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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第21回 概要(その21) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 前回に引き続き、遠隔作用のエネルギー配分について説明します。 **************************************** 63.犠牲 **************************************** 前回、エネルギー配分の不公平からくる『集中(偏在)』の話をしましたが、こ うした現象は、そう珍しいものではありません。 例えば、一枚の(長方形の)紙が、左右に引っ張られて破れる現象を考えてみま しょう。 力のかかり方(応力分布)が一様で、なおかつ、紙が全く一様な材質・厚さであ れば、どこから破れるか、見当もつきません。 ところが、どこかに切れ目があると、そこからビリビリと破れます。 また、そのおかげで、それ以外の部分は、破れずにすむわけです。 『破れる』という破壊現象が、切れ目のある場所だけに『集中』するわけです。 今度は、自動車が正面衝突した時のことを考えましょう。 最近の自動車は、ボンネット部分がグシャリとつぶれて、運転席はつぶれません ね。 つまり、わざとボンネット部分をつぶれやすくすることで、衝突のエネルギーを 吸収しているのです。 これも、『集中』の例と言えましょう。 今度は、電気工学の分野に目を向けてみましょう。 ヒューズというのがあります。 これは、熱を持って切れやすいものです。 過剰な大電流が流れた時、ヒューズが切れることにより、他の部分が救われるの です。 これも、広い意味で『集中』の例と言ってよいでしょう。 エネルギーについてのことではありませんが、自然界でも『集中』ということは 見られます。 いわゆる『犠牲』というやつです。 草食動物の場合、誰かが肉食獣の犠牲になることで、他のみんなが救われるので す。 また、ある動物などは、川を横断する際に、誰かが下敷きになって足場となり、 それで群全体が川を渡れるのだそうです。 これらは、犠牲者に悲劇が『集中』することにより、他が救われる例でしょう。 このように、作用やエネルギーが何かに『集中(偏在)』すると、他はそれらを 受けないわけです。 **************************************** 64.集中の謎 **************************************** では、そうした『集中(偏在)』は、どうして起こるのでしょう? ちょっとしたエネルギー配分の不公平では、そうした極端な『集中(偏在)』は 起こらないはずです。 そこで、まず、気付かなければならないのが、遠隔作用のエネルギーの配分のさ れ方です。 遠隔作用では、空間はエネルギーを有することができません。 エネルギーを有することが出来るのは、実体のある物体(を構成する素粒子)だ けです。 つまり、物体の存在する領域だけにエネルギーが集中するのです。 近接作用では、空間にエネルギーが広がってしまうので、こうはいきません。 さて、もう一つは、前回お話しした『61.不公平な配分』です。 距離が違ったり、一方が何らかの拘束力を受けたりすると、エネルギーの配分が 不公平になることを説明しましたね。 つまり、エネルギーを受け取る物体の条件が異なると、エネルギーの配分が不公 平になるわけです。 しかも、遠隔作用の場合は、それが極端になることも、お話ししました。 しかし、そもそも、物体の条件が異なるということ自体、有り得ないことのよう に思えます。 たとえ条件の差があったとしても、ごくわずかではないか? これでは、配分の不公平の度合いも小さく、『集中(偏在)』と呼ぶには、程遠 いはずです。 ところが、微視的な世界では、エネルギーを受け取る物体の条件に、かなり大き な違いが生じているのです。 そして、そのために、エネルギー配分の不公平も大きくなり、『集中(偏在)』 が起こるのです。 その理由とは? **************************************** 65.平均による錯誤 **************************************** 「(相対的に)運動していない物体(固体)は、動きが無い」 と思っていませんか? 確かに、巨視的に見れば、そうでしょう。 ところが、物体(物質)を構成している素粒子たちは、めまぐるしく動いている のです。 そして、そのために、素粒子の条件も、めまぐるしく変化しているのです。 しかも、全ての素粒子が、相対的に同じ条件になるように変化しているのではな いのです。 1.ある瞬間には、素粒子Aがエネルギーを受けやすい条件にあり、素粒 子Bは受けにくい条件にある。 2.別の瞬間には、素粒子Aがエネルギーを受けにくい条件にあり、素粒 子Bは受けやすい条件にある。 3.しかし、時間的な平均をとると、両者は、同じ条件にあることになる。 という具合に、です。 ここで気付いて欲しいのは、『瞬間』と『平均』とでは、条件のあり方が違う ということです。 つまり、これは裏を返せば、時間的平均をとると同条件でも、瞬間毎には異なる 条件にあるということです。 ちなみに、我々は、素粒子たちを、瞬間毎に把握することは出来ません。 時間的な平均でしか、それらを把握できないのです。 そのために、自分が考察の対象としている複数の素粒子は、全て同じ条件にある と錯覚してしまうのです。 同じ条件にあるから、エネルギー配分の不公平も起きない。 だから、『集中(偏在)』も起きない。 そう考えてしまうのです。 ところが実際には、瞬間毎に、個々の素粒子の条件は異なっているのです。 そのため、エネルギー配分の不公平が起き、『集中(偏在)』が起こることにな るわけです。 **************************************** 66.静的から動的へ **************************************** 今まで述べた概念を、図(絵文字)で示すと、例えば次のようになります。 平均 △△△△ 瞬間 ○○×× ○×○× ○××○ ×○○× ×○×○ ××○○ ちなみに、△は、○と×の中間値です。 4つの素粒子の条件は、平均では均一でも、瞬間毎には不均一なのがわかるでし ょう。 これが、エネルギーの不公平→集中を招く理由だったのです。 さて、平均をとることによって均一化して問題を捕らえるやり方は、静的な捕ら え方と言うことが出来ましょう。 これに対し、瞬間毎に不均一なままで捕らえるやり方は、動的な捕らえ方と言う ことができます。 ちなみに、仮想力線電磁気学は、動的な捕らえ方をします。 つまり、瞬間毎に不均一とした状態を前提としているのです。 これが、量子論的な現象が説明できる理由の一つです。 一方、量子論は、静的な捕らえ方をします。 つまり、平均をとって均一とした状態を前提としているのです。 どちらの前提が、より事実に近いか? それを考えれば、選択肢は自ずと決まってくると思います。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |