月刊小説メールマガジン『君が好き！』 2003/10/01

メルマガ：月刊小説メールマガジン『君が好き！』
タイトル：月刊小説メールマガジン『君が好き！』 2003/10/01

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝月刊小説メールマガジン　　　　　　　　　2003年10月1日　発行『君が好き！』　　　増刊号vol.41 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝こんにちわ～。篠原ですぅそれにしても、三井住友海上という保険会社は悪質ですね。私だけがこんな思いしているわけじゃありませんでした。某有名サイトでは、晒し上げとなっています。参考までにご一読をお勧めします。 http://www.tanteifile.com/diary/2003/09/18/index.html http://www.tanteifile.com/diary/2003/09/19/index.html http://www.tanteifile.com/diary/2003/09/24/index.html http://www.eat-p.com/am/ ということで、篠原も裁定まで発展したことなので、この小説とは別に、今までのやり取りをこと細かく書き出して、WEBに社名と担当者実名で公表することに決めました。三井住友海上の方、文句があるならいつでもメールください。 ★随時、ＨＰは更新しております♪ ハーボット置きました！　遊んであげてください(。-_-。）新BBSを設置しました。ぜひ書き込んでくださいね～ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 増刊号　今月のラインナップ　　 ●緊急企画【けだるい午後のひととき】第三話　篠原美姫緒 ●愛の寸劇劇場　【ちょっとおかしな二人の話《兄弟編２》】瀬乃美智子 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 　　　　　　　【けだるい午後のひととき】第三話　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　篠原美姫緒「つかさ、仕事で車使わないけど、代車代って出るん？」　兄である松岡夢路は、元検事である。検事ではあったが、縦社会に嫌気がさし、探偵などということをやっていたりする。「場合によりけりだろ。」「なるぅ」「あの会社は、出さないかもなぁ」「えぇ？！　会社によるの？」「俺、刑事事件担当だったから、交通事故、特に物損はあんまり知らない」「こ、こういうときに二人揃って頼りにならないじゃん！」「……。お前、人のこといえるのか。」　痛いところを突かれた。　長男の松岡有栖は、警視庁の警視正。いわゆるキャリア組だ。それがゆえなのか、交通事故については疎いらしい。それでも、警察官なんだから少しはわかるだろうと、ためしに電話してみると、「物損だろ？　事故証明？　あー無理無理。県警だろ？　んじゃ、検察に書類送ってないから見れない」　と、冷たい返事が帰ってきた。しかも最後には「お前、被害者なんだろ？　被害者なのになんでもめるん？」　もっともなことを言われた。実に頼りにならない兄たちである。「現場検証って、私の証言で作成して、行政書士さんとかに公正証書にしてもらえないかしら。」　とりあえず、側にいる兄、夢路に相談してみる。今、天保が頼れるのはこの人だけである。「できなくはないんじゃない？　裁判やるときにはそれが一番いいかも。まぁ相手の弁護士が却下すれば終わりだけどね」「だめぢゃん…」「いや、そうでもないだろ。」　それは、自分の主張を絶対曲げないという意思の現れでもあるという。「現場検証、保険会社としてないん？」「うん。やる必要ないってはっきり言われた」「はぁ？！」「おとっつあんが示談したときに、言ったらしい」　本来なら、被害者の申し出があれば、保険屋は加害者とともに、すぐに現場検証するのが優良企業の証である。なのに、天保の父は、現場検証しようといったら、断られたという。「担当者変えてもらったら？」　天保ははっとした。「俺、天保の話しと、この間の担当者との話しのやりとりみて、思ったけど、示談になってないじゃん。一方的に８：２です。諸経費は認めませんので、必ず修理してください。って、なんで加害者が命令するんだ？」「そうだよね？　絶対、あの担当者おかしいよね？」「賠償は基本的に、被害者に対する損害に対して正当に払われなければならない。」　正論である。だが、あの担当者にはそれが通じない。「属にいう、払い渋りというやつだな。」　めったに顔を見せることがない、人気売れっ子作家・漫画家・タレントの三番目の兄、水晶（きらら）が、帰省してきた。　例のごとく、異様な出で立ちで、髪の毛は伸びきって、無精ひげが生えていた。「おれのところに、怪しいファンレター出したやつがいてな」　白い封筒に、女の字で出版社宛てに水晶へファンレターが届いた。裏の差出人を見ると、大きな字で「あたり」　とだけかかれてあった。「電話とかメールとかしろよ。何も手紙で…」　水晶は、はぁとため息をつきながら言った。「電話はいつかけても、電源はいってないし、メールはエラーで返って来るし」「おおそうだった、メルアド変えたんだ。っていってなかったっけ」　ありがちな音信不通である。「昨日で、とりあえず、締め切りは終わった。。。３時間だけ時間がある」　と、兄はでかい紙袋いっぱいに資料を持ってきた。「俺ができるのはそこまでだ。あとは、めろにやってもらえ」　と、言い残し、家にあった食料を持ってきた紙袋に詰め込んで帰ってしまった。　テーブルには山積みとなった、資料だけがのっかっている。その一番上に、「事後報告を待つ」　とだけ、書かれた手紙があった。「あいつ…。人をネタにする気か！」「十分ネタになるね。水晶が持ってきた資料は、保険会社に払い渋りされた人のデータだ。」　それらは、すべて被害者の怒りの声であろう。隠すことなく、保険会社と闘い勝ち取った記録である。情報公開者が多いのは、二の舞にならないようにとの警告にも思えた。「ひでぇ…」　読めば読むほどひどいものばかりである。　だが、不思議なことに、そのほとんどが天保と同じ会社？？？？？！「あれだ、物損って、金額少ないから、こじらせたくないって思う人が、妥協して保険会社のいいなりになっちゃうんだね」　夢路はただうんうんと頷いた。　天保の場合は、実に明白であった。　民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準（1997.全訂３版）の判断基準抜粋によれば、確かに２：８。だが、保険屋は客観的に認めなければならない証拠が残っていた。それは、右と右が衝突しているという、動かせない物的証拠である。つまり、相手は天保の車と相当近い位置にいたということになり、回避不能であったことが容易に推測できる。「まちがいなく直近右折」「だな。法的に言えば、んーそうだな。『直進車が停止線を越えた時点で、右折を開始すれば、それは直近にあたる』な。」「ええ？！　そんな遠くても直近になるの？！」「考えてごらん。この道路には制限速度の標識はない。つまり時速６０㎞の速度で走行可能だ。時速６０㎞は１秒間に約16.7メートル進む。天保はそんなスピードがなかったとしても、３０㎞でてれば約8.3メートルは進む。０コンマ何秒単位で、人間がブレーキ踏んでハンドルきって回避するなんて、不可能だ」　事故現場の道路は、１０メートル以上道路である。交差点を渡り終える寸前に事故が起きたという、天保の証言に確実に一致する。「じゃあ、徐行は？」「徐行の法定速度って知ってるかい？」「……５キロ？？」「いや、10kmだ。だが、今販売されている車というか、ほとんどのは、メーターが20kmから表示されている。つまり、メーターが少し上がった時点で20kmは出ているんだ。」「ああ、そういえば…」　たしかに20kmまでは、メーターはすぐ上がるが、30kmになるまでは少し時間がかかっていた。「この法律の解釈をするなら、徐行なしというのは、法定で決められている徐行速度ではないが、それに近い速度より上ってことだろう」「ふむふむ。ぐ、具体的に何キロくらい？」「20km出てれば、徐行とはいえないだろう。」　ををを～　と天保は感心した。「あと、相手に当たるとしたら、著しい過失って部分かな。あんな広くて、遠くまでよく見渡せる道路で、対向車が見えなかったというのは、極度の前方不注意にあたるだろう。しかもすぐ側までいたんだ」　法律に詳しい人が身近にいるというのは、なんとも心強い。ちゃんとした、法解釈までして、素人にわかりやすいように説明をしてくれる。「ただ…」「ただ？」　夢路は言葉を濁した。「弁護士事案になったらやっかいだ」　M井S友海上は、示談のたびに裁判をちらつかせてくる。それは、こちらの要求が飲めないのなら、弁護士に頼むから勝手にやって。ということだ。「水晶が持ってきた資料も、被害者が法律に詳しかったり、うるさかったりしたら、弁護士に丸投げっていうのが多いな。きになる」「これ見てると、向こうの弁護士は、弁護士法なんてくそくらえ！　って感じっぽいな。いわゆる、自社利益最優先。ああ、でも裁判官がしっかりしていれば、ちゃんと判決が出てる。日本もまだ捨てたもんじゃない」「で？　裁判になったら勝ち目ある？」「あるある。」「費用は？　弁護士雇ったら金かかるでしょ？　夢路の知り合いに頼めない？」「弁護士はいらない。これだけ証拠があるし、調停とか小額訴訟は、保険会社に逃げ道があるみたいだから、本人訴訟でいけるんじゃないか？」「本人訴訟ってなに？」「自分で自分の弁護して裁判するの。金かからないし、俺はいいと思うけどなぁ」　そりゃ、あんたもと検事だから、裁判慣れてるだろう！　と突っ込まずに入られなかった。素人に裁判は恐ろしい存在なのである。「まぁ、とりあえずこれだけの証拠を担当者、いや担当者の上司に直接言ってみることだ。事態が変るかもしれん」　はい、と天保は返事をした。　今年は冷夏で、お盆だというのに毎日雨だった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《続く》 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 　　　　　【ちょっとおかしな二人の話《兄弟編３》】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　by瀬乃美智子「っ！？」陶器の割れる音とともにレイモンドは覚醒する。どうやらいつものように部屋のソファーでお茶を飲んだままの状態で眠ってしまっていたようだ。しかし、いつものと違うのはその夢…いや、予知夢の中に出てきた人物。「…カミアっ。」カミアと重なって映し出された竜のイメージ。 (あれは…。) ――竜。通常ならばありえないその存在にレイモンドは心当たりがあった。普通の人間ならば信じられぬ事だが、レイモンドの実家は違う。外国の地に広大な土地を所有するにはそれなりのわけがあった。占いの力を与えてくれる神聖な存在――竜、その幻想と言われている動物をレイモンドの家では１匹飼っていたのだった。「…いや、しかしあの竜は火竜とは違う」火竜の体は名に違わぬ真紅だ。あのダーク色の竜とは全く違う。しかも…。「何故一緒に思い浮かんだのがカミアなんだ？」漠然的なイメージに、レイモンドは戸惑う。いつもなら、リアルすぎるほどにはっきりした未来が見えるのに…。「とにかく、彼女に連絡を」もう随分夜も遅いというのに、それに気付く余裕もなくレイモンドは電話に手を伸ばす。しかしダイヤル後、耳に響いてきたのは不通になった電話の発信音。それはそうである。その数十分前、彼女の家は巨大な竜にその身を埋められ、電話などの家財道具は破壊されていたのだから。「くそっ！とにかく彼女のところに…。」押さえられない胸騒ぎに、レイモンドはとるものもとりあえず家を出る。 (無事でいてくれよ！) 焦る彼を外気の強い風か横殴りになぐ。かき上げられた前髪の下には、普段は隠されているカミアの弾丸がつけた傷跡。丁度、右眉の上を削ぐように残った傷は、まだ生々しく赤らんでいたのであった…。「…っ？」意識が戻ったカミアは、薄く開いた視界が真っ暗な事にまず驚いた。最初は目隠しをされているのかと思っていたが、そうではないらしい。部屋の電気が消されているらしく、夜目に慣れてくると、自分がベッドに服のまま寝かさせている事が分かった。しかも、手足は縛られておらず、部屋の中に見張りがいる気配もない。 (誰か来る！) ドアの向こうから来る気配に、カミアは再び目を閉じ、ベッドに横たわる。するとドアは気遣うように静かに開けられ、するりと女性らしい人影が部屋の中に入ってきた。「やだ、やっぱりまだ寝てるわ」かすかに漏らした声で、カミアの部屋に侵入してきたあの得体の知れない少女だと分かる。彼女は寝ているカミアのそばまで来ると気配を伺うように、周囲をぐるぐる回ったり、顔を覗き込んだりしている。しかし未だに解せないのは、あの青年に銃口を向けた後のことだ。体が吹き飛ぶほどの風圧が突然自分を襲って…。何があったのかいまひとつカミアは理解できずにいた。「困ったわね…。」「何がですか？」少女の呟きに答えてみれば、きゃあっ！…と、叫ぶ立場はこっちだろうという反応が返ってきた。ひとまずカミアは、今の時点では危害を加えられる可能性は薄いと判断したらしい。ベッドの上にゆっくり起き上がれば、少女が部屋の電気をつけてくれた。「ごめんなさいね、起こしてしまったかしら？」「いえ、大丈夫です」カミアの返事に、少女はほっと胸を撫で下ろす。すると改まってカミアを見つめ、声をひそめながらそっとカミアに尋ねたのだった。「―――あなた、お料理はお上手かしら？」少女の思いもかけない質問に、カミアははぁ？と思わず尋ね返したのであった…。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《続く》 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 　あとがき　次回の本号の「君が御世に」もお休みします。いやもうほんと、保険料が安いからっていう理由だけで安易に契約してしまうと、自分が被害者・加害者になったときにさらにひどい目に遭うということがよくわかりました。保険を選ぶ決め手は、いざ事故に遭ったときに、どのくらい誠意ある対応をしてくれるかです。広告費に金かけるなら、被害者にその分支払ったほうが、加入者は増えるでしょう。口コミが一番効果あるはず。君が好き！はリンクフリーです。小説のご意見ご感想をお寄せください♪ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝　月刊小説「君が好き！」メールマガジン　　2003/10/1 増刊号　発行責任者　：篠原美姫緒　kimigasuki@1-emishop.com 　Ｗｅｂページ：http://kimigasuki.hp.infoseek.co.jp/ 　発行システム：『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』　マガジンＩＤ：0000025584　m00012567　ms00000142　　loveyou 　君が好き！メールマガジンの、転載、複写など著作権法違反行為は禁止です。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

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