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多津蔵が誕生したのは、今年のお正月でした。 何もない、廃墟の校舎が在るだけでした。インフラの整備を終え、 春になり、主宰が住み込みました。 生活の最低限のものを持ち込んで、耐え忍ぶ毎日が始まりました。 其れでも、スタッフが揃い、基盤整備が済むと、何とか形になったのです。 入れ物が整うと、直ぐに仕事が始まりました。 此処からは、意外に早い立ち上がりと成っていきました。 房を作り、服紗を作り、紐の飾り結びをし、仕覆を作り、織り機を入れました。 いつのまにか、多津蔵は、工芸の館と成っていました。 手仕事は、積み重ねなのです。 一度に沢山の物を作る事は、多くの手が要ります。それは現実には難しいのです。 そこで求められる事は、スタッフは、誰もが、同じ能力を持つことなのです。 此の仕事は出来ないでは、関われなくなってしまいます。 誰もが、どんな仕事でもこなせ、どのような関わりでも可能でなければ成りません。 今、多津蔵では、此の柔軟性が出来ています。 どんな仕事でも、誰でもがやれるのです。 勿論、得手不得手は在りますので、得意な仕事に、通常は掛かります。 でも、沢山の注文が固まって入った時には、分担をして裁く事が出来ます。 此の力が、多津蔵の力なのです。 職人としての技量が、フレキシブルなのです。 主宰の、人の採用と指導が、巧みである事を、示します。 そして、多津蔵のスタッフの柔軟性を、誉めて上げたいと思います。 多津蔵は、初期の段階を、順調に進んでいます。 袋の仕立てと、絹織物の挑戦が、是れからの課題ですが、展望は在ります。 其の先には、組紐工芸の、新たな仕事が待ち構えています。 其の姿が、少し形となって、見えてきました。 糸を巻き、糸を整形し、糸を織り付け、糸を織ります。織られた裂を仕立てます。 此の繰り返しが、工房の姿となります。 若い人が、活気を持って、多津蔵で働き、多津蔵の生活を創り出します。 組紐の世界が、大きく広がります。其の形は、彩りの "たわやかさ"です。 多津蔵の彩りを楽しみ、豊かな感性が花開く事を、夢見ています。 お正月の挨拶に、『今年見る夢は・・・』と書きました。 其れが、此の様な形となったのです。 素晴らしい夢が、一つ形になりました。 多津蔵物語の、始まり始まりなのです。 ********************************************工房「多津蔵」デザインルーム |