メルマガ:組紐工芸 工房 多津蔵通信
タイトル:「薩摩の夢」”多津蔵物語 其の二”  2003/10/21


多津蔵の彩りとは、どんなものなのでしょうか?
”いろどり”単味では出ません。複数以上の重なりが無くては成りません。
どんな重なりなのか?
”かさなり”とは、異なるものの重なりと、同じものの重なりが在ります。
彩りと云えば、異なったものと思いがちですが、其れこそが貧困なのです。
異なりを見せる事に拘り過ぎますと、違いばかりを捜してしまいます。
でも、同じ一日でも、朝と昼と夜が違うように、異なりの表情は多彩なのです。
同じものの重なりでも、見せ方によっては、全く違うものと成るのです。
多津蔵は、此の違いが、異なりと見えるようにする事を、大切に致しています。
工房を、季節の花で飾り、切り取られた空間の新鮮な感動を作っています。
関わる仕事の単調さを防ぐために、仕事の種類を時として変えます。
勿論、色彩の豊かな仕事ですので、一つ一つが楽しいものです。
其れでも、お茶の時間の、お菓子の彩りとかにも工夫を致します。
工房の生活そのものが、豊かな彩りを持てるようにしています。
でも、この事で、工房が彩り豊かに成るとは思っていません。
大切な事は、仕事の質なのです。
偽物ではない、本物の素材を使い、手を抜かない誠実な作業をする事です。
此の重なりが、工房の基本なのです。
豊かな彩りとは、変わったものを、必死に重ねることでは無いのです。
裏切らない誠実な仕事と、毎日の生活の潤いによって、彩られるのです。
多津蔵の彩りとは、こうした積み重なりによって、成し遂げられていきます。
百年の伝統とは、この事を意味するのです。
工房「多津蔵」の、百年の歩みが始まりました。
                       工房「多津蔵」デザインルーム

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