メルマガ:屋久島発 田舎暮らし通信
タイトル:屋久島発 田舎暮らし通信  2003/11/22


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  2003/11/22
『世界自然遺産の島』   屋久島発・田舎暮らし通信(第90号)

      http://www.yakushimapain.co.jp/  屋久島パイン株式会社
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このメールマガジンは、北海道から屋久島に移住し、現在弊社屋久島支店の社員が
本人の移住経験を踏まえまして、屋久島の日常を発信しています。


●ガイド

屋久島世界自然遺産登録10周年記念シンポジウムが、10月28日〜10月29日行
われた。
知人が参加したので、その資料集をいただいた。
それを読んでみて、奥深さを感じた。

世界遺産登録後の屋久島は、観光客などが増え、地元経済は活性化した反面、山岳
地域では人が多すぎて、自然浄化作用への悪影響が懸念されているそうだ。 
地元の人ほど登山をしない人が多いのは、単にいつでも登れるからではなくて、登
らないことによって、山を労わっているのではないかとさえ思えてくる。    

現在、屋久島には100人ほどのガイドが活躍している。
ガイドは、移住者にも人気の職業だ。
ガイドは特に資格が必要なわけではなく、極端な話、やる気になれば誰でも、いつ
からでもすぐ出来るのが特徴だ。

ガイドを頼むお客さんには、そのガイドがどれくらい知識や経験が豊富なのかわか
らない。
ガイドには、道案内的ガイドと専門知識を必要とするエコツアーガイドがある。
ガイドといっても、登山のみならずカヌーやダイビングなどもある。
今のところエコツアーガイドと道案内的ガイドに、はっきりとした線引きがあるわ
けではない。

「エコツアーは、自然や地域の文化などを体験する観光旅行の一形態である。エコ
ツーリズムはエコツアーの考え方の意味であり、エコツアーを進める上での、自然
環境への配慮や環境教育、地域経済のあり方などについて、観光関係者や行政機関、
地域社会の人々が取り組むさいの考え方、全体像のことである。」
(屋久島環境文化財団エコツーリズム支援会議の資料から抜粋)

お客さんが何を求めているかが重要で、山道で遭難しないように、道案内的につい
てくれて、山の話を聞きたいだけなら、道案内的ガイドでも良いだろう。
しかし、専門知識を聞いて学習しながら歩くとなると、エコツアーガイドを頼みた
くなるものだ。

本格的な登山の場合は、身の安全を考えると、道案内的なガイドも必要だと思う。
しかし、一人で登れる人なら、道案内的ガイドは特に必要ないような気がする。
エコツアーガイドでよく使われるのが、白谷雲水峡などの日帰り散策だ。
日帰り登山と違って、たっぷり時間があるので、心ゆくまでエコツアーで説明を聞
きながら探索できる。
説明を聞く必要がない人は、エコツアーガイドを伴わずに、一人で行ってもよいだ
ろう。
道案内的ガイドも、もちろん説明をしてはくれるが、どのような内容なのかは、ガ
イドによって違うという。

ガイドになる人の多くは、先輩ガイドについて習うため、個々のやり方があるので
一本化されているわけではない。
先輩ガイドを離れ、独立してからも、個人で勉強して知識を習得していくためだ。
屋久島観光協会に、ガイドに対しての苦情などもあるようだ。
いずれにしてもサービス業なので、お客さんに満足してもらうのが大切だと思う。

もちろん、ガイド自身のマナーがお客さんのマナーにつながることは明らかだ。
根底には、顧客満足がなくてはならないと思う。
お客さんの中には、ガイド料が高いなどの声もあるという。
1人で行けない人が、ガイドを頼んで安心して登山が出来るとすれば、決して高く
はないと思うが、1人で登れる人が、ガイドを頼んだら高いと感じるかもしれない。

高いと思いながら、値切ってガイドをつけようとする人もいるようだが、論外だと
思う。
自分にとって必要であれば、高くてもそれを承知で頼むのだから、お任せしたらい
いだろうし、必要がなければ無理して頼むことはないと思う。

私は初心者なので、1人で登るならガイドをつけたいと思うけど、慣れた人と数人
で登るなら、ガイドをつけないと思う。
私は縄文杉登山に、一度しか行ったことがない。
そのときは、初心者3人で登ったが、ガイドはつけなかった。
山道に迷うことなく登ったが、会話をする余裕が私にはなかった。
日頃の運動無しで、突然登ったのでくたくただった。

しかし、ガイドを頼んでみて、思ったよりもサービス面で満足しなかったお客さん
は「高い」と思うだろうし、満足できたら高いとは思わないはずだ。
ガイド料は一律ではないので、お客さんが選んだらよいと思う。
あるいは、基準がないからこんなものかと思う人もいれば、いろんなガイドに案内
をしてもらった経験のある人は、こっちのガイドは良かったけど、あっちのガイド
は良くなかったから、内容の割には高いということをいい出したくなるのだろう。

ガイド選びも、観光協会や宿泊施設を通して頼むのと、インターネットなどを見て
直接頼むのといろいろ。
観光協会に登録していないガイドもいるので、どの人がどういう内容のガイドかと
いうのは、完全にはわからないのだ。

一日中行動を共にするガイドだから、お客さんとの相性も、もちろんあるだろう。
しかし、人対人のかかわりの仕事なので、ガイドのレベルの基準をどうするかとい
う問題以前に、ガイド自身が楽しんでやっていて、お客さんをも楽しませることが
出来るというのが、一番大切なような気がする。

毎回がガイドにとって、たいてい始めての人との出会いの連続。
いろんな人に出会うことが出来るのも、ガイド仕事の魅力のひとつだ。
ガイドを頼むお客さんも、ガイドの人も、詳細を明確にすることによって、トラブ
ルや苦情は少なくなると思う。

「ガイドを頼んだら、当日までどういうガイドが一緒に行ってくれるのかすらわか
らないのは、改善の余地があると思う。選ぶお客さんの立場になってみると、どう
いう人を選びたいか、顔写真付きの簡単なプロフィールを書いたものがあればいい
のに。」とあるガイドをしている人が言っていたし、私もそう思った。

ガイド自身も自分をアピールできるし、お客さんも自ら選んでいるという、自己責
任があるのはよいと思う。
料金の明示のほか、どういう案内形態なのかも詳しく表示すると良いかもしれない。
一人のガイドが、いろんなお客さんをひとまとめにして、連れて行くということが
多い。
それは一対一だと、ガイドにとって効率が悪いから。

お客さんの立場からすると、ぜんぜん知らない人と、当日に一つのグループにされ
てしまうのは、嫌な人もいるかもしれない。
お客さんのペースがそれぞれ違うので、それをひとまとまりにすると、どのお客さ
んにガイドが合わせるかが難しいと思う。
1人対ガイドもしくは、1グループ対ガイドという形態が、好ましいと思うお客さ
んもいる。

いずれにしても、どういう形態なのかを明確にすることで、トラブルや苦情は減る
のではないかと思う。 
ガイドの多くは、夏に休みなく働いて、冬は余り仕事がないので、のんびりすると
いう、極端な勤務体系だ。
夏に稼いだ分、冬はのんびりする人もあれば、冬は冬で仕事をみつけて働くのが好
きな人もいる。
これから冬になるとポンカン、タンカンの収穫の忙しくなる時期。
夏はガイド、冬は収穫の仕事と、年中忙しく働く人もいるのだ。

登山のガイドをやっている知人が、「楽しいけどきついですよ。きついけどリピータ
ーのお客さんがまた、自分を選んでくれるのは、とてもうれしいことです。誠意を
見せることですね。知識や経験は日々の努力の積み重ねでしょう。」と、登山帰りで
へろへろになりながら、「明日も登山だ。」と言った。



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屋久島パイン株式会社   http://www.yakushimapain.co.jp/
発行責任者  角谷和雄   kakutani@yakushimapain.co.jp
本      社       東京都千代田区麹町1丁目8番14号
屋久島支店       鹿児島県熊毛郡屋久町原914番地
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