メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説メールマガジン『君が好き!』2003/8/28  2003/08/28


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月刊小説メールマガジン         2003年8月28日 発行
『君が好き!』  vol.65
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皆様こんにちは、瀬乃美智子です。
お知らせが大変遅くなってしまって申し訳ないのですが、8/15発行予定でした
月刊小説メールマガジン『君が好き!』vol.65は、オフライン活動であるイベ
ント参加の為、通常作品はお休みとさせて頂きます。
お知らせが遅れましたこと、申し訳ございませんでした(汗)

さて、しかしこんな内容のお手紙だけをお送りするのはなんだかちょっと寂し
いので、心ばかりですが瀬乃のショートショートの作品を楽しんで頂けたらと
思います。
最近は別口で短い作品も書くようになったので、いつもの連載とは違った瀬乃
の作品を楽しんで頂ければと思います。

ではでは、どうぞお楽しみ下さいませ♪(*^ー^*)

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             ---* 摘 花 *---

                        瀬乃美智子 作


「摘んだ花は嫌い、だってすぐ枯れてしまうもの」
そうおまえは言った。

私は永遠の時を生きる魔族で、おまえは短い生を生き急ぐ人間の少女で…。

私がおまえの為に摘んできた一輪の花を見てそう言ったおまえに、私にとって
は君こそがあっという間に枯れてしまう花なのだと言ったらおまえは怒ったの
だろうか?

私の腕の中で幸せそうに微笑むおまえは、永遠にこうしていたいわなどと囁く
が、おまえにとっての永遠は私にとっての永遠ではない。

それこそ私にとっては、おまえは摘み取った花と同じぐらいに早く枯れ、同じ
ぐらいに土へと帰る運命の美しい一輪の花。


…だから、おまえが摘み取った花が嫌いだというのなら、私はおまえを摘み取
ろうとしているこの手を止めようかとも思う。

おまえを摘み取って、…私の魔法で永遠に枯れない一輪の花にするのは簡単な
事。
摘み取ったおまえを魔法という花瓶に挿し、私を愛する限り私はその花瓶にま
がい物の命という水を与え続ける。

そんな事は簡単な事。
美しいおまえを見、愛でる事を私も望んでいる。

しかし…、それをおまえが好まぬのならやめてしまおうかと考え始める私がい
る。

おまえを摘み取らぬままそっと野に帰し、私はあるべき姿のまま美しく咲き続
けるおまえを観察する。
いつかは、共に咲く花と結ばれ、実をつけ、美しい花が枯れた頃には種を残し
て枯れ行くおまえ。
そんなおまえの姿を見守るのも、また…よいのかもしれないね。


「ねぇ! 今日は山を超えて谷の森まで行きましょう。とても素敵な花がたく
さん咲いているのですって!」

白と赤の花が競うように咲いていてね!…と嬉しそうに手を合わせるおまえ。

「何でもね、その中には、本当に色が混ざり合って、薄桃色に生まれた花もあ
るのですって」

やはり…おまえを摘み取るのは無理そうだ。
そんなにも野に咲く花を愛するおまえは、やはり摘み取らぬまま野に返そうね。


「ねぇ…シャイアス…。」

そう…おまえは何故か少し気恥ずかしげに振り返ったのだ。

「私たちの間に子供が出来たら、あの野に咲いているという薄桃色の花のよう
に…美しく混ざり合った花に生まれてきてくれるのかしら?」


おわり


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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2003/8/28 65号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
 Webページ:http://kimigasuki.hp.infoseek.co.jp/
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 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
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