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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第14回 概要(その14) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 今回は、力線と遠隔作用に関する説明をいたします。 **************************************** 43.力線と遠隔作用 **************************************** ファラデーが考案した力線は、その起源(あるいは、わき出し)となる物体と一 緒に動くという性質があります。 このため、運動の相対性が満たされることは前回お話ししましたが、このことに 関連して、もう一つ重要なことがあります。 ファラデーの力線の理論では、力線が作用の源とされます。 その力線は、上で述べたように、その起源(あるいは、わき出し)となる物体と 一緒に動きます。 このため、この物体がもたらす電磁気作用は、たとえどんなに離れていても、瞬 間的に及ぶことになります。 つまり、作用が及ぶに必要な所要時間がゼロということです。 この特徴が遠隔作用と全く同じであることは、今さら説明するまでもないでしょ う。 こうして、ファラデーの力線の理論は、遠隔作用の理論、すなわち、仮想力線電 磁気学と、完全につながることになるのです。 ところで、ファラデーの力線の振る舞いは、機械力学的には、非常に奇妙です。 したがって、ファラデーの力線を、機械力学的なモデルに置き換えることは、実 質不可能です。 こうしたことから、19世紀の物理学の権威たち(たとえば、トムソン=ケルビ ン)は、ファラデーの力線の理論を、注目はしましたが、受け入れようとはしま せんでした。 代わりに、それを参考に作られたマックスウェル電磁気学が、より自然なものと して受け入れられた、というわけです。 しかし、あらゆる現象を機械力学的なモデルに置き換えられるとする考え方自体 が、そもそもあまり根拠のないものと言えます。 もし、そうした考え方が絶対に正しいのなら、相対論や量子論・量子力学は、と っくに捨て去られていたはずです。 一方、相対論や量子論・量子力学は、マックスウェル電磁気学の欠陥を補うため に考案された理論と言えます。 つまり、19世紀の物理学者たちがこだわった、機械力学モデルに合う電磁気学 理論を作り上げることは、結局、失敗したということです。 だとすれば、最初から機械力学モデルにこだわらない電磁気学理論を作るのも、 選択肢の一つだと言えます。 仮想力線電磁気学は、まさに、こうした姿勢から生まれた理論です。 ファラデーの力線は、確かに、機械力学モデルには不似合いです。 ですが、電磁気現象というもの自体が、そもそも、機械力学モデルでは記述でき ないものなのです。 したがって、そのことは全く問題ではありません。 それどころか、力線は、電磁気現象の法則を極めて正確に記述しています。 したがって、この利点を見殺しにしなければならない義務は、どこにも無いはず です。 もし、機械力学的にどうしても気に入らないのなら、力線を実在性あるものでは なく、仮想的なものとし、電磁気現象の法則を記述したり、問題を考えたりする ための道具とすれば良いことです。 これが、仮想力線電磁気学における力線の考え方なのです。 **************************************** 44.完全弾性衝突 **************************************** さて、ここで、遠隔作用の重要な特徴を述べておきましょう。 今、物体Aから物体Bに及ぶ作用を考えます。 遠隔作用では、物体Aからの作用は、空間を経ずに直接、物体Bに及びます。 このため、この二つの物体について、『運動量の保存則』と『エネルギーの保存 則』が成り立つことになります。 これは、近接作用では媒体となる空間など第三者が、エネルギーを蓄えることに より、物体Aから物体Bへの仕事を横取りするようなことがないからです。 実は、運動量とエネルギーについて保存則が成り立つことは、二つの物体が完全 弾性衝突した場合でも言えることなのです。 つまり、言い換えれば、遠隔作用による物体の振る舞いは、完全弾性衝突の振る 舞いと、非常によく似ている、共通点がある、ということです。 そして、このことが、実は、遠隔作用が量子論的な現象を説明することができる 理由の一つなのです。 このことは、第4章で詳しく説明いたします。 それはそうと、力線を用いると、遠隔作用と完全弾性衝突との類似性を、イメー ジ的に把握することができます。 力線による記述によれば、物体Aからのびた力線が、物体B(または物体Bから のびた力線)と接触することによって、作用が及ぶと表現されます。 さらに、力線は物体と一緒に動くわけですから、これは結局、物体同士が直接、 衝突するのと同じこと、と言えます。 また、力線、特に仮想的な力線は、エネルギーを蓄える(横取りする)ことがで きませんから、結局、運動量もエネルギーも両物体間で保存されることになり、 この点でも完全弾性衝突と同じになります。 ちなみに、ファラデーの力線も、作用をもたらすものではありますが、エネルギ ーを蓄える(横取りする)ものとはしていません。 このように、力線の理論は、遠隔作用と見事に融合するのです。 * * * さて、仮想力線電磁気学の力線は、ファラデーの力線と、全く同じというわけで はありません。 何しろ、一方は遠隔作用で仮想的なもの、もう一方は近接作用で実在性あるもの という違いがあるのです。 次回は、こうしたことから来る相違点について、詳しく説明する予定です。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |