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六月の出だしは、劇的な出会いから始まりました。 仕立ての老先生の、最後の集中講義が決定したからです。 期間は、三ヵ月。 毎月、三週間の集中レッスンです。 多津蔵の主宰も、最後の受講生として、関わります。 最後と申し上げる理由は、生命の最後だからです。 老先生の生命を、主宰が引き継ぐのです。 強固な意志で、最後の指南が始まります。 私も、傍で、寄り添って生きます。 人の生命を頂いて、新しい生命を継承できる事は、 選ばれた者でしか果たせません。 主宰は、其の栄誉に恵まれました。 この事は、多津蔵の誇りに成ります。 老先生が残される意志を、必ず、守り伝える事が、多津蔵の使命と成ります。 主宰の、新しい歩みが、水無月の便りと共に、始まります。 枯れていく生命の終わりを、汲み取って生きます。 伝統の技術の継承を、果たします。 工房「多津蔵」舎主 三代 政次郎 |