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多津蔵の彩りとは、どんなものなのでしょうか? ”いろどり”単味では出ません。複数以上の重なりが無くては成りません。 どんな重なりなのか? ”かさなり”とは、異なるものの重なりと、同じものの重なりが在ります。 彩りと云えば、異なったものと思いがちですが、其れこそが貧困なのです。 異なりを見せる事に拘り過ぎますと、違いばかりを捜してしまいます。 でも、同じ一日でも、朝と昼と夜が違うように、異なりの表情は多彩なのです。 同じものの重なりでも、見せ方によっては、全く違うものと成るのです。 多津蔵は、此の違いが、異なりと見えるようにする事を、大切に致しています。 工房を、季節の花で飾り、切り取られた空間の新鮮な感動を作っています。 関わる仕事の単調さを防ぐために、仕事の種類を時として変えます。 勿論、色彩の豊かな仕事ですので、一つ一つが楽しいものです。 其れでも、お茶の時間の、お菓子の彩りとかにも工夫を致します。 工房の生活そのものが、豊かな彩りを持てるようにしています。 でも、この事で、工房が彩り豊かに成るとは思っていません。 大切な事は、仕事の質なのです。 偽物ではない、本物の素材を使い、手を抜かない誠実な作業をする事です。 此の重なりが、工房の基本なのです。 豊かな彩りとは、変わったものを、必死に重ねることでは無いのです。 裏切らない誠実な仕事と、毎日の生活の潤いによって、彩られるのです。 多津蔵の彩りとは、こうした積み重なりによって、成し遂げられていきます。 百年の伝統とは、この事を意味するのです。 工房「多津蔵」の、百年の歩みが始まりました。 工房「多津蔵」デザインルーム |