hebdofrance 21042003 2003/04/21

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タイトル：hebdofrance 21042003 2003/04/21

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ Davide Yoshi TANABE vous presente 　　　　　　　　　　　　　　≪週刊フランスのＷＥＢ≫ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第168号 Tokio, le 21 avril 2003 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ Index (目次）１．「僕の猫が病気だ」２．インフォームド・コンセント３．パリ商工会議所４．シャンソン　ピアフ　「しゃべりまくる　奥さん」５．忘れられたフランス人ラブレー「現代に生きるユマニスト」６．あとがきフランス語のサイトの文字化けは表示＞エンコード＞西ヨーロッパ言語の順で選択すれば修正することができます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 　　　　　　　　　　　　　　１．Mon chat est malade. 　　http://chatouweb.free.fr/Fiches/Chat-malade.htm 　チカちゃん（僕のパートナーとしての猫の名前である）が、病気をもらった。スイス生まれの深窓の令嬢である。家から外に出さないことにしている。そのチカが先週土曜日4月10日夕刻、誤って雨の中を外に出てしまった。一晩行方不明で、僕は未明まで探しまわった。お蔭で、実は本誌先週号が発行できないのではないかと危ぶまれた。翌朝発見されたが、木の葉を身体中につけ泥まみれであった。それから数日、目に膿らしきを溜めて瞼が開かない。蚤、虱程度で助かるとおもったが、やはり病気を移されたか。　早速木曜日朝、近所の医者にいったら休診。もう一件世田谷通りにあったのを思い出して行ってみると引越していて、その引越し先はというとそこも休診。すわ、医者は木曜日に休むものなのかと諦めたが、成城学園駅近くにもあることを思いだした。幸いにしてこの病院が開いていた。　休診であるのはかまわない。しかし、休診の報せと同時にその日に開いている病院を書いておくべきである。薬屋pharmacieも同様だ。日本の薬屋の殆どは薬屋であって薬屋ではない。雑貨屋droguerieだ。薬屋なら薬屋らしく、営業時間以外に当該地域で開いている薬屋の住所と地図を店の前に貼っておかなければならない。日本の診療所・病院、薬屋のシステムは断然おかしい。　病院巡りをする前に、インターネットで病状から凡その病名、治療方法をしろうと検索した。日本のサイトは、イラストなどサイトのデザインは「子供向き」に出来ていて体裁がいい。しかし、内容がない。要は「早くお宅のワンちゃん、ネコちゃんをうちの病院につれていらっしゃい」という営業広告でしかないのである。情報を提供などという代物ではない。うん、これではいかん。　フランスのサイトを探すと上記以外ににも多くのサイトが直ぐにみつかった。説明は流石（さすが）適切で要領を得ている。こういう医者ならば安心してチカ（Chica、スペイン語の「娘」という意味と「千佳」とがかけてある）を任せられるだろう。　この彼我の違いは何か。それは言葉では日本でも犬猫を家族の一員などというが、彼等はあくまでペットであり、飼われている動物という意識に他ならない。今日、動物の権利とまでフランスや英国等で認められてきている存在からは遥かに遠いのである。医者にとっては格好の儲けの対象であり、猫なで声で「いらっしゃいませ」というお客様に過ぎないからである。　医者には従って、仕入れておいた知識でいろいろと質問をした。いちおう納得の行く説明をしてもらったので、抗生物質の投与も承知した。しかし、いただいた請求書は高かった。都内には、往診までしてくれて良心的な料金の医者もいることは後で知った。　そこでitem2のインフォームド・コンセントに話が続く。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝２．consentement eclaire' 　　http://www.chu-rouen.fr/ssf/anthrop/consentementeclaire.html 　インフォームド・コンセントinformed consentは「説明を受けたうえの同意」なのだそうだが、フランス語ではconsentement informe'と英語そのままに直訳されれていることもあるが、より適切に「インフォームド」の内容を汲取って consentement eclaire'とする方がいいだろう。また、大勢である。エクレレ eclaire'とは、この場合、「よく理解された、知らされたau courant」ほどの意味である。　サイトはルーアン大学病院がまとめたインフォームド・コンセントのページである。インフォームド・コンセントが、単に「癌の告知」の場合にだけ使われる言葉ではないことがわかる。　インフォームド・コンセントは概念として重要であるとおもうが、これが医療ミスを隠蔽する材料に使われることもあるので注意をしなければならない。「この手術には危険が伴うって云ったじゃないですか。署名されましたね」といわれても、その手術の過程でミスがあったか否かは、合意の内容とは全く別である。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝３．CCIP　Chambre de Commerce et d'Industrie de Paris 　　http://www.ccip.fr/ 　パリの商工会議所ができて今年で200年だそうである。商工会議所の役割は意外と広い。起業から輸出の手伝い、従業員のリクルートやトレーニング等々とくに中小企業（PME)のための様々なプログラムをこなしている公的機関（商工省傘下）である。　東京麹町にCCIFJというのがある。Chambre de Commerce et d'Industrie Francaise au Japon。 http://www.ccifj.or.jp/ 僕はこの機関に、帰国したてに一度行ったことがある。在日フランス企業に就職しようかと考えた時だ。アポイントを取る段階でなんのかんのと煩い。日本におけるフランス企業の事情などを聞こうとしたが、忙しい（役所がいつもいう科白）のか、極めて官僚的で嫌気がさした。大使の紹介でももらっていけば、へいこら一所懸命にしてくれるのだろうが、虫が好かないところであった。今回、別件でコンタクトしているが、閉鎖的な態度は変わっていない。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝４．Edith Piaf 　　Et ca gueule ca madame Paroles: Edith Piaf. Musique: Gilbert Becaud 1952 　　c 1952 Editions Paul Beuscher 　　note: du film "Boum sur Paris" 　　{en duo avec Jacques Pills (son mari)} 　Maurice de Canonge監督作品（1953）の主題歌らしいが、年代が1年ずれている。邦題は「パリは踊る」らしい。boumは、はじけたり、ものが落ちたりする時の擬音。 C'est haut comme ca... Non ... J'exagere... Mettons, comme ca... Enfin ... a peu pres ca ! Ca paie pas d'mine, Mais nom d'un chien ! Ca tient d'la place Ce bout de rien... こんな風に高いかしら、、、いいえ、、、、大袈裟ね、、、そうね、これくらいかしら、、、そうよ、、、だいたいそれよね！　風采があがらない　でも畜生！　場所をとる　なんでもない、、、 {Refrain:} Et ca gueule, ca, madame On n'entend qu'elle, dans la maison Y a pas, faut qu'elle se cherche des raisons De ca, elle en fait tout un drame ! Et ca gueule, ca, madame Elle me dit de toute sa hauteur : "Faudrait pas croire que tu m'fais peur !" Elle est crispee, elle tape du pied ! Elle sort ses griffes, elle ouvre ses yeux Ca bouge, ca crie, c'est tout furieux J'ai envie de la prendre dans mes bras Et de la serrer tout contre moi ... Mais ... ca gueule, ca, madame ! Moi, ca me fait rire, mais en dedans, D'abord, je suis un gentleman, Et c'est plus prudent ! べらべらとしゃべりまくる　奥さん　家の中では奥さんの声しか聞こえない　理由もないのに　理屈をこねる奥さん　そして　大騒ぎをする　　べらべらとしゃべりまくる　奥さん　「あんたなんて怖くないわよ！」　ひきつって　足を鳴らす！　爪を立て　目を見開く　動き回り　叫び　怒り狂う　奥さんをこの腕（かいな）に抱き、抱きしめたい、、、だけど、、、べらべらとしゃべりまくる　奥さん！　僕はといえば　笑ってしまう　胸の内でね　第一僕は紳士だから　それに用心深いんだ！ 2 - Pour la calmer, je cherche un truc Je me dis, voyons ... Je vais lui donner raison ! Et je lui dis : "Eh ben! C'est moi qui ai tort !" "Ah ! tu l'avoues! " qu'elle dit. Alors ... tut-tut-tut... 奥さんの気を静めるために　思いついたんだ　ひとりごとをいう　あのね、、、君が正しいって！　奥さんに云ったのさ「うん、僕が悪かった！」　奥さんはいう「あーあ、白状したわね」　それで、、、テュテュテュー、、、 {Refrain:} Et ca re-gueule, ca, madame Meme quand tout valse dans la maison Y a pas, faut qu'elle cherche des raisons De ca, elle en fait tout un drame Et ca gueule, ca, madame ! Elle m'arrive la, juste a mon coeur, Alors, des fois, pour lui faire peur, Je serre les poings, je leve la main... Elle a regard tellement surpris Qu'on dirait que ses yeux sont punis ! Alors, bien sur, j'ouvre les bras Et elle se jette tout contre moi. Et ca pleure, ca, madame On cherche partout un grand mouchoir Pour y cacher son desespoir Qui fait peine a voir... Je la console et je la mouche Un peu apres j'embrasse sa bouche Je la reprends tout contre moi Et je l'enferme dans mes bras... Elle se fait petite, petite... Mais alors, toute petite ... Pour un peu, ca dirait "pardon"... Oh ! Mais c'est pas fier, ca, madame ! C'est tout de meme une satisfaction Lui faire admettre qu'elle a tort Et que je suis l'plus fort... "JACQUES !!! Tu viens, oui ? ! ..." べらべらとしゃべりまくる　奥さん！　理由もないのに　理屈をこねる奥さん　家の中をうろつきまわる　そして　大騒ぎをする　べらべらとしゃべりまくる　奥さん！　そんな時　僕の心にある考えが　怖がらせようと　拳（こぶし）を握り,手を振り上げる、、、奥さんは驚いて　まるで罰を受けたように見つめる！　僕は勿論腕を広げ　そして奥さんは僕の胸に飛び込み　涙ぐむ　奥さん　大きなハンカチを探す　奥さんの絶望を隠すために　可哀想に、、、僕は慰め鼻をかんでやる　そしてキスをし　抱きしめる　きつく抱きしめる　奥さんは小さく小さく、、、そうとっても小さくなる　まるで「ごめんね」というように　オー、それは誇りがない　奥さん！　ともかく満足　奥さんに非を認めさせるのは　そして僕がずっと強いんだと、、、「ジャック、いらっしゃい、ねぇったら？、、、」　男女均等には反しますね。ちょっと古い。こんな甘ちょろいフランス女性はもういないでしょう。ぼくはこの手の女性が嫌いです。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝５．忘れられたフランス人　　Francois Rabelais 1494 - 1553 　http://perso.wanadoo.fr/cascade.sarl/rabelais/pages/presentation.html 　小説家であるが、同時に法律家にして医者でもある。中世のインテリらしく多才なユマニストそのものである。医者で小説家といえば、日本でも珍しくない。古くは森鴎外であり、近くは北杜夫、なだいなだ等々たくさんいる。　ロワール川流域の町オルレアンOrleanと河口の町ナントNantesの中間地点くらいに位置するシノンChinon近くの村で、弁護士を父として生まれている。フランシスコ会からベネディクト派に移り、ついには還俗（げんぞく）してしまった。先週号で、ラブレーがポワティエ大学で医学を学び始めたことを書いた。その後、モンペリエ（先週トゥルーズと書いたが、これは誤りのようだ）で学位を得て、リヨンの病院で医者となった。　次に有名なラブレーの一連のガルガンチュアGargantua et Pantaguruelものを読むことの出来るサイトを上げる。ABUがどうしてかアクセスできなかったのでスイスのサイトを採用する。 http://un2sg4.unige.ch/athena/html/authors.html このアテナのサイトで著者の頭文字「R」を選択。Rablaisの中から作品を選ぶ。 Gargantuaの1534年版の文章でがでてくる。このフランス語、僕にはとても読めない。ラブレーの作品群を生涯かかって翻訳・注釈したのが渡辺一夫である。その労苦たるや想像を絶する。なにしろラブレーの作品は、時代があまりにも違う。言語だけの問題ではないからである。ラブレーが意識をしているのは、反教会であるにしても、そのためには当時の教会のことを知らねばならない。その前にバイブルを暗記するほど知らなければならない。ルネッサンスらしくギリシャ回帰があるとすれば、古代ギリシャを知っておく必要がある。しかも、ラブレーが得意とする「権威を笑いとばす諧謔の世界」を理解することもまた欠くことができない。日本は別として、ラブレー研究家はフランスにはいくらでもいるだろう、英米にも多いだろうから助けにはなるとしても、一人日本でラブレーの作品と格闘するのはいかばかり大変な作業であったろうか。　上記のスイスのサイトは、ABUやGallicaとともにノートに値する。フランス語テキストだけ出なく、イタリア語や英語の作品の原文を探すことが出来るのである。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝６．あとがき　小樽市のMNさん、本当に多額のカンパありがとうございます。大変勇気付けられました。　まるまぐから配信を受けていらっしゃる読者の方々への配信が、僕のミスで4 月7日及び14日ともに、15日発行になってしまいました。遅延、お詫び申し上げます。尚、ホーム・ページは出来る限り月曜朝までに最新号が出るようにUPしております。「quoi de neuf ?」または「最新号のMM」をクリックしていただくと、今回ですと168号に飛びます。ご利用下さい。　SRAS（syndrome respiratoire aigu severe、重症急性呼吸器症候群　英語 SARS）がアジアからヨーロッパに上陸、毎日メディアで取り上げられている。 Srasとは通常いわず、pneumonie atypique（非典型肺炎）と云っている。狂牛病やエイズと似た状況が日本にあるように思われる。実態がつかめないということである。現在まで保菌可能性のあるものが4名とOMS（WHO)に報告されたのみである。アジアにはヨーロッパ人よりも圧倒的に日本人旅行者・滞在者が多いと思われるのだが。　先週、バグダッドの略奪について書いたが、ジュネーヴ条約について言及するのを忘れた。次に関係する1949年8月12日の条約原文をあげる。同条約33条が略奪を禁止している。日本は1994年4月批准した。批准が遅れたのは、日本は戦争とは関係がないと考えていたからであろうか。 http://www.amnesty.asso.fr/03_documenter/34_autres_docs/textes_onu/CGRPP CTG.html いずれにせよ、誇り高いイラク人、もっともアラブ人は一般的に滅多矢鱈と窮状にあっても誇りだけは高いのだが、彼等にとって不名誉な事態が通常のレベルにまで下がることを望んで止まない。　有事法制など重要法案が出てくる。その中で、国立大学法人法案が国会に提出されている。この法律がもし国会を通過、即ち来年4月から大学が法人化されるなら、大学の自治どころではなく、日本の民主主義は死する。それほど重要な法律である。法案が文部科学省のサイトに出ている。 http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/030202c.pdf これに対する批判は、 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/030307houanbunnseki-syutoken.htm 　国立大学法人法案の目的は、国立大学を文部科学省のいうことをきく「良い子」にすることである。すでに学生の自治は踏みにじられて、この法案に反対する学生たちの目立った運動さえない。さらに大学を国の操り人形とするのか。18 歳成人化がテーマにもならない国で一層の締めつけ強化である。　上記にかかわって、先週水曜日にはデモと国会の文部科学委員会傍聴を行った。デモは日比谷公園霞門から国会前までおこなったのだが、100名前後の小さなデモであった。平日の昼間であるから仕方ないといえばそれまでで、法案に基本的に反対されている大学の先生方の出席も殆どなかった。それにも増して学生の姿が数人しかいなかったのは驚くべきことである。僕には長期にわたって日本にいなかったという事情がある。したがってその間、学生達がどうなってしまったのか皆目分からない。けれども、学生が「大学の自治」、「学問の自治」に全く関心を抱かなくなってしまったことはたしかなようだ。僕の隣に横浜国大の学生がいたが、彼によれば、横浜国大には全学的自治会がなく、経済学部自治会があるだけだという。その隣には、ベンサイド氏の講演のときに通訳をした東京大学の院生がいたが、その（指導）教授の姿はなかった。　国会議事堂に入ったのは二度目だが、委員会傍聴をするのは初めてである。初め傍聴券を渡されたが、傍聴リストにないということで僕は拒否された。システムは、国会議員の紹介がなければ傍聴できないということらしい。これはおかしい。国民の権利を行使するにあたって議員の介入がないと傍聴できないとは何事か。その場で争ってもチェックをしているオジサン（議事堂の職員か派遣のひと）の迷惑になるだけだから、デモを組織した方にいうと、ある国会議員の秘書から直ぐに新しい傍聴券を用意してくれた。ということは、傍聴人は初めから決まっていたということだ。　かくして委員会を傍聴（立ち見、イスはあいていても記者席とかで「一般」は坐れない）したが、この猿芝居、予想はしていたが、議論などというものではない。歌舞伎には型というものがある。それと同じで約束だらけと見えた。つまらない。遠山とかいう大臣。あんな官僚傀儡を大臣に据えてなにが行革か、ちゃんちゃらおかしい。いつも後にひかえた文部科学省の役人から渡された紙を読むだけなのだから。傍聴席から声もかからない。歌舞伎なら「よ、なりこまや」とかなんとかいえるが、それも五月蝿そうな警備員がいるし、役者もダイコンでは声のかけようもない。質問者は、それなりの自画自賛的質問をし、決り文句は「時間が迫ってきましたので、これで切り上げますが、ｘｘｘは云っておきます」。それが議論か。審議を尽くすということは、並行線になる主張とは別に、説得を試みるものである。時間がどうしたというのだ。イラク開戦決定の英国議会でブレアだって、どうせ投票にかければ野党保守党の賛成もあって議決されることがわかっていても、10時間をかけて説を曲げずに国会の場で議論したというではないか。　翌日、湯島にあるガーデンパレス前でデモをした。国立大学協会「法人化特別委員会」が開催され、その出席者たちに一部の委員達だけで文部科学省作成法案に賛成するのではなく協会総会を開けとメッセージを伝えるためだ。集まったのは、なんと十数名。前日より更に少ない。なかに本誌読者でもあり、国立大学出身のO先生がいた。嬉しかった。しかし、主催者はこの先生に、「どの組織から来たのか」と訝（いぶか）しげに訊いたのである。同じことを僕も訊かれた。ぼくは「市民です」と答えたが、「ああ、メイルをくれた方ですね」。　役に立たない学問をすること。ゴキブリの羽の色素の研究をしている学者がいたとして、それが、ゴキブリ退治には役立たないかもしれない。そのゴキブリの DNAを解析しても意味はないかもれない。日本の学者が「聖エメラム修道院のグルントヘルシャフト」なんて論文を発表しても、現代法学に何の意味もないかもしれない。けれども、僕がそう考えても、いや文部科学省がそう考えても、その学問を否定することはできない。今、文部科学省がしようとしているのは、「学問の自由」を効率の、効果の尺度で計ろうとすることである。実益のない学問はやめてもらおう、つまり予算をつけない、お金を出さないというのである。　法政大学のある学長は、財政的か、学生の数的であるかそれまで3位であった日大を押さえて堂々の躍進をとげさせたのだそうである。その経営手腕が、文部科学省のいう民間の活力らしい。時代にマッチした「情報科学」、「ディジタルメディア」なんとやら等々の講座を新設して積極的に学生をあつめたという。こんなものは学問ではない。こう云うものを教え、習うのは専門学校でよい。職業訓練所でよい。それが、目指すべき国立大学の経営なのか。東京大学をはじめとした大きな大学はいいだろう。中小の大学は統廃合され消えればいいということか。消されないためには、優秀な学者をヘッド・ハンターし、いやメディアに露出した、学会で論文発表もしたことのないタレント（似非）学者を集めて経営を合理化した方が勝ちということになる。小泉首相を「輩出」した慶應大學は恥をしらねばならない。遠山大臣の出身大学（東京大學法学部）は、猛省すべきであろう。　さらに授業料のこともある。既に高く、年間60万円以上かかるのが国立大学である。それはICUや青山学院よりも安い。けれども法人化して効率を追えば、授業料は値上げしなければならないだろう。　今の大学が、講座制が必ずしもいいとは思わない。教授が実質的に人事権をにぎり、まわりにシンパを集めて君臨する制度がいいとは思わない。けれども、大学が文部科学省の侍女となり、文部科学省に目標を設定してもらい、目標達成計画の承認を受け、学長を任命してもらうという法案がまともな大学を生むとはとても考えられない。　国立大学法人法は「粉砕」されなければならない。　ガーデンパレスの帰りに湯島聖堂に立寄った。ご存知昌平坂学問所のあったところである。鉄筋コンクリート（入り口の旧文部省の説明書きに「混凝土」と漢字で書いてあった）の聖堂は黒くて薄気味が悪かった。庭の大木には楷（かい）の木が多い。孔子の墓の側の木から接木か何かしたものらしい。その学名をみたら面白かった。Pistacia chinensis、なんだ、ピスターシュpistache（またはその木だからpistachier）じゃないか。孔子はピスターシュをポリポリ食いながら哲学していたのか。ここにある像は、頭ばかり大きくて愛嬌のない顔をしているが。 http://nature.jardin.free.fr/arbre/nmauric_Pistaccia_atlantica.htm この木からも食べられるピスターシュがとれるのだろうか。 http://www.servicevie.com/01Alimentation/GuideAliment/GAf_HTML/HTML_700/ 735b.html カルメンはこの実に目がない。テーブルや車の中いっぱいに食べ殻を散らかすので迷惑したことを頻りに思い出した。僕もこの実は嫌いじゃないが。癖になる。　ピスターシュを発見したあと、日記を書くつもりはないが、先輩の弁護士さんのところに行って、生まれて初めて碁の対戦をした。勿論開いては5段の腕前、コテンパテンに負けたが、記念すべき日になった。家に帰ってから「ナルホド囲碁入門」を使って反省している。この無料ソフトは次からdwonloadできる。 http://www.vector.co.jp/soft/win95/game/se199962.html 前回の知事選の投票所の様子について関係法を調べてみました。公職選挙法第45条２　投票用紙の様式は、衆議院議員又は参議院議員の選挙については総務省令で定め、地方公共団体の議会の議員又は長の選挙については当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が定める。公職選挙法施行令第三十二条　市町村の選挙管理委員会は、投票所において選挙人が投票の記載をする場所について、他人がその選挙人の投票の記載を見ること又は投票用紙の交換その他の不正の手段が用いられることがないようにするために、相当の設備をしなければならない。市町村のホーム・ページをみると、投票の仕方などのページがあって、「記載台には、候補者氏名等の掲示がしてあります。候補者氏名等を間違わないように、備え付けの鉛筆で記入してください」とある。しかし、根拠を示していない。　読者の方から、鉛筆で書けば、手のひらに転写できるので、投票所の外でそれをチェックして現金を渡した例などもあるやに聞いていると教えていただきました。人の多い大都会などでは問題にならないでしょうが、接戦の地方選挙などではありうる話と思いました。　法律上は、法律（国会を通った法）ではなく、規則や省令、通達など行政がかなり自由に決めているようで、選挙のなんたるやをやはり知らない、しらされていない奇妙な仕組みと再確認した次第。　今週はまだまだ書きたいことがあるが、この辺で終える。TicadⅢ（アフリカ開発会議）、代々木での平和マーチ、法輪功、再び樋口さんの人権論等については来週以降にまわすこととする。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝発行者：田邊　好美（ヨシハル）　　　　〒　157-0073　東京都世田谷区 e-mail: davidyt@m2.ffn.ne.jp 郵便振替口座　名称　HEBDOFRANCE　番号　00110-2-314176 成城学園前郵便局当ＭＭのホーム・ページは http://members.tripod.co.jp/davidyt/hebdofrance.index.html 次ぎの２サイトをミラーとします。 http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ryunosuke/9981/ http://davidyt.infoseek.livedoor.com/hebdofrance.index.html ここからＭＭ発行所にリンクし、解除手続きができます。解除は各人が購読を申し込んだ発行所、まぐまぐ、Pubzine等から行ってください。eGroupを除いては僕が管理人ではないため、解除手続きが出来ません。悪しからずご了承お願いいたします。過去ログ(archive)も上記ホーム・ページで全てご覧になることができます。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

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