直し、全て合算した額、これがDCF法による「投資による価値」です。

資格の例を挙げましたが、1年目に資格試験代として100万円かかるとします。
2年目は、資格試験に専念するため収入ゼロ、
3年目に、その資格を使った仕事で500万円の収入となり、
4年目は、1,000万円に上がり、−−−−。

これらの支出と収入を、毎年分、現在価値に引きなおし合計する。
これが、この資格を取るという投資に対する、現在の価値の合計ですね。

いいオトコ、その生活の多くに、DCF法が有効となります。
マイホームや自動車の購入、株式投資などの資産運用にDCFの計算を
行うと、どれを購入すべきか?
そもそも購入すべきか否か?
の意思決定に大いに役立ちます。

例えば自動車の取得を、自己資金による購入 or リースで検討。
この損得比較には、リースで購入する際の毎年の支出を全て、
現在価値に割戻し、合計します(DCF法)。
この合計額と、今即金で購入する場合の金額を比較するのです。

時間という資産を使う(=投資)する場合。
これには、精密なDCFでの計算は出来ませんので、大まかに計算
して下さい。

アイデア、人脈、知識など「見えない資産」を使う場合。
これらには、大まかな計算も難しいですが、概念だけは頭に入れて
投資して下さい。

以上、ファイナンス理論、その根幹となる投資理論。
何か難しそうですが、基本はシンプルです。
詳細は、巷の書店には必ず置いてある、現在価値、DCF、価値評価
などがタイトルにある本を、一度くらいは読んでみたらいいでしょう。


▼最後に

株式投資ならわかるけど、その他生活上のことを、投資理論に当て
はめる。そんなこと不可能だし、現実味が無いよ。
そう言われそうですね。

確かにその通り、不可能だし、現実味に欠けます。
でも、少なくとも概念だけは頭に入れて日々の行動をしたいですね。

よく「タイム・イズ・マネー」って言葉がありますが、
言葉だけでは、日々の行動に役立ちません。

あるいは、日々、色んな選択をしていますよね。
何を買うのか、どの職業を選ぶのか、誰とお付き合いするのか?
これら「選択」という意思決定に迷っている時。
そこに投資理論が入ると、意思決定のお役には立てるはずです。

意思決定、早いに越したこと無い、とは言いません。
じっくり考えるべき時は、時間をかけるのが当然。
但し「意思決定できない人」が多すぎるのも現実です。
そして、意思決定するのに役立つのが、
金融理論であり、投資理論ですね。

彼女を選ぶのも投資理論?
まっさかー。
でも、その理論を構築できたとしたら、表彰もの。


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▼▼次号のテーマ▼▼  12/10配信

>>投資

いいオトコになるには、
常に、前進するための行動をしていく。
前進するには、お金や時間などの資産を使う、
つまり投資が必要だ。

次回(12月10日)は、ファイナンス理論の根幹、
投資理論について、もう少し詳しくお送りします。



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