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タイトル:Daily Drama Express (2003/01/06) いつもふたりで(1)  2003/01/12


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2003/01/06 (Mon) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.月曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 月曜日の連続ドラマ
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タイトル いつもふたりで
局  名 フジ系
放映日時 月曜21時
キャスト 谷町瑞穂(松たか子)
     森永健太(坂口憲二)
     奥田直之(柏原崇)
     藤原央子(長谷川京子)
     入江知華(平山綾)
     森永孝平(瑛太)
 木下優子(佐藤仁美)
 不和圭二朗(西村雅彦)
脚  本 相沢友子

あらすじ 2002年12月
 雪の降積る道を一台の車が走って行く…

 北海道のとあるドライブインのレストランで、お客に水を出す店員
の女性へ4人のお客が次々に声をかける。「瑞穂ちゃん、最近やって
る?」「さわりだけちょっと聞かせて?」瑞穂(松たか子)も喜んで
「聞きたい?聞きたい?聞きたい? じゃあさわりだけちょっと…・。
 ある山奥に…」 お客は口を抑えて偲び笑いをする。瑞穂は怒って
「何で笑うんですかー!人が真面目に話しているのに!!」
 他の店員も笑いながら「瑞穂さん本気で小説家めざしてるの?」
「有名ねぇ」「代官山の高級マンションの上の方で暮したいらしいよ。
いいなかっこいいー」「って、いうかおめでたい…」そこへ客から注
文をとった瑞穂がやってくる。
「いい?私は、こんな一年の大半が雪の中に埋もれるようなちっぽけ
な器じゃないの。」奥から出て来た女性に「そんな夢ばっか言ってな
いで、ちゃんと就職するか、お嫁に行くかしないと。バイトだけして
る娘なんてこの街では瑞穂ちゃんくらいなものよ。東京に行くって言
って、何年経つんだろうね〜」

 「夢は強く願い続けていれば、必ず叶うんです。」

女性は、そばにあったカレンダー(12/26)を指差し、「今年も後5
日で終わりだよ。ほらっ」と店の奥へ入って行ってしまう。

 一台の車が、ドライブインに止まり、一人の男が入って来る。
 「いらっしゃいませ。ご注文は?」瑞穂が注文をとりに行くと、
「あの、谷町瑞穂さんですね?私、東京の中央書籍の北野と申します
…」
瑞穂は笑顔で、男の人から数メートル離れ、「あの、良く聞えなかっ
たので もっと大きな声で言ってもらえますか?」男は店中に響き渡
る大声で「新人文学賞で見事大賞に輝きました。つきましては、出来
るだけ早く上京していただきまして、新しい連載小説の執筆に入って
いただきたいんです。」「連載?私が連載小説を?…」男は力強く頷
き「中央書籍は全力であなたの才能を支援致します。」


 雪の降り積もった道を「やったーー やったーーー」と叫びながら、
瑞穂は「谷町商店」と看板の掲げてある家へ入って行く。
 家に飛び込んだ瑞穂は、手短に母親に事情を話し2階へ上がって行
く。
「おばあちゃん!小説家になるの。私、小説家になるの。」大喜びで
おばあちゃんに言い、おばあちゃんは笑顔で、「瑞穂は意志の強い子
だから、きっと夢は叶えられると思ってたよ。 これからが、始まり
だね、時には神様さえ見方してくれない苦しい時期があるんだ。いつ
だっておばあちゃんは瑞穂の見方だからね。」おばあちゃんはそう言
って、瑞穂の手をしっかり両手で握った…・


2003年1月
 電車のホームで「それじゃあ行って来ます。」見送りに来た人々は
「気をつけるのよ。」最後におばあちゃんが「瑞穂」瑞穂の手におば
あちゃんがいつもしていたお守りを結ぶ。「ありがとう。おばあちゃ
ん。じゃあ…・」電車がホームへ入って来る。
 「皆さん!谷町瑞穂は絶対有名小説家になります!!」皆「バンザ
ーイ。バンザーイ。」と旗を降りながら大喜びで瑞穂を見送る。

 電車の中から瑞穂は皆へ手を振り、皆の姿が見えなくなり、席に座
ろうとドアから離れようとしたが、コートがドアに挟まって動けない
…「誰か〜〜 助けてーーーー」


 東京の出版社の入っているビルのオフィッス。
 「実のところ昨年から同じような方が尋ねてきてみえて、うちでは
新人の文学賞はやってないんですよ。支度金というのは、勿論受けて
おりません。うちでは社名を悪用されて困るんですよ。」瑞穂は大き
な声で「じゃあ私の300万どーなるんですか?」担当の男は「30
0万? わーはっはっはっはっはは 失礼。30万とか50万とかが
多かったですから。最高金額だ。」瑞穂は「住むとこ用意するって言
われたんです。」担当は似顔絵の紙を見せ、「おそらくこの男が持ち
逃げしたんですよ。」

 喫茶店で、「お願いします。」と幼なじみの木下優子(佐藤仁美)に
瑞穂は、頭を下げる。優子は「やなこった。久しぶりに連絡してきた
と思ったら、泊めて下さい?それが、久しぶりに会った友達に言う礼
儀なの。あんたも大人だったらさぁ、人の新婚生活邪魔しないでよね
ぇ。」「何時結婚したの?どうして知らせてくれなかったの?」「昨
年のクリスマス。籍入れただけだからねぇ。おめでとうは?」「おめ
でとうございます。」「高校からの友達って、いないのよねぇ」優子
は思い出したように「いるじゃん!ハチ。ハチ公は瑞穂の忠犬ハチ公
なんだから」いくらなんでも男と女じゃ…と言う瑞穂に「あんた達兄
弟みたいなものよ。幼なじみに男も女もないって。昔あんたが言った
んじゃん。私ね、何回か会って飲んだことあるのよね。名刺もらった
んだ。あいつ今、結構有名らしいよ。」ハチの名刺を食い入るように
瑞穂は見つめる。

 瑞穂は1枚の紙を手に事務所を訪れる。受付の女性に「お客様、何
かご用でしょうか?」「はい。えっはい。谷町と申しますが、森永健
太(坂口憲二)様いらっしゃいますか? 約束は特に…」「少々お待ち
下さい。」受付の女性が電話をかけていると、打合せを終えた人達が
部屋から出て来た。その中にハチ(坂口憲二)がいた。瑞穂はハチを見
つけ。「ハチ!ハチ!ハチハチ」と久しぶりの再会に大喜び。ハチも
瑞穂を見て「瑞穂ぉ!」と大喜び。

 瑞穂が中華料理屋で食事をしていると、ハチが遅れてやって来た。
瑞穂は食事をしながら「びっくりしたよ。健太がテレビの作家やって
るなんて、そんなこと学校じゃ一言もいってなかったじゃない。成り
行きで有名になっちゃうんだなんて…」ハチは「それより瑞穂はどう
なんだよ?小説の方は・・」「まぁ、私の話は後でいいよ。ハチの家
に異動してからゆっくりとね。」

 ハチの家に上がった瑞穂は小声で「なんでこんなとこに、住んでん
だよ。ハチの分際で」ハチはお茶を出しながら、「それで、警察に被
害届だしたの?」瑞穂は「だけど、お金戻って来ないだろうって。バ
イトして貯めたお金だから。帰らない。」これからどうするか尋ねる
ハチに「出版社片っ端から廻って、原稿売りこむ。良い機会だから、
自分に条件のあう出版社探す。こんなくらいで負けたりしないんだか
ら。」

 ホテルまで送ると言うハチに「今日はここに泊まります。このソフ
ァ借りるね。気にしないで」「まずいよ。朝彼女が来たらどうするん
だよ。」「彼女いるの?いや、いないけど…」「だったらいいじゃん。
ハチ。毛布いいよ。1枚で。」

 夜中寒くて目が覚めた瑞穂は、ハチに毛布をもう1枚貸してもらい
に、ハチの部屋へ行く。ふと電気がついている部屋を覗くと ハチが
PCに向かってシナリオを書いていた。瑞穂は、ハチに声をかけずに
そっと部屋を後にする。

 朝、ハチの家の中を見て廻り、家具も置いていない部屋を見付ける。

 「あんた誰?歯医者さん?」ヘルメットを被った女(平山 綾)に突
然話かけられる。瑞穂は、その女が健太の彼女だと思い、誤解しない
で。と。その女も、瑞穂を健太が好きな歯医者さんだと思い聞く。そ
こへヘルメットを被った男(瑛太)がやって来る。
「あっ これってお泊りモードじゃん」と喜ぶ男は瑞穂の顔を見て、瑞
穂に近寄って行く。壁に押しつけられる形になった瑞穂へ「もしかし
て、ミィ姉さん?俺、孝平。」「考ちゃん?」孝平(瑛太)は隣の女を
指さし「これハニー」と彼女(平山 綾)を紹介する。

 朝食の席で孝平たちもハチのマンションに住んでいることを知り、
また、ハチが、付合っていた彼女と住もうと思って、買ったとたんに、
別れたことも知る。開いている部屋は、彼女が住むはずだった部屋で、
自分たちが住んでいる部屋は子供部屋。
その話を聞いて瑞穂も「そうよね。せっかく買ったものを遊ばせてお
く手はないよね。」

 「まいったなぁ」と頭をかかえて、事務所へ向かうハチは、歯医者
の女性(長谷川京子)に挨拶をされる。「こんにちは、今日も寒いです
ね。この前のケーキご馳走様でした。」「いつもいただきものばっか
ですいません。」他に何か話しをしようとするが、上手く言葉が出て
来ない。同僚に呼ばれた歯医者の女性は、「それじゃあ。どうも。」
と歯科医院へ入って行く。


 事務所に来ると、不破圭二朗(西村雅彦)が「おまえ最近お目当ての
子がいるんだって?あの空家も出番が来たわけだ。」ハチは近況を話、
「田舎から出て来た幼なじみが来て…」「つくづく人のいいやつだな。
男ばっかでむさ苦しい」「許可した覚えはないんだけど、女ですよ。」
「その幼なじみに惚れたわけだ。」「違いますよ。どうしたらいいで
しょう。」不破はハチの性格を良く知っているらしく「おまえに話し
合いは無理だから行動に出るのみ。恋をしろよ恋を。恋はとてつもな
いパワーを生み出してくれるんだよ。俺を誰だと思ってるんだ?」不
破は言いたいことだけ言い、笑顔では去って行く。


 瑞穂は、東京の出版社を片っ端から、尋ねて行き、自分で書いた小
説を売り込む。しかし、どこの出版社でも、追い返されてしまう。電
話をしても、会ってもくれない・・

 ハチのマンションへ帰って来て、机いっぱいに広げた地図を見て、
明日の計画をたてる瑞穂はハチに「天才って、いつでも理解され難い
ものなんだよね。万人受けするものって、信用できないものよ。だか
ら、たった一人がいいって言ってくれた方がいいじゃない。」瑞穂に
出て行ってほしいという話をしたかったハチだったが、瑞穂の話に素
直にうなずく。「あー気が散る。自分の部屋行ってくる。」とハチを
残して瑞穂は部屋に入って行く。

 次の日も瑞穂は出版社を探す。茶色の錆びれた建物の前に来た瑞穂
は「楓書房かぁ 効いたことないなぁ まあいっか」と入って行く。

 国枝(田山涼成)が「小説はなかなかものにならないんだよ。小さな
出版社は、手堅いものでほそぼそとやってくしかないんですよ。」瑞
穂は話を小説の素晴らしさを訴えるが、一人の変な男(柏原 崇)が
「結構かわいいんじゃない?」と瑞穂の顔を覗き込む。「悪ふざけは
やめてください。社長!」国枝は変な男に一喝する。瑞穂は社長(柏
原 崇)と呼ばれた人の後をついて、今での境遇を訴える。「じゃあ
さぁ、俺の秘書やらない?急に辞めちゃって、困ってたんだよね〜。
それなら開いた時間に小説書けるし。」

 「就職が決まった?」ハチのマンションに戻った瑞穂は、ハチ、孝
平、孝平の彼女の知華(平山 綾)に報告をする。「2年前にお父さん
が亡くなられて息子さんが継いでるんだって。」
 孝平は「ミィ姉さんの初出勤だから今夜はお祝いしようよ。スポン
サーは兄貴だからよろしく。」瑞穂と知華も「よろしく。」
 ハチは手にしたキップを瑞穂に渡せないでいた。

 「おはようございます」翌朝、楓書房に出社した瑞穂は明るく「よ
ろしくお願いします。」と挨拶をする。
 国枝がやって来て、「谷町さんねぇ、あなたに一つだけお断りして
おかなければなりません。文芸部はとっくの昔に廃止になったんです。
社長の言った言葉はあてにしないで下さい。」そこへ社長がやって来
て、瑞穂を社長室へ案内する。社長の目の前の机とパソコンを指差し
「瑞穂ちゃんの席こっちね。僕たち仲良くしていけそうだね。社長は
それだけ言うとゲームを始める。」箱に入った領収証の束をめくりな
がら「飲み屋ばっか…」 ふと社長室を見渡し、開いているスペース
を眺める。
 
 「終わりました。」「はい、ご苦労さん。あれ?机…」瑞穂は勝手
に自分の机を移動させていた。「文芸部が廃止になったからってどう
やって出版するんですか?」社長は「俺は書いていいって言ったけど
出版するなんて言ってないよ。」「小説を出さない出版社なんて出版
社じゃないんですよ。どうしても手元に置きたい。何度でも読み返し
たい。そういう小説があれば売れるはずです。こういう時代だからこ
そ。出版社が小説の未来を守るべきです。」瑞穂の言っている言葉に
刺激を受けたのか、一瞬顔色が変わる。しかし、すぐに戻り、またふ
ざけたもの言いで「かわいい〜。食事に行かない?」瑞穂は速攻で断
り「ああ良かった俺も予定あったんだよね〜じゃあ来週誘ってあげる
・・」と言い残し、社長室から出て行く。


 ハチが事務所から出ようとすると、携帯が鳴る。ハチの居場所を聞
く不破は「今から来い。俺は緊急だと言ったんだ。新しい恋いは誰も
逆らえないんだ」予定があると断ろうとするハチの言葉に耳をかすこ
ともなく電話を切る。

 孝平に、ハチから急用が出来たと連絡が入る。

 「そういうわけなんで、ご理解していただけると…」ハチは不破の
不倫相手へ、謝罪をしていた。女性は「奥さんと別居してるって、離
婚協議に入ってるなんて、それを理解しろなんて…・絶対別れない。
もう新しい女いるんでしょ?馬鹿にしないでよ。」代理で来たハチに
コップの水をかけ、怒って女性は店を後にする。他の客からは、「構
成作家の森永健太じゃない?」とささやかれていた。ふと見ると、憧
れの歯医者さんもいた…

 「ミィ姉飲むんだね。」ハチが急用が出来た内容はきっと、不破が
別れた女の尻拭いをしている。前付合ってた女と別れたのも、結局は
そのせいだ。と孝平は打ち明けていた。テレビでは、不破の番組がつ
いている。番組内で不破は「浮気なんか一回もしたことがない」と言
っていた。


 ハチがやっと帰って来る。「ただいま」おっそい。瑞穂は酔いも手
伝い「私の初出勤祝いをすっぽかすなんて生意気だぞハチ。」楓書房
のことを聞くハチに「小説は書いても出版はしないって。あんなとこ
辞めた。辞めたの。辞めます。」そろそろお開きにした方がいいんじ
ゃない?仕事で疲れてるんだ。瑞穂は「男のくせに、使いっぱしりで
はずかしくないの?高校入って背丈は急に伸びたけど気が小さいのは
変わらないの。それってさぁ、学生のときは洒落になったけど社会に
出ては負け犬だよ。」ハチは「瑞穂に、瑞穂にそんなこと言われる筋
合いないよ。何も知らないくせに勝手なこと言わないでくれよ。」ハ
チはずっと持っていたチケットを瑞穂に差し出す。「何これ」「これ
で明日田舎に帰ってくれ。」お金が無いから帰れないと言う瑞穂にハ
チは10万出し「返さなくていいから。足りない?」「ハチ…変わっ
たね」「だいたい無謀なんだよ、そんなに簡単に、小説家になれるわ
けないんだ。皆にデカイこと言ったから、笑われるのが嫌なんだろ?」
瑞穂は正直に「借りちゃったの。おばあちゃんに。300万。あの3
00万はおばあちゃんがコツコツ貯めて来たお金なの。お母さんの忠
告を聞かないで、どこの誰かにわからないやつに渡しちゃった。」チ
ケットを投げ「何よ。こんなもの、出てけばいいんでしょ。」


 ハチのマンションから荷物を持って出て来た瑞穂は夜の公園で途方
にくれる。そこへ携帯が鳴り「もしもし谷町さんですか?先日原稿を
見せてもらった田中です。できましたら、もう一度読み返したんです
が。良かったら今から出てこれませんか? 無理ならいいんです。」
瑞穂はすぐに「いえ、出てこれます。」

 男について路地を歩く瑞穂はホテル街を歩いていることに不信を感
じる。「あの、やっぱり私、失礼します。」男は、「打ち合わせに使
うんです。」と瑞穂の手をひっぱる。「辞めて下さい話してよ。人の
夢につけこんで」男は「そのつもりでついてきたんだろ?皆遠まわし
で言ってくれないだろ、このさいだから教えてやろうか。おまえの小
説なんて絶対売れない。書くだけ無駄だ!」怒った瑞穂は「いいかげ
んなこと言ってるんじゃないわよ!」と毒つく。

 救急車がやって来て、男は運ばれて行ってしまった。瑞穂は警察官
と一緒にパトカーに乗せられる…瑞穂が見つめる先に、石造が倒れて
いた…

 「木下優子さんに連絡付きましたか?」身元保証人に優子を選んだ
瑞穂は、「携帯も家の電話も留守電になってるんですよ…」「他にい
ませんか?」「いないってわけじゃないけど…・」

 警察署から出て来た瑞穂は、後から憮然とした顔のハチも出て来る。
ハチが「タクシー呼ぶからちょっと待って」瑞穂はさっきの喧嘩のこ
ともあり「ハチの施しは受けたくない。歩いて帰るから先に帰ってて。
」「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。おい瑞穂。逆」ハチのマ
ンションと逆に向かって行く瑞穂を呼ぶ。ハチはタクシーを拾うのを
止めて、瑞穂の後を追う。「本気で家まで歩くの?遠いよ。東京でそ
んなヤツいないよ。」「悪かったわね。田舎もんで」ハチは瑞穂が重
い荷物を持ってあげ、「おんぶしてやるよ。」「結構です。」ハチは
「悪かった。感情的になって悪かった。行くとこ見つかるまでしばら
く家にいていいよ。」瑞穂はそれには答えず、「無くしちゃったんだ。
お守り。ブレスレット。夢は、強く願えば必ず叶うっておばあちゃん
言ってた。願っても願ってもどうしても叶わないこともあるのかもし
れないね。」空から白いものが落ちて来て、2人は足を止め夜空を眺
める。

 雪だぁ…・

 瑞穂はハチと歩きながら、小学校の話しを始める。「小学校の帰り
道でさぁ、私がきつね追っ駆けてこけたの覚えてる? あのとき、い
いっていうのに、さっきみたいにハチにおぶってもらって、あげくに
転んで捻挫して、私がおぶって帰ったの。すっごい迷惑だった。」ハ
チは、覚えていると頷き、「次の日運動会だったんだよ。捻挫してる
の隠して走って、最後の方は殆ど歩いてたけど、トラックで一人にな
っちゃって、皆走り終えて、ざわざわしてくるし。走るんじゃなかっ
たって思ったんだよ。そうしたら「がんばれー」って聞えたんだ。瑞
穂がでっかい声で「がんばれーがんばれー」って応援してくれた。だ
から最後まで走れたんだ。」瑞穂は翌日が運動会だったのは忘れてい
たが、「あの頃は大きくなったら何でも出来るって思ってた。明日も
明後日もそう思ってる自分がいるんだって。26歳かぁ…もう。ハチ
じゃないんだね。」空を見上げながら「東京にも雪が降るんだ…さっ
きのチケットやっぱりもらってもいいかな?私田舎に帰るわ。」ハチ
から荷物を受け取り先に歩き出す。
 ハチのマンションに戻った瑞穂は、またいつものソファで眠る…そ
んな瑞穂を見つめるハチだった。


 翌朝 瑞穂は楓書房にやって来る。従業員が社長室のドアの前に集
まり中の様子を盗み聞きしている。瑞穂が尋ねると、「社長がね、今
朝の役員会で文芸部を復活させると突然宣言しちゃったんですよ。」
他の従業員も「いよいよ、倒産の兆しが見えたのは僕だけでしょうか
?」社長室からは国枝の怒鳴り声が聞えている。

 瑞穂は構わず社長室へ入ると、国枝専務が「あなたには何も期待し
ていないんです。静かにここに座ってくれればいいんです。」国枝に
叱られた社長は、電話をかけ「あのさぁ、さっきの話しやっぱり止め
ときます。」国枝は社長室から出て行く。

 「いいんですか?あんなふうに言われて悔しくないんですか?文芸
部を復活させるのは、社長の夢だったんですね。」社長は「さっきの
話し聞いたでしょ?以前文芸部を復活させようとして大失敗したって。
 奥田直之 26歳 夢に破れた男 これってポイント高くない?」
自分のパソコンをしまっていた瑞穂は怒って、「ふざけないで下さい。
夢っていうのは、自分で捨てたときに始めて終わるものなんです。私
はいいわけなんかしない。夢を捨てたんです。辞めさせていただきま
す。 お世話になりました。」
 涙をこらえて楓書房を後にする。


 東京駅までやって来た瑞穂はチケットをポケットから出す。チケッ
トの袋には、無くしたはずの、おばあちゃんからもらったお守りが挟
まれている。蓋を開けるとデカデカと「ガンバレ!! ハチ ^v^ 」
とマジックで書かれた文字が…
その文字を見つめ涙を流す…

 田舎に帰るのを止め、チケットを破ろうとするが思い留まり、チケ
ットの換金場に行く。「換金をお願しいします。」晴れ晴れとした顔
でお金に変えてもらう。


 一方、ハチのマンションでは、孝平が「兄貴、ミィ姉さん電車に乗
った頃だね」「ああ。じゃあ出掛けて来る」

 その頃、帰るのを止めた瑞穂は、楓書房の前にやって来ていた。


寸  評  柏原崇くんが面白いです。さすが、攻略本とグラビアしかやって
いない楓書房。オタクっぽい人達が働いています。瑞穂とハチと社長
が同じ歳っていう設定は面白いです。

執 筆 者 田村(tamura_d@anet.ne.jp)

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2. 編集後記
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 残念です。柏原崇くんが、降板してしまいます。病気では仕方ありませんが、
せっかく楽しみにしていた私はショックです。早く治ってほしいものです。
 後任は、ちょっと前の昼ドラ「真珠夫人」の直樹さん役の葛山信吾だそうで
す。細川直美のだんなさんですねぇ〜(田村)

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発行元:ドラマ研究会
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