|
======================= 仇花の記憶〜ごく私的なやおい歴史記録〜 ☆ 本編第十二回 プロと好事家の間 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ごきげんよう、葡萄瓜でございます。 では、本編を早速に。 さて、本編第九回でお話しました様にいよ いよやおいにも安定した雑誌供給時代が訪 れました。『ブレス』誌(ひかり出版)は厳 密に言うと雑誌とは言い難いのですが、 『manga純一』誌(光彩書房)の競合誌という 事で敢えてこの括りに入れさせて戴きます。 雑誌の安定供給というのは又単行本の安定 供給という福音をも齎すものでございます。 その為本棚のスペース確保が楽になったと 涙された方も多かったのではないでしょう か? しかしながら、安定供給のルートはこれで 確保できましたが、肝心の作家陣は…と言 うとどうも今ひとつと言わざるを得ない状 況が在った様です。 そもそも同人誌アンソロジーを出発点とし たやおい商業出版には作家の輩出に関して 一般商業漫画と大きく違う点がありました。 プロ育成を前提とした徒弟制度、アシスタ ント制度という過程が一切無かったという 点です。 その過程に身を置く個人は確かに居たでし ょう。しかし、やおいという枠組での徒弟 制度は少なくとも確立されていなかっただ ろうと思います。好事家同士の義姉妹関係 はあったとしても。 やおいの枠組の中での徒弟制度確立は恐ら くオリジナルアンソロジー発行形態確立後 の話ではありますまいか。 JUNEに参加していた人々を除けば好事家で 構成されていると言って良いというやおい の世界。実力の個人差は当然ございます。 作品の生産能力の差も然り。 が、その好事家がいともあっさりとプロの 土俵に上がれたという背景には読者も又好 事家であったという一面もあったのではな いかと思います。そして今一つには、同人 アンソロジーというクッションの存在もあ ったのではないでしょうか。 同人アンソロジーは当初こそ同人誌からの 傑作選集と言う意味合いとして機能してお りました。が、冊数を重ねジャンルの流行 が一種の影響力をもつ(※1)に従い、セミ プロの作品発表の場となって参りました。 アンソロジーも一種の単行本でございます ので、その場で作品を発表する事を持って プロと名乗るのはまあ、宜しいといえば宜 しいのですが、発表する作品が二次創作と いうのは些か苦しいのではないか、と。 又オリジナルアンソロジー、果ては雑誌の 世界にしたところで冷静にプロ作家と申し 上げるには些か力量不足と思われる人々が 散見されたのは否定できません。 同人活動とプロ作家活動を平行して行い、 両立できずに同人活動に戻っていく、とい う話を耳にすることもあり、作家さんの育 成というのは難しいものだと読み専ながら に嘆息した事もございます。 稀な例としてはプロ活動の場を美少女漫画 の世界に移し、成功した人もいらっしゃる 様です。が、これはご本人の努力の賜物で あり、そうそうある事例ではございません。 又時としてプロ作家意識を履き違えた人も 散見される様になりましたが、其れも又時 代の流れと言うべきものなのでしょう。 さて同人アンソロジーですが扱われるジャ ンルが るろうに剣心、ONE PIECE、封神演 義、HUNTER×HUNTERと進むにつれ、秋から 冬を飛び越え再び春の時代を迎えておりま した。その中で上記の過程が発生したのだ と思って下さいませ。天空戦記シュラトや サムライトルーパーの時の様な同人と商業 の混在とは又違った流れであったと思いま す。(※2) 半面オリジナルアンソロジーはやや低迷期 に入っていたのではないかと思います。其 れもまた、上記の流れの影響ではなかった かと愚考しております。 では、今回はこれにて。 11月15日の発行は手前勝手ながらお休みを 戴きまして、次回は11月30日にお目にかか りとうございます。 其れまでご機嫌宜しゅう。 追伸と致しまして、些か気の早い予告でご ざいます。 概要をお話し終えた後は月2回の発行ペー スにて正式題『仇花の記憶』はそのままに 『取り留めなきやおい雑話』の副題にてや おい周辺の事について世間様にも通用する 様に噛み砕いてお話して参りたいと思って おります。 その節も宜しければお付き合い下さいませ。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ※1 嘘か誠かは判別し難いが、ジャンルの隆盛に よってアニメ化するかどうかが決定されたコ ミック作品もあったとか無かったとかという 話も小耳にはさんだ。 ※2 本編第5回参照の事。 *同人ジャンルとして扱われた作品概要につい ては割愛。 ======================= 仇花の記憶〜ごく私的なやおい歴史記録〜 本編第十二回 2003.10.31発行 2003.11.20再発行 文責:葡萄瓜XQO website:『仇花の記憶』 http://kamakura.cool.ne.jp/xqo/ mail:xqo_gm@yahoo.co.jp このメールマガジンは melma! http://bbs.melma.com/cgi-bin/forum/m00090840/ Pubzine http://www.pubzine.com/detail.asp?id=22755 メルマガ天国 http://melten.com/m/14637.html Mailux http://www.mailux.com/mm_dsp.php?mm_id=MM3FAB47D02D533 のシステムを利用して発行させて戴いています。 ご意見ご質問等はmelma!内BBS http://bbs.melma.com/cgi-bin/forum/m00090840/ 他WebサイトBBS等にて承ります。 バックナンバーはサイト内にて公開しております。 再配信ご希望の場合はお手数ですがメール若しくは BBSにてご用命戴ければ幸いです。 ======================== |