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======================================================================== ━┓→ N┃→ 仮想力線電磁気学 ━┛→ ======================================================================== ------------------------------------------------------------------------ ●第7回 概要(その7) ------------------------------------------------------------------------ 当メールマガジンを御購読いただき、誠にありがとうございます。 前回に引き続き、疑似近接作用の入門的な説明をします。 **************************************** 25.到達距離は無限大 **************************************** 前回、遠隔作用でも、複数の第三者(電荷)によって、連鎖反応が起こり、電磁 波という近接作用的な現象が生じるという話をしました。 では、作用を及ぼす物体と、及ぼされる物体の途中の空間が真空だったら、どう なるのでしょう。 第三者がいなくなるわけですから、やはり、電磁波のような近接作用的な現象は 説明できないのでしょうか? そこで、次のような問いを発してみましょう。 「はたして、電磁気作用の到達範囲はどれだけか?」 答えは、無限大です。 つまり、電磁気作用は無限遠まで届くのです。 それも、遠隔作用の場合、瞬間的に、です。 もちろん、遠くなればなるほど、強さは弱くなりますが、決してゼロにはなりま せん。 したがって、無限遠に存在する物質にまで作用が及ぶことになります。 一方、これは見方を変えると、無限遠に存在する物質からも作用を受ける、とい うことにもなります。 つまり、まとめていうと、全空間に存在する全ての物質と、互いに作用を及ぼし 合う、ということになります。 さて、ここで思い出してほしいのですが、遠隔作用を近接作用的にしてしまうの は、(複数の)第三者である電荷の干渉でした。 一方、電磁気作用は、上で述べたように、無限遠にまで及びます。 ということは、全空間に存在する全物質が、作用に干渉してくるということにな ります。 ここまで来ると、真空の問題における第三者(疑似エーテル)が何ものかがわか るでしょう。 それは、全空間における全物質(を構成する荷電粒子)なのです。 **************************************** 26.非局所性 **************************************** こうしてみると、遠隔作用では、近接作用とは全く異なった考え方が必要である ことがわかると思います。 近接作用では、作用を及ぼす物体と、及ぼされる物体の途中の空間のことしか考 えません。 これに対し、遠隔作用では、全空間の全物質のことを考えなくてはならないので す。 たとえば、下図のような問題の場合、電荷Aから電荷Bへの作用に(直接)関わ ってくるのは、どの電荷でしょうか? o I F H o o o ○ o ○ <図1> E A C B o D oG 近接作用の場合は、電荷Cだけか、それにせいぜい電荷Hぐらいですね。 これに対し、遠隔作用の場合は、電荷C〜I全部が関わってくるのです。 スペースの関係上、電荷AとBにごく近いものしか記述できませんでしたが、実 際には、この図の外にある無数の電荷も関わってくるのです。 つまり、周囲にある全空間の全電荷が、疑似エーテルとして働くということにな るのです。 このため、遠隔作用では、下図のような単純な『二体問題』でも、実際には『多 体問題』になるのです。 ○ ○ <図2> A B このように、途中の空間が真空でも、全空間の全物質(を構成する荷電粒子)が 疑似エーテルとなることで、電磁波という近接作用的な現象が生じるのです。 途中の空間が真空でも、遠隔作用で近接作用的な現象が説明できることが、これ でおわかりになったと思います。 ついでにいうならば、全空間の全物質が作用に関わってくるということから、マ ックスウェル電磁気学では説明できない現象、つまり相対論や量子論を用いなけ れば説明できない現象も、説明できるのです。 このことは後に詳しく説明しますが、今、とりあえず知っておいてほしいのは、 遠隔作用では、作用の及び方が非局所的だということです。 さて、ここまでくると、前回もヒントとして述べたように、『スケールを変え て見てみる』ことの重要性に気付かれたと思います。 たとえば、図2の例でも、図をそのまま眺めているだけでは、電荷Aと電荷B、 そして、その途中の空間にしか見えてきませんね。 でも、より大きなスケールで見ると、その周りに無数の物質(を構成する電荷) があることに気付きます。 前にも述べたように、人間の目には、小さい方にも、大きい方にも限界がありま す。 後者の場合、視界や視野の外は見えません。 ですが、より大きなスケールで見ると、視界や視野が広がり、それまで見えなか ったものが見えてくるのです。 異なる様々なスケールで物事を見ることの重要性が、ここでも認識できたと思い ます。 **************************************** 27.仮想エーテル **************************************** 遠隔作用では、全空間の全物質のことを考えなくてはなりません。 図2の例のような、見た目は単純な『二体問題』も、実際には複雑な『多体問題 』になってしまうのです。 多体問題は、扱いが非常に厄介です。 これでは、とても実用的とは言えません。 多体問題の中には、カオスになって予測不可能のものもあります。 ですが、幸い、全ての多体問題がそうなるわけではありません。 中には、波動のように、非常に単純な振る舞いをするものもあります。 そこで、仮想力線電磁気学では、こうした単純な振る舞いの問題を扱う際、全空 間における全物質からなる疑似エーテルと等価な働きをする、仮想的な疑似エー テルを、途中の空間に考えます。 これを『仮想エーテル』といいます。(詳しいことは、いずれ説明します。) とにかく、この仮想エーテルのおかげで、たとえば図2のような問題も、複雑な 多体問題から、単純な二体問題に置き換えて考えることができるようになるので す。 しかも、仮想エーテルは実在しないものなので、そこ(途中の空間)では、あた かも、電磁場が連鎖反応的に次々と生じているかのように見えます。 その様は、マックスウェル方程式で示される近接作用の現象と、そっくりなこと に気付くでしょう。 こうして、仮想力線電磁気学は、マックスウェル電磁気学や、ファラデーの力線 の理論といった、従来の近接作用理論とつながることになるのです。 ただし、仮想エーテルによる解法は、万能ではありません。 あくまで、ある特定の問題に限られた近似的解法にすぎません。 それ以外の問題では、この近似は成り立たなくなります。 その場合は、やはり、遠隔作用の多体問題として解かなければなりません。 そして、こうした問題こそ、マックスウェル電磁気学では説明できない問題、す なわち、これまで相対論や量子論でしか説明できなかった問題なのです。 ======================================================================== 発行者 : tarkun(たーくん) mailto:tarkun2@yahoo.co.jp 配信 : MailuX http://www.mailux.com/ バックナンバーの閲覧、購読の解除、配信先の変更は、下記のHPへ。 http://www.f8.dion.ne.jp/~tarkun/mm/mailux.htm 購読の解除や、配信先の変更は、御自分でお願いします。 ======================================================================== |