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☆ http://sun.s15.xrea.com/ ━━━━━━━━━━━━━━Vol.2━☆ 「経済学はビジネスの武器だ」 Vol.2 平成15(2003)年2月1日 ………………………………………………………………………… ◆◇『米国の財政赤字は日本経済の命取りになりかねない1』◆◇ ☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆ ◆◇ もくじ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ □ たくさんのご意見や激励ありがとうございました! □ 『米国の財政赤字は日本経済の命取りになりかねない』第1回 □ 編集後記−「ほっと一息」 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ┏━━┓ 皆さんから、いろいろなご意見や励ましなどをいただいてい ┃\/┃ ます。大変ありがとうございます。 ┗━━┛ 今回は、そのご意見にもとづいて、財政赤字に関するテーマを取り上げ、 実践的な経済学の切り口で料理をするとどのような結論が得られるか皆さ んと一緒に考えてみたいと思います。もちろん、前回の『国債を家庭の借 金に例えるのは間違いだ1』でお話した問題意識を活かしてご説明します。 今回は、財政に関する専門用語がたくさん出てきてちょっと難しいです。 できる限り説明をつけますが、別に一つ一つの言葉をすべて理解する必要 はありませんのでご安心ください。 もちろん、経済学的な方法にまだ慣れていない方にとっては、今すぐに はあらすじもなかなか理解できないかもしれません。ずいぶんと複雑で難 しいと思いますが、このメールマガジンにお付き合いいただくうちにご自 分でもこのような思考方法ができるようになると思います。一つ一つのも のの見方は決して難しいものでも、特異なものでもありません。しかし、 じっくりと積み上げていけば、マスコミなどとは違うオリジナルな分析が できるようになります。古人曰く、「音符はドレミファソラシドしかない けれど、新しい曲は、その限られた数の音符の組み合わせでいくらでも作 り出せる」といいます。 そして、自分でエコノミストとしての情勢判断ができるようになる日ま で、道のりはちょっと遠いかもしれませんが一緒に頑張りましょう。 管理人Sun 平成15(2003)年2月1日 ▽ ▽ ▽ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇ 『米国の財政赤字は日本経済の命取りになりかねない』第1回  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ○『米国の財政赤字は日本経済の命取りになりかねない』 さて、一昨日、期せずして日米両国の政府の財政状況の悪化を報ずるニュ ースが飛び込んできました。しかし、一般のマスコミは、このニュースに 隠された真の重要性を解き明かしてくれないだろうと思います。そこで、 今回は、増刊号時事テーマ編として、「米国の財政赤字が日本経済に大き な悪影響を与えかねない」ことにについてお話ししたいと思います。 ○米国の財政赤字がさらに悪化 まず、米国ですが、米国の議会予算局は、1月29日に2003年度の米国の財 政赤字が1990億ドル(1ドル118円のレートで約23兆5000億円)になる見込 みであることを発表しました。昨年8月時点の予測である1450億ドルから 大幅に悪化するとの見通しです。この財政赤字の拡大は、米国の景気回復 の遅れと、既に行われている所得税の減税が原因となっています。 困ったことに、今回の見通しには、対イラク軍事行動の戦費や、既にブ ッシュ大統領が発表した新たな経済対策は考慮に入れられていません。こ のため、米国政府の財政の赤字幅はさらに悪化することが確実です。 ○我が国の国債発行額も増加 一方で、我が国を見ますと、財務省は同じく29日、我が国の財政状況に 関する中期的な試算を発表しました。この試算によると、今後しばらく日 本経済の国内総生産(GDP)が毎年ゼロ成長を続けたと仮定した場合、200 6年度の国債発行額は45.5兆円となる計算になります。 この結果、2006年度の我が国の政府の予算(都道府県市町村など地方の 予算を除いたものです。なぜ財務省の試算から除かれるかというと、地方 の予算は総務省(旧・自治省)の管轄だからです。)の国債への依存度は、 44.6%と過去最悪となることが確定している来年度当初予算段階よりもさ らに5%ポイント近く悪化して、一般会計(国の予算の大きな部分を占め る、通常の用途に向けられる予算の項目のことです。)の49.4%に達する との計算でした。 ○財務省の真の意図は何か? つまり、財務省の試算を額面通り受け取れば、国の通常の予算の半分を 国債に頼る状態になるということです。そこまで国の財政事情は悪化して いるということでもあります。 もっとも、これは従来からの財務省の『財政赤字悪者論』から一歩もで ておらず、人によっては、また始まったのかと聞き流す人もいるでしょう。 なぜなら、この試算を、各省庁からの予算の概算要求が終了している今の タイミングで公表することは、この試算が、各省庁を意識した資料ではな く、今後ありうる国政選挙に向けて国会や首相官邸からの景気対策追加の 要求をあらかじめ抑え込もうとする、財務省のマスコミや国会対策の意図 があるものと考えられるからです。 実際に、この試算は財務省が自民党財務金融部会(自民党は、政府の機 関とは別に各種の政策の調整をする会議を持っていますが、そのうち財政 を担当する会合です。正式なメンバーは自民党所属の国会議員からなって います。この会合のメンバーがいわゆる「族議員」です。)に提出した資 料に含まれていたものでした。ここまで考えてくると、解散総選挙も近い とうわさされている中で、自民党が景気対策をなるべく公約に取り入れな いように何とか説得しようという、財務省のこの試算に込めた意図が見え てきますね。 ○日米いずれがより悪い状態か?−23兆円の米国と45兆円の日本 さて、話を元に戻します。ここで質問です。以上の報道を踏まえてあな たなら日米いずれの財政状況がより厳しいと判断しますか? 日米ともに財政状態は悪化していますが、一言で言えば、23兆円の財政 赤字の米国と45兆円の日本の比較です。経済規模は、米国が我が国のほぼ 倍ありますので、おおざっぱに言えば、米国の一年分の財政赤字は我が国 の1/4と計算することができます。正確な数字は分かりませんが、イラク軍 事行動や減税を計算に入れても1/3を大きく超えるということはないでしょ う。さあ、いかがでしょうか。 (実際には、国債の過去からの発行額の合計(いわゆる国債の累積発行額) は日本の方がはるかに大きいのですが、そのことに関してはまた別の機会 にお話しましょう。) 今日のメールマガジンのタイトルでもお分かりになるように、私なら文 句なく米国が厳しいと判断します。国の経済の比率からみればはるかに日 本のほうが赤字幅が大きいのになぜでしょうか?その理由は次回発行のVo l.4でご説明しますが、これまでのメールマガジンをじっくり読んでこられ た方には考え方のヒントは見つかるはずです。 ○参考リンク 『経済学はビジネスの武器だ』前回メールマガジン http://sun.s15.xrea.com/mm/arc/mm002.html#top 国債依存度、06年度に50%=名目成長ゼロで−財務省試算 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030129-00000562-jij-pol <米財政赤字>過去最悪更新する見通し 景気低迷に国防費膨張で http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030130-00000039-mai-bus_all 総務省(旧・自治省)『地方財政の借入金残高の状況』 http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/zandaka.html 財務省の試算のリンクは発見できませんでした。正式に公表はしていない のかもしれません。 ▽ ▽ ▽ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ◆◇ 編集後記-「ほっと一息」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 今回は趣向を変えて初めての「時事問題編」として発行してみました。 ニュースの鮮度を失わないために、日程を繰り上げ、長さもちょっと短め にいたしました。「便利なサイト」などは省略しましたが、いかがでした か? ちょっと専門用語が続出しましたが、これはニュースソースがそういう ものなのである程度仕方がありませんでした。しかし、これからももっと わかりやすい説明をするようにしますのでよろしくお願いします。 ここでお知らせです。皆さんからの要望が多かった経済やビジネス関係 の簡単に読める用語集のメールマガジンを新たに創刊しました。『あなた も3分間でエコノミスト!』というタイトルです。なんとなく新書版の健 康法の本のようなタイトルで恐縮です。このメールマガジンは、重要な用 語についてとにかく簡潔に説明することを第一の目的にしました。サンプ ルもあります。 登録窓やサンプル版はhttp://sun.s15.xrea.com/mm/termsindex.html にございますので、よろしければお申し込みください。 それでは次回またお目にかかります。さようなら。 ▽ ▽ ▽  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ◇本メールマガジンは週一回、毎週火曜日発行です。 ◇次回は2月11日発行予定です。 ◆発行者 管理人Sun: suns15xreacom@clubaa.com ◆『ビジネスの武器としての経済学入門』: http://sun.s15.xrea.com/ ◆登録と解除:http://sun.s15.xrea.com/mm/mmindex.html このメールマガジンは、『まぐまぐ』『めろんぱん』『メルマガ天国』 『melma!』『Pubzine』『カプライト』『ティアラ』『AMDS』『Posbee』 『Macky!』『Mailux』『E-Magazine』『ポストマガジン』『マリンネット』 『メルマガランド』以上の各配信システムを利用させていただいています。 ○総配信部数 1203部 (目標3,000部) ちょっと無謀かもしれませんが、新たな目標は3,000部です。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― -------------------------☆「経済学はビジネスの武器だ」☆ Vol.2 -- |