メルマガ:仮想力線電磁気学
タイトル:仮想力線電磁気学  2003/10/07


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 N┃→          仮想力線電磁気学
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●第16回 概要(その16)

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今回から、再び遠隔作用ついて説明します。

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47.相手がいなければダメ
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近接作用では、作用は空間を媒介して相手に伝わります。
作用を及ぼそうとする物体は、まず、媒体である空間に対して、作用を及ぼしま
す。
作用を受けた空間は、この作用を伝え、作用を受けることになっている物体に対
して作用を及ぼします。
こうして、作用は相手に伝わるわけです。

さて、ここで気付いてほしいのは、作用を受ける物体が存在しなくても、(作用
を及ぼそうとする)物体は、空間に対して作用を及ぼすことになる、ということ
です。
このため、作用を受ける物体が存在しなくても、(作用を及ぼそうとする)物体
は運動量やエネルギーを失うことになるということです。
もちろん、運動量やエネルギーを奪うのは、空間です。

これが、近接作用の特徴です。

これに対し、遠隔作用では、作用は相手方に直接伝わります。
空間(真空)は、作用を受けたりはしません。
作用を受けるのは、実体のある物体だけです。
よって、作用を受ける相手の物体が存在しないと、作用という概念自体が存在し
なくなるのです。
遠隔作用では、作用を受ける相手がいて、はじめて、作用が生じることになるの
です。
したがって、作用を受ける相手がいないと、運動量やエネルギーを失うことはな
いのです。

これが遠隔作用の特徴です。
近接作用とは、全く異なることがわかるでしょう。

ついでにいうと、相手がいないと作用が存在しないという特徴は、物体どうしの
(完全弾性)衝突という現象とよく似ていることがわかるでしょう。
また、『作用を受ける物体が存在しないと、場を考える意味は無い』という、場
の実在性の問題とも関連してしていることにも気付かれると思います。

いずれにせよ、遠隔作用は、近接作用とは全然異なる特徴があるのです。
そして、そのために、近接作用よりも、より多くのこと(特に量子論的な現象)
を説明することができるのです。

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48.相手が受け入れなければダメ
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さて、遠隔作用で気をつけてほしいのは、作用を受ける相手がいたとしても、相
手が(作用によって)仕事を受けなければ、(作用を及ぼす)物体は運動量やエ
ネルギーを失うことはない、ということです。

これは、物体の衝突にたとえると、わかりやすいと思います。
(質量が相対的に小さい)ボールを、地面(質量が相対的に大きい地球)にぶつ
けても、ボールは跳ね返ってくるだけですね。
もし、完全弾性衝突なら、ボールは衝突の前後で、運動量やエネルギーを失うこ
とは無いでしょう(ただし、向きは変わりますが)。
ボールが運動量やエネルギーを失うためには、地球よりもずっと質量の小さな物
体、例えば別のボールに衝突する必要があるでしょう。
それにより相手に仕事をすることによって、運動量やエネルギーを失うことがで
きるのです。

遠隔作用の場合も、これと同じです。
相手が仕事を受けてくれた時、はじめて運動量やエネルギーを失うことができる
のです。

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49.相手に影響される
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こうしてみると、遠隔作用では、作用を受ける相手によって、作用を及ぼそうと
する自分自身が影響を受けることがわかるでしょう。
これが、いわゆる『反作用』なのです。
遠隔作用では、作用・反作用が瞬間的に及びます。
また、以前にも述べたように、作用と反作用の区別は相対的なものです。
反作用も、相手から見れば作用なのです。
いずれにせよ、遠隔作用では相手の影響を受けるため、相手次第で結果は大きく
違ってきます。

近接作用の場合は、違います。
相手がどうあろうと、作用はまず空間に伝えられるのですから、相手の影響は直
接的には受けません。
もちろん、空間を介して相手から反作用を受けることもありますが、時間的な遅
れが伴います。
こうしたことから、相手からの影響のことは無視または軽視されがちです。
なにしろ、近接作用では、主役は『空間』なのですから。

作用を受ける相手の影響を考える遠隔作用と、それをほとんど考えない近接作用
とでは、全然異なった振る舞いをすることは、容易に想像がつくでしょう。
そして、これがまた、遠隔作用が近接作用よりも、より多くのこと(特に量子論
的な現象)を説明することができる理由の一つなのです。

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50.周囲に影響される(非局所性)
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さて、電磁気作用というものは、相手を選ぶことは出来ません。
つまり、特定の相手とだけ作用を及ぼし合うということが出来ないのです。
したがって、周囲に存在するものすべてと作用を及ぼし合うことになります。

加えて、電磁気作用の到達距離は無限遠です。

よって、全空間の全物質と作用を及ぼし合うことになります。

これは、言い換えれば、全空間の全物質が作用を受ける相手となるということで
す。
一方、遠隔作用では、作用を受ける相手に影響されます。
以上のことから、遠隔作用では、全空間の全物質の影響を受けるということにな
ります。

つまり、もう少しくだけた言い方をすると、
「誰とも関わり合いにはなりたくない」
「誰の影響も受けたくない」
と思っていても、実際には、この世のすべてと嫌でも関わりを持ってしまう(こ
の世のすべてから嫌でも影響を受けてしまう)ということです。
物理学の世界では、これを『非局所性』といっています。
ちなみに、これは、量子力学でよく出てくる概念です。

近接作用では、作用の主役は空間です。
したがって、周囲の影響といえば、自分に極近い周囲(近所)の空間からの影響
ぐらいしか考えません。
したがって、近接作用は、古典的な枠組みにおいては、局所的です。
これを非局所的なものにするためには、量子力学が必要です。

遠隔作用では、最初から非局所性が満たされているので、少なくともこの点にお
いては量子力学は不要であることがおわかりでしょう。
いずれにせよ、これもまた、遠隔作用が近接作用よりも、より多くのことを説明
することができる理由の一つなのです。

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