メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説メールマガジン『君が好き!』  2003/03/01


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月刊小説メールマガジン         2003年3月1日 発行
『君が好き!』   増刊号vol.34
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 こんにちわ〜♪ 篠原です。みなさんいかがお過ごしでしょうか?
篠原は毎年のことですけど(聞き飽きた?)、れ、例の症状が!!!!!!!
今日、薬を買って来たのですが、総額7286円にもなりました!ちなみに1ヶ月
の薬代ですよ。これがあと3ヶ月(以上)続くのかと思うと、破産覚悟ですね。
花粉症が不景気を解消してくれることでしょう。

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増刊号 今月のラインナップ  
●愛の寸劇劇場 【ちょっとおかしな二人の話《再会編5》】瀬乃美智子
●『聖獣戦記』第9章 篠原美姫緒
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     【ちょっとおかしな二人の話《再会編5》】
                           by瀬乃美智子

「恋って…。」
「はい、なんだか照準器越しに彼を見た途端ここがきゅーっと!」

というと、カミアは自らの胸の上に手を重ねる。
それを見た隊長は…。

「…随分古い表現の仕方だなオイ」
「真面目に聞いてくれないと撃ちますよ?」

隊長も隊長だが、さりげなく例のアタッシュケースに手をかけるカミアもカミ
アである。

本気なのか?と気を取り直して尋ねる隊長に、カミアはこくりとうなずいた。

「はい。…だって、でなきゃ撃ってません、私」

あの時、照準器の中で彼が振り返った瞬間。
カミアは胸が詰まるような衝撃を受け、思わず手に力がこもってしまったのだ。
ただ普通の女性と違ったのは、彼女の指先はライフルの引き金に添えられてい
て、それは照準器のど真ん中に映っていた彼を狙っていたという事である。

危うく恋に落ちた途端、自ら恋の強制終了をかけかけたが、…そう言えば、彼
は大丈夫だろうか?
治療室の扉を飾る『治療中』のランプはまだ赤々と灯り、いい加減、待つもの
たちを不安にさせていた。



「えーと、ご家族の方は?」

しばらくして姿を見せた医師の姿に、しかし、カミアたちは名乗り出ることが
出来ず、ドアの周りを取り巻いていた黒服軍団、情報部上層部からの使いの者
たちがその応対をする。

「彼の身内は来れません。彼の事は、全て当情報部で処理を…。」
「そうですか仕方ないですね、では入って下さい。患者の意識が戻りました」

その言葉を漏れ聞いたカミアたちはほっと溜め息をつき、落ち着かない様子で
黒服の男たちの後姿を見送ったのだった…。


「大丈夫ですか?あの…。」
「心配しているのは、私の怪我などではないでしょう?」

しれっとした表情で的を突かれ、一瞬黒服たちはひるむ。

心配なのは、私の能力が失われてしまったのではないかという事。
あなたたちはそれを確認にいらしたんでしょう?と、青年の言葉は安易に真実
を突いていた。

大事な頭に過度の衝撃を受け、今とて弾丸が当たった左のこめかみを中心にそ
の額には包帯が生々しく巻かれている。
良くは分からないが、微妙なニュアンスで力の発動が弱まる彼ら…、いわゆる
特殊能力者たちにとって、脳に衝撃を受けるという事は致命的な事であると、
上層部の連中は判断したらしい。
さて、その結果は…?

「―――彼女を連れてきて下さい」
「は?」

突然の青年の言葉に、黒服は一瞬理解に苦しむ。
すると青年レイモンドは黒服集団に軽く振り向き、思わせぶりに微笑んで言っ
たのだ。

「廊下に二人連れの男女がいるはずです。…片方は、私を撃った女性のはず。
ここに連れてきて下さいますか?」

「は…はい、かしこまりました」

あの距離、あの一瞬に、自分を撃った相手をこの青年に見る事が出来たはずが
ない。
なら何故知っている?彼女が本当に来ている事を。
それは要するに、彼女が見舞いに来る事を…、廊下で上司と一緒に待つ姿を
『見た』という事だ。
それはすなわち、力の損失の回避。

ならば、彼の言葉通り、指示に従うのが彼ら宮仕えの運命であった。


「会っていいんですか!?」

思わぬ吉報に、カミアは舞い上がる。
怒られるならまだしも、その枕もとに行くけるなんて!
彼の近くに行けるなら、それからどんなに怒られても悔いは無い。


治療室の中に入っていくと、彼はカミアの姿を見つけ、にっこり爆弾発言を投
げかけた。

「やっと再会できましたね、私の未来のお嫁さん?」



                           《続く》


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      『聖獣戦記』            篠原美姫緒
   第九章 聖戦

 麒麟の出現は聖者の誕生を予言しているいう伝説がある。『麒麟児』と呼ば
れ、才智にすぐれた少年である。「麒麟送子」といって、子供を運んでくるも
と言われている。
 鹿の体に牛の尾と馬の蹄(偶蹄)を持ち額から一本の角が突き出ている。体
から五色の燐光を放ち、腹の下は黄色、角の端は肉でおおわれ、偶蹄は草木を
踏まず、虫も踏まない。角があるものが雄で、それを麟と呼び、雌を麒と呼ぶ。
 麒麟とケルベロスはにらみ合ったまま対峙している。
 すぐさま、フォールラードゥングの神官らが現れ、広場を取り囲むようにし
て聖獣たちを囲んだ。
 彼らの手にあるのは、フォールラードゥングでもっとも高貴なる御札(おふ
だ)である。
 一斉に、信者らでも聞き慣れない呪文を唱え始めた。
 だれの目からも見えるように、輪になっている神官らの御札から、赤い一筋
の光が放出され、やがてそれはなにか記号を描くようにして、御札から御札へ
とつぎからつぎへ、光が周っていった。そして最後に、最初の光が放たれた御
札へと光が戻ると、光でできあがった魔法陣は、その描いた筋から、目も眩む
ような赤い鋭い光を放った。
「いけない!」
 咲羽は、麒麟めがけて落下した。
 光は、二体の聖獣を包むように輝く。
 麒麟とケルベロスは足を取られ、もがき、あばれた。
 咲羽は、麒麟の角にぶつかり、振り落とされるようにして魔法陣の中央へと
弾き飛ばされた。魔法陣の光は咲羽を包み込むと、彼女の体を貫くようにして
光が走り、咲羽を持ち上げた。

 彼女はまるで実態のようだった。

 彼女は二重に歪んで見え、やがて、それらは完全に2つに分かれると、泡が
消えてゆくかのように、静かに消えて行った。それにつられるかのようにして
ケルベロスも麒麟も消えて行った。


「いまのは一体…? まさか…」
 群集に雑じって一部始終を見ていたフォールラードゥング北殿のセイヤ側近、
ミツである。
「ほんとうに麒麟が聖者を運んで来たというのか? というより、あの少女は…
セレナさまの幼い頃に…。まさかセレナさまが?!」
 眠る北殿の神官。セイヤの力の源である、フォールラードゥングに作られた
ティーア。
 少女もまた聖獣だったのだろうか…。
「本殿のやつら、聖獣を捕まえられなかったらしい」
 宮殿にいる神官らはみな本殿から来た者たちであった。唱えた呪文は、聖獣
を捕まえるための魔法陣だったらしい。
 外部から聖獣をかっさらっていった何者かがいる、という。
 本殿の神官たちは、少女が連れて行った、と言って非常警戒宣言を発し、少
女を見かけたらすぐ通報するようにと、信者達に通告した。


 ロクサーヌは、一人部屋に戻り深いため息をついた。
 この聖獣騒ぎで兄、アレリニオの葬儀は取りやめとなった。自分が皇帝にな
る日が一歩遠のいてしまった。
「うふふふ。」
 ロクサーヌは不気味な笑いを浮かべた。
「私の代でヒンメル帝国が終わる!」
 私を倒して、次に皇帝となった者は英雄扱いだわ、とも言った。
 まだ、ヒンメルが続くなら皇帝にならないほうがいい…
 外の喧騒を他所に、静かにベットで眠りについた。


「うはぁ! うううううううー イテテテテ」
 自分のベットから飛び起きた咲羽は、自分の体中のあざを見て驚いた。
「青あざだらけ…。」
 魔法陣の光が貫いた部分は内出血を起こし、体全体が痛い。
 麒麟の角の跡も腹にくっきりとついていた。
 そして自分の部屋には―――
「ああああ アル?!」
 床には傷だらけのアレリニオと、アレリニオの傷をなめている白い小さな物
体…麒麟がいた。
「よぅ! 咲羽。実体になって会うのは初めてですね」
 咲羽に気がついた麒麟が話し掛けた。
「麒麟の中からイアン様の気配がするのは気のせいですか…?」
 麒麟は愛くるしいばかりの笑顔で、咲羽に微笑みかけた。
「なにがどうなって、二人がここにいるのかがわからない…」
 夢の中から現実へ…
 咲羽の力は確実に強くなっていた。


                              《続く》
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 あとがき
 最近、車の免許って昔にくらべて簡単にとれるようになったみたいですね。
「こんなんでよく免許もらえたなぁ」と感心するような運転手によく遭遇しま
す。たとえば、車線がないけど車2台が悠々と通れる交通量の多いちょっと細
い道。左側を走れば対向車にぶつかることはない。なのになんで真中走って、
対向車が来るとちょっと左に寄って止まるんだ?!彼のような運転手に免許を
あげてしまった教官にも、事故られたら連帯責任とらせたいです。玉突きを誘
発している運転だぜ、まったく…。

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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2003/3/1 増刊号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
 Webページ:http://kimigasuki.hp.infoseek.co.jp/
 発行システム:『まぐまぐ』『melma!』『Mailux.com』『E-Magazine』
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