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タイトル:南米旅行記  2003/05/21


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  南米旅行記No. 4、No.5 (2003年5月20日 Tues)


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 こんばんは、サーズ怖いですね。一応、台湾医師からの感染はなかった
ようですけど、まだ、安心できませんね。くれぐれも気を付けてく
ださい。今回も2章一気に行きますので、よろしく。

☆ 最近、ご飯やパンを少しだけしか食べないようにすると、体重が2週
間で5キロも痩せました。何か、アメリカで流行っているダイエットなのだ
そうですが、たんぱく質(肉、豆類、乳製品)は腹一杯食べてもいいそうで
すから、苦しみはありません。実際に炭水化物(米や小麦粉)の表示を見る
と、糖質が50%とか多いので。ご飯やパンを食べることは砂糖を食べてい
るのと同じことですね。酒類も同じです。このダイエットの欠点は、食費が
かさむということです。お金のある人は試してみてください。

☆ 今回からワンポイントスペイン語レッスンを入れましょう。スペイン
語の単語は、男性名詞と女性名詞に分けることができます。普通、男性名詞
は終わりがOで、女性名詞はAで終わります。例えば、cuerupo(体)はOで
終わっているので男性名詞で、comida(食べ物)はAで終わっているので女性
名詞なわけです。冠詞や基数詞も性に合わせて、el(男性名詞のための定冠詞)
uno(男性名詞のための基数詞)、la(女性名詞のための定冠詞)、una(女性名詞
のための奇数詞)となります。El cuerpo 、la comidaとなります。でも、例
外がたくさんあるのです。例えば「agua」「aguila」この二つの単語は立派な
女性名詞なのですが、「el agua」「el aguila」のように男性冠詞を付けるので
気をつけてください。
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              南米旅行記VI 

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16歳の体は何処までも輝いていた。
「もう、明日バーには行かないわ」
「グァイアキルに帰るのかい」
「それで、バスの切符を買うお金はどうするんだ」
「あなたもグァイアキルへ行かない」と彼女はいった。

エクアドルに来たばかりのころ、グァイアキルに一人旅をしたときのことが脳
裏をかすめた。夜、街に出て、ある飲み屋でビールを飲んでいると、年寄りが若
者に殴られそうになっていた。たまたま側にいたので助けに入ると、若者はこち
らへ向かって来た。しかたがないので、腹部に回し蹴りをいれる。彼は、腹を押
さえてしゃがみ込む。「これはヤバイ。下手すると地元の連中に袋にあうぞ」と背
筋に悪寒がはしる。次の瞬間だった、太い腕が、私の首に回りこんできたと思っ
たら、私の体は床に仰向けに倒れていた。そして、立ち上がろうとしたとき、目の
前に火花が散った。「ここのまま倒れていたら、蹴り上げられる」と思って、すば
やく立ち上がると、先ほどの若者が、割れたジュースの瓶を持って笑っている。
唇を舐めると生暖かくて塩辛い。血が流れ落ちているのであろう。このとき、初
めてジュースの瓶で鼻を殴られたことがわかった。頭にきて、「Venga aqui.(こっ
ちへ来い) Vomosa luchar entre los dos. (さしでやろうぜ)」と叫ぶ。相手は、
「ここはエクアドルだ。俺たちはサシでは戦わないんだ」と不気味に笑った。彼
の仲間たちが鋭い視線でこちらを見ている。そばにいた人間が来て、「やばいから」
はやく行こうと、私の手を引いたので、窮地を脱することができた。

悪い思い出があると、そこに二度と行きたくないと思うのは人情だろう。あま
り、行きたくないと思ったが、彼女の魅力が勝った。「いいよ。それで、いつ行
くんだ。俺は明日でもいいぞ」といいながら、エクアドルの下町の暮らしという
ものを見たいという衝動が沸き起こった。

寝たのが朝方だったので、起きてバスステーションに着くと、空には赤道直下
の太陽がぎらぎら(高度があるので常春で暑くは無い)している。バスの切符は
日本円にして500円ぐらいだった。 7〜8時間の道のりで500円なのだか
ら、日本的感覚からしたら激安というところか。

午後3時ごろにバスが出発し、目が覚めるとあたりがムッとしている。気候が
乾燥して寒いキトとは違い、湿気があり熱帯独特のものだった。

グァイアキルに着くと夜の11時ごろだったので、バスステーションの近くの
ホテルに泊まることにする。ノックの音で目が覚めると朝だった。ドアを開け
ると、制服を着た警官が立っていて「何人で泊ってるんだ」と聞いてきた。「二
人ですよ」と答えると、今度は「イディンティフィカション(身分証明書)」と言
った。部屋の中に戻り、自分のパスポートを手に取りながら
「Tienes identificacion.身分証明書、持っている)」とピラールに聞く
と、「No tiengo(持っていない)」という答えが返ってきた。仕方が無いのでUS
10ドル紙幣と自分のパスポートを持って入り口に戻り「もう一人は身分証明書
を持っていないんだ」といいながら、警官へパスポートにUS10ドルを挟んで
渡すと、紙幣だけを取って引き揚げていった。

ホテル グランカジノでアメリカ人が「エクアドルでは たまに、早朝、警官
が小遣い稼ぎにくるよ」といっていたのを思い出した。ラテンアメリカではよく
あることであるが警官が早朝にホテルを回り、身分証明書を持っていなかった
り、何か不備のある宿泊者から賄賂をせしめるのである。

ホテルをチェックアウトし、近くのレストランに入る。道路に面している側に
は壁もドアもなく吹き抜けで通りが見渡せる。今、街は動き出したばかりだ。人
々は、自分の家の前を掃き清めたり、通勤なのか、早足で歩いている。どこの国
も同じだなと思う。

デッサイジュノ(朝食)を二人分注文する。食事の内容は、塩味のアンコ(こ
れは慣れれば美味しい)、白チーズ、目玉焼き、パン、南国のフレシュなオレン
ジジュースとパワフルだった。彼女が向かいに座って食べ物をスプーンで私の口
に運んでくれた。まるで新婚のような感じで、まんざらでもなかった。
つづく・・・・

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             南米旅行記VII


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舗装されていない細い道を登っていくと、貧しい集落があった。道の両サ
イドにはブロックが剥き出しになった掘っ立て小屋がどこまでも続いている。
ラテンアメリカでは、普通ブロックを積んだ壁に化粧を施すのだが、ブロッ
クが剥き出しの家に住んでいるということは、相当貧乏であるということを
現している。

ピラールの家は、木でできた柵で囲まれており、門をくぐると、山の斜面
に張り付いている小さなマッチ箱のような掘っ立て小屋があった。基礎部分
は山の急斜面に角材を打ち込んで造られており、大雨の時に流されないかと
心配するほどであった。家の内部は台所、ダイニングルーム、部屋が一つ
あるだけであった。家を造る材料は、おそらく、廃材を利用したのであろう。
そのうえ、内装どころか、ペンキも塗られていない、まさに掘っ立て小屋なの
である。

柵をくぐった瞬間、洗濯をしている真っ黒な大柄の女性が目に入った。ピ
ラールは表面上白人というかメステーソ(白人とインディオの合いの子)に
見えるので驚く。
こんなところで、中学校時代に習ったメンデルの法則の典型的な範例を見る
とは思わなかった。南米は人種の坩堝であるから、人種間の混血が進んでお
り、一見白人に見えても黒人の血が流れているということが珍しくない。実
際に、母親も色は黒いのだが、目はモンゴロイドのように切れ長で、髪の毛は
直毛である。おそらく三種類の人種の血が流れているのであろう。インディ
オと白人の混血がメスティーソ、黒人と白人の混血がムラート、インディオ
と黒人の混血がザンボと呼ばれているが、果たして、三人種混合は、なんと
呼ばれるのであろう。メスラーボとでも呼ぶのだろうか。
「ママ、今帰ったわ」
「どこえいってたんだい」
「キトよ」
「私の彼氏を紹介するわ」
母親は吃驚してこちらを見ている。いきなり、チーノが入って来たのであ
る。驚くなという方が無理があるだろう。歴史的に見て、チーノ(直接には中
国人をさすが、モンゴロイド系のアジア人全体の呼称、他に召使、醜い、ザン
ボという意味がある)は鉄道敷き設労働者として入植し、黒人やインディオよ
り下に位置づけられた時代もあったので、今でも、教育のない黒人やインディ
オは、チーノは自分達より下だと思っている。
母親は驚愕したものの、嫌な顔をせず家に入れてくれた。たどたどしいスペ
イン語で自分が日本人であること、南米一周旅行をしていることなどを伝える。

母親は「ピラール。このセニョールに連れて行ってもらいな」と歯切れのよい
グァイアキル弁(黒人が多いので独特な早口でSの発音がぬける)でいった。
おそらく、私がOKすれば、一緒に旅することも可能であっただろうが
「すぐに、アメリカに帰らなければならない」とお茶を濁す。

中南米だけでなくは発展途上国では、簡単に自分の子供を他人に託してしま
う傾向にあるが、その慣習が、少女を買春婦として売買したり、腎臓を盗られ
た少年が発見されるなどの犯罪の温床になっている。お金のために、分かりな
がらやっている親たちも多いようだが困ったものだ。

しばらくすると、父親が帰ってきた。色は真っ黒なのだが、顔のつくり
は、白人的でなかなかの男前である。彼は、ピラールの本当の父親でなく、日
本で言うママ父である。ピラールの母親はピラールの父親と二人の子供と現
在の夫と四人の子供をもうけている。現在の夫との子供たちの肌の色もそれ
ぞれ違い、本当に、同じ両親から生まれたのかと疑問符を付けたくなるが、そ
れがメンデルの法則なのであろう。

エクアドルの貧民街で、賑やかで、幸せそうな家族と、取って置きのバカ
ルディ(ラム酒、スペイン語ではロン)を飲むのは、とても楽しいのであっ
た。

つづく・・・・・    
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