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タイトル:Daily Drama Express 2003/08/28 Dr.コトー (9)  2003/09/03


===================================================== 発行部数   10 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2003/08/28 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル Dr.コトー診療所
局  名 フジテレビ
放映日時 木曜22時
キャスト 五島健助(吉岡秀隆)
 星野彩佳(柴咲コウ)
 原剛利 (時任三郎)
 西山茉莉子(大塚寧々)
 原沢咲 (石田ゆり子)
 内つる子(千石規子)
 安藤重雄(泉谷しげる)
 和田一範(筧利夫)
 星野正一(小林薫)


脚  本 吉田紀子

あらすじ  オペ中である。待合室では、何故か安藤(泉谷しげる)が漁師の
山下(船木誠勝)の子供たちの面倒を見ているが、妹の方は泣くばか
りで安藤は困り果てているところだ。兄妹は手術が終わるのが待ちき
れず、手術室の戸を少し開けてのぞいている。
 「もうすぐ終わるからね。ちょっと待っててね」
 コトー(吉岡秀隆)が2人に声を掛ける。安藤がその誰かに大ケガ
をさせてしまったようだ。どこからか話を聞きつけた山下夫婦が、我
が子が手術かと泣きそうになりながら、あわてて診療所に飛び込んで
くるが、兄妹はピンピンしている…。
 「手術は無事成功しました。腕は、きれいにつながりました!」
 手術室から出て来たコトーが女の子に手渡したもの、それは腕を縫
われた“クマのぬいぐるみ”だった。安藤がそのぬいぐるみを誤って
破いてしまったと言うのを聞き、山下夫婦は力が抜ける。

 その後「居酒屋マリ」で食事をとった漁師たちは、コトーのこれま
での活躍に沸いていた。今さっきの、『クマのぬいぐるみをまるで人
にオペするように直した』という話を聞いて、茉莉子(大塚寧々)は
「コトー先生らしいよね」と微笑む。
 店の隅で食事をしていた一人の男が突然立ち上がり、安藤たちに近
寄る。島では見かけない顔だ。名刺には『週間アクセス  巽 謙司』
とあった。
 巽(津田寛治)はコトーのこと、つまり五島健助について聞いてく
る。
 「うちの娘のリカが出産したときは、見事に赤ん坊取り上げてもら
ってよ」
 「産婦人科でもないのに?」
 「船の上でタケヒロの腹、かっさばいたときにはよぉ…」
 「船上で、手術、ですか?」
 さんざん彼らから話を聞いてメモをとった巽は、漁師たちの食事の
代金も支払うと、にこやかに茉莉子に封筒を手渡して出て行く。
 「よかったら読んで下さい、私の特集した記事なんで」
 外に出た巽の口元が、ニヤリとゆがむ。

 早速封筒の中身を見る茉莉子。
 『奪われた17才の命』『隠された事実』『重症患者を長時間放置』
『…』
 顔写真は「五島健助医師」…コトー、その人だった。

 学校帰りに診療所に走って来るタケヒロの手には、98点の試験の
答案。コトーと彩佳(柴咲コウ)がよくやったとほめる。私立中学の
ことで、コトーはタケヒロの相談にも聞いてやっている。
 「なるほどね、進路相談にものってるんだ」
 と言いながら、診察室のドアを開けて巽が入って来る。
 「お久しぶりですね、コトー先生。悪徳医師の追跡取材で、しばら
くここに滞在することになりそうなんです。…ああ、君かぁ!船の上
で腹膜炎の手術したのは。ハラタケヒロ君だっけ?…あなたが彩佳さ
んですね。優秀な助手の和田さんは?和田さーん!」
 「やめてください!」
 巽は診察室を探し回り、彩佳に封筒を渡して出て行く。コトーのこ
とばかりか、スタッフのことまで知っているこの男に、彩佳は怒りを
隠せない。タケヒロはただ不安そうにコトーを見ている。しかしコト
ーは穏やかだ。
 「週刊誌の、記者だよ」
 彩佳は封筒の中の、記事のコピーを見て驚く。
 『女子高生Aさんは放置され内臓破裂…』
 『当直の五島医師 病院関係者を優先』
 『金で命を選択 100万円が五島医師に渡る!?』

 一方港では、茉莉子が原(時任三郎)に例の記事のコピーを見せて
いた。
 「このことはまだ、誰にも言うなよ」
 「でも、きっともう島じゅうに知れ渡ってると思う…」
 茉莉子の予感は当たっていた。その夜、星野家には村長と安藤らが
集まり、話し合っていた。
 「本当なんでしょうか。女子高生ほったらかしにして死なせたなん
て」
 「コトーは金で動くような人間か?それに、コトーはこの島にとっ
て必要なやつだろ」
 安藤は記事を信じない。村長が、実は一番の問題はそこではないと
言う。
 「和田さんのことだ。役場の一職員が、手術まで手伝ってることは、
法律すれすれの行為だ。このことが外に知れたら、島全体の問題にな
る。…今さら聞くのも何だが、あんた、本当に知らなかったのか?コ
トー先生にこんな過去があったことを知らないで、ここに連れて来た
のか?」
 問われた星野(小林薫)は黙ってタバコに火をつける。

 診療所でコトーは一人、あの日のことを断片的に思い起こしていた。
巽は診療所を憎しげに見つめながら一人つぶやく。
 「どこへ逃げたって無駄だ。今度こそあいつの息の根を止めてやる
からな、クミコ…」
 その手には、巽と高校生ぐらいの少女が笑顔で写った写真があった。

 翌日から、コトーに対する島民の態度がはっきりと変わってしまっ
た。診療所に戻ると、和田(筧利夫)が裏でたき火をしていた。和田
は、島じゅうにばら撒かれた、例の記事のコピーを燃やしていたのだ
った。
 「そっか、みんな知っているんだね、この記事のこと」
 和田は腹立たしげにその紙を火の中に突っ込む。

 その日、診療所には誰も来なかった。
 「私は信じてませんから。みんな、あんな記事見せられて、来づら
くなっているだけです」
 彩佳のありがたい言葉。コトーは静まり返った待合室に立つ。

 巽の取材は続いていた。原が巽に声をかける。
 「あなたは息子さんを殺されかけて、憎んでるんでしょう?」
 「俺はずっとあいつを許せなかったよ。切れよ!そんなもん!俺は
あんたと一人の人間として話してるんだ!」
 巽は言われたとおり、手に持ったテープレコーダーを切る。続ける
原。
 「俺はその記事は半分は信じられない。それはあいつが命に対して、
誠実だからだよ。少なくともこの半年、島の人間のために必死で働い
てきた。…記事を書くのは勝手だが事実を書いてくれ。雑誌というの
は書き手の気持ちひとつで真実もゆがめられるような気がしてな…」
 「真実をゆがめてきたのは、五島と大学病院のほうだよ」
 と、巽が反論。
 「その女子高生を見殺しにしたのを隠そうとしたんだ。『五島医師
は誠意を持って治療にあたった』って。じょうだんじゃない!!俺は
この目で見たんだよ!女の子を置き去りにして後から来た患者の手当
てをした五島を!」
 激しい口調でコトーを呼び捨てる。
 「――その女子高生というのは、俺の妹のことだからな」
 はっとして、巽の顔を見つめる原。
 「俺は書くよ。それが俺にとっての真実だからな」
 巽は立ち去っていく。

 夕方、星野は記事のコピーを前に考える。妻の昌代(朝加真由美)
はコトーのこともそうだが、夫の立場のことも心配だと言う。
 ちょうどコトーが訪ねてきた。外に出て2人は話し始める。
 「みんなの前でちゃんと話した方がいいと思うんです。僕自身、あ
の日のことは心の中に封じ込めて来た。誰も僕のことを知らない島だ
からやり直せたんです。今までやってこれたのも、誰にも言わずにそ
っとしといてくれた星野さんのおかげです。でも、いつかは話さなく
ちゃいけないことだったんですよ」

 夜。どしゃぶりの中を役場に集まる人々。その中には安藤、原の姿
もあった。行かないつもりだった茉莉子も遅れてやってくる。
 「妙なウワサについて、コトー、いや五島健助先生にお話をうかが
う」
 村長と星野の間に、スーツ姿のコトーが座った。

 一方診療所では、彩佳と和田が待機していた。
 「俺たち、行かんでもいいのかな」
 「私たちに出来ることは、コトー先生を信じてこの診療所を続けて
いくことだけ。それとも、こんな診療所つぶしちゃう?やめちゃう?」
 「もし、俺が責任とってすむことなら、俺はクビになってもかまわ
んぞ。問題になってるのは俺が手術を手伝ってることだ。…だから、
俺は呼ばれんのだろ?」

 雨がひどくなってきた。山道を車で役場へ向かう巽の目に、突然子
供が4人、飛び込んできた。怖い顔で立ってその行く手を阻んでいる
のは、タケヒロたちだった。
 「コトー先生を悪く言うヤツは、許さない!」
 と言うのだ。ものすごい雨なので、巽は4人を自分の車に乗せ、肺
炎になったら大変だと、子供たちの体をタオルで拭いてやる。助手席
に乗ったタケヒロとクニオは、彼の思ったより優しい態度にちょっと
だけ驚く。巽がコトーについて、話をしようとしたその時、地響きの
ような音が聞こえる。
 あっ、と思ったときは既に遅かった。
 土砂崩れだ!!車は上から落ちてきた大量の土砂や樹木に巻き込ま
れ、悲鳴とともに崖を転がり落ちていく―。

 ――巽が気がつき、子供たちに声をかける。後部座席がひしゃげて、
乗っていたジュンペイとシンイチが苦しそうだ。巽も頭をひどく打ち
つけたようで、血が出ている。
 巽と、タケヒロ、クニオの3人は、窓から外に出て車が土砂に半分
埋まっているのを見る。ジュンペイの不安な声を聞き、巽はもう一度
車内に戻る。だが、またも土砂が崩れ、車は完全に埋まってしまった。
 幸いなことに、ちょうどそこに自衛隊の車が通りかかる。

 一方役場では、記事についてコトーが説明を始めていた。
 「僕のことで、皆さんに不安な気持ちを抱かせてしまったことを、
まずお詫び申し上げます」
 と深く頭を下げるコトーの、次の言葉を待つ島民。
 「この女子高校生を見殺しにしたというのは、事実です」
 島民たちは、一様に苦しげな表情を見せ、安藤は泣き出す。
 「ちきしょー!!俺たちゃ、てめーを信用してよお…。星野!お前
もお前だ!このことを知ってて…!」
 安藤が暴れだし、会場は騒然となる。うつむいたままのコトー。そ
の時突然、電話が鳴る。
 「…課長!土砂崩れが!!」

 自衛隊が土砂を取り除いているところに、島民たちが集まってくる。
 巽の足が挟まって出られない、つぶれた後部座席の子供たちの声が
聞こえないと話を聞いたコトーは、彩佳と和田に救急ボックスの準備 をさせる。
 巨大な木の根っこを男たちが取り除くと、助手席の窓が見えた。
 「俺が入る!」
 と山下が車内に入ろうとするのを止め、コトーは自ら車の中に滑り
込む。
 「早く、子供たちのこと診てやれ」
 と巽。コトーが後部座席のほうに身を乗り出し、2人の様子を見る。
ジュンペイの方は軽いようだ。しかし…シンイチの方は気を失うほど
の重篤な状態だ。点滴をうって、何とか持たせることに。
 「巽さん、これ、かぶって下さい」
 コトーは、車内に入る前に安藤から渡されたヘルメットを渡すが、
巽はそれを払いのける。

 「父ちゃんが、助けてやるからな」
 そういいながら山下は作業を続ける。車の屋根が見えてきた。しか
しまだ土砂の落下は収まらない。
 「来るぞ、次が。お前まで巻き込まれたら、誰が治療するんだ
よ?!」
 と巽はコトーに車から離れるように言うが、コトーはまるで聞こえ
ていないかのように、シンイチが力なく差し出した手を握り、話しか
けている。
 「ずっとここにいるから。心配しなくていいんだよ」
 「お前、俺の前でいい人ぶってんのか?!今さらいい医者ぶっても
遅いんだよ、五島!!」
 それでもコトーは、ただ黙って手を握り締めている。

 外の作業は続く。原が火花を散らしながら、のこぎりで車の屋根を
切る。
 「よし!切れた!!」
 車の屋根がはずされる。ジュンペイが救出され、母親たちが駆け寄
ってくる。その後山下たちが見たものは、ぐったりして力の抜けたシ
ンイチの姿。そのわき腹をカサがグサッと突き抜けている。
 「今、抜いてやるからな!」
 息子を助けようと、カサを無理やり抜こうとする山下をとめるコ
トー。
 「抜いちゃだめだ!!大量出血の恐れがあります!!このまま、動
かさないように、診療所に運んで下さい!」
 救出され、崖を上ろうと歩き出した巽の歩き方が変だ。巽は「骨折
している」というコトーの指摘にもかまわず、「大したことない!」
とコトーを固く拒絶する。

 シンイチのオペの準備を始めるコトーと彩佳。巽はレントゲンから
も足の骨折が判断されたが、にもかかわらず痛みを感じないと断言し、
帰ろうとする。帰り際、目のかすみを訴える。
 巽の症状にはっとしたコトーは、オペの用意が出来たと呼びにきた
彩佳に待つように言い、無理やり巽をベッドに座らせると、真正面か
ら巽を見る。
 「頭を打ちましたね。あなたは脳に損傷を負っています。すぐに処
置しないと手遅れになります!」
 「お前、一体何を企んでる?」
 巽は全く信用していない。
 「彩佳さん!巽さんのオペを優先する!」
 「俺は、お前に手術を頼んだ覚えはないんだよ!」
 シンイチのオペが始まるところだった山下夫婦は、それを聞いて激
情する。
 「俺の息子はどうなるんだ!?シンイチをほったらかして、この記
者優先するって!」
 「あんた、今日役場で言ったのと、同じことをやってるじゃないで
すか。うちの息子を、見殺しにするつもりなの?」
 それまで穏やかだったコトーの口調が変わり、真剣な顔で訴える。
 「出てって下さい!シンイチくんを助けたいのなら、とにかく今す
ぐ出てって下さい!僕は、2人とも助けます!!」
 島民たちが騒ぎ出す。
 「こんな横暴、許していいのか?」
 「俺たち、何のためにシンイチを助けたんだ?!」
 彩佳が叫ぶ。
 「この診療所のドクターはコトー先生よ!みんな助けられたこと、
忘れちゃったの?もしも2人に何かあったら、私はこの島を出て行き
ます!ナースも辞めるわ!」
 傍らでそんなやり取りを聞いていた巽の目つきがおかしい。
 「俺を殺せ!!そうすれば、お前は殺人罪だ!ここにいるみんなが
証人だ!!…」
 巽が意識を失い倒れた。さっき知られずにうった麻酔が効いてきた
のだ。コトーはすぐに彩佳に巽のオペの準備を指示、暴れる山下は原
の手によって診察室から引きずり出される。その声が診察室のドア越
しにコトーの耳に聞こえてくる。
 「コトー先生!!おれの息子は、どうなるんだぁー!!」

 巽の脳内血腫除去手術が始まった。待合室には、安藤や原親子、星
野などの島民がことの成り行きを案じて、集まっている。病室ではカ
サがささったままの痛々しい姿で横たわるシンイチ。山下はなすすべ
なく、妻がその手を握り締めるのを黙ってみている。長い夜がふけて
いく…。


寸  評  コトーが何故ここにやってきたのか、第一話でのコトーの暗い顔
や断片的な記憶、星野の何か含みのあるセリフなど、なるほどそうい
うことで…と納得しました。でも、その事件を知っているはずの咲が
前回、そのことに全く触れませんでした。それはコトーを気遣っての、
咲の優しさだったのでしょうか、それとも演出上触れないことにした
のか、素人には推し量ることは出来ませんが。
 島民の態度ががらっと変わって、苦境に立たされたコトーですが、
最後まで態度が硬かった安藤や原が、コトーに対してそれほど極端に
態度を変えていない、というか状況を静かに見守っているところに、
若干の救いを感じます。事実をコトーの口からはっきり聞いた安藤は
コトーに殴りかかっていきますが、それは憎しみだけではないような
気がするのです。
 大きな山場です。次回以降とっても楽しみです。

執 筆 者 三森(anponhana@mail.goo.ne.jp)

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2. 編集後記
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 今回巽役の津田寛治さんは、福井県出身の方で、たぶん五木ひろし以来の福
井県出身の有名芸能人です(よね?)。地元ではヒーローになってるのでは?
 私が初めてお見かけしたのは、4年ぐらい前の昼ドラ。とあるアミノ酸飲料
で「小便小僧」の声もずっとやってらっしゃいます。昨年の仮面ライダー龍騎
で主人公の働く超弱小出版社のコミカルな編集長役も演じられてました。実際
悪役がとても似合うと思いますが、それぞれの役も好演されてます。何かの賞
も受けてますネ(忘れつんた、すまんのお ←福井弁)。
 これからもがんばってのお、津田寛治さん。応援してるでぇの。(←やっぱ
り福井弁)(三森)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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