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タイトル:[M4 Vision 68]「資本主義成熟後の会社組織とは?」  2003/05/19


通巻68号 2003.5.15発行


                 M4 Vision
           「資本主義成熟後の会社組織とは?」


 もともと、研究計画書では、今世紀に見られるだろう成熟した資本主義社会にお
いて、会社というものがどうなっていくだろうか、ということを研究しようと思っ
ていました。そんな話をベンチャーの後輩にしていたら、彼から『会社はこれから
どうなるのか』という本を読んだか聞かれました。著者は東大の経済学研究科長(経
済学部長)の岩井克人先生でした。私が3年間かけて研究しようと思っていたテーマ
だけに、気にはなっていたのですが、図書館に購入リクエストを出しても、なかな
か「選定中」のまま購入がされなかったので、ついに生協で購入しました。そうし
たら、今日の午前中に図書館から購入決定のメールが来たというわけです(笑)

 しかしながら、当初は1,600円(税別)をケチっていた私ですが、購入したら、すぐ
に読み終え、購入したことに満足感を覚えました。岩井先生ご自身も「一度も会社
で働いたことがない純粋培養の学者」としながらも、実にうまく戦後の日本的経営
システムが分析されており、ポスト産業資本主義において、最後にはコーポレー
ト・ガバナンスをやんわり否定することになります。先日もある大企業の顧問とラ
ンチをご一緒させて頂いたときに「会社は会社のものだ」と言われていたのを思い
出しました。戦後の財閥解体の後、6大企業グループは株式を持ち合い、資金調達を
間接金融に頼り、完全に一般株主を蔑ろにして成長を遂げました。私に言わせれ
ば、公開企業でありながら、戦後の旧財閥系企業集団は、NPOとは言いませんが、中
間法人そのものです。配当はしないけど、税金は払って、国には貢献する。会社の
持ち主は、理論上株主でしたが、株式持合の状態は、株主不在を意味します。株主
がいないのですから、コーポレート・ガバナンスは必要ありません。この組織は、
従業員による共同体に他なりません。

 そして、この本でも触れられていますが、コーポレート・ガバナンス大国米国で
の会計不祥事は、株主主権に大きく水を差す結果となりました。ここにきて、会社
がどうあるべきかについて、それぞれの国や地域の特性に基づいて、また、グロー
バルな視点にも着目して、論じていかなければならないのだと思います。

 さて、私はそんな経緯から、研究テーマを「途上国における起業リスクに関する
研究」と変更することにしました。それはなにより、資本主義経済における先進国
であるはずの、欧米や我が日本が会社について、どうあるべきか、最近は失敗ばか
りしているのに、途上国にも同じような過ちは犯してもらいたくないからです。遅
れていることがかえって優位に立てた例として、よく私が出すのが、北欧の携帯電
話と韓国のADSLですが、どちらも遅れていたために、最新技術を導入し、世界一に
なりました。途上国にも、経済システムについて、遅れていたからかえって優位に
立てるということが考えられないでしょうか。途上国で起業するためには、あらゆ
るリスクが伴いますが、経済システムというのは根幹にかかわる最も大きなリスク
です。

 資本主義成熟後に、会社はどうなってしまうのでしょうか。私の直感的大胆な仮
説は、大企業の総中間法人化です。もしかしたら、人類の偉大なる発明のひとつで
ある「株式」市場が必要なくなるかもしれません。日本的経営システムは、その一
部だけグローバル化しても機能しないのではないでしょうか。ひとつのシステムな
のですから。これから、そのために解決されなければならない課題について、深い
議論をしていくことにします。

          (こくぶ ひろゆき hk@ihg.jp http://www.ihg.jp/)


『会社はこれからどうなるのか』岩井克人著(平凡社)
http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/frame.cgi?page=browse.cgi&code=829
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追伸) 初めてこのメールマガジンをお送りさせて頂いた方もいらっしゃいますが、
  1994年から(当時はFAXでしたが)不定期に発行しているものです。徒然なるまま
  に思いつきを皆さんにお送りするものですが、ご迷惑でしたら、一番下の解除
  方法で解除できますので、お手数ですが、ご自身でご手配をお願いします。
   なお、バックナンバーについては以下のホームページにあります。
   http://www.spre.ad.jp/new/m4_index.html


◎最近見た映画
「シカゴ」 ギャガ・ヒューマックス共同配給
http://www.chicago-jp.com/
 アカデミー賞最多6部門受賞の快挙で、知らない人はいないでしょう。しかし、米
国人の評価と日本人の評価は分かれるところ...と思いましたが、「ムーラン・ルー
ジュ」のようなオペラ映画のようなものが好きな人にはたまらないはず。見るんだ
ったら、ビデオで見てはいけません。是非、劇場へ足を運んで下さい。

「CUBE2」ヴァージンシネマズ限定公開
http://www.cube2.jp/
 4/25に六本木ヒルズにオープンしたヴァージンシネマズ六本木ヒルズのOPEN記念
作品です。前作「CUBE」をビデオで予習することをお勧めします。内容は...私は六
本木ヒルズだけの平日(木・金曜)オールナイトで見てしまったので、半分寝てしま
いましたが、結論は「CUBE」が面白かった人は見ないほうがいいかも知れません。
どちらにしても、ヴァージンシネマズでしか見られませんが。

「X-MEN2」
http://www.foxjapan.com/movies/x-men2/
 前作「X-MEN」は先日、テレビでも放送されましたが、その続編です。まあ、ミュ
ータントの是非は別として、マツダの新しいスポーツカーRX-8が最近はCMでも出て
いますが、無理やりなタイアップには驚きました。4人で普通に移動していたので
(笑)アメコミが嫌いな人はもちろんやめておいたほうがいいですが、前作を見てか
らのほうが、より微妙な対決の度合いが分かると思います。

「I SPY」
http://www.ispy.jp/intro.html
 完全なスパイ・コメディですが、エディ・マーフィがかなり笑えます。鈴木宗男
議員の元秘書ムルアカ氏を宣伝部長に起用したりしていたみたいですが、キャンペ
ーンは不発だったかもしれません。それより、このwebがパロディ効いていて、かな
り笑えますよ。

「あずみ」
http://www.azumi-movie.jp/index.html
 上戸彩主演の人気コミックの映画化ですね。時代劇なのですが、大河ドラマ慣れ
している私としては、現代風にアレンジされすぎてて、コミックまるだしだったの
ですが、オダギリ・ジョーの時代劇風オカマ演技は興味深かったです。

「メイド・イン・マンハッタン」
http://www.uipjapan.com/manhattan/
 これは"Made" in Manhattanかと思っていたのですが、マンハッタン製のラブスト
ーリーではなく、"Maid" in Manhattanということで、ジェニファー・ロペスがシン
グル・マザーのホテルのメイドを演じます。ニューヨークの人種問題なども背景に
あったりして、内容的には住む世界が違う人々の恋愛、プリティ・ウーマンを彷彿
とさせます。この時期、ラブストーリーが少ないので、カップルはこちらに流れて
きそうです。

「ドリームキャッチャー」
http://www.dreamcatcher-movie.jp/
 予告だけではどんな映画か分からなかったのですが、実はこれ、宇宙ものなんで
す。ただ、予告ばっかりすごくて大したことのなかった「サイン」と比べたら、よ
ほどこっちのほうが設定がしっかりしていて、面白いです。たまにビクッというと
きはありますが、ホラーということはありません。

--
國分 裕之 (Hiroyuki Kokubu), Independent Holdings Inc.
E-mail hk@ihg.jp URL http://www.ihg.jp/

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