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第9章 臨時収入前編 前回痴漢に遭ってから半月たった。 高校は遠くて自転車で1時間もかかるのだ。だから早く学校に行って友達と遊んでいた。 そんなわけでこの日も朝、ちょうどよく霧がかかりかった坂を自転車を押しながら登って いった。ふと坂の上に気配を感じてチラッと確認してみた。 (あっあいつはこの前の!) 遠めから見たせいではないかと思ったが確かにこの前の真後ろに立ってスカートをめくっ た男だ! (あのヤローしょうこりもなくまた来やがって!絶対にシカトしてやる!) 私の心臓は高鳴った。 服を捕まれたりしたら恐いので、押していた自転車に乗り、立ち漕ぎをしたら逃げられる だろうと思って立ち漕ぎで逃げた。 だんだん男が近付く。 男は始めは歩いていたのに自転車通路の真ん中で仁王立ちし、ズボンのチャックを下げ、 何やら怪しい動きをした。 (きた!きた!恐いよー何するの?今度は!上手く逃げ切れるかな?どうしよう・・・ど うしよう来ちゃうよー!) 男の横を通り過ぎようとしたその時、男は私の方を見てチャックから出されたペニスをつ かみ揺らしながら 「見て見てぇー」 と、言っていた。 ギリギリ私は真横を抜けていった。何もされなかったが見るものはシッカリ見ていたのを 覚えている。 学校に行き話したくてたまらなかったので友達皆に話し、勿論先生の耳に入った。何度も 痴漢に遭うので職員内でもその話は広がっていた。私はそのことに対しては嫌ではなかっ た、むしろ嬉しいくらいだった。なぜなら職員とすれ違うとき「最近変な人に遭った?」など冗談混じりで聞かれるからだった。 そういえば2ヵ月前に帰りの暗い夜道の上り坂で、ランナーのふりをしたチャックからペ ニスをわざと出していた男の顔を思い出した。 (そういえば同じ顔だったような…) 1ヶ月ごとに1回痴漢に遭っていることになる。 そしてまた1ヶ月たった。 学校行事での遠足を楽しんだ帰り、高速のインターチェンジでバスから降ろしてもらい、 お母さんに迎えに来てもらう手はずでいたので、私はインターチェンジで降りた。 携帯電話で自宅に電話する。 誰も出ない。しばらくしてまた自宅に電話をかける。 弟が出た。 「お母さんは?」 「車ないから行ったんじゃない?」 そう言われたので30分くらい待った。 それでも来ないので家に電話して 「歩いて帰ってるから見つけたら拾ってってって言っといて」 そういって帰れないほどの距離でもないので歩いて帰ることにした。 インターチェンジから例の坂はすぐ近くにある。でもほかに通り道もないので仕方なく坂 のほうへいく。 坂の上の自転車専用道路に白い車が止まっている。 『豊橋』ナンバーだ。 車をよく見てみるとなんだかバックミラーをちらちら動かしていた。 (まぁ考えすぎだよな…) とは思いつつも怖いので携帯電話で話しているようなそぶりで車の横を通り過ぎた。 坂の下に下っていくと昔車を止めていたらしきスペースの開いた草むらがあった。 白い車が止まっていた。が普通に気にも留めずに通り過ぎた。 「ねぇねぇ」 後ろから声がかかる。 どう考えても車からとしか思えない。 何かを聞いていた。 しかし、何と言ったのか分からなかったので車の運転席に近付いた。 「××ってどこか知らない?」 と聞かれた。 (なんだ道を聞く人を探していたんだ。なんだ心配して損したな) 「すいません。しりません」 そういって立ち去ろうとした。すると車内に居たままの姿勢で 「ありがとう。それよりさぁ、お金欲しくない?」 (え?・・・) 「ほ・・・欲しいけど・・・」 どういうことか分からなかったか、お金に対する執着はあったし、じっさいお金にも困っ ていたから素直に反応してしまった。 「俺がオ○ニーしてるところ見ててくれたら5000円あげるよ」男は二ヤ二ヤしながら車内 から私を見上げた。 |