メルマガ:南米旅行記
タイトル:南米旅行記  2003/06/15


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南米旅行記No.20 (2003年6月15日 Sun.)

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こんばんは、エドワルドです。
先号でヒラリー クリントンが大統領候補になるというデマを書いてしまいま
した。どうもすいませんでした。ニュースをチラッと見ただけで、そう思い込
んだようです。

さあ、ごちゃごちゃ言わずに、どんどん先に進んでいきましょう。

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Index

1エル ノルテ(北へ)
2. 南米旅行記XXI
3. ワンポイントスペイン語会話
4 ワンポイントスペイン語文法.
5.カナリア諸島からの遺産II

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エルノルテ(北へ)

80年代の後半、私はメキシコ(メキシコは北米だよ)、中米をよく旅行してい
ました。グアテマラからの帰り、メキシコのボーダーの街タパチュラの長距離
バスステーションで、メキシコシティ行きの切符を買い求めると、バスは1週
間先まで満席であると言われて、呆然としたのを思い出します。

 しかたがないので、2日ほどバス停のベンチで寝たのです。なぜって、お金
を持っていなかったから、安宿にも泊れなかったんだよ。3日目の夜、これ以
上ここで寝るのは「たまらん」と思って下手糞なスペイン語でバス会社の職員
と掛け合うと、「バスステーションの裏で待っていろ」と言うので、そこで待っ
ていると2台のバスが来た。

 一台のバスに乗り込むと、満杯で補助席まで埋まっていた。私の宛がわれた
席は、運転席に横に於いてある丸椅子だった。この丸椅子は床に固定されて
いなかったので、バスがカーブに差し掛かったときなど、倒れたりしたの
で、2日間もバスステーションで木製の長椅子で寝た体にはきつかった。

タパチュラからメキシコシティまで、20時間の長丁場だ。漆黒の闇を走りぬ
けるバス。何時間が過ぎると、バスはバスステーションでもないのに突然止ま
った。ドアが開いて入って来たのはライフル銃を持ち、二本の銃弾を肩から腰
へ十字に掛けたパンチョ ビージャ風の男たちだった。西部劇顔負けの
強盗かとビビッた。この旅に出る前に日本人女性がオアハカからメリダ行きの
長距離バスに乗っていて殺されたという噂を聞いていたので、足が震えていあ
た。

彼らは乗客を一人一人調べている。どうもパスポートを持っているか調べてい
るようだ。どう見ても警察には見えなかったので、運転手に
「あいつらは誰なんだ」と訊くと「自警団だ。あんたは大丈夫だよ」と言って
ニヤッと笑った。

しばらくすると、乗客の一人が自警団とバスの外に出て行って、戻ってくる
とみんなから20ドルずつ集めだした。バスには70人ほどの乗客がいたし二台 
だから、一瞬にして2,800ドルほど集ったことになる。当時、メキシコの平
均収入が200ドルほどだから、大金だ。

運転手に「何でみんなお金を集めるんだ」と訊くと「かれらはエルサルバ
ドルからの密入国者たちだからだよ」と私の方を見た。

この後、メキシコシティに着くまで、このような自警団が2回も乗ってき
て、同じようにお金を集金していった。このグループはメキシコシティに
行くまで一人US60ドル、グループでUS8,400ドルも奪われたこ
とになる。バスがメキシコシティのあるホテルの前に泊ったとき、世話役
らしき男の号令のもと、彼らは急いでホテルの中へ消えていった。

ここですこし深く考えてみると、
なぜ、自警団はエルサルバドールの密入国者がバスに乗っているのを知っ
ていたのだろうという疑問が沸き起こってくる。わたしの考えではバス会社と
自警団が裏で繋がっていて、バス会社の誰かが
「?時にバスが国道のあの地点を通過する」と自警団に連絡したのではないか
と思う。自国を離れた、パスポートのない人間は、穴の毛まで毟り取られると
いう構図である。彼らは法律違反しているから、警察
(マフィアよりたちが悪い)、自警団(半分マフィア)、バス会社の職員
(悪い奴もいる)などの格好の餌食になるのである。

かれらが、メキシコで働くために密入国したわけでもないので、メキシコシテ
ィからアメリカの国境まで、何回かUS20ドルを払わなければならない
だろう。それでも、メキシコ、グアテマラは賄賂で切り抜けられるから良いと
して、何百ドル払って、いや何千ドル払ってアメリカに入国したあとに、アメ
リカのイミグレーションオフィサーに捕まったらたまらない。それまで払って
きた賄賂を含む密入国の為に払った費用が無に帰すのである。エルサルバドー
ル(オリバーストーンの映画)の最後で「彼女がエルサルバドールに強制送還
されたら、殺される」とアメリカ人記者が叫んだシーンと同じになってしまう
わけだ。

彼らは密入国するために借金しているから、本国へ送還されると、借金を返
すために女は売春宿に売られ、男は麻薬の密売人でしょう。女性はエィズで死
に、男は麻薬の抗争で死ぬのです。

アメリカに無事密入国したとしても、ロスアンジェルスのダウンタウンあたりで
女性は体を売り(ラティーノのダンスクラブが多いよ)、男はアルバラー
ドAve. あたりで麻薬か偽証明書の密売だろか。結局、同じ運命にある。

 ああ、ラティーノに神のお恵みを。

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南米旅行XXI

食堂に下りていくと、新しい旅行者がテーブルの前に坐っていた。
「君、今着いたのかい」
「そうですよ。ぼく杉山といいます。よろしく」
彼は真っ白で弱々しく、貧乏旅行者として似ても似つかないような風貌をして
いた。
「こちらこそよろしくな。どこからきたんだい。エクアドルの方から旅
をしてきたのかい」
「千葉からです」
「直接、日本からか」
「エドワルドさん、彼を見れば日本からダイレクトに来たのが分かるでしょう」
と管理人が言った。
「そうだな。それで海外旅行は始めてかい」
「はい」
「ご両親が心配しているんじゃないの。ペルーは治安が悪いからね」
「父親は僕の小さな時にタイへ帰っちゃたんですよ」
「タイへ?」
「僕の父親はタイ人なんですよ」
「それにしては、君は色が白いな」
「中国系のタイ人です。父親が日本に住んでいた時に母親と知り合って結婚
したらしいんですけど、僕が五才の時にタイへ帰っちゃたらしいんです。母
親も僕が15才の時に死にました。それで兄と僕は別々に親戚に預けられ
たんです。母方の一族は、肝臓が弱く早死にする人が多いんですよ。だ
から、僕も直ぐに体が疲れてよく寝るんです」
「一日に、何時間ぐらい寝るの」と女性が聞いた。(今まで、男性ばかりし
か登場していないので、ここには男ばかりしか泊まりに来ないような感じ
で書いてきたが、少ないが、勇気有る女性もたまに泊りにくるのだ。ペン
ション西海を見くびらないように(笑・・・・
「そうですね。15時間くらい寝ますかね」
「15時間とは子供よりも寝るんだね」と篠原さんが言う。
「寝る子は成長する。彼の場合は成長しないですかね」
みんながそれを聞いていて、どっと笑った。
「眠たい、ぼく、もう寝ます」
「ちょっと待てよ。折角、ペルーに来たんだから、カヤオに連れて行っ
てやるよ」とエドワルドが言った。
「しかし、まあいいじゃないか。俺が奢ってやるから」
「エドワルド太っ腹」と篠塚さんが掛け声をいれる。
さあ、また七人いや今度は八人の侍が、カヤオに向かって突撃だ。

カヤオのバーはどこも、大体15坪〜20坪ぐらいで、中に入ると右か
左サイドがカウンターになっている。その反対側がテーブル席で、赤や黄色の
セロハンテープが電球を覆ってあって、何とも助平な雰囲気を醸し出している。
お酒を飲んでいると、女性が寄ってきてビールなどの飲み物をせがむシステム
で、一本ごとにパーセンテージでマネーバックがあるので気を許している
と、女性に何杯も飲み物を飲まれることになってしまう。基本的に女性はフリ
ーで、別にバーに行きたくなければいつでも休めるのである。
杉山君は、普段は白い顔を真っ赤にさしてバー中を見回していた。
「ぼくこんなところにくるのは初めてなんです」
「そうか。思う存分楽しめよ」
「セニョリータ(結婚前の女性)。このムチャチョ(若者)はビルヘン(童貞)
だよ。筆下ろしをしてやってくれ」というと、女性二人が杉山君を中に挟ん
で坐り、彼の手を握ったり、頬にキスをしている。杉山君は、嬉しいのやら苦
しいのやら分からないような表情でオロオロしているのを見るのは、吉本新
喜劇を見ているようだった。

つづく・・・・

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ワンポイントスペイン語単語
?Co’mo se llama usted?  (あなたのお名前は)
コモ     セ ジャマ   ウステッド
Me llomo~.  (私の名前は〜)
メ  ジャモ

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ワンポイントスペイン語文法
Haga el favor de ~.  (・・・・・・してください)
アガ  エル ファウ゛ォール デ

Haga el favor de mostrarme este libro. (この本を私に見せてください)
アガ   エル ファボール モストラール    エステ  リブロ

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カナリア諸島からの遺産II

翌日、まず初めに起こしたアクションはカンシジェラ デ アルソオビスパード
(大司教館)ヘ行くことであった。建物はコジンマリしているが、コロニアル調
でパテイオ(中庭)のある趣のある建物であった。大司教館の事務所
でCentoro de Estudio Teologicos (神学校)へ行くことを勧められる。

 神学校は小さな街の外れにあり、広大な敷地のなかにある立派な建物であった。
建物は近代的であるが、レンガ色の瓦に白の壁で統一されていて、この地方の
(アンダルシア地方も同じだが)の伝統的な建物を意識していることを窺わせる。

 まず、事務所で同じ建物の中にあるアルチボ(古文書館、英語ではアーカイ
ブというのかな)に大きな教会(サンフランシスコ会やドミンコ会)の洗礼
の記録があることを教えてもらった。

 アルチボは太陽の光りの入る清潔な感じの部屋だったが、棚には少なく見積
もってもここ200年分ぐらいの複数(おそらく50ぐらいの)の教会の記録
(本になっている)が、いっぱいに並んでいた。

だいたい、1850年ごろの本を引き出してきて調べるのだが、達筆すぎた
り、紙が虫に食べられて読めない箇所が多い。まるで、解読するのは拷問を受
けているようだ。「これじゃ、いつになっても探し当てることができないよ」
と断念して、係官に質問すると、この島にある教会は1900年以前に造ら
れたものがほとんどで、1900年以降は2、3の教会しか造られていない
こと、テネリフェ島出身者といえども、この島で司祭をしていたとは言い切
れなく、スペイン本土か中南米の可能性もあるということを聞き出した。

 テネリフェ島にカナリア諸島の首都があるのだが、小さな島である。この
小さな島に60以上の教会があるのだから、カナリア全体、スペイン全体、
スペイン語圏全体の中には、いったいどれぐらいの教会があるのだろう。
おそらく、一万はくだらないだろう。そう考えると、眩暈がしてきた。

教会の線がだめなら、オフィシナ デ レヒストロ(日本語で戸籍係とでも
訳すのだろうか、セルテフィカション デ フンシオン〔死亡証明書〕を
発行してくれる)の線があると思い立ち、オフィースを訪ねると、死亡年月
が分からないと調べようがないし、1872年以前の記録はないということ
で、この線も消えてしまった。

もう、宝探しの熱が冷めてしまった私は、大学街のバル(立ち飲みの飲み
屋でカフェと兼用のところが多い)でビーノ(ワイン)を飲んで地元の人間
とクダを巻いていた。この島の人間は面白く、バル入ると声を掛けてくるの
で、暇潰しには苦労しなかった。

 あるバルで、「しかじかこうで、遺産が」と話していると、一人のテネリフ
ェ人が、「それならクウラ(司祭)を紹介してやるよ」と言い出した。

 スペインの面白いところは、日本の寺の坊主や医者のように銀座や北の新地
(大阪)じゃないと飲みに行かないということはないので、その辺のカフェ
(日本ではガードしたの一杯飲み屋というところか)に弁護士やクウラがう
じょうじょしているのである。

しばらくすると、その年老いたクウラがやって来た。黒の服に黒のハンテイ
ングのシックな服装をしたロマンスグレイのイカス年寄りだった。

つづく・・・・・
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