メルマガ:仮想力線電磁気学
タイトル:仮想力線電磁気学  2003/11/03


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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第20回 概要(その20)

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前回に引き続き、遠隔作用のエネルギー配分について説明します。

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61.不公平な配分
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再び、一つの物体(A)が二つの物体(BとC)に作用を及ぼし、エネルギーを
与える問題を取り上げます。

         ○B

  A○             (図20-1)

         ○C

もし、物体Bと物体Cが全く同じ条件にあるとするならば、この二つの物体は同
じ量のエネルギーを得るはずです。
つまり、物体Aが失ったエネルギーをΔEa、物体Bと物体Cが得たエネルギーを
それぞれΔEb、ΔEcとすると、

 ΔEb = ΔEc = ΔEa / 2

となります。

さて、それでは、もし物体Bと物体Cが同じ条件になかったとしたら、どうなる
のでしょうか?

例えば、下図のように、物体Cが、図20-1に比べて、物体Aにより近い場合はど
うでしょう?

         ○B

  A○             (図20-2)

       ○C

一般に電磁気作用は、距離が近くなるほど強くなりますから、前回の話からもお
わかりのように、

 ΔEc' > ΔEc = ΔEa / 2

よって、

 ΔEb' < ΔEc'

 ΔEb' < ΔEb = ΔEa / 2

となります。

ここで、気付いてほしいことが二つあります。

まず一つは、当たり前のことですが、二つの物体の条件が等しくなくなると、エ
ネルギーの配分が公平(等分)ではなくなることです。

そして、もう一つ重要なのは、物体Cが得るエネルギーが多くなったために、物
体Bの得るエネルギーが、等配分となる図20-1の場合よりも、少なくなってしま
うことです。
この二つ目の特徴(物体Bから見て、第三者である物体Cの影響を直接受ける、
という特徴)は、遠隔作用特有のものです。
この特徴のせいで、不公平の度合いが、さらに拡大するわけです。

さて、エネルギーの配分を不公平にするのは、距離の違いだけではありません。

例えば、電磁気作用の場合、物体Cの電荷の大きさが、物体Bの電荷の大きさよ
りも大きくなると、物体Cに働く作用(力)が大きくなるため、図20-2のように
距離が近くなった時と同じように、エネルギーの配分が不公平になります。

         ○B

  A○             (図20-3)

         ◎C


また、物体Cの質量が小さくなると、同じ作用(力)でも、それだけ加速されや
すくなります。

         ○B

  A○             (図20-4)

         oC

一方、エネルギーは、

 E = (m・v・v)/2

ですから、質量が小さくなった以上に、速度の増加による影響の方が大きく、結
果的に、得るエネルギーが増大します。
このため、この場合も、エネルギーの配分は不公平になります。

さらに、物体Bが、何らかの拘束力を受けている場合も、エネルギーの配分は不
公平になります。

         ┳
        ┝○┫B
         ┻
  A○             (図20-5)

         ○C

これは、ちょうど物体Bの質量が大きくなった場合とよく似ています。
物体Bは、拘束力のために、加速することができず、そのためにエネルギーを得
ることができないのです。
このために、その分のエネルギーは、物体Cにとられてしまうことになるわけで
す。

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62.不公平と偏在
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さて、なぜ、『エネルギー配分の不公平』などという当たり前の問題に、ここま
でこだわるのか、不思議に思われると思います。
実は、これは、『(場の)実在性』や『観測』に、極めて大きな問題をもたらす
のです。

上で述べた図20-1〜5 の問題において、物体Bと物体Cは、物体Aが発生させる
電磁場を検出する『センサー』の働きをしている、と言うことができます。
そこで、今度は、『センサー』の数をもっと増やして5つにしてみましょう。

         ○B

         ○C

  A○     ○D       (図20-6)

         ○E

         ○F

そこで、もし、5つの物体の得たエネルギーの値が、例えば(あくまでも例えば
の話です)、

 B = C = D = E = F = 4

という関係にあったとしたら、物体Aが発生させた電磁場は、(物体B〜Fが存
在する領域において)一様に広がっている、と判断されるでしょう。

また、もう少し現実的に(あくまでも例えばの話ですが)、

 B = 3
 C = 4
 D = 5
 E = 4
 F = 3

という関係にあったとしたら、それでも電磁場は、物体Dの存在する位置を頂点
に、連続的な広がりをもって存在している、と判断されるでしょう。

ところが、(あくまでも例えばの話ですが、)次のような結果が得られたとした
ら、どうでしょう?

 B =  0.5
 C =  0.8
 D = 10.0
 E =  0.8
 F =  0.5

はたして、これでも、電磁場は連続的な広がりをもって存在していると判断され
るでしょうか?
物体Dの存在する位置だけが突出しているために、そこにエネルギーが集中(偏
在)している、と判断される可能性があるのではないでしょうか?
特に、センサーの感度、誤差(精度)、ノイズなどから、1.0 以下の値を無視す
るとしたら、なおさらでしょう。
こうなると、電磁場(やエネルギー)は、連続的な広がりをもって存在している
のではなく、ある場所に(不連続に)偏在している、と判断されるはずです。
量子論に詳しい方なら、これは何処かで聞いた話とよく似ていることに気付かれ
ると思います。(詳しくは、第4章で説明します。)

エネルギー配分の不公平は、こうした『偏在』『集中』という現象を、よりもた
らしやすくします。
特に、遠隔作用の場合、他者によるエネルギーの横取りが起こるので、なおさら
です。
つまり、ある条件を満たしたがために、5つある物体のうちの一つが、たまたま
大きなエネルギーなエネルギーを得ると、他の4つの物体の受け取れるエネルギ
ーが、その分、小さくなってしまう、というわけです。

そして、このことが、量子論的な現象と深く関係してくるのです。

ここまでくると、これまで『当たり前すぎる話』をクドクドとしてきた理由が、
御理解いただけるのではないかと思います。

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 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp
 配信  : MailuX http://www.mailux.com/

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