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切実に結婚したいと自分が思っているからって、それを他人にも当然だろうっ ていう態度は、ブスですよね。 自分にとって「あたりまえのこと」が他人にはそうではない。 こんなこと、至極当たり前。 それに、「自分の尺度」を持たずに、他人と比較ばかりして面白いのかなって 思います。 また、世間体を取り繕うための結婚なんて、相手に失礼。 そのセンスも古すぎ。 そんな利己的な動機だけで、結婚してほしくないですね。相手不在の行動です よ。 ■では次回 この春彦さん。学生時代から妙にきまじめで、世間体を気にするタイプでした。 その割には、下卑たところもありました。 例えば、就職活動について、「会社なんてどこも同じ。面接なんて、どうせ狐 と狸の化かし合いなんだから、持ってない資格も、あることにして、適当に答 えときゃいいんだよ」と豪語してました。 それから彼は、物事に対し「これは好き、これは厭だ」という感情を持たない という人柄。 言い換えると、自分の美学(美意識)を感じさせない人物だったのです。 更に問題なのは、彼は人とのコミュニケーションが不得手なのです。 人を見下し、自分の優位を感じないと気が済まないらしいのです。 そのため、「吉野さん」というもう一人の登場人物に対し、彼の趣味である「 バイクのコレクション」について、半ば小ばかにしているようです。 恐らく春彦さんの心中は、「吉野って、オタクで変なヤツ。それに比べたら、 俺は『まともな常識人』だ」といったものだと思います。 他者への寛容さと、想像力に欠け、誰かを見下して、得意になっているのです から。いいやはや、何とも・・・。 次回水曜日は、彼の結婚報告と、披露宴の打ち合わせ風景をご紹介します。 //////////// 第二号 //////////// ■結婚するって本当ですか さて、結婚の話が反故になった春彦さん。 挫折にもめげずに、片っ端から飲み会に呼んで欲しいと頼みまくり、「出逢い」 を貪欲に求めていました。 勿論、『出逢いのパーティー』に熱心に通うことも忘れていません。 それが、彼の言う「結婚するための努力」だったようです。 つまり、大事な30歳前後の大半を「下手な鉄砲を数撃つ」ことに費やしていた のです。 努力の矛先を、出逢いばっかりに向けるのではなく、もう少し自分を磨くとか すればいいのですがね。 そんな彼もついに「努力」を実らせ、昨年早々、僕の許へ結婚の報告を電話し てきました。 ■会議は踊る 春彦さんの晴れ舞台のために、彼と僕で簡単な打合せをしました。 しかし、早くも彼の自分勝手さが出たのです。 当初、僕が「披露宴」の司会を担当し、2次会を兼ねた「船上パーティー」は、 他の知合いが司会役となっていました。 ところが、何の前触れもなく、以下のようなやりとりがありました。 春彦 :「あのさあ、披露宴の司会、お前じゃなくなったから。」(ぶっきら ぼうな口調で) こうた:「どういうことだ。話が違うぞ。」(思いつきで、勝手なことを言う なという表情) 春彦 :「プロに頼んだから。」 こうた:「俺も一応、プロなんだけど。」(こいつは、無神経なヤツだぜとい う口調) 春彦 :「ともかく、お前は2次会の司会を頼むよ。」 こうた:「・・・」(勝手に決め付けるなよ) 僕は結局、春彦さんは「お子ちゃま」だから仕方が無いと、あきらめ、「船上 パーチィー」の司会を引き受けることにしました。 ■美女と野獣 そして披露宴の2週間前、僕は、春彦さんと婚約者の薫子(かおるこ)さんと 3人で2次会の打ち合わせを兼ねて会食しました。 が、会食に向かう途中、またまた彼の「無神経トーク」が炸裂しました。 僕が着ていた服装を上から下までしげしげと見回し、「何それ、ダッセーな。 だから結婚できないんだよ」と小バカにしたような口調で、にやけていました。 また、英語の勉強のために買った英字新聞を持っている僕に向かって、「お前、 読めんのかよ」とこれまた、こうるさいことを言っていました。 まあ彼は、服には無頓着で、英語コンプレックスがあるから仕方ないかと、呆 れていましたがね・・・。 会食は、薫子さん行きつけのおしゃれな中華料理店。 彼女は、春彦さんより少し年上の女性で、司法試験に挑戦していた才媛です。 また、大らかでやさしい雰囲気を持った素敵な方だというのが、友人間の共通 した思い。 僕と春彦さんと薫子さんによる会食は、雑談を交わしながら楽しく進んでいま した。 しかし、途中で春彦さんの「デリカシーのなさ」が、やはり出てしまった。 何を思ったのか、突然、こんなことを口走ったのです。 春彦 :「こうた、俺らの齢になったら、いつ死んでもおかしくないよな」 こうた:「おいおい、これから、新しい門出をするというのに、縁起でもない こと言うなよ」 薫子 :「やめて。私、お父さんを亡くしているから、身近な人との悲しい別 れを2度と経験したくない。もう辛いのはいや」(半分涙声) 春彦 :「・・・・」 座がしらけたのか、今度は2人の出逢いに話が及びました。 ここでも、彼はとことん無神経。 春彦さんは、僕に対し、彼女をあごで指しながら「どう」と口火を切ったので した。 その時の彼の仕草は、まるで新車を見せびらかすようなものでした。 薫子さんを「モノ扱い」しているような下卑た表情です。 どうやら、春彦さんは、僕よりも先に結婚できることが嬉しくてたまらないら しいのですね。 その時、僕は「あんたにゃ、勿体無いお人だよ」と、ついついキツい口調にな ってしまいました。 すると、彼は、こう反応したのです。 春彦 :「だって、年上だぜ」 こうた:「え、それがどうしたの?」 薫子 :「そうなんです。彼に、私の本当の年齢を言ったら、すごくがっかり していました」 こうた:「俺は、年上の女性と何回か付き合ったけど、楽しかったよ。話が面 白いし、エレガントだし。」 春彦 :「こうたって、オバサン好みなのか。だったら、バツイチの年増と付 き合えば」 こうた:「別に、人の魅力は年齢じゃ決まらないよ」 薫子 :「もっと、彼に言ってやって下さい。」 間(ばつ)が悪くなったのか、春彦はしばらく無言になり、テーブルの上の料 理を夢中で口に運んでいました。 押し黙った春彦さんをよそに、薫子さんと僕は、彼女の趣味であるヴァイオリ ン演奏などの話をしていました。 もちろん春彦さんは、「わかんない話をするな」といった表情で、押し黙った ままでしたが。 彼は芸術について、一切無関心なのですね。 結婚を控えた彼らのこんな姿を見た僕は、「暗闇さん、こんにちは。また、話 したくなったから、君の許へ来たよ」というような歌詞で始まる、アメリカの フォークデュオの歌を 口ずさみながら、家路に就いたのでした。そういえば、その歌は、『卒業』と いう映画の主 題歌だったような気がします・・・。 INTERMISSION その3へつづく ===================================================================== ● いいオトコ研究会 (いいオトコとブスおとこの違い) ----------------------------------------------------------- サイトはこちら http://members.tripod.co.jp/fineguy/ メルマガ登録解除 http://members.tripod.co.jp/fineguy/melmaga.html バックナンバー http://members.tripod.co.jp/fineguy/backnumber.html ===================================================================== |