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=================================== 月刊小説メールマガジン 2003年8月1日 発行 『君が好き!』 増刊号vol.39 =================================== こんにちわ、篠原です。 関東地方はいつになったら梅雨が明けるのでしょうね…。 天気良すぎても困りものですが、毎日曇りや雨だと気分的に鬱です。。。 もう、脳みそのカビが生えそう!!!! 8月16日(土)西地区 ほ−21a 君が好き! ですぅ。 HP更新情報 http://kimigasuki.hp.infoseek.co.jp/ ←アドレス変更 ★随時、HPは更新しております♪ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 増刊号 今月のラインナップ ●愛の寸劇劇場 【ちょっとおかしな二人の話《兄弟編》】瀬乃美智子 ●『聖獣戦記』第9章 篠原美姫緒 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 【ちょっとおかしな二人の話《兄弟編》】 by瀬乃美智子 「…父に会いに行こうかな」 レイモンドの言葉に、カミアはにっこりとうなずく。 「お父様はどこに住んでらっしゃるの?」 「外国だよ。そんなに遠くはないけど、行って帰ってくるには数日かかると思 う」 気持ちが変わらないうちに行こうと思うんだけど、という彼にカミアも賛成す る。 「それで…、もし君が休みが取れるようなら連れて行きたいと思うんだが」 「え? 私を?」 まさか同行を求められるとは思わず、カミアは少し驚いたような表情を見せる。 レイモンドはというと、少し気恥ずかしげに口許を隠している。 いつもの彼とは違い少し節目がちに視線を落とし、…しかしちらりと様子を伺 うようにカミアの表情を伺うと、ぽつりぽつりと呟き始めた。 「君がいた方が心強いっていうのもあるんだが…。その…、もちろん最初から なんだが…、…やっぱり私のパートナーには君になって欲しいから。父と母に 紹介したいと思って」 「っ!」 レイモンドの言葉に、カミアは一瞬にして顔を赤らめる。 もちろんカミアに異存があるはずもなく。 何より…、最初あった時から将来の花嫁と言われていたのも嬉しかったが、今 こうして一緒にいて、やはり自分にパートナーになって欲しいと言われた事が 嬉しかった。 「はい…、もちろん!」 カミアが涙いっぱいの瞳でうなずくと、レイモンドは嬉しそうに…共にうなず いて見せたのだった。 「…本当にやるの?」 「ああ、それが運命だ」 高層ビルの屋上に、一組の男女の陰。 男は超高層の突風の中、金色の髪と黒いコートを思うままになびかせ、異国の 地の見下ろしていた。 隣りには漆黒の長髪を優雅に風にたなびかせる女性。 女性の方は隣りに佇む青年の顔を見上げ、不安そうに何度も念を押す。 「でも…、あなたの弟さんなんでしょう? …失敗したらどうするの? どん な事態になるか…、分かっているわよね?」 「失敗などしない。結果がどうなるかは、俺がちゃんと未来視で見たから」 「でも…。」 不安がる女性に、青年の方は小首を傾げて不思議がる。 自分の未来視がはずれるはずがない…、いや、はずれること自体想像していな い彼は、短く…しかし、なんのためらいもなく言い切った。 「早く、レイモンドを狙撃する為のスナイパーを探し出さなければ」 レイモンド……同じ占いの素質を持ちながらも父との確執の後、実家を飛び出 し、この異国の土地に身を潜める彼。その兄と名乗るこの青年は、実の弟であ るレイモンドを狙撃させる為にこの地を訪れたのだ。 「そのスナイパーももう探し出してあるんだ」 彼は満足そうに天を仰ぐ。 「今回の狙撃にもっとも相応しい狙撃手―――カミア…彼女を探し出し、狙撃 の依頼をしなければ」 その腕をどこからか聞いたのであろうか? カミアを選んだ事といい、恐ろしい事を言いのける実兄に、隣りに付き添う女 性は深い溜め息をついたのであった…。 《続く》 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 『聖獣戦記』 篠原美姫緒 第九章 聖戦 「ユイ。玄武が呼んでいるぞ」 耳から頭へと響く毅彦の声に、ユイは引き寄せられる。 そんなユイをカレリニオは力強く抱きしめる。 ハインの心を知ってか知らずか、オーカスはユイの前に立ちはだかった。 「クククククッ そんなことをしても無駄だ。」 毅彦は呪文を唱えはじめた。 魔法陣から湯気が立ちはじめると、一気に絵柄にそって黒色の炎が放たれた。 毅彦は、炎の中心にいる。 鳳凰は魔法陣の上を、ケーーーーーーーーーーーーーンと鳴き声を上げなが ら旋回していた。 黒い炎は、ユイを呼んでいる。 「カ、カル… 痛いの」 ユイの言葉に、カレリニオの抱きしめる腕が少し緩んだ。 だいじょうぶ ユイは、そう自分に言い聞かせた。 「カル…、お願いがあるの」 か細い声でカレリニオに話しかけた。 「なんだい? 僕にできることがあるなら言ってくれ」 カレリニオがユイに耳打ちするように顔を近づけたそのとき――― ユイは自らカレリニオにキスをした。 「あなたは、私が選んだマスター。なにがあっても離れないから、だから私に なにがあっても、あなたも離れないで――――」 軽くカレリニオを押して、腕を振り払うと、彼女は炎の迎えるままに魔法陣 の中へと消えて行った。 うわぁ!! 先ほどまで炎に迎えいれられていた毅彦は、自らが呼び覚ました炎に弾かれ、 壁に叩きつけられた。 普通の人であったなら、死ぬほどの衝撃だったに違いない。 「ケッ!!」 毅彦は手の甲で口の端から流れ出た血を拭き取った。 炎は勢いを増し、やがてどす黒い光の柱が城の天井を突き破り、天へと昇っ た。 そして光は、黄金色になって魔法陣へと再び還ってきた。 溢れ出る光は、氷ついた城を溶かし、凍てつく大地にやがて春をもたらした。 「玄武はどこだ――――――――――――!!!」 温かい光が差し込む城を抜け、毅彦は鳳凰と共に外へ出た。 後を追うように、ユニコーン姿のオーカスも外へ出る。 一人取り残されたカレリニオも外へ出ようとしたそのとき、足が何かにつま ずき、転んでしまった。 「イテェ…」 カレリニオの視界に入ってきたのは、愛らしい小さな亀。 「ユイ…!」 「カル、分かるの?」 「ああ分かるさ! 言葉も話せるんだな!」 「こんな姿になっちゃったけど… 嫌わないで…」 「可愛いよ。しばらく懐にいてくれ。ここを抜ける」 「抜けて、どこへ行くの?」 「サワっていう、毅彦の妹を探そう。彼女が何か知ってるかもしれない。でも」 「でも?」 「毅彦と同じような性格の娘だったら、最悪だけどな」 何か来る―――― 玄武の復活を知ってか、春の大地を再び凍らせるような何かが来る。 毅彦は、何かがくる方向をじっと見つめた。 「ゾンビだ!」 そういったのはオーカスである。 「ゾンビ?」 「南殿のヴィシュヌだろう」 「ああ、あの小娘の力か。玄武をさらいに来たというわけか」 うわああああああああああああああああああああああああ 城にカレリニオの悲鳴がこだました。 《続く》 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ あとがき 最近、ブルーチーズにはまってしまい、酒豪の篠原はビール片手に蒼カビが 生えているチーズをバクバク食べています。いつも思うんだけど…。 この蒼カビって、食べ物に生えるあの蒼カビと同じ物なのだろうか…。 君が好き!はリンクフリーです。 小説のご意見ご感想をお寄せください♪ =================================== 月刊小説「君が好き!」メールマガジン 2003/8/1 増刊号 発行責任者 :篠原美姫緒 kimigasuki@1-emishop.com Webページ:http://kimigasuki.hp.infoseek.co.jp/ 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』 マガジンID:0000025584 m00012567 ms00000142 loveyou 君が好き!メールマガジンの、転載、複写など著作権法違反行為は禁止です。 =================================== |