メルマガ:堤のノンフィクション物語
タイトル:私がPTSDになった訳-第3章痴漢2−  2003/05/03


第3章 痴漢2


 痴漢に遭い、結局通学路を変えることになった。
 以前の山道とは違い、道路も広く、通る小学生も多く、車もよく走っているところだっ
た。
 しかし、周りが木に囲まれてるのには変わりなかった。
 学校が終わると、帰り道にいる全員を走って追い越して一番に坂を登るのが好きで、そ
の日も走ってみんなを追い越して坂を登った。
 カーブを曲がるところで車が止まっていた。よく見てみると、中にいる人は地図を見て
いた。
 そこまでは普通だった。
 (道に迷ったのかな-?)
 そう思ってその人を見ながら歩いていた。2メートルくらい近づいたとき、車の中の男が
見ている地図が逆さになっているのに気づいた。
 それを見た瞬間なんとも言えない嫌な予感がしたので、後ろにいた女の子2人が私を追い
越したら行こうと思い、その場でとまって女の子が通り過ぎるのを待った。
 2人が私を通りすぎ、怪しい車も通りすぎた瞬間。私は急いで女の子を抜いて坂を一気に
登った。
 すると後ろで車のドアが開く音がした。
 (やっぱり!!)
 止まって振り返ってみると、さっき追い越した女の子2人の前で男がズボンを脱いでい
た。
 「きゃー!!」
 女の子2人が叫んでいた。男は
 「ほらほら楽しいだろー?」
 といって2人の前に立ちはだかっていた。
 私は急いで坂を駆け上った。
  
 次の日なぜか私は職員室に呼び出されていた。
 「昨日の痴漢のことなんだけど・・・」
 (痴漢?昨日の?なんでわたしなの??誰にも言ってないのに。昨日の痴漢はあの女の子
達に聞いたほうが早いんじゃないの?)
 そしてまた説明させられ、前回と同じく、何を見せられたのかとしつこく聞かれた。
 (なんで私ばっかりこんな恥ずかしい思いをさせられなきゃいけないの??)
 他の先生の視線が痛かった。
  
 そうして春が終わり夏が来た。
 日曜日友達と遊んで帰るところだった。近くの農協で乗っていた自転車がパンクしてい
るのに気づいて、押して帰ることにした。
 車の進行方向とは逆の方向の道路で歩いていた。まだ午後の3時ごろなのに車があまり通
らないので、歩いてくる人や車を嫌でもじっと観察してしまう。
 反対車線の向こうから中年男性が歩いてくる。スーパーの袋を持っているがシワシワな
ので、きっと家にあった袋なんだろう・・・。などと考えていた。額に穴がある。銃で撃
たれたような・・・。
 今思えばホクロだったのかもしれない。
 なんだか怖い感じを覚える。
 一度目が合ってしまったので見ないようにうつむいて歩く。しかし目の端ではその男の
足を追っていた。
 足がどんどん私に近づく。
 (道路を渡るのか)
 しかしその足は私の横で向きを変えて、私の横で私と同じ方向に歩いていた。
 顔を少し上げ、手に持っている袋を見た。
 「ねぇお○んこさわらせてよ」
 中年男はそう言いながらついてくる。
 何を言ってるのか言葉の意味が分からなかった。
 しかし私の股間のほうに何度となく手をのばして触ろうとするのでなんとなく分かっ
た。
 私の両手はハンドルでふさがれていて、男の伸ばしている手を弾くことができない。そ
のため早歩きをする。
 男は何度も
 「触らせてよ」
 と言い触ろうとしてきたが、避けていったので諦めて帰っていった。
 私の記憶では『頭に穴の開いた痴漢』と残っている。
 

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。