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タイトル:非公式情報 第77号  2003/09/11


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ブッシュ政権の泥船に乗った日本

By STRANGELOVE

パレスチナ問題を解決する道筋としてアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権が発表した『ロード・マップ』は崩壊寸前である。前にも書いたように、イスラエル(リクード、あるいはシオニスト)がパレスチナ人に認める自治とは『捕虜収容所における自治』にすぎない。イスラエルのアリエル・シャロン政権が壁を作り始めたのは象徴的な出来事だ。

ホワイトハウスにはリクードと緊密な関係にある一団が存在、大きな影響力を及ぼしている。その代表格がポール・ウォルフォウィッツ国防副長官。さらにダグラス・フェイス国防次官、国防政策会議の議長を務めていたリチャード・パール、コンドリーザ・ライス大統領補佐官、そして中東問題を仕切っているエリオット・エイブラムズも仲間だ。彼らの言動はパレスチナ情勢と深く結びついている。

ウォルフォウィッツを中心とするグループは『ネオコン』とも呼ばれている。彼らの思想的な基盤(一種の『エリート独裁主義』)が形成されたのは、彼が1972年に博士号を取得したシカゴ大学。彼と同時に博士号を取得したエイブラム・シュルスキーはネオコンの情報機関と言われた『OSP(特別計画局)』の局長を務めた人物。両者が師事したレオ・ストラウスはネオコンの教祖的な存在として有名だ。

イラク占領を開始した直後、ブッシュ政権は亡命イラク人のアーマド・チャラビを前面に押し出そうとしたが、この人物もシカゴ大学で博士号を取得している。チャラビが代表を務めるINC(イラク国民会議)は1996年頃までアメリカの情報機関CIAから資金を得ていた団体で、チャラビ本人もウォルフォウィッツやパールの旧友だ。

開戦前、イラクは『大量破壊兵器』を保有する危険な存在だとアメリカやイギリスの政府は盛んに宣伝、とりあえず国民を説得することには成功した。が、根拠が乏しく信憑性に欠けるとしてフランス政府やドイツ政府などから激しく批判され、国連を動かすことはできなかった。

実は、米英の情報機関、つまりアメリカのCIA(中央情報局)やDIA(軍情報局)、イギリスのSIS(秘密情報局、通称MI-6)も『大量破壊兵器話』に疑問符を付けていた。こうした意見を誰が封印したのかが現在、問題になっているが、その発信元はチャラビなど亡命イラク人だったのではないかとも言われている。

8月29日に殺害されたシーア派の指導者アヤトラ・ムハッマド・バクール・アルハキムにはアブドゥルアジズという兄弟がいる。サダム・フセイン時代、この人物はジャーナリストに対し、イラクの大量破壊兵器を警告するだけでなく、『証拠書類』をアメリカ政府に渡していた。この辺からも『大量破壊兵器話』は発信されている。

アメリカの現政権は軍部とも衝突している。スタート直後からこの政権は『中国の脅威』を宣伝したが、アメリカ太平洋軍司令官だったデニス・ブレア提督は公然と「脅威はない」とニューヨークタイムズ紙上で反論、アフガニスタンやイラクの問題でも攻撃に反対する軍制服組と激しく対立していた。ドナルド・ラムズフェルド国防長官と対立していたトーマス・ホワイト陸軍長官が今年5月に辞職している。

また最近、アンソニー・ジン退役将軍が「アメリカのイラク政策には戦略がない」と発言して話題になり、統合参謀本部の副議長、ピーター・ペイス将軍は政府関係者に対し、国連決議に賛成するようロビー活動を行ったとも伝えられている。こうしたエピソードもホワイトハウスと軍部との対立を示していると言えるだろう。

ところで、ブッシュ大統領は当初、ホワイトではなくリチャード・アーミテージ、つまり現在の国務副長官を陸軍長官に指名する予定だった。この人事が実現しなかったのは、アーミテージの過去と現在のスキャンダルにあったと言われている。つまり、ベトナム戦争時代の麻薬密輸疑惑と数年前の女性スキャンダルだ。

結局、アーミテージはペンタゴンから拒否され、イラン・コントラ事件仲間のコリン・パウエル国務長官に拾われる形になった。(詳細は『軍事研究』2001年8月号に掲載された拙稿『ペンタゴンに拒否された男アーミテージ』を参照のこと)

これまで何度か書いたように、今回のイラク攻撃には4つの主要な目的があった。石油利権の拡大、軍需予算の復活、アメリカ国内の監視システム強化(ファシズム化)、そしてイスラエル(リクード)の戦略である。

このうち石油利権の拡大を求める人々がイラク周辺の安定化を望んでいるのに対し、親リクード(親ユダヤではない)のネオコンはフセイン体制の崩壊とともにイラク周辺諸国の不安定化を望んでいる。今年3月頃からブッシュ政権のイラク政策を批判する声がアメリカのエスタブリッシュメント内から出てきたが、その背景にはこうした利害の対立もある。

ちなみに、日本のマスメディアがそうした変化に対応し始めた、つまりアリバイ工作を始めたのは、アメリカの潮流に変化が現れてから約2カ月後のこと。彼らはブッシュ大統領の周辺に掲げられた旗に気をとられているため、世界の流れを理解できなかったのだろう。

ネオコンが1990年代に描いたシナリオ通り、米英両国政府は国連を無視してイラクを先制攻撃、少なからぬ日本人はイラクの石油利権に目がくらんで攻撃を支持したようだ。『勝ち馬に乗る』つもりだったのだろうが、実際に乗ったのは泥船だったのである。

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