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タイトル:Daily Drama Express 2003/08/07 Dr.コトー(6)  2003/08/14


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2003/08/07 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル Dr.コトー診療所
局  名 フジテレビ
放映日時 木曜22時
キャスト 五島健助(吉岡秀隆)
 星野彩佳(柴咲コウ)
 原剛利 (時任三郎)
 西山茉莉子(大塚寧々)
 原沢咲 (石田ゆり子)
 内つる子(千石規子)
 安藤重雄(泉谷しげる)
 和田一範(筧利夫)
 星野正一(小林薫)


脚  本 吉田紀子

あらすじ  「ちょっとー!ちょっと待ってよ、コトー先生!!」
 コトー(吉岡秀隆)が診療所を笑顔で去って行く。島の人たちも笑
顔で手を振っている。先生を連れて行く、あの白衣の女は誰?…どう
して誰も止めないの?このまま行かせていいの?!
 ―――夢だった。受付でうっかり眠ってしまったらしい彩佳(柴咲
コウ)を和田(筧利夫)と患者たちが見つめている。何かヘンなこと、
言わなかっただろうか…。
 「言っとらんぞ、“コトー先生、行かないでー!”なんて」
 待合室にどっと湧く笑い声を聞きつけて、当の本人コトーが診察室
から出て来る。
 「楽しそうですねえ。どしたの?」
 「い、いや、何でも…」
 気まずくなった彩佳は口ごもる。

 コトーは彩佳と、内つる子(千石規子)の往診に出掛ける途中、い
つもと違ってしょんぼり学校から帰ってくるタケヒロに出会う。今日
は一学期の終業式、手には62点の答案用紙を持っている。声を掛け
ても何も言わない。怪訝に思う2人だったが、そこにつる子が助けを
求めて走り出て来る。

 つる子の家には見知らぬ男の子が座っていた。島の子供ではない。
うろうろしているのを連れてきたのだが、何もしゃべらないわ食べな
いわで困り果てていたのだった。3人が耳が悪いのかもと相談してい
ると、いきなり少年が口を開く。
 「にしやままりこって人、知ってますか?」

 「私のことを?」
 「タケヒロくらいの子、名前は言わないの。…もしかして、その
子…」
 彩佳が茉莉子(大塚寧々)に尋ねるが、すぐそばに息子が来ている
のを知らなかった茉莉子は、冷たく突っぱねる。
 「私には息子なんていない、明日の便で、東京に返してくれる?」
 「私には、関係ないから」―振り向いて、茉莉子はその少年と目が
あってしまう。茉莉子の冷たい言葉を聞いてしまい、ショックだった
のか少年は外に飛び出して行く。
 「明日の便って、2:00で、いいんですか?」
 少年は追いかけてきたコトーに問い掛ける。少年は「リュウ」と名
乗り、コトーの計らいで、しばらく診療所に“入院”することになっ
た。

 翌朝、漁港では“あの茉莉子に子供”のウワサが広まっていた。ウ
ワサを聞いた漁労長の安藤(泉谷しげる)はショックで腰砕け状態。
茉莉子と同級生だった漁師の話では、本土のサラリーマンと結婚して
東京で子供を産んだが離婚、母の看病のため島に1人で戻り、その後
父母が相次いで亡くなって、あの居酒屋を始めたのだとか。

 茉莉子は息子リュウイチと砂浜で2人きりで話をする。
 「東京に電話しといたから、帰りなさい。1人で来たんだから、
1人で帰れるでしょう?」
 一方的に茉莉子が話すだけでリュウイチは一言も口をきかない。そ
こに原剛利(時任三郎)とタケヒロ親子が現れる。剛利はタケヒロに
リュウイチと遊ぶように言いつけ、茉莉子と2人で話し始める。
 「こんな母親で、きっとがっかりしたのね」
 「2人で気まずいなら、今夜、うちでめし食べよう。そうすれば話
だって少しは…」
 しかし茉莉子は、自分は行けない、と断る。

 一方、リュウイチは島の地図を手に、早足で黙々と歩く。一生懸命
ついて行くタケヒロ。突然リュウイチは立ち止まる。眼前の山の上に
は灯台がある。
 「あそこは、日本でいちばん最後に沈む夕日が見える場所で…」
 誇らしげに説明するタケヒロだったが、リュウイチは「知ってる」
とにべもない。
 「あいつ、君のお父さんと付き合ってるのか?」
 どうやら自分の父親と茉莉子のことを言っているらしい。
 「違う、と、思うけど…。――僕のお母さんは死んじゃったからい
ないんだ」
 そこにタケヒロの同級生たちが、釣りざおを手にやって来る。ウワ
サは子供たちにも広まっていた様子で、リュウイチは走って逃げて行
く。
 「ほんとは、お母さんに会いに来たわけじゃない!日本でいちばん
最後に沈む夕日が見てみたかったんだ!!」
 リュウイチを追いかけもせず、タケヒロはぼんやり立ち尽くす。

 夕方、リュウイチがいなくなったことで、タケヒロは剛利にひどく
叱られる。
 「医者になりたいなんて言う前に、目の前の大事なこと、しっかり
やれ!」
 剛利はふと机の上に“62点”の答案用紙があるのに気付き、取り
上げようとするが、タケヒロが抵抗し紙が破れてしまう。
 「あいつを、探してくればいいんでしょ!」
 そう言って、タケヒロは家を飛び出して行く。

 コトーはタケヒロを自転車に乗せ、2人でリュウイチを探しに出る。
 「先生は、小学校の頃、勉強出来たの?」
 「出来なかったなあ。兄がすごく頭が良くて、いつもバカにされて
た。高三の時、君と同じ腹膜炎で死にかけたんだけど、近所のお医者
さんが助けてくれた。それで、将来こういう仕事に就けたらいいなと
思って、それから猛勉強した。…医者になれた時は、すっごく嬉しか
った。初めて白衣を着た日の神聖な気持ちを、こっちに来てからよく
思い出すんだ」
 途中、元気になったあきおじに出会う。
 「その子なら、山のほうに歩いていったよ」

 その頃リュウイチは山道を歩いていた。ふいに風が吹き、持ってい
た地図が飛ばされ、それを取ろうとして崖から落ちてしまう。
 しばらくして、コトーとタケヒロが同じ場所にやって来る。タケヒ
ロは木の上に引っかかっている地図を発見するが、うっかり足をすべ
らせて崖の下に落ちてしまう。かばったコトーがタケヒロの下になる
ような形で落ちたため、タケヒロは無事だったが、コトーは右肩と右
足にけがを負ってしまう。痛みを耐えてリュウイチを診ると、肋骨が
骨折しているようだった。

 無理を押して、コトーはリュウイチを背負い山道を下りだすが、す
でにあたりは暗く闇が迫っていた。コトーの右足は内出血のためにひ
どく腫れて、とても痛々しい。この血をここで出せると、少しは楽に
なるのだが…。
 「タケヒロくん、ナイフみたいなもの、持って来てないよな?」
 むなしく首を横にふるタケヒロ。しかしリュウイチが苦しい息の下、
ナイフがリュックの中にあると教える。

 夜になり診療所には、星野(小林薫)や剛利、安藤も集まってきた。
彩佳、茉莉子に留守を頼み、男たちは総出で、コトーたちの捜索のた
め山に向かう。

 「2人とも、目つぶってろ。こっちみるな!」
 ライトを口にくわえ、自ら右足にナイフを食い込ませる。どす黒い
血がどくどくと流れ、あまりの痛さに悲鳴をあげてのたうちまわり苦
しむコトー。タケヒロが白い布で傷口をしばる。
 “脾臓破裂”の疑いのあるリュウイチの状況は深刻だ。苦しむリュ
ウイチを診て、コトーは力なく「大丈夫」と言うが、タケヒロはコト
ーの心を見透かしていた。
 「うそだ、いつもの先生の“大丈夫”とはぜんぜん違うよ!…リュ
ウくん、ごめんね、ぼくのせいだ。ちゃんとついててあげれば…」
 「違うよ、ぼくが、勝手に夕日を…」
 そう言ったまま、リュウイチの意識が途絶える。
 「助けを呼んで来る!ぼくは、口ばかりじゃなく、本当に先生みた
いに、なりたいんだ!」
 タケヒロはたった一人、山を下りて行く。
 「先生、リュウくん、待ってろよ。ぼくが助けなきゃ、絶対に助け
なきゃ」
 目印の白い布を、枝に結びつけながら、すっかり暗くなった山道を
駆け下りて行く―。

 診療所では、茉莉子が指を組み祈るように待つ。
 「今ごろ心配するぐらいなら、どうして別れたんだ?全部、おまえ
の責任だぞ。母親に愛情を注がれた子はあんな悲しそうな顔はせんぞ。
どんなに苦しいことがあっても、わたしは7人の子を手放そうなんて
思ったことはない!」
 つる子は茉莉子を叱り付けて、診療所を出て行く。

 暗闇の中でコトーはリュウイチに話し掛けている。
 「君のお母さんは、優しい人だよ。僕はこの島に来て3ヶ月だけど、
いろんなことで助けてもらった。ほんとだよ…」
 と、そこにタケヒロたち助けの声が!振り向くといくつもの懐中電
灯の明かりが見える――助かった…。

 診療所に担ぎ込まれたコトーが、すぐにリュウイチのオペをするよ
うに彩佳と和田に指示すると、彩佳はコトーを叱り付ける。
 「そんな体で、オペ中に何かあったらどうするんですか?この島に
は医者はあなた一人しかいないんですよ!まず、先生の処置、オペは
それからです!」
 輸血の話が出ると、すぐに茉莉子が手を上げる。
 「リュウイチは私と同じO型Rhマイナス。輸血するなら私の血を
採って。私の産んだ子だから!」

 診察室で右足の傷口に包帯を巻く彩佳に、コトーは「どうも右肩を、
脱臼しているようだ」とうっかり漏らしてしまう。彩佳の目がキラリ
と光り、次の瞬間コトーはがたいのいい漁師たちにベッドに押し倒さ
れる。痛がるコトーの右腕を、剛利が力一杯引っ張る。「せえの!」
の掛け声と同時にコトーの絶叫…。

 ――脱臼も治り、リュウイチの手術が始まる。腕があまり動かない
コトーのフォローを、彩佳がしっかりやってくれている。和田ももう、
血の塊を見て倒れることもない。

 いたたまれなくなったのか茉莉子は外へ出て行く。
 「内さんの言う通り、全部私のせいよ」
 と後から出てきた星野に真実を話し始める。
 「東京で好きな人が出来たの、…あの子の父親とは別の人。その人
と一緒になりたくてリュウを置いて家を出たの。でも、リュウのこと、
忘れた日はなかった。冷たくしたのは、今優しくしたら、引き止めた
くなると思ったの。それに…自分が恥ずかしくて申し訳なくて、あの
子に合わせる顔がなかったの」
 「そう思うんなら、素直にその気持ちを言えばいい。リュウくんだ
って、この島まで東京からたった一人で、顔を見たくてやってきたん
じゃないか。何で冷たくする必要がある?母親の言葉ひとつで、笑っ
てやることで、子供は救われることだってあるんだから。気持ちが通
じないわけがない」
 「そのとおりだ、通じねえわけねえだろ」
 いつから聞いていたのか、安藤が2人の話に割って入ってきた。
 「あいつは正真正銘、茉莉ちゃんの子だ。今あいつには、茉莉ちゃ
んの血が流れてるんだ、よぉ」

 手術が終わった。コトーたちはもちろん、心配をかけたみんなに茉
莉子は頭を下げる。
 「早く、顔、見せてあげて下さい」
 とコトーが勧めるが、茉莉子は動かない。つる子の声が、戸惑う茉
莉子の背中を押す。
 「ぐずぐずせんと!はよ、行け!」

 リュウイチの額を撫でながら、茉莉子は助かってよかったと涙ぐみ
ながらつぶやく。リュウイチが薄く目を開けて、か細い声で話出す。
 「すみません…めいわく、かけて…。来なければ、よかったね」
 「そんなことないよ、リュウ、ごめんね」
 「ぼくのお母さんが、南の小さな島で、どんな暮らしをしてるのか、
元気にやってるのか、ただ、知りたかっただけなんだ…」
 リュウの言葉に、茉莉子は胸が詰まる思いがする。

 剛利とタケヒロは夜遅く家につく。電気をつけると、テープで貼り
合わせたあの答案用紙が貼ってあるのが目に入り、タケヒロは驚く。
 「父さん、ごめんなさい。ぼくは口ばっかりで、いつも何も出来な
くて…。だけど、医者になりたいのは本当なんだ!…この点数じゃ、
ダメかもしれないけど…」
 「何言ってんだ!?このテストをここに貼ったのは、嬉しかったか
らだ。…俺なんて、こんなイイ点とったことねえぞ!…あいつらだっ
て、おまえがいなかったら、助かっていなかったんだ」
 謝るばかりのタケヒロの腕をとり、しゃがんでじっと目を見る剛利。
 「男は、軽々しく頭を下げるんじゃねえ。おまえは俺の、自慢の息
子だ!」
 剛利は息子を引き寄せ、目を潤ませている。タケヒロの目から涙が
ポロポロこぼれ、剛利の肩を濡らしている。

 ――みんなが帰って静まり返った診療所。彩佳がコトーの傷にもう
いちど包帯を巻きながらこぼす。
 「もう、二度とイヤですよ、こんなこと!島のみんなの命がかかっ
ているんですよ。…ほんとに、心配したんですよ!!」
 「ごめんなさい、彩佳さん。彩佳さんがいなかったら、今日のオペ
は出来なかった。感謝してます。どうもありがとう」
 彩佳の包帯を巻く手つきが、急に荒くなるのを見て、コトーは怒っ
ているのかと心配になる。
 「ぜんぜん、怒ってません!」
 乱暴に包帯を巻き終えた彩佳は、涙をこらえているのか、コトーに
背を向けた。


寸  評  島にたった一人のお医者さんは大変です。自分の体であって、自
分の体だけではない、島民の命がかかっています。和田さんがまだ、
血を見て卒倒しそうになったり、彩佳がもしも経験の少ない看護士さ
んだったら、リュウイチはダメだったかもしれません。本当にラッキ
ーでした。
 最後のシーンで、みんながそれぞれ迷惑を掛けた人に一様に「ごめ
んなさい」と言っています。「人に迷惑を掛けなければ、何をしても
いい」わけはないのだと思います。誰かが必ず誰かを心配してい
る…それが、いちばんの大迷惑なんですね。でも、その迷惑は絶対に
許されるという大前提があって、それは例えば家族愛とか親子愛とか
いった深い愛情からくるのでしょう。
 それから、和田さんの写真撮影のシーンが今回はありませんでした
(カットされた?)が、エンディングでは幾つか写真が出てましたよ。

執 筆 者 三森(anponhana@mail.goo.ne.jp)

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2. 編集後記
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 このお話の原作はマンガだそうで、実際にモデルになった離島のお医者さん
がいらっしゃるのだそうです。ちなみに私のかかっている内科は、70台のお
父様と息子さんと2人で診察にあたってます。お父様の方はそろそろ引退、と
いった感じですが、古い患者さんをよく見知っている様子です。一方、若(と
私は勝手に呼んでる)は日曜でも電話すると「どうぞ」と診て下さって、一生
懸命話を聞いてくれます。テレビでも、町の開業医と病院の勤務医と比較され
るようなドラマがあります(このドラマも一応そうですネ)。どっちがいい、
悪いは言えませんが、やっぱりお医者さんの仕事はタフじゃないとできない、
ってのがほんとのところと思います。(三森)

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発行元:ドラマ研究会
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