メルマガ:月刊小説メールマガジン『君が好き!』
タイトル:月刊小説メールマガジン『君が好き!』2003/1/15  2003/01/15


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月刊小説メールマガジン         2003年1月15日 発行
『君が好き!』  vol.51
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大変遅くなって申し訳ございませんが…。
あけましておめでとうございます!今年もメールマガジン君が好き!を
よろしくお願い致しますm(_ _)m(遅)

ところで、12月15日の50号でお伝えそびれてしまったのですが、毎月1
日発行の増刊号が届かないので驚いた方はいらっしゃいませんでしたでしょう
か?その前の号で篠原の方からお知らせはしていたのですが、私の方がお正月
は配信サイト様休業等為お休みいたしますと書き忘れてしまったもので…、す
みませんでした〜!^^;
こんなおっちょこちょい(方言?)な発行人でございますが、これからもよろし
くお付き合い下さいませ♪
(瀬乃 美智子 拝)
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今月の目次
▼君が御世に・13     篠原美姫緒
▼ドラゴンラヴァ・35  瀬乃美智子
▼あとがき
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              君が御世に13
                          篠原美姫緒

 平家の御曹司ほどこの時代忙しい人々はいない。のうのうとしている後白河
法皇を筆頭に平清盛が政権を牛耳っていたわけであるが、所詮平家は「武士」
である。主な仕事はこの平安京を守ることにあった。華やかそうに見える平家
一門ではあったが、その仕事は雑用そのものである。
「右京!」
 資盛は、数日ぶりに笙子の元を訪れた。笙子を見るなりぎゅぅっと抱きしめ
る。
「資盛さま、来てくださり嬉しい限りです」
「父の代理で六波羅まで行ってきた帰りだ。右京に会いたくて会いたくて、馬
をとばして参った!」
 資盛の父である平重盛は、原因不明の病に冒され、生と死の淵を彷徨ってい
た。重盛の代理は、その息子である維盛や資盛が行う。
「明日は非番であろう。二人でゆるりとしようではないか」
 資盛は帯を丁寧に解いていく。そしてお互いの肌の温かさが直接伝わってく
る。
「あたたかい…」
 笙子は呟いた。
 なにかと忙しい資盛ではあったが、まめに歌を送り、暇をみては笙子のとこ
ろへと通っていた。
 笙子は、年下の資盛が可愛く思える。たった一つしか違わないのに、少年と
も青年とも見える男がいとおしくてたまらない。
「これが、無償の愛…」
「ん? なにか言ったか?」
「いえ、こうしていられるだけで幸せと…」
「そうだな…。このままずっとこうしていたい」
 だが、世の中は二人の思いとは違う方へと動いている。
「源氏が、兵を上げるとの噂が…。右京にこのような話しをしてもな。すまぬ。
聞かなかったことにしてくれ」
「いえ、私も中宮に仕える身。世の中の情勢には敏感にならざるを得ません」
 事実、平清盛によって、敗死した源義朝嫡子が青年となり、東国で打倒平氏
を掲げていると、清盛の妾である常盤御前が言っていた。
「あの女はしたたかだ。自分の子でないからと、頼朝の情報をおじじに流して
いるのだからな。」
 源義朝の正室は熱田神宮の宮司・藤原李範(ふじわらすえのり)の娘で、常
盤御前は氏素性もわからない雑仕女でしかない。権力に目のくらんだ彼女は、
喜んで清盛の妾になったのである。子供を売って自分の保身を図った女であっ
た。
「あの女、法皇とも繋がってるらしい」
「まぁ…」
 噂には聞いていたが、資盛の口から聞かされると益々常盤御前が憎い存在に
なってくるのである。
 法皇と清盛は、周りで噂されているほど仲がいいわけではなかった。むしろ、
権力を持ちすぎている一介の武士家を法皇は邪魔に思っていた。その二人の間
を常盤御前という雌ぎつねがうろうろしているのである。
「常盤御前も最愛の方を亡くして、お寂しいのかもしれませんね」
「右京は優しい」
 まだ薄暗い中を行燈も持たずに、資盛は帰って行った。
 女にとっては一番淋しい時かもしれない。永久の別れではないけれども、こ
うやって、男を見送る時は無性に悲しくなり、やりきれない気持ちになる。
 
   暁の呼子鳥
 よをのこすねざめにたれを呼子鳥人もこたへぬしののめの空

 夜明けと共に、小鳥たちのさえずりが聞こえてくるのであった。

                             《つづく》
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            ドラゴン ラヴァ・35
                           by瀬乃美智子

カイリ…カイリを…っ。


下級魔族たちの足は止まらない。
主の命を遂行するべく、太刀見家の庭を這いまわり、海里の姿を探す。

森の闇は深く、それを好む下級魔族たちでさえ標的を探し出すのは容易な事で
はないらしい。
魔物たちは拡散・集合を繰り返しつつ、探す範囲を狭めていく。

『いたぞっ!』

魔族の誰かが低く叫ぶ。


その視線の先には、確かに庭を横切る海里の姿。
竜の池がある母屋に向かっているらしい。
魔物たちの微かな気配を感じ取ったのか、その顔がゆっくりと背後を振り返る。


『行けっ!』

次の瞬間、魔物たちは次々と海里へと踊りかかったのであった……。




「どうしよう…。」

浅月は竜の子供が残していった卵のかけらを前に、迷っていた。
父親の海里を追って出て行ったのだろうが、魔物が到来している屋敷内でそれ
はあまりに無謀な行為。
追うべきだとは思うが、その為にはこの部屋を出なければならない。
何の力もない自分が危険な外へ出るのは自殺行為だという事は浅月が一番分か
っていた。しかし、卵が孵った事を海里や火竜たちに伝えるすべは今の彼女に
はない。

「どうすればいいの…。」

占いが行えない状態である浅月は唇を噛む。
いつもの自分なら、…未来を視る事が出来る自分なら、何をすべきかすぐにで
も分かるのに!

しかし、次の瞬間。
がたんと…、背後で障子の閉まる音。
浅月はぎくりと振り返る。
浅月の視線の先には、半分閉められた襖の向こうにある二間続きの和室。
先程まで自分がいた部屋での突然の物音。

緊張しつつも、勇敢な彼女は静かに間を遮る襖を開け放っていった。

「えっ!?」

視線の先…、和室の畳の上に静かに置き去られたものに、浅月は驚きを隠せな
かった。

「か、海里っ?!」

畳の上に静かに横たえられていたのは、この部屋を出て行ったはずの海里であ
ったのだった…。




合体し、あるべき姿となった魔王に、火竜と瑠璃葉は大苦戦していた。

高い咆哮を上げて瑠璃葉の巨体が石畳の床の上に倒れこむ。
魔王の攻撃を受けて、足に強い衝撃を受けたらしい。
痺れて動かないらしい足の変わりに、背中の翼を大きく羽ばたいて、魔王の追
撃を阻止する。


火竜の方も決して無傷ではない。

一見傷一つ無いように見えるが、皮膚はところどころ傷つき、焼け爛れている
ようにも見える。伝説の刃なしに竜の皮膚にこれほどまでのダメージを与える
とは…、魔王カリプトロスの実力に、2匹の竜は完全に劣勢をきしていた。


「ご、ご主人様…。」

そんな時であった。
魔王が放ったはずの魔物がひとり、ひょっこりと戦いが最高潮に達しようとし
ているこの広間に戻ってきたのは。
そして、その手が捉えるのは、痛めつけられたらしい彼の姿―――。

「おぉっ!捕らえて来たか!!!」

『海里っ!!』


それは、浅月の部屋に気絶した姿で現れたはずの、海里の姿であった…。

                            《続く》
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あとがき
ああ、ドララヴァもようやく佳境です…^^
長すぎましたね〜(汗) ラストまで気を抜かずに頑張りますので、よろしく
お願い致します!!

【お知らせ】君が好き!のホームページのアドレスが、サーバー会社の運営上
 の都合で変更となりました。
 http://kimigasuki.hp.infoseek.co.jp/
 になります。どうぞ起こし下さい♪(*^ー^*)ノ゛

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 月刊小説「君が好き!」メールマガジン  2003/1/15 51号
 発行責任者 :篠原美姫緒  kimigasuki@1-emishop.com
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