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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第20回 概要(その20) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 前回に引き続き、遠隔作用のエネルギー配分について説明します。 **************************************** 61.不公平な配分 **************************************** 再び、一つの物体(A)が二つの物体(BとC)に作用を及ぼし、エネルギーを 与える問題を取り上げます。 ○B A○ (図20-1) ○C もし、物体Bと物体Cが全く同じ条件にあるとするならば、この二つの物体は同 じ量のエネルギーを得るはずです。 つまり、物体Aが失ったエネルギーをΔEa、物体Bと物体Cが得たエネルギーを それぞれΔEb、ΔEcとすると、 ΔEb = ΔEc = ΔEa / 2 となります。 さて、それでは、もし物体Bと物体Cが同じ条件になかったとしたら、どうなる のでしょうか? 例えば、下図のように、物体Cが、図20-1に比べて、物体Aにより近い場合はど うでしょう? ○B A○ (図20-2) ○C 一般に電磁気作用は、距離が近くなるほど強くなりますから、前回の話からもお わかりのように、 ΔEc' > ΔEc = ΔEa / 2 よって、 ΔEb' < ΔEc' ΔEb' < ΔEb = ΔEa / 2 となります。 ここで、気付いてほしいことが二つあります。 まず一つは、当たり前のことですが、二つの物体の条件が等しくなくなると、エ ネルギーの配分が公平(等分)ではなくなることです。 そして、もう一つ重要なのは、物体Cが得るエネルギーが多くなったために、物 体Bの得るエネルギーが、等配分となる図20-1の場合よりも、少なくなってしま うことです。 この二つ目の特徴(物体Bから見て、第三者である物体Cの影響を直接受ける、 という特徴)は、遠隔作用特有のものです。 この特徴のせいで、不公平の度合いが、さらに拡大するわけです。 さて、エネルギーの配分を不公平にするのは、距離の違いだけではありません。 例えば、電磁気作用の場合、物体Cの電荷の大きさが、物体Bの電荷の大きさよ りも大きくなると、物体Cに働く作用(力)が大きくなるため、図20-2のように 距離が近くなった時と同じように、エネルギーの配分が不公平になります。 ○B A○ (図20-3) ◎C また、物体Cの質量が小さくなると、同じ作用(力)でも、それだけ加速されや すくなります。 ○B A○ (図20-4) oC 一方、エネルギーは、 E = (m・v・v)/2 ですから、質量が小さくなった以上に、速度の増加による影響の方が大きく、結 果的に、得るエネルギーが増大します。 このため、この場合も、エネルギーの配分は不公平になります。 さらに、物体Bが、何らかの拘束力を受けている場合も、エネルギーの配分は不 公平になります。 ┳ ┝○┫B ┻ A○ (図20-5) ○C これは、ちょうど物体Bの質量が大きくなった場合とよく似ています。 物体Bは、拘束力のために、加速することができず、そのためにエネルギーを得 ることができないのです。 このために、その分のエネルギーは、物体Cにとられてしまうことになるわけで す。 **************************************** 62.不公平と偏在 **************************************** さて、なぜ、『エネルギー配分の不公平』などという当たり前の問題に、ここま でこだわるのか、不思議に思われると思います。 実は、これは、『(場の)実在性』や『観測』に、極めて大きな問題をもたらす のです。 上で述べた図20-1〜5 の問題において、物体Bと物体Cは、物体Aが発生させる 電磁場を検出する『センサー』の働きをしている、と言うことができます。 そこで、今度は、『センサー』の数をもっと増やして5つにしてみましょう。 ○B ○C A○ ○D (図20-6) ○E ○F そこで、もし、5つの物体の得たエネルギーの値が、例えば(あくまでも例えば の話です)、 B = C = D = E = F = 4 という関係にあったとしたら、物体Aが発生させた電磁場は、(物体B〜Fが存 在する領域において)一様に広がっている、と判断されるでしょう。 また、もう少し現実的に(あくまでも例えばの話ですが)、 B = 3 C = 4 D = 5 E = 4 F = 3 という関係にあったとしたら、それでも電磁場は、物体Dの存在する位置を頂点 に、連続的な広がりをもって存在している、と判断されるでしょう。 ところが、(あくまでも例えばの話ですが、)次のような結果が得られたとした ら、どうでしょう? B = 0.5 C = 0.8 D = 10.0 E = 0.8 F = 0.5 はたして、これでも、電磁場は連続的な広がりをもって存在していると判断され るでしょうか? 物体Dの存在する位置だけが突出しているために、そこにエネルギーが集中(偏 在)している、と判断される可能性があるのではないでしょうか? 特に、センサーの感度、誤差(精度)、ノイズなどから、1.0 以下の値を無視す るとしたら、なおさらでしょう。 こうなると、電磁場(やエネルギー)は、連続的な広がりをもって存在している のではなく、ある場所に(不連続に)偏在している、と判断されるはずです。 量子論に詳しい方なら、これは何処かで聞いた話とよく似ていることに気付かれ ると思います。(詳しくは、第4章で説明します。) エネルギー配分の不公平は、こうした『偏在』『集中』という現象を、よりもた らしやすくします。 特に、遠隔作用の場合、他者によるエネルギーの横取りが起こるので、なおさら です。 つまり、ある条件を満たしたがために、5つある物体のうちの一つが、たまたま 大きなエネルギーなエネルギーを得ると、他の4つの物体の受け取れるエネルギ ーが、その分、小さくなってしまう、というわけです。 そして、このことが、量子論的な現象と深く関係してくるのです。 ここまでくると、これまで『当たり前すぎる話』をクドクドとしてきた理由が、 御理解いただけるのではないかと思います。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |