メルマガ:風のひとり言――マスコミの裏を読む
タイトル:「風のひとり言――マスコミの裏を読む」番外編  2003/11/20


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         「風のひとり言――マスコミの裏を読む」番外編
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□■□ 「風のひとり言」番外編□■□-----------------------------------
「忍び寄る公明党」
土下座政党になった
自民党

 先の衆院選の結果については、いつものようにいろいろな解説がなされてい
ますが、私個人としては、「よく分からない」というのが正直なところ。自民
党が負けたとも言えないし、民主党にしても勝ったことは事実にしても、大躍
進といえるほどのインパクトがあったかとなると、疑問符も付くような気がし
ます。自民237、民主177は、「国民のバランス感覚」との解説もありま
したが、私はそんな大層なものではなく、いろいろなしがらみの中で、大きな
変化をとりあえず望まなかった“体制内改革”の希求のようなものかな、とも
思いますが。

 で、選挙前に話していた与野党逆転については、とりあえずは遠のいたとい
うことでしょう。小沢さんは頭のいい人ですから、いろいろな仕掛けはしてく
るにしても、政界再編がすぐに起こるかとなると、しばらくは様子見というこ
とになるような気がします。不気味なのは、田中真紀子さんの動静でしょうね。
マスコミもこぞってこの人の動きを追いかけているようですが、いい悪いはと
もかく、影響力だけはものすごいので、これからも目の離せない御仁であるこ
とは確かだと思います。

 話が横道にそれますが、先週、立花隆氏の『「田中真紀子」研究』(文藝春
秋)という本を読みました。少し古い本ながらこれは実に面白かった。田中真
紀子さん本人について詳しく書くというよりは、その人格を形作ったお父さん
――田中角栄と、その政治手法について非常に詳しく書いてある本です。以前
から、真紀子さんの政治的原点は、やはり経世会政治に対する怨念と憎しみに
あると言ってきましたが、この本を読むとそのことが並々ならぬ事実として伝
わってきます。さらに、やはり面白いのは、この人の人格障害。ファザコンで
あり、かつ性格のきついお姫様ですから、人に対する思いやりのなさは突出し
ているといっていいでしょう。知れば知るほど、キライになるのが普通でしょ
うが、距離を置いた人はそうは思わないので、「今後も面白い政治家に化ける
可能性はある」と立花隆氏も言っていることは意外であり、かつ今後を期待さ
せるものがありました。

公明党の実態は
あまりに不透明である

 余計なことを言い過ぎました。今回の本題です。

 選挙のあとに、心ある人は、今回の選挙が公明党主導のものであることを声
高に叫んでいました。それはそうでしょう。自民党議員で当選した人の、実に
70〜80人ほどは公明票の嵩上げによるというのですから、大変なものです。
東京でもそうでしたけれど、例の山拓あたりもなりふりかまわずに「比例は公
明に」と叫んでいました。この事実が何を物語るかは、賢明な皆さんなら言わ
ずとも分かると思います。

 政権政党である自民党は、今回の選挙でも分かるように組織として疲弊して
きています。そして、そこに大きな穴を開けた形になっているのが、とりあえ
ずは小泉政権ですが、これも体質的な部分を含めるとかなりアヤシイですね。
そこにつけこむというか、利用しているというか、公明党がこれだけ伸びてき
ていることには、もっともっと危機感があっていい。本質的にはこの政党は宗
教団体の別働隊であり、特定の集団の利益を代表しているだけに過ぎないこと
を、思い返した方がいいと思います。

 今後、年金問題や自衛隊のイラク派遣を含む安保問題に、この“宗教政党”
の発言力が大きくなることは自明です。ただ、公明党はいちおう平和政党、女
性のための政党を自称しているので、今のところはいいのですが、事態が変化
した時にはどうなるのでしょう。まったく逆の綱領が持ち出されてくる可能性
だってあるのです。現に、公明党は以前、盛んに「健全野党」を標榜していま
した。それがどうでしょう。この頃は、大臣病を含めて「与党意識」がすっか
り板についてきているような気がします。

 一事が万事。この政党の本質を見誤ってはいけない。私もマスコミにいるか
ら分かるのですが、この国の中枢には実に多くの学会員が入り込んでいます。
裁判所、警察、検察、そしてマスコミ。政治の世界に話を転じれば、コトの本
質がもっとよく見えてくるハズです。

 自由であるということは、権力が人権を侵さないこと。物言わぬ空気が、言
論を圧殺しないことです。その意味で、この国はどうなっていくのか。次第次
第に、この宗教団体があらぬ力を持ち始めていることを、もっともっと意識し
た方がいいでしょう。と同時に、どこかで抑制する力が働かないと、自民党も
政党としての体はなしていかないような気がします。

 政変の影に学会あり――どうもイヤな感じがする私のひとり言ですが……。
 

□■□ 後書きのつぶやき□■□----------------------------------------
「ピカソはやはり天才だ!」

 今週は仕事が早めに片付いたので、水曜の午後(19日)、一時上野の森に
遊んできました。上野の森美術館で行われている「ピカソクラシック展」。

 少し前から行こうとは思っていたものの、延び延びになっていた展覧会であ
り、かつ期待に違わぬものでしたね。やはり、「ピカソは天才」。この一語に
尽きると思います。

 ピカソは若い頃から非常に写実的な、古典的な絵を描いていたことはよく知
られていますが、今回はキュビスムから写実への突然の回帰を遂げた1914
年以降、1920年代の作品が中心になっています。有名な絵も当然多く、中
には皆さんが目にしたことのある絵画もいくつかあるのではないかと思います。

 私が気にいったのは、1917年ころの短髪の男性の『アルルカン』、『マ
ンティーリァの女』(1917年)、『女の顔』(1921年)、有名な『海
辺を走る二人の女』(1922年)といったところでしょうか。特に、この『
海辺……』は好きなのですが、今回初めて実物を観て、意外に小さい作品なの
でビックリしたところです。

 あとはやはり、その類いまれなデッサン力や造形力には舌を巻きます。今回
は写実に戻った時に書いたデッサンや素描の類も沢山出品されていますが、や
はり才能のある人は違うというところ。キュビスムのピカソしか知らないと、
この人は本当にデッサンができるのかぐらいに思ってしまう誤解も生まれそう
です。しかし、事実はまったく逆でしょうね。

 今回の面白い発見をいくつか。一つは、ピカソは一筆書きの天才でもあると
いうこと。『馬と調教師』、『馬と女性の調教師』など、10点近くの一筆書
きが出品されています。これも素晴らしい。一筆書きで絵らしい絵が書けると
いうのも、素描の能力が飛びぬけているからなのだと思います。

 それと、この当時に結ばれたオルガ婦人の絵がかなり描かれていますが、本
人より美人になっていてほっそりとしていることも面白い。まぁ、そんなもん
でしょうなぁ。また、ピカソがルノワールからも大きな影響を受けていること
も、私にとっては未知のことでした。

 芸術の秋。読書の秋。私は相変わらず食欲の秋ですが、皆さんはいかがでし
ょう。天候が不順でさほど寒さがきつくないのは、私にとっては幸いしている
ようです。落ち込みもきつくはないので喜んでいます。

 では、少し変則になりましたが、次会のマガジンは準備をきちんとするよう
にしますのでご期待を。番外編でした。

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