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■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◆◆◆個人特訓教室メールマガジン臨時増刊号◆◆◆ ◎◎『本』進呈プレゼント付!◎◎読書特集増刊号! ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ☆ No.27 2003.7.20 ためになる教育マガジン ☆ ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ■夏休み推薦図書特集■ http://tokkun.net magazine@tokkun.net ◆ごあいさつ◆ 7月号で予告させていただきました、夏休み読書特集号をお届けします。 さて、読書の大切さを声を大にして訴えたいところですが、今このメルマガ をお読みいただいている方には今さら申し上げるまでもありませんね。 本を読まない生徒が増えている理由はいろいろ考えられますが、一つだけ生 徒達に代わって申し上げると、学校で出される夏休みの課題図書などは子供に よってはつまらないのです(学校の先生方すみません)。現代の子供達の夢や 想像力は多様です。「良い子」や「英雄」のお話ばかりを推薦するのでは、読 書の多くの効用を逆に矮小化してしまいます。 全国に広がっている朝の読書も、読む本の指定をしないことが成功の秘訣で あることは間違いありません。どなたでも、人から勧められて読んだ本が、お もしろかったこともあれば、つまらなかったこともあるという経験をされてい るはずです。同じ本を同じ人が読んでも、読む時期によって評価は分かれます。 歴史的名作であっても、今、その人にとって、おもしろくないものはおもし ろくないのです。ノーベル文学賞であれ、芥川賞受賞作品であれ、満場一致で 推薦されることなどめったにありません。 ですから、どうかお子さんが途中で『名作』を読むのをやめても許してあげ て下さい。せっかく良かれと思って買ってあげたのに「もったいない」、その 通りですが、その後に、子供が自分で最後まで読めるような本を見つけてあげ ることが大切です。途中になってしまった『名作』の魅力にも、いずれ気付い てくれます。その時に読み直せば良いのですし、その瞬間、名作がすぐ手の届 くところにあるのは理想的なことです。途中でやめることによって自分の読み たい本の選択が始まっています。 そういう意味では当メルマガでご紹介する本が万人に受け入れられることは あり得ません。しかし、私どもは、学校が薦めていなくともおもしろい本、役 立つ本はそこらじゅうに埋もれていることを知ってもらいたいし、「必ずや人 生のどこかで触れておいて損はないぞ!」という意気込みで講師陣が選びまし た。このメルマガ増刊号の中に、どれか一冊でも子供たちの心に深く長く残っ てくれる本があることを願ってやみません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 以下のご紹介で、一応便宜上、対象を分けてみましたが、あくまで目安です。 ☆★☆★☆★☆☆★☆★☆ ☆★☆★☆★☆★☆★☆ 小学生 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ ☆★☆★☆★☆☆★☆★☆ ◆『アタとキイロとミロリロリ(いとうせいこう著)』幻冬舎文庫 495円 まだ上手に言葉が話せないくらい小さな頃、私達はいろいろな「モノ」とお話 ができたのかもしれません。小さなアタちゃんはネコのキイロと、ラジオのミ ロリロリを連れて公園にお散歩に行きます。アタちゃんの見た公園はどんな世 界だったのでしょうか?大人も子供も楽しめる童話です。(横尾先生) ◆『遠い海から来たCOO(景山民夫著)』 角川文庫 540円 砂浜に打ち上げられた謎の生物COOは実は6000年前に死滅したとされるプ レシオザウルスの生まれたばかりの子どもでした。それを発見した海洋生物学 者の子ども洋介少年との友情を描いた作品です。一度はCOOは連れ去られて しまうのですが、それを奪い返す冒険小説でもあります。第99回直木賞に輝 き、アニメーション映画にもなりました。(鮓谷先生) ◆『だれも知らない小さな国(佐藤さとる著)』講談社青い鳥文庫 580円 山に住むコロボックルと人間のせいたかさんのお話です。コロボックルはとて もすばしっこい小人です。用心深いので人間にはなかなか姿を見せてくれませ んが、せいたかさん一家とはなかよしです。コロボックル達の世界にも学校や 新聞社があります。小さいですがみんなで力を合わせて生活しています。コロ ボックルとせいたかさんが登場する物語はこの他にもあります。面白いので続 きも読んでください。(関根先生) ◆『算数パズル[出しっこ問題]傑作選(仲田紀夫著)』ブルーバックス750円 子供の通う学校の先生が紹介してくださいました。発想の転換ということの訓 練です。家族でどうぞ。全部で60問あります。1問目を紹介しましょう。 「正直村」と「うそつき村」があります。正直村の人は本当のことしか言わず、 うそつき村の人はうそしか言いません。あなたが着いた村が「正直村」か「う そつき村」かを知るために、あなたは一度だけ、そこの住人に質問ができます。 どう尋ねれば良いのでしょうか。答えは… 「あなたはここに住んでいますか?」です。これが簡単すぎる人には、同じシ リーズの『論理パズル[出しっこ問題]傑作選』があります。(光岡先生) ◆『ロビンソン・クルーソー(ダニエルデフォー著)』集英社文庫 657円 文明も機械も何もない無人島にたどりついたロビンソン・クルーソーはたった 一人でサバイバル生活をはじめます。中学時代に1日で読み切った、ハラハラ ドキドキのおもしろい本です。昔の人々は今のような発展した社会にあこがれ たのだろうけど、現代社会を生きるぼくらは逆に何もない無人島にあこがれた りしますよね。(鋤本先生) ◆『少年H(妹尾河童著)上下巻』講談社文庫 上下巻各600円 太平洋戦争を妹尾少年の目で見て、心で感じた体験を、当時を思い出し、書か れた本です。妹尾河童氏の感性と好奇心ゆえに、ここまで面白おかしく、純粋 に書かれたのだと思います。妹尾少年の家族もまた個性溢れる人々であり、家 族の話としても十分に面白く読むことが出来ます。少年の好奇心や勇気、悪童 ぶりに感動し、笑い、ときには涙することもあるかもしれません。大人の描く 戦争体験とは一味違った、戦争体験記として、後世に残していって欲しい一冊 です。(伊藤先生) ◆『100万回生きたねこ(佐野洋子著)』講談社 1400円 子供も大人も楽しめる絵本ですが、大人になってから読んだ方がよりじんとく る作品かも知れません。文字通り100万回生きた猫が主人公ですが、ストー リーは是非体験して欲しいので割愛させて頂きます。生と愛と死がこんなにも リンクしてしっくりくるように感じさせてくれる物語は他には無いかと思いま す。佐野さんの日本語づかいは天下一品なので、エッセイ集『がんばりません』 もおススメです。(和田先生) ◆『この世で一番の奇跡(オグ・マンディーノ著)』PHP研究所 552円 小学校高学年から大人まで読める小説です。ベストセラー『世界一のセールス マン』(邦題:地上最強の商人)を受けて、その後有名作家となった自分を題材 に、そこからストーリーを発展させたものです。大成功を収めた自分ではある けれどもどこか自分らしさを失っている、世の中には生きてはいてもその意味 を見出せずにいる多くの“生ける死人”がいる。主人公はそういう死人を生き 返らせることができるという老人と出会い、教えに惹かれ、その人たちを救う ことこそ、神から与えられた役目であるということを自覚し、そのための本の 出版を決意する。そして突然訪れる老人との別れ。手許に残された死人を生き 返らせるための“神の覚え書き”。それこそが「この世で一番の奇跡」、はたし てその内容は・・・?(光岡先生) ◆『砂糖の世界史(川北稔著)』岩波ジュニア新書 740円 小学生から大学生までとても面白く読める一冊です。本書は私たちの暮らしに 身近な砂糖という商品を取り上げ、その歴史を探っていきます。大航海時代・ 三角貿易・産業革命など、教科書に並んでいる面倒な言葉も一気につながって いきます。モノから紐解く歴史を味わってください。(逢坂先生) ◆『クオレ(デ・アミーチス著)』講談社 1900円 イタリアの古典です。『クオレ』は愛や心を表します。小学校4年生の主人公 が一年間の日記をつづり、その中で一ヶ月に一度先生がお話が入るというスタ イルで書かれています。登場人物は個性豊かな人々で、さまざまな問題が生じ ます。人間は弱く、間違いを犯しやすいものだがいつもそれを克服するのが、 人の心であり、愛情であるということを教えてくれます。先生がするお話がま た心打つものばかりで、泣かせるのです。『母を訪ねて三千里』はこの本の先 生のお話から生まれています。(光岡先生) ☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★☆★☆★☆ 中、高校生 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★ ◆『四万十川 第一部 −あつよしの夏−(笹山久三著)』河出文庫 450円 夏。四国の山の中。「コロバシ」というシカケを沈めて、川のエビ・うなぎを獲 る。鮎を獲らせたら、名人級。そんな篤義(あつよし)ではあったが、口数少 なく、おひとよし。クラスで「ごはんに塩をかけただけの弁当」と千代子がば かにされるのを見て、ちょっとほっとする弱い面も持っている。しかし、教室 でその千代子が泥棒に仕立て上げあられ、それをかばった篤義は・・・。この 弱さとまっすぐの強さを持ったこの小学生に大きな魅力を感じるのは、私だけ ではないでしょう。情景・心情描写が細やかなのもすてきです。映画にもなっ ています。夏におすすめ! (平井先生) ◆『淋しい狩人(宮部みゆき著)』新潮文庫 514円 東京の下町にある古本屋の主人、イワさんとその孫で高校生の稔が本屋を舞台 に事件を解いていく短編集です。「うそつき喇叭(らっぱ)」という童話の本 を万引きしようとした小学生が親にも言えない虐待とは。失踪した推理作家の 意外な真実とは。殺人事件、無理心中と重い内容の話ですが、世話好きなイワ さんとお祖父ちゃん孝行でおおらかな稔とその両親がほのぼのとした雰囲気を 醸し出しています。こんな古本屋があったら一度のぞいてみたい気がします。 (関根先生) ◆『蝉しぐれ(藤沢周平著)』文春文庫 590円 ある藩士の少年から青年、壮年への成長を描く時代小説です。友情、藩内の抗 争、戦いのシーン、そして幼なじみの女性との関わりなど描いた、時代小説を 思わせない作品であり、主人公はちょっと格好良すぎるくらいです。背景描写 の美しさも素晴らしく、話の展開も私には申し分ありませんでした。時代小説 に抵抗感のある方も違和感なく読み進めることが出来ます。もう一度読み直し たくなる一冊です。中高生にも読んでもらいたい一冊です。(伊藤先生) ◆『友だちができる本(ロージー・ラシュトン著)』晶文社 1400円 「友だちって何?」ジュニア向けの本ですが、大人にとっても、多くのことを 教えられる本です。わかりやすい具体例とかわいらしい挿絵も魅力。友人関係 で悩んだとき、ふと孤独を感じた時に読んでみて下さい。(鋤本先生) ◆『旅のラゴス(筒井康隆著)』新潮文庫 438円 筒井康隆の作品の中でこれは明らかに特異なものです。小説や物語を笑い飛ば すような作品ばかりが目立つ中、唯一ファンタジーの匂いがします。旅を続け やがて王国にたどり着くという流れは少々ありきたりではありますが、そこは 筒井康隆、単なるSFファンタジーでは終わらせません。映画「ロード・オブ・ ザ・リング」にしっかりはまった人にお勧めです。(鮓谷先生) ◆『英語達人列伝(斎藤兆史著)』中公新書 780円 野口英世、新渡戸稲造など、日本にいながらにして達人と呼ばれるほどの英語 力を身に付けた人々を紹介します。留学しなければ英語はできるようにならな いと信じきっている人には、大変な驚きと発見があるはずです。会話重視で文 法軽視という現代の英語教育は正しい道なのでしょうか。英語を学ぶことは欧 米人のコピーとなり、その文化に取りこまれることではない、という強いメッ セージが伝えられます。私も機会あるたびに本書の内容を授業で話しています。 本書の続編『英語達人塾』もお勧めします。(光岡先生) ◆『デミアン(ヘルマン・ヘッセ著)』新潮文庫 400円 ドイツの代表的作家ヘッセの転換期の問題作です。主人公である少年シンクレ ールは不思議な少年デミアンによって導かれ、唯一無二の自分自身を探求して いきます。彼が自分の属する所とは違う世界に惹かれてしまう様や、社会の常 識や規範に対して違う物の見方があることを知って驚愕し、殻を破っていく様 の描写は、ヘッセならではの説得力に溢れています。思春期の必読書です。(和 田先生) ◆『霧笛(大佛次郎著)』徳間文庫 価格500円 異人館のボーイ千代吉と、主人公の英国人クウパー、その愛人お花との関係を、 開化期の横浜のエキゾチックな風物の中で描いた長編小説。浜っこだったら読 んでないとだめでしょう。またこれを読んでから中区の港の見える丘公園の大 佛次郎記念館に勉強の疲れを癒すために行くも良し、古き良き日本を味わいに 行くも良しです。(坂千代先生) ◆『分水嶺(森村誠一著)』中央公論新社 781円 森村誠一の社会派サスペンス長編。理系技術者を目指す人の倫理がテーマの一 つとして扱われています。大学時代、山岳部で友人だった2人が、社会に出て 相反する立場で自らの信念を貫こうとする様子を冷酷な企業の本質と共に描い ています。高校時代にこの作品を読んだのですが、僕が大学に入って山岳サー クルに入ったきっかけだったりもします。(田上先生) ◆『それから(夏目漱石著)』新潮文庫 400円 漱石の作品の中で、純愛小説としては『それから』が一番ではないかと思いま す。それと同時に、当時の社会を冷静に分析する漱石の眼の確かさがうかがえ、 ハッとさせられる作品です。『こころ』よりも面白いと思うので、高校生の方に 特におすすめです。(設楽先生) ◆『Harry Potter and the Sorcerers Stone(J.K.Rowling)』835円 日本語版や映画でも人気の“ハリポタ”シリーズ第一巻、賢者の石の原書です。 洋書なんて・・・と尻込みしなくても大丈夫。もともと児童書ですし、映画などで ストーリー展開も知っているのですから思っているより簡単に読めますよ。高 校2・3年生なら辞書なしで気軽に読めると思います。ストーリーが面白いこと は証明済みですし、英語の勉強にもなって一石二鳥。洋書を読めるようになっ ておけば、最新刊を日本語訳を待つみんなより一年早く読めますよ。(近藤先生) ◆『わたしの出会った子どもたち(灰谷健次郎著)』角川文庫 480円 優しいことは厳しいこと…人と関わる仕事を目指す人に。この本の『チューイ ンガム一つ』という詩に22歳の私は不覚にも新幹線の車内でぼろぼろ泣いて しまった。教師だった灰谷さんの小3の女生徒が書いた詩だ。万引きをした生 徒に灰谷先生は正面から向き合い、詩を書き終えた少女に手紙を渡した。「人 間はわるいことをしたあと、かならずといっていいほど、あまえた心をいだき ます。(中略)わるいことをすれば、えいきゅうにそのつみはきえないのだと思 います。(中略)本当にきびしい人間はいつだってじぶんをごまかしたりしませ ん。(後略)」今は沖縄の慶良間島で漁師・お百姓・作家をしている氏は、『天 の瞳』を執筆中。日に焼けた、関西弁をしゃべるやせたこのおっさんは、場所 もわきまえず、他人の魂をわしづかみにするから困る。(平井先生) ◆『宮本武蔵(吉川英治著)全8巻』講談社 540円〜950円 漫画バカボンドやNHKの大河ドラマの原作である吉川英治の宮本武蔵は読んで 絶対損はしないでしょう。綿密な取材をもとに描かれた吉川英治の宮本武蔵ワ ールドにすぐに引き込まれあっと言う間に読み切ってしまいます。漫画しか読 まない人にもお勧めです。(坂千代先生) ◆『「超」勉強法(野口悠紀雄著)』講談社文庫 533円 勉強法が間違っていては、いくら努力しても成果は上がりません。この本では 中高生にとどまらず、大学生や社会人にも役立つ、目から鱗の画期的勉強方法 について扱われています。英語・国語・数学の「超」勉強法は受験生・ビジネ スマン必見です。英語は文法を早めに終わらせ「全体から理解」し、「教科書を 丸暗記する」方法は当塾でも実践されています。これがいかに効果的な方法で あるかはお読みになっていただければ明らかです。勉強に終わりはありません。 この本がきっとあなたの生涯学習の心強いパートナーとなることでしょう。(中 田先生) ◆『4TEEN(石田衣良著)』新潮社 1400円 池袋ウエストゲートパークの原作者が書いた本です。話は14歳の中学生4人組 の物語でオムニバス形式で話が進んでいきます。友情・恋愛・反発・・・いま どきの14歳がこの本のように考えているのかどうかはわからないけど、このよ うな感情は誰にでもあったはず。そういえば14歳のころって内容があるかない か別にして、いろいろなことを考えていろいろなことを話していたなって…。 あのころからはほんの少し歳をとってしまっているので、純粋な心を少々失っ てしまっている僕ですがいい気持ちにさせてくれる本でした。中高生には読み やすい本だと思いますよ。(門田先生)*7月17日直木賞受賞が決定しました。 ◆『日本人の英語(マーク・ピーターセン著)』岩波新書 700円 私たち日本人が英文を話したり書いたりする際、文法的に問題は無くてもネイ ティヴならば絶対に使わないような表現をたびたび使ってしまいます。とくに 悩ませるのは冠詞をどうするか、単数・複数どちらで表すべきか、また前置詞 に何を使うか、など。この本はそういった日本人のもつ英語表現の迷いに手を 差し伸べてくれます。文法書にはなかなか載っていない、高度な内容を分かり 易く解説しています。使える英語を身につけたい方は必読です。(中田先生) ◆『成長の限界(ローマクラブ編メドウズ他著)』ダイヤモンド社 1300円 高校生の皆さんに是非チャレンジして欲しい一冊です。内容は決して易しいと は言えませんが、地球環境問題に関心のある人には特にお薦めです。本書は 1972年に初版が発行されましたが、十分、今に通用する内容です。持続可能な 発展とはどのようなバランスの上に成り立つものなのかを深く考えさせられる 良書です。(逢坂先生) ◆『谷川俊太郎詩集』角川春樹事務所 680円 私は、詩集を他人に勧めるのはきざなようだし、感性は人それぞれで、なにか 押し付けがましい行為のような気がします。したがって、今まで人に勧めたこ とはないのですが、こういう機会ですし、谷川俊太郎ほどの大物ならば良いで しょう。本書は50年にも及ぶ氏の活動の50冊を超える詩集から選び抜かれた 作品を集めています。小学生が声に出して読むもよし、中高生が学んでもよし、 大人が寝る前に読むもよしです。(光岡先生) ◆『白い巨塔(山崎豊子著)全五巻』新潮文庫 552円〜705円 権威主義に凝り固まる醜悪な医学界の実態を暴いた大長編。あらゆる手を使っ て大学病院助教授から教授にのし上がり、神業的な手術でジャーナリズムでも 脚光を浴びる外科医・財前五郎。彼には人の命を尊ぶという意識など微塵も存 在せず、己の名声のみを追求し患者をモノ扱いする傲慢さが満ち溢れている。 誤診で訴えられ一度は勝訴するものの、紆余曲折の末、真実が暴かれ、自身も 胃癌に蝕まれていく。死に際になって初めて彼の人間らしさが見せられる・・・ このストーリーの裁判の経緯を読んで怒りを覚えない人はいないと思いますが、 最後は少しだけ救われた気になります。医療系を目指す高校生はぜひ読んで欲 しい作品です。(中田先生) ☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★☆★☆★☆ 大学生以上 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★ ◆『植物はなぜ5,000年も生きるのか(鈴木英治著)』ブルーバックス 880円 地球の歴史は46億年。生命はざっと40億年前に誕生し、人間はわずか10万年。 すべての源となった生命の誕生は、繰り返し起こったのではなく、たった一度 だけらしいのです。そこから動物と植物とに別れ、さらに人間ができたわけで す。本書は動物も植物も生物であるという観点から、どのように進化し、個体 の寿命とは何かを科学的に説明している本です。巨木礼賛的な本は多いようで すが、本書のような類は珍しく、地球のかけがえのなさ、生命の不思議さを伝 えてくれます。(光岡先生) ◆『通貨が堕落するとき(木村剛著)』講談社 1800円 竹中平蔵金融経済担当大臣の懐刀と呼ばれる木村剛氏をご存知でしょうか?彼 が世に出るきっかけとなったのがこの作品です。内容は、赤字国債の増発から ハイパーインフレ(物価の極端な上昇)へと至る道筋を描いた近未来経済小説。 この本から、経済系SFは一種の流行現象となりました。高校生には若干難し い部分もあるかもしれませんが、ストーリーを楽しく追いかけることはできる と思います。(新藤先生) ◆『草原の椅子(宮本輝著)上・下』幻冬舎文庫 上600円 下648円 著者の作品はどれもおすすめなのですが、特に本書に関しては間違いなく面白 く、読後感がたまらなく心地良い作品と言えます。主人公の世間を見る眼は優 しく、殺伐とした現代に敢然と立ち向かっていく勇気が湧いてくるような思い、 一服の清涼剤を与えてくれるような感じです。舞台も日本だけでなく、タクラ マカン砂漠、パキスタンのフンザなど広大です。大人だけでなく、高校生も楽 しめる一冊だと思います。(伊藤先生) ◆『テアイテトス(プラトン著)』岩波書店 700円 哲学傾向が強い人にはお勧めです。知識の哲学の基本文献のひとつです。古代 ギリシャの哲学は、問題がシンプルで(かといって簡単ではないですが…)、し かも、プラトンの著作のように対話編が多いので、読みやすいと思います。知 識と思い込みの違いというのが本編の中心的な問いかけです。(徳永先生) ◆『事実とは(本多勝一著)』朝日文庫 520円 毎日、目や耳にするテレビ、ラジオ、新聞などは、はたして“事実”を伝えて いるのでしょうか。そもそも、この場合、“事実”とは何を意味するのでしょう か。もともと、報道のあり方について筆者の考えをまとめたものですが、受け 手の私たちが読んでも、いま、あふれている情報に対する姿勢を考えさせてく れます。(横尾先生) ◆『青春漂流(立花隆著)』講談社文庫 540円 家具職人・精肉職人・ナイフ職人・鷹匠・動物カメラマン・ソムリエ・コック。 20代〜30代半ばの11人の「職人たち」。彼らはどうやってこの仕事を選 んだのだろう。どうやってたどり着いたのだろう。挫折して強くなる。自分の 生き方を問う。迷いが多いから青春。生き方も仕事も人それぞれ。あちらこち らでぶつかりながら、目標をつかむ。そして、それに向けて突き進む。読んで いてすがすがしさと感動さえも覚える一冊。進路を考える人にぜひ読んでもら いたい。(平井先生) ◆『日本人の精神構造(会田雄次著)』PHP研究所 1800円 会田氏は西洋史の専門家で、すでに故人となってしまいました。私は氏の本は ほとんど読んでいて、そのすべてをお勧めしたいのですが、一定数売れないた めか、次々と絶版になり、古書に頼るしか他人に勧める方法がないのが残念で 仕方ありません。そんな中での新刊が本書です。今年3月に出されました。氏 の代表作は『アーロン収容所』(中央公論)となっていますが、そちらは社会 学の古典的名著としてひとまずおき、読みやすさの点で本書をお勧めします。 歴史に裏打ちされた洞察力はどこまでも鋭いのです。(光岡先生) ◆『家族の復権(林道義著)』中公新書 700円 家族の崩壊、空洞化を憂う著者の「復権三部作」と呼ばれる著書の一冊です。 日本の家族の在り方を過去の歴史と日本人の価値観の変遷から紐解き、解説し ています。現在日本が向かおうとしている姿に対して、諸外国の成功例、失敗 例を紹介しながら警鐘を鳴らし、具体的な改善策も提案しています。誤った認 識の男女平等、個人主義に対して著者の危惧が十分伝わってきます。いろいろ な方に読んでいただきたい一冊です。(伊藤先生) ◆『私たちが孤児だったころ(カズオイシグロ著)』早川書房 1800円 著者は日本生まれのイギリス育ちで、今やイギリスを代表する大作家です。ア ヘン戦争当時、上海にいる一人のイギリス人少年は、両親が謎の失踪をとげ、 孤児となってしまいます。本国イギリスの親戚の家で成長し、卒業後自分の夢 であった探偵になり、若くして名士の地位を確立します。やがて、日中戦争の さなか、混乱の上海へまいもどり、むかしの親友アキラや両親をさがすのです。 前半部分の落ち着いた格調高い上品な世界から、後半の徐々に緊迫した場面へ のつながり、話の展開も見事で、悲しくも感動のラストまで実によくできた小 説だと思います。(光岡先生) ◆『なぜ人を殺してはいけないのか(小浜逸郎著)』羊泉社 680円 伝統的な価値観が揺らいでいる現代。既成の道徳や倫理では十分に説明できな いことも多く出てきました。数年前、ある深夜の討論番組で「どうして人を殺 してはいけないのですか?」という中学生からの質問に大人が満足に納得のい く説明をすることが出来なかったことで話題になりました。「そんなの当たり 前だろ!」ということを説明しなければならない時代は悲しい時代でもありま すが、本書から何かヒントがつかめるような気がしました。(逢坂先生) ◆『世界がわかる宗教社会学入門(橋爪大三郎著)』筑摩書房 1800円 日本人は宗教を知らなさ過ぎる、このまま若者が世界に出て行くのは危険でさ えある、と述べています。最近のテロ、地域紛争を見ていても痛感させられま す。なぜそこまでやるのかということが日本人にはどうも腑に落ちない。本書 のように、一冊で世界の主要な宗教のことをまとめた本は、ありそうでなかな かありません。なぜ日本の捕鯨にあれほどの反対があるのか、中国、韓国の人々 はなぜ日本にことさら反発を持つのか、文明の中の宗教という視点から眺める と、実に多くの疑問が解けます。(光岡先生) ◆『トーキョー・リアルライフ 42人の消費生活』実業之日本社1500円 この本は首都圏の主に20代の人たちの日記・消費記録をまとめて掲載している ものです。人は普段からいろいろなことを考え感じているし、またその考え方・ 感じ方は人それぞれだと改めて思わせてせてくれた本です。自分が日ごろ感じ たこと・思ったことを日記につけはじめていたところ、この本を見たので特に そのように思いました。東京の若者の価値観や金銭感覚を含めて、その生活が リアルに伝わってきます。夏休みから日記をつけるいいきっかけになるような 一冊ではないでしょうか。(門田先生) ◆『ビリー・ミリガンと23の棺(ダニエル・キイス著)上下』ダニエルキイ ス文庫 660円(上)620円(下) 「24人のビリー・ミリガン」の続編です。多重人格による精神異常のために無 罪となった強姦犯のビリーミリガンは最重警備施設である州立ライマ精神障害 犯罪者病院へと移送されます。しかし、そこでは体罰、薬物などにより人格の 統合は崩れ、憎悪の管理者が人格の主導権を握って行き、その後作者を含めた 周りの人間により徐々に人格が統合されて行くというノンフィクションです。 精神の病の複雑さに興味がある人にお勧めです。(鮓谷先生) ◎一応これだけご紹介いたしましたが、まだまだHP上のVIVA読書の掲示板に は講師たちの書評が数多く載っています。ぜひそちらもご覧下さい。 http://tokkun.net/msgbrd/msgbrd.cgi ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆ お勧め本進呈、特別プレゼント ◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ★せっかくですので、増刊号でご紹介した本を、抽選でなんと10名の方にプレ ゼントしちゃいます!!!上に紹介された本の中からご希望の一冊をご指定下 さい。今回はキーワードを入れていただくのではなく、プレゼントコーナーの キーワード記入の欄に書名をご記入下さい。メールアドレスと共に書名を入力 していただくだけで応募になります。 ただし、本によってはこちらで入手しにくいものがあるかもしれませんので、 なるべく第二希望の書名も一緒にご記入いただけるようお願いします。 また、できましたら本増刊号に関する感想などもお書き添え下さい。 では http://tokkun.net/present/present.htm へどうぞ。 今回の締め切りはやや早く『8月1日』です。 当選者にはメールでお伝えします。また会員専用ページには、 goukaku で、入る事が出来ます。必ず半角小文字で入力し、(enterを押すのではなく) 横にあるOKをクリックして下さいね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆アンケートのお願い◆ ●はじめて増刊号を企画しお送りいたしましたが、いかがでしたでしょうか? 今後の編集の参考のため、恐縮ですがぜひ以下のアンケートにお答え下さい。 ■『本に関する情報は?』 1.役立つ http://tokkun.net/merumaga-enq/answer1.htm 2.不要だ http://tokkun.net/merumaga-enq/answer2.htm 3.どちらともいえない http://tokkun.net/merumaga-enq/answer3.htm ■『当教室のHPをご覧になりましたか?』 1.よく見る http://tokkun.net/merumaga-enq/answer4.htm 2.見たことはある http://tokkun.net/merumaga-enq/answer5.htm 3.見ていない http://tokkun.net/merumaga-enq/answer6.htm ■『増刊号という形式は?』 1.よい http://tokkun.net/merumaga-enq/answer7.htm 2.不要だ http://tokkun.net/merumaga-enq/answer8.htm 3.内容次第 http://tokkun.net/merumaga-enq/answer9.htm magazine@tokkun.net ◎ご意見などもどしどしお寄せ下さい。ありがとうございました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆編集後記◆ 『本ばっかり読んでないで、ちゃんと宿題やりなさい!』と叱られるお子さん なら本物です(笑)。ただし、生徒諸君!宿題は先生たちとの約束ですから、読 書をするのは宿題のあとですよ、あと。9月になったら、休みに読んでみて、 おもしかった本を先生たちに教えて下さい。きっと、先生たちは、お返しにも っとおもしろい本を教えてくれるから。 みなさま、読んでみようかなと思われる一冊はありましたでしょうか?先月号 でご提案いただいた保護者向けのお勧め本特集もメルマガで組む予定です。み なさまからのお勧めの本も特集できればと思います。ぜひご紹介下さい。 最後までお付き合いいただきありがとうございました。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ magazine@tokkun.net http://tokkun.net |