メルマガ:週刊フランスのWEB
タイトル:hebdofrance 13012003  2003/01/13


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                              Davide Yoshi TANABE
                                 vous presente

              ≪週刊フランスのWEB≫
                    第154号
                                          Tokio, le 13 janvier 2003

Bonne Annee 2003 !

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Index (目次)
        1.フランス語をはじめよう
        2.干支 「未」
        3.碁
        4.シャンソン ピアフ 「通りの向う側から」
        5.忘れられたフランス人 デザルグ「投影幾何学の祖」
        6.あとがき

フランス語のサイトの文字化けは
表示>エンコード>西ヨーロッパ言語の順で選択すれば修正することができます。

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1.Le francais
  http://www.lettres.net/

 今年こそフランス語をはじめようと年頭の決意をされた方も多いかもしれない。以
前は年のはじめに僕もいろいろな決意をしたものだ。日記を書こう、フランス語をも
のにしよう、小説を書こう等々。だが、たいていは三日坊主になる。そこで、フラン
ス語をはじめようという方のためにこのサイトをとりあげる。
 
 ただこのサイトは初心者向けではない。主としてフランス語の教師のためのサイト
である。教師は偉そうなことをいっているが、大抵「あんちょこ」をもっている。そ
のあんちょこ、虎の巻がこのサイトといえよう。バカロレアの準備のためには役立ち
そうな情報がつまっている。

 非常に基本的なところをテストしてみたいと思うなら
http://ifec.free.fr/test.html このサイトもいいであろう。
但し、122の質問はかなり長いので辛抱が必要。回答は殆ど迷いがないようにできて
いる。間違っても理由がわかれば問題がない。

 しかし、本当のところは、こうしたクイズ的テストで全問正解してみてもたいした
ことはない。フランス語を話すということは、または書くということはそれ以上に論
理を理解することである。何故ならフランス語は論理なのである。極めて人工的こと
ばであり、論理を組立てなければフランス語は話せない。人工的ならエスペラントも
ある。しかし、エスペラントに文化はない。そこが致命的な差である。「a bah
didons」(ア・バ・ディドン)フランス語でさえ論理がある。英語では希薄な論理性
をフランス語で培って欲しいと願う。

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2. belier / brebis / mouton

 今年は未(ひつじ)年であるが、この未という字は普段未来とか未熟などにつかわ
れるように「いまだ...せず」という風にもちいられるから、ヒツジと読むのは十二
支の時くらいではなかろうか。象形は、木のまだ伸びきらない部分だというから、羊
がそのものずばり動物の羊の頭の部分からきていることを考えると、またその中国語
発音未weiと羊yangの違いもあわせ考えると不思議な取り合わせである。
 十二支は中国のもので、中国には羊が古くからいたと思えるが、日本に羊がいたの
だろうか。少なくとも羊頭狗肉などといっても、実際に羊を見た日本人が江戸期に
なっても多くいたとは考えられない。山羊にしても同様であろう。

 羊が日本に渡ってきたのは599年のことだという。しかし、食肉の習慣がついに明
治期まで根付かなかった日本では羊は珍しい動物だったろう。一時、90万頭を数えた
羊も現在2万頭にも満たない数が飼育されているに過ぎないという。食肉としてまた
羊毛として輸入されているから、今や羊を知らない人はいない。

 羊(belierベリエは牡羊)は星占いholoscopeで良く使われる言葉で、3月21日から
4月20日に生まれた人を指す。brebisブルビとは牝羊で、牝羊の乳からつくるチーズ
で有名なのはロックフォールroquefortである。仔羊はアニョagneau(その女性形は
agnelle)で聖書に度々出てくる可愛い動物の代表である。羊の総称はムトンMouton
であるが、去勢された(chatre/castre)羊をいう。ヨーロッパで羊は非常に見なれ
た動物である。いや、ヨーロッパに限らない、中東はいうに及ばず、アジアにおいて
も極めて普通に見られる動物である。
 日本には殆ど見られなかった動物、しかも人の近くにいる家畜としての羊の存在
は、大きな文化の差を示すものではないか。
 しかし、ヨーロッパにおいてもアラブ文化がスペインを通じて齎されるまで、羊は
身近な動物ではなかったときいている。さすれば、羊を介してヨーロッパのルネッサ
ンスがあり、さらに産業革命だった羊の存在を抜きには考えられない。羊の研究は歴
史の格好のテーマではないか。どこかにこれを研究された方がいるかもしれない。
 未年、ひとつ羊をテーマに考察されては如何。

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3.Jeu de Go
  http://www.teaser.fr/~jlgailly/go-f.html

 柔道ほどではないかもしれないが、フランスにおいて囲碁も盛んである。第23期棋
聖戦(小林光一(白)/趙治勲(黒)の戦いで、趙治勲勝利、1997年)はパリで行わ
れた。
 サイトは圧縮プログラムの作成者でもあるエンジニア、ジャン=ルーJean-Loup氏
の作成したページである。浮世絵の写真も配置されていて、このページからレベルに
応じてリンクして、碁の基本、応用問題にアクセスできる。
 たとえば、初歩の初歩であれば、
http://jeudego.org/
 フランス語で碁を覚えるのも、上記1.で紹介した文法説明や学習のページなどと
違って、ゲームをする面白さも加わるから楽しいのではないか。

 日本では劇画(漫画)「ヒカルの碁」のおかげで、小中学生の碁人口が急増してい
るそうである。

 僕は年頭の目標に囲碁をマスターすることをあげた。囲碁のルールは単純である。
すぐに覚えられる。しかし実戦は難しそうである。インターネットで碁の対局が容易
にできる世の中である。ルールを覚えてフランスや中国、韓国の人たちと対戦する実
力をはやくつけたいものである。

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4.Edith Piaf
  De l'autre cote de la rue
  Paroles et Musique: M.Emer   1943

Des murs qui se lezardent,
Un escalier etroit,
Une vieille mansarde
Et me voila chez moi.
Un lit qui se gondole,
Un' table de guingois,
Une lampe a petrole
Et me voila chez moi
Mais le soir, quand le cafard me penetre
Et que mon coeur est par trop malheureux,
J'ecarte les rideaux de ma fenetre
Et j'ecarquille les yeux.

壁がひび割れていて 狭い階段 古びた屋根裏部屋 そんな家にわたしはいる ベッ
ドは反りかえり 傾いた机 石油ランプ そんな家にわたしはいる でも夜になって
 ゴキブリが進入してくると 心はひどく不幸せ 窓のカーテンを開けて わたしは
目を見開く

{Refrain:}
D'l'autr' cote d'la rue,
Y a un' fille,
Y a un' bell' fille
Qui a tout c'qu'il lui faut
Et mem' le superflu.
D'l'autr' cote d'la rue,
Elle a d'l'argent, un' maison, des voitures,
Des draps en soie, des bijoux, des fourrures.
D'l'autr' cote d'la rue,
Y a un' fille,
Y a un' bell' fille.
Si j'en avais le quart, je n'en d'mand'rais pas plus,
D'l'autr' cote d'la rue.

通りの向う側に 一人の娘がいる 美しい娘がいる 欠けることのない ありあまり
さえする 通りの向う側に その娘にはお金も家も車も 絹のシーツも宝石も毛皮も
ある 通りの向う側に 一人の娘がいる 美しい娘がいる もしもわたしがその半分
の半分でも持っていたら それ以上なにも望みはしない 通りの向う側に

Souvent, l'ame chagrine,
Quand je rentre chez moi,
Je vais courbant l'echine,
Il pleut ou il fait froid.
Faut monter sept etages,
Suivre un long corridor.
Je n'ai plus de courage.
Je me couche et je dors
Et le lend'main faut que tout recommence.
J'pars au travail dans le matin glace,
Alors je m'dis y'en a qui ont trop d'chance
Et les autres pas assez.

家に帰ると よく心が痛む わたしはひとにへつらう 雨が降ったり 寒かったり 
8階まで登り 長い廊下をつたわらなければいけない もう勇気なんてない わたし
は横になり 眠りにつく 明日になったらまたやりはじめなければいけない 冷え
切った朝に働きに出かける チャンスに余りに恵まれた人がいる一方には 恵まれな
い人もいるものだとつくずくおもう

D'l'autr' cote d'la rue,
Y a un' fill',
Y a un' bell' fille
Pour qui tout's nos miser's
S'ront toujours inconnues.
D'l'autr' cote d'la rue,
Quand il fait froid, ell' dans' des nuits entieres,
Quand il fait chaud, ell' s'en va en croisiere.
D'l'autr' cote d'la rue,
Y a un' fill',
Y a un' bell' fille.
Vivre un seul jour sa vie, je n'en d'mand'rais pas plus,
D'l'autr' cote d'la rue.

通りの向う側に 一人の娘がいる 美しい娘がいる わたしたちの惨(みじめ)さを
ちっとも知らない娘が 通りの向う側に 寒い時その娘は一晩中踊り明かし 暑い時
には船旅にでる 通りの向う側に 一人の娘がいる 美しい娘がいる もしもたった
一日でいいから その娘のように暮らせたら それ以上なにも望みはしない 通りの
向う側に

J'le connaissais a peine,
On s'etait vu trois fois
Mais a la fin d'la s'maine
Il est venu chez moi.
Dans ma chambre au septieme,
Au bout du corridor,
Il murmura : "Je t'aime".
Moi j'ai dit : "Je t'adore".
Il m'a comblee de baisers, de caresses,
Je ne desire plus rien dans ses bras.
Je vois ses yeux tout remplis de tendresse,
Alors je me dis tout bas :

その人を殆ど知らなかった たった三回あっただけなのに 週末にわたしの家にやっ
て来た 8階のわたしの部屋に 廊下の突き当たりの 「すきだよ」ってそのひとは
ささやいた わたしも答えた「大好きよ」 その人の接吻 愛撫に満たされて その
腕に抱かれて私はそれ以上望みはしない その人の優しさに溢れた目をみて わたし
はつぶやく

D'l'autr' cote d'la rue,
Y a un' fill',
Y a un' pauvr' fille
Qui n'connait rien d'l'amour,
Ni d'ses joies eperdues.
D'l'autre cote d'la rue,
Ell' peut garder son monsieur qu'ell' deteste,
Ses beaux bijoux, tout son luxe et le reste.
D'l'autr' cote d'la rue,
Y a un' fill',
Y a un' pauvr' fille
Qui regarde souvent, d'un air triste et perdu,
D'l'autr' cote d'la rue.

通りの向う側に 一人の娘がいる 哀れな娘がいる その娘は恋なんて 恋の我をわ
すれた歓びなんて知らない 通りの向う側に その娘は 嫌いな男 宝石 豪華なも
のなどを守っているがいい 通りの向う側に 一人の娘がいる 哀れな娘がいる ひ
とりよく悲しそうな虚(うつ)ろな様子でみている 通りの向う側に 

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5.忘れられたフランス人
  Gerard Desargues 1591 - 1661
  http://www.bib.ulb.ac.be/coursmath/bio/desargue.htm

  投影幾何学geometire projectiveの祖である。数学はかなり音楽に近いのだろ
う、デザルグも音楽理論を書いている。また、建築設計もしているらしいが、具体的
にどの建物なのか判明しなかった。

 デザルグの定理というのがある。「2つの三角形 ABC と A'B'C' があり 対応する

点を結ぶ直線 AA' 、BB' 、CC' が1点で交わり 対応する辺 BC と B'C' 、CA と
C'A' 、AB と A'B' またはその延長が交わるとき、それらの交点が1直線上にあ
る」、この定理、絵画の遠近法に関係があるようだ。図に書いてみると面白い。遠近
法そのものである。
 日本語のサイトだがこの定理を自分で図を動かしながら試してみることができると
ころがあった。実に面白い。よくできている。なにしろ数学も音痴である僕にさえわ
かるようにしてくれるのだから。
http://www.dainippon-tosho.co.jp/koryu/sugaku/w2j/theorem-10.htm

 パスカル、デカルト等と親交があった。デザルグの業績はパスカルの影に隠れて死
後正当な評価を受けてこなかったという。19世紀、1845年になって再発見された。

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6.あとがき

 あけましておめでとうございます。

 年賀状が次のページにあります。今年はあまり個人的なことを書かなかったので公
開します。
http://members.tripod.co.jp/davidyt/an2003.htm
 この本誌のホーム・ページのトップも変更しました。未年になったのでwhat's new
の案内を馬から羊のイメージに変えました。画面をスライドするロゴもVous etes la
bienvenueからBonne Annee 2003にしています。これは1月いっぱいで、その後はまた
「歓迎」にもどします。まぐまぐからの登録・解除フォームも最新のものに改めまし
た。
 そして大きく変わったのは、「フランス語教授致します」の広告をホーム・ページ
のトップに掲げたことです。詳しい内容は次のURLに書きましたが、成功するか否か
はわかりません。しかし、メイルマガジンだけでなく、実際の授業として社会に貢献
したいからです。勿論生活のこともあります。
http://members.tripod.co.jp/davidyt/pub_francais.htm
 
 キッズから大学院生、社会人、シニアまでということなのですが、本当はキッズに
教えたいのです。僕はクリスチャンの幼稚園に行っていた時にフランス語に初めて出
会いました。オ・ルヴォワール、ボンジュールなど挨拶程度でした。しかし、フラン
スという何処にあるかさえ分からなかった国の言葉に特別な親しみをもったのだと思
います。その後小学校では、残念ながら英語を習うことになってしまいました。カナ
ガ系のミッション・スクールだったのに本校が英語圏にあった所為でしょうか。再び
フランス語と巡り合うのは大学に入ってからでした。

 家庭教師はその昔、高校生や中学生を対象にたくさんやりました。教えることは好
きです。こんどは、単に学力の向上というだけでなく教養としてのフランス語、ヨー
ロッパ文化を伝えていこうと思います。読者の皆様の中で興味を持たれた方は是非僕
の塾にいらっしてください。

 更に近々、このメイルマガジンを絶やさないために、皆様のご協力を仰ぐべく「カ
ンパ」のお願いの広告も出します。そのため「hebdofrance」名で郵便振替口座開設
申請も成城郵便局に出しました。メイルマガジンはあくまで「無料」です。しかし、
もし僕の諸活動にご理解をいただければ便局のATMまで足を運んでください。よろし
くお願い申し上げます。

 北朝鮮問題が騒がれている。拉致帰還者が毎日TVに登場する。もっとこの人達を
そっとしておいてはいけないのか。国は拉致被害者法までつくってメディアに、国民
に迎合した。拉致被害者にそんなに同情するなら、韓国にもたくさん拉致された人が
いるはずだ。その被害者達との連帯はできないのか。なにか一方的な「いじめ」の体
質をぼくはそこに見るのである。
 メディアにあおられ国民こぞって北朝鮮を批難してはばからない。勿論独裁者の国
であり、民主主義の通らない国である。しかし、今に始まったわけではない。良くも
悪しくも独立国である。北朝鮮が核を保有することに僕は反対だが、かといって核保
有国であるアメリカ、英国、フランス、ロシアがよってたかって「お前は核開発をす
るな」というのは理にかなわない。日本の外務大臣は、インドにまでいって、北朝鮮
封じ込めを要請してきた。インドもまた核保有国である。インドやパキスタンの核実
験に形ばかりの反対を唱えて実は黙認している日本は如何なものか。今月末、ブラジ
ルのポルト・アレグレで世界社会フォーラムのお祭りがある。インドで今年はじめア
ジア社会フォーラムの準備大会があった。日本から多くのNPOが参加している。しか
し、これらNPOの人々から核保有国インドを批判する声は全く聞こえない。なにがど
うなっているのだ。インドは貧しいから核を保有してもいいのか。パキスタンもだ。
なら何故北朝鮮が核を保有してはいけないのか。この拉致事件は多くの疑問を投げか
けているはずだ。

 湘南科学史懇話会を以前の本誌で紹介した。その懇話会のホーム・ページが出来
た。多少僕が協力した。本誌読者が前回の懇話会に参加された。嬉しい限りである。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/shonan/home.htm

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発行者:田邊 好美(よしはる)
    〒 157-0073 東京都世田谷区
e-mail: davidyt@m2.ffn.ne.jp

当MMのホーム・ページは
http://members.tripod.co.jp/davidyt/hebdofrance.index.html
次ぎの2サイトをミラーとします。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ryunosuke/9981/
http://davidyt.infoseek.livedoor.com/hebdofrance.index.html
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